厚生労働省

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ナショナルミニマム研究会(第4回)議事概要

1.日時

平成22年1月27日(水)17:00〜18:5

2.場所

厚生労働省省議室

3.議事

ナショナルミニマムの考え方について(委員からの発表)

4.出席者

長妻大臣、細川副大臣、長浜副大臣、山井政務官、足立政務官、雨宮委員、岩田委員、貝塚委員、菊池委員、駒村委員、神野委員、竹下委員、橘木委員、湯浅委員、清水社会・援護局長、間杉政策統括官(社会保障担当)、三石社会・援護局保護課長、伊奈川参事官(社会保障担当)

5.概要

長妻大臣よりご挨拶、貝塚委員及び菊池委員よりナショナルミニマムの考え方についての発表が行われた。また、経済損失推計作業チーム及び最低生活費作業チームの設置が了承された。
委員の主な発言は以下のとおり。

○ 生活保護制度が制度的に社会保障と分離されていたことが1つのポイントであり、社会保障との関係の議論が今まであまりなされてこなかったのではないか。

○ 社会保障の網の目から落ちた人の中には住民登録がない方も相当数いるので、そういう人を行政が把握できないことがネックになっており、これはかなり大きな問題。

○ 現在社会保険でカバーできない人が増えてきたが、従来の社会保障制度が標準的な家族形態や雇用形態などを念頭に置いていたことが背景にあるのではないか。

○ この研究会に、貧困・格差による経済損失推計を行うチームと、消費の実態から見た最低生活費の分析を行うチームを設置し、作業を行うこととしてはどうか。

○ 経済成長と公平性はトレードオフの関係であることが経済学では一般的に言われているが、非常に例は少ないが北欧など実際に効率性と公平性両方満たしている国もあり、成長と分配の問題との両方を図る政策というのがあり得るのではないか。

○ 社会保障の変わっていく制度ないし法を枠付ける規範的な指針や、個々の制度のあり方を議論するだけでなく全体のグランドデザインを提示することが重要ではないか。その際、グランドデザインの全体を統括する理念・基本原理をきちんと考え、そこから逆に個々の制度のあり方を問い直すことが必要ではないか。

○ 個人の主体性を尊重し、その自立に向けた支援を行うのが社会保障ではないか。こうした視点に立つと、保護という発想よりも支援という発想の方が馴染むのではないか。

○ ナショナルミニマムは重層的に捉える視点が重要であり、こうした視点からみると、生活保護受給に至る前段階の制度の充実がまず重要ではないか。また、支払い能力如何に関わらず、医療、介護、福祉サービスに対するナショナルミニマムを保障することが生活主体の自立を支援するための必要条件ではないか。

○ 医療保険制度と生活保護上の医療扶助は内容が異なっており、介護保険のように医療保険の中に保護受給者を入れるかどうかという議論が必要ではないか。また、サービス給付については、量的側面のみならず質的側面の検討が必要ではないか。

○ 憲法25条でいう国には地方公共団体も含むという考え方が一般的であるが、憲法25条1項の基準を積極的に保障する義務を負っており、その内容からして本来的に地方政府の裁量には委ねられてはならない限界があるのではないか。

○ 生活保護の1類費と2類費の分類を検証する必要があるのではないか。また、級地制についても地域ごとの格差の妥当性を考える必要があるのではないか。

○ 経済的困窮とは必ずしも重ならない社会的排除の状態を克服していくことも、ナショナルミニマムの内容であると考えるかどうかが1つの論点。社会的要素も一定程度含んだものにしていくということが、現代社会における水準のあり方ではないか。

○ そもそも生活を保護するという思想から脱却し、就労支援の要素を組み込んだ生活支援を考え方の基礎にした方がいいのではないか。政策の中身も大事だが、生活保護法ではなく基礎生活保障法といった名称に変えることもあり得るのではないか。

○ 生活保護は法律に書かれていることが僅かで、国民の権利に関わる部分は法律事項に極力していくという法律改正は必要ではないか。

○ 憲法25条を考えるとき、まずは国によって最低生活の限度が規範化されたものとして示されていることを前提に、それを基礎として地方における特性をどう酌みしていくということではないか。

○ ナショナルミニマムは国民最低限なので、国か地方かという前に国民の最低限という考え方をするかどうか。いきなり地方分権の話を噛ませるのは、やや拙速ではないか。

○ 実際に路上生活をしている方だけでなく、ネットカフェやカプセルホテルなどで暮らす事実上ホームレス状態にあるような人を含めた、広い意味でのホームレス調査をしてはどうか。

<文責:厚生労働省(事後修正の可能性があります。)>

【照会先】

政策統括官付社会保障担当参事官室
政策第一係(内線7691、7692)


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