第2回保育士養成課程等検討会 議事要旨
1 日時
平成21年12月14日(月) 10:00〜12:00
2 場所
経済産業省別館 1012号会議室
3 出席者
網野委員、上村委員、埋橋委員、大嶋委員、倉掛委員、汐見座長、藤林委員、
増田委員、矢藤委員、山本委員
4 議題
保育士養成課程等に関する検討課題について
5 議事要旨
- 保育所における障害児の個別支援計画の作成や療育機関との連携に関して、課題があり、特に現在たいへん増えている発達障害の子どもに対する知識や援助技術を保育士養成課程で教授する必要がある。
- 保育原理4単位を2単位にし、「保育者論」を新設してはどうか。保育士の倫理及び責務 や専門性に関わる領域とする。
- 保育指針の改定内容を受け、「教育原理」に小学校の連携について盛り込んではどうか。
- 「教育心理学」を「発達心理学」及び「教育原理」に統合できないか。
- 「精神保健」を「小児保健」と統合し、講義の形態にしてはどうか。
- 「家族援助論」を「家庭支援論」という一般的に使われている言葉にしてはどうか。
- 保育指針の改定内容を受け、計画と評価に関わる科目を新設する必要がある。
- 保育実習に事前事後指導の時間を増やし、実習を効果的なものにする必要がある。
- 地域との連携や協働の必要性を踏まえ、「地域福祉」という科目を新設してはどうか。
- 「社会福祉援助技術」の科目名を「相談・援助」にしてはどうか。その際、保護者に対する相談援助を中心とした「相談援助II」を創設したらどうか。
- 伸びしろのある保育士をどう養成していくか。特に、「養護と教育の一体性の強化」、「継続教育の可能性」を視野に入れ、現状を踏まえた学習内容について検討することが重要。
- 2年制、4年制の養成、卒後の現任教育を構造化することが必要。
- 資料にある「今後充実が必要な科目」として上がっている「家族援助論」「発達心理学」「障害児保育」というのは、学習内容に課題があるのではないか。
- 教育心理学が発達心理学に統合されると、発達心理学自体の教科内容が削減されることになりはしないか。
- 小児保健、小児栄養の科目だけ、なぜ「小児」であり「児童」ではないのか、児童福祉の枠組みで考えたときそぐわないように思う。
- 保育所、児童福祉施設、乳児院などの計画と評価をすべて教授できる教員はいないのではないか。不徹底な学習になりはしないか。
- 養護と教育の一体性というときの「養護」と、社会的養護の「養護」は同義ではなく、この他にも用語の不統一があるのではないか。
- 世界のトレンドからしても、乳幼児期の子どもの学びをどう保障していくかということが課題となっており、子どもを観察する力を養成することが必要である。
- 「地域福祉」「家族援助論」等は4年制に回したらどうか。2年制では子どもの保育を中心に保育士業務のコアを充実させるべき。
- 学習内容による枠組みを設定し、科目間の重複を整理する必要がある。
- 養成段階でこそ「考える力」を身につけるトレーニングが必要。また、一人一人の子どもの実情に沿って保育の計画を考え、臨機応変に保育することが求められている。
- 保育現場では、養護と教育、両方に課題がある。遊びを中心にした教育、低年齢児の養護に関わるスキルの修得が必要。また、障害児保育に関する知識・技術が不足している。
- 育児不安を抱える保護者が増加しており、相談援助の技術や他機関との連携がより重要になっているが、2年間の養成で可能なのかどうか。また、地域において1/4がひとり親家庭であり、保育所を拠り所としている方も多い。
- 食物アレルギーのある子どもが増えている。除去食、代替食の提供、医師との連携がより必要になっている。
- 保護者の虐待や不適切な養育を最初に発見するのは保育所であり、こうしたことへの対応についても養成課程でしっかりと学ぶ必要がある。
- 実習指導については現場と養成校教員の緊密な連絡・連絡が必要。主任保育士等が実習生指導に要する時間や負担も大きい。
- 保育課程から自己評価までの内容や方法を学んでほしい。
- 幼保小連携の課題がある中で、それぞれの役割や機能についてまず、学んでほしい。
- 全国保育士会では保育士の倫理綱領を採択し、その浸透を図っている。また、保育士の研修体系を作成したところである。
- 地域住民が保育園にアプローチしていく仕組みやネットワークが重要であり、人とつながる力、問題解決していく力を学生たちにも学んでほしい。
- 地域の人の力を引き出し、それぞれが主体的に関われるよう地域の資源としての保育園の機能を活用していくことが大切。
- 発達の問題を抱えている子どもや保護者への対応、中学校まで視野に入れた学校との連携が重要。特に「発達」に関する専門性を保育園の機能としてどうつけていけるのか
- 保育のプロとして成長していく道筋や専門性がどのようなものか、その全体像を眺め、期待感や学習経験による喜びを経験することが学生時代には最も重要。保育士になったあとも学び直しができる仕組みや手が届くところにリソースがあることも必要。
- 「保育士論」ではなく「保育者論」としたのは幼稚園教諭など総合的に踏まえたものとするためである。8割以上両免取得であり幼稚園教諭養成課程を考慮する必要がある。
- 保育士養成として基本的に大切なものはなにかという検討がまずなければならず、実際の養成の場において幼・小など複数資格への対応があるが、保育士養成のあるべき姿を明確にすることが必要。
- 保育士養成はあくまで0歳から18歳までの子どもの保育・養育に関わる専門職であり、保育士の特性を明確にした養成内容を構築することが前提である。
- 「発達心理学」と「教育心理学」を統合する場合、どちらかの名称を残すのではなく、例えば「保育心理学」とすることや、「小児保健」と「精神保健」統合して「児童の保健」「児童の心身の保健」とすることなどを考えてもよいのではないか。
- 現在の保育指針は環境による教育をベースにしているはずなのに、「環境と保育」や環境構成等に関わる内容がないのは問題である。
- 「発達心理学」の内容も野生児の事例などたいへん古く、現在の生態心理学とはだいぶ異なるので見直しが必要
- 教科の目標、内容を改定するとともに、教科の順序性や提示の仕方を考慮する必要もある。ただ、保育という営みは様々な領域との関連や重なりがあるということも事実。
- 保育士養成課程を見ると、大枠の座りがよくないと思われる。他の分野の養成課程も参考にしながら保育を学ぶための基礎科目を整理することが必要。
- 保育指針の改定を踏まえての改訂であるが、他の児童福祉施設の変化や役割機能も変わってきていることを十分踏まえるべきである。
- 養成校は文部科学省が所管する学校教育の体系があるため、科目名にしてもたやすく変更できないということもあるだろう。
- 「教育心理学」は応用心理学であり、生活を中心とする「保育心理学」などの教科名も考慮するなど、教授する内容を十分に踏まえて検討すべきである。
- 「小児保健」と「精神保健」は統合せず、別々の科目として残すべきではないか。同じヘルスとはいえ、乳幼児期から青年期までの精神保健や保護者や家族との関わりを含めた精神保健は近年ますます重要である。
- 「家族援助論」は「家庭支援論」又は「保護者支援論」とした方が中味が見えてくるように思う。
- 保育マネジメントの重要性が高まっていることを踏まえ、特に4年制では施設経営論を位置づける必要がある。
- 「相談援助」についても内容を精査し、全般的なスキルを踏まえ段階を追って考えていくべきである。
- 現在、発達心理学が一つのパラダイム転換を起こしているなかで、発達と環境の相互性や保育環境の重要性を学ぶ内容が必要である。
今里保育課長より
- 保育指針の改定を踏まえ、なるべく早い時期に新しいカリキュラムを作ることがまず必要であるが、同時にこうあるべきという本質的な議論をいただき、課題を示していきたい。早急な対応と今後に向けてと二段階の検討になるかもしれない。
事務局より
- 本日の論議等を踏まえ、年内中に、改定案、改訂についてのご意見などを事務局宛に送っていただきたい。その上で、次回、改訂案として提示できたらと考えている。
照会先
厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課保育係
電話 03−5253−1111(内線7947)