中小企業退職金共済制度の加入対象者の範囲に関する検討会報告書のポイント
- 背景
- ○ これまで、中退共制度の対象者は「従業員」に限られるものとされてきたところ、中退法において「従業員」の定義はなく、
事業主との間に使用従属関係にあるもの(※)として取り扱われてきた。
(※)事業主の指揮の下に労務を提供し、その提供した労務の対価として事業主から賃金の支払を受けているもの
- ○ 労基法においては、同居の親族のみを使用する場合には、適用されないこととされており、中退共制度においても同様に適用されないものとして取り扱われてきた。
- ○ 中小企業を含む雇用・経済情勢が特に悪化し、退職後の従業員の生活保障の重要性が改めて認識される中で、
現在加入対象とされていない者の中に中退法における「従業員」と同様の働き方をする者が少なくないとの指摘がある。
- アンケート調査結果
- ○ 同居の親族のみを使用する事業においても、多くの同居の親族が
- ・ 仕事の内容・方法について、事業主に具体的な指揮命令を受けていること。
- ・ 事業主の指揮監督の下で行う労働に対して報酬が支払われていること。
- ・ 事業主自身と同程度か、それ以上の労働時間にわたり就労していること。
が明らかになった。
- 取扱い変更にあたっての課題
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- 【他の労働関係法令との関係】
- ○ 同居の親族のみを使用する事業が各法律の適用対象となるかどうかについては、規定の趣旨・法の位置付け等にかんがみ個別に判断される。
- ○ 同居の親族のみを雇用する事業でも、使用従属関係にある従業員であって、その加入により福祉の増進等に寄与するのであれば、中退共制度の適用対象とすることが適当。
- 【実務上の課題】
- ○ 加入時等における使用従属関係の把握及び退職の事実の確認方法
- ○ 共済契約者等の手続面での負担等の観点から、制度の実行可能性を考慮する必要
- 【小規模企業共済制度との関係】
- ○ 加入者範囲に重複が生じることなく、両制度が整合的に運用されることが必要。
- 今後の取扱いの方向性
- ○ 同居の親族のみを使用する事業に使用される者であっても、
使用従属関係が認められる者については、中退法の「従業員」として取り扱うことが適当。