厚生労働省

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平成21年6月16日






薬事・食品衛生審議会
医薬品等安全対策部会
安全対策調査会





リン酸オセルタミビル(タミフル)について

当調査会は、リン酸オセルタミビル(タミフル)の服用と異常な行動及び突然死との関係について検討を行うため、平成19年4月4日、6月16日、11月11日及び12月25日に会議を行った。

平成19年6月16日にはタミフルの安全性について希望団体等からの意見陳述の聴取を行った。また、平成19年6月16日、11月11日及び12月25日にはリン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググループ(基礎WG)及びリン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)から調査検討の状況について報告を受け、検討を進めてきた(注1)

(注1)タミフルの安全対策の経緯等については、別添「参考資料(PDF:227KB)」参照

本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGにおける調査検討の結果について、それぞれ別添1(PDF:400KB)及び別添2(PDF:325KB)のとおり報告を受け、検討を行った。タミフルの服用と異常な行動及び突然死との関係についての当調査会の検討結果等は、下記のとおりである。

○ 本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGから非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査等の調査検討の結果について報告を受けた。

○ タミフルがインフルエンザに伴う異常行動のリスクを高めるかどうかについては、廣田班疫学調査の解析においては、重篤な異常行動(事故につながったりする可能性がある異常行動等)を起こした10代の患者に限定して解析すると、タミフル服用者と非服用者の間に統計的な有意差はなかった。なお、解析方法の妥当性に関して疫学及び統計学それぞれの専門家から異なる意見があり、データの収集、分析に関わるさまざまな調査の限界を踏まえると廣田班疫学調査の解析結果のみで、タミフルと異常な行動の因果関係に明確な結論を出すことは困難であると判断された。

○ 報告を受けた2つの疫学調査(岡部班疫学調査及び廣田班疫学調査)の解析により、タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴い発現する場合があることが、より明確となった。

当調査会は、このようなことや、平成19年3月以降の予防的な安全対策(注2)により、それ以後、タミフルの副作用報告において10代の転落・飛び降りによる死亡等の重篤な事例が報告されていないことからも、安全対策については一定の効果が認められる一方、これまでに得られた調査結果において10代の予防的な安全対策を変更する積極的な根拠が得られているという認識ではないため、現在の安全対策を継続することが適当と判断した。

○ 以上を踏まえ、タミフルについて現在講じられている措置(注2)は、現在も妥当であり、引き続き医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当であると同時に、他の抗インフルエンザウイルス薬についても、同様に異常行動等に関する注意喚起を継続することが適当であると考える。

なお、現在のタミフルの使用上の注意においても、10代のインフルエンザ患者のうち、合併症、既往歴等からインフルエンザ重症化リスクの高い患者に対し、タミフルを慎重に投与することを妨げるものではない趣旨であることが理解されるよう、国は平易に説明するよう努めるべきである。また、新型インフルエンザ対策において、リスク・ベネフィットを考慮して、どのような状況でタミフル等が使用されるべきかについては、関係学会及び専門委員会等において専門的な立場から助言等をお願いしたい。







(注2)平成19年3月20日の緊急安全性情報:

10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。

また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。

なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。







○ タミフルの服用と突然死との因果関係については、非臨床試験(動物実験等)、臨床試験(いわゆる夜間心電図試験)等の結果からみて、それを肯定する根拠は示されていないと考えられた。











【非臨床試験(動物実験等)の概要】

バインディング・アッセイの結果については、臨床用量投与時に推定されるタミフルの未変化体(OP)及び活性代謝物(OC)の脳中濃度では、トランスポーターの欠損や代謝阻害があったとしても、多くの中枢性の受容体やイオンチャネル系への影響を及ぼす可能性は低いとされた。

マウスのジャンピング行動の誘発に関する報告については、本剤による直接作用ではないこと、これら現象とOPの作用機序との関連性が不明確であること、また、投与量が高いことから、ヒトでの精神神経症状・異常行動との関連性について一定の判断をしうる知見とするには不十分であり、引き続き関連研究を注視すべきと考えられるとされた。

マウスへの腹腔内投与による体温低下の報告については、他の作用との関連は不明であるが、体温に関わる脳幹等への薬理作用が示唆され、引き続き関連研究を注視すべきと考えられるとされた。ただし、ウサギプルキンエ線維活動電位試験結果の再解析等からは、オセルタミビルが突然死に結びつくような循環器系への影響を有することを示唆する結果は得られなかった。

【臨床試験(いわゆる夜間心電図試験)の概要】

いわゆる夜間心電図試験において、タミフルの投与により心電図上問題となる影響は認められなかった。











○ 厚生労働省等は、引き続き、タミフルの服用と異常な行動等との因果関係についての情報収集に努め、必要な対応を行うべきである。

照会先:

医薬食品局安全対策課

電話番号:

03−5253−1111

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