照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課法規係(内線7836) |
第5回「変化する賃金・雇用制度の下における男女間賃金格差に関する研究会」議事要旨
日時:
平成21年3月10日(火)17:00〜19:00
場所:
経済産業省別館 1042号会議室(10階)
出席者:
・委員
今野座長、佐藤委員、中窪委員、永瀬委員、中田委員、永由委員
・オブザーバー
浅尾主席統括研究員、藤井統括研究員、馬研究員、高田研究員
(以上、独立行政法人労働政策研究・研修機構)
【議題】
1 開会
2 議事
○ 女性の活躍を推進する雇用管理制度・賃金制度に関する企業ヒアリング結果報告等について
3 閉会
【概要】
1 浅尾氏の説明(資料No.1)に対し、委員等より以下のコメントがあった。
● 各企業を、(i)女性比率、(ii)女性の勤続年数、(iii)女性の管理職比率の観点から以下の4つのパターンに分けて検討。
[1]:(i)高い、(ii)男性と同等、(iii)相対的に高い(総合学習支援業D社)
[2]:(i)相対的に高い、(ii)男性と同等に長い、(iii)低い(商社H社)
[3]:(i)相対的に高い、(ii)男性に比べ短い、(iii)低い(銀行I社)
[4]:(i)低い、(ii)男性と同等に長い、(iii)低い(メーカーA社)
○ 性別故に差が出てくる仕組には少なくとも制度的にはなっておらず、制度の有無や仕組の違いが4タイプを生み出す主要因であるようには思えない。
○ [2](商社H社)と[3](銀行I社)における女性の勤続年数の差はどのような理由によるものか。
・ 一般化はできないが、昔は銀行には結婚退職をする風土がかなりあったからではないか。
・ 商社には海外業務ではない準コア的な仕事があり、銀行にはそれがないからではないか。
・ H社については、かつての総合職の中の転勤のないコースについては下の職階にいる場合、賃金差が大きくつくということはあまりないが、結果的には転勤のあるコースの方が上位の職階になるということはある。
○ [1](総合学習支援業D社)と[2](商社H社)等との違いは何か。
・ 商社では、コア的な業務を遂行する上で要求されるキャリアや能力開発要件として、転勤や海外勤務が重要だということがあるのではないか。
・ D社は若いときから一人一人に仕事を任せ、社員同士が競争的であると考えられる。
・ 資格のような形で、転職する際にも活きて、内部労働市場でも評価されるような標準化された経験がより一般的になれば、日本の風土の中でもD社のような、転職での参入が可能な外部労働市場型の会社が他にも登場してくるのではないか。
○ [4](メーカーA社)について、女性の勤続年数が男性と同等で長めであり、女性の総合職も増えてきているが、将来的に、現在と同じように人材活用していけるか、女性の管理職比率をD社のように上げていけるか、が問題。D社型に持っていくには今後さらにどういう仕掛けが要るのか。
● 集計統計から予想される以上に、訪問した優良企業は女性正社員が少なく、また、上の職位には女性がおらず、下の職位にしか女性がいないという職階の配置になっていて驚いた。また、遅くまで働く働き方が多く見られ、家族を持つ年齢になると、業務職的な働き方を指向する方も出てくるのではないか。
● 本当の意味で男女間賃金格差を限りなくゼロに近づけるためには、今の制度の中で、今のままやっても限界があり、そこをどう乗り越えるか。B社は、経営トップが、本質的に女性の能力を使える職場を作っていかないと生き残れないと本気で思って、全社を挙げてダイバーシティという理念に基づいて女性の活用に取り組もうとしており、そこに答えを見出せる可能性がある。
● 自分の責任はここまでと割り切って帰ることのできない文化を変えないと、仕事の仕方は変わらず、トータルで見た場合に、男女の職種、仕事の仕方の違いが結果的に賃金に反映してくるのはどうしても残る。ダイバーシティよりもう少し深い何かが必要なのではないか。
● 男性社員は企業の生活しかない一方、女性社員は価値観や生きることの目的のバランスがよく、企業にコミットしきらないという選択をしている。男性の働き方が変わらないと、これからも女性の選択は変わらず、賃金格差も縮まっていかないのではないか。
2 藤井氏の説明(資料No.2)に対し、委員等より以下のコメントがあった。
● 男女間の賃金格差については、賃金の問題というよりは、仕事の配分の問題にあるのではないかという仮説に対する面白い結果だと思う。
● 2000年と比べて2006年の方が、同一職種内の男女間格差が有意となるものが若干増えているという点が重要。
● 同一職種であっても、仕事の分野の違いによって、格差が生じているということはあり得る。