厚生労働省

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第41回「食品の表示に関する共同会議」議事概要

1.委員の出欠

上谷委員、宇理須委員、丹委員、増田委員が欠席。

2.概要

<議題1について>

座長:委員の一部に異動があり、今回は、新委員がご出席になる最初の会議なので、新委員の紹介と座長代理の選出を行う必要がある。

事務局より新委員の紹介。

座長:続いて、座長代理の指名を行う。座長代理の指名は、資料1に規定されているが、初めて出席される委員がいるので、事務局から説明をお願いする。

事務局より資料1の説明

座長:開催要領第4の2に、座長代理は委員のうちから座長が指名するとあるので、春日委員に座長代理をお願いしたいと思うが、いかがか。

(委員からの異議なし)

座長:春日委員に座長代理をお願いする。

<議題2について>

座長:今後行う論点整理の前に、委員間で基本的なところで認識を一とする必要があることから、前回と今回をそのためにあてている。 内容として諸外国の原産国表示制度、地方での意見交換会の概要、地方公共団体から寄せられた意見書に大別されるので、それぞれについて事務局から説明をお願いする。

(諸外国の原産国表示制度について)

事務局より資料2及び3の説明

信太委員:質問がいくつかある。

先ず、資料2の「EUの食品表示規則案の概要」について、(1)資料2のIの1の(1)、(2)の内容はcodexと同じと考えて良いのだろうと思うが、今回の規則案で新しいのは、1の(3)と考えてよいかどうか。(2)Iの2の(2)の「原産地表示を義務化する利益やその経済的・社会的なコストなどの影響評価」の結果とは、具体的にどういう内容になっているのか。詳細を後ほどでも構わないので教えて欲しい。

次に、資料3の「韓国食品表示の概要」について、(3)韓国における原産地表示制度で、加工食品における原産地表示義務付けの目的、特に「法律上の目的」は何か。(4)加工食品の原料原産地表示の実施状況と、違反取締の状況を教えて欲しい。(5)資料3のIIの2の(3)の「国内製造の加工食品の原料原産地表示」について、確認だが、例えば、チョコレートやクッキー等のお菓子では、砂糖とか小麦粉等の中間加工品を国内で製造して、それを原料(配合比率が50%以上の場合)として2次加工して最終製品を作っている場合があると思うが、その場合の砂糖や小麦粉は「国内産」と表示する、と理解してよいかどうか。言い換えれば、砂糖や小麦粉の原料である粗糖や小麦の原産地の表示ではない、と理解してよいか。(6)資料3のIIの2の(3)の(1)にある「特定原料農産物」とは、特定の原料農産物を冠表示した場合ということで、国が何か「特定原料農産物」を指定している訳ではない、と理解してよいか。

事務局(窪田):(1)はそのとおり。(2)詳細には承知していないが、食品表示を導入するにあたっていくつかのテーマをピックアップしたが、その中の一つとして、原料原産地表示を行う場合の影響評価を行った。原料原産地表示を行う、行わない、部分的に行う、の3つのシナリオで、経済的、社会的コスト及びその利益について検討している。企業や消費者にアンケートをとるなどして、コストや利益を導き出しているようである。(3)主に農産物品質管理法に規定されているが、同法の目的は、品質の向上、消費者利益の保護。一部は食品衛生法の中でも義務付けられており、同法の目的は食品衛生である。(4)2006年の刑事告発件数は1868件。(5)チョコレートの例で言えば、砂糖がどこから来たか記載することが基本である。(6)何かが指定されているのではなく、製品の名称に特定の原材料を冠表示で使った場合、その農産物の原料原産地を書かなくてはいけないという内容。

神田委員:ポーランドの牛乳でデンマークでバターを作るという例があったが、このように原産国と主要な原材料の原産国と異なる場合は、消費者に誤認を与える場合となり義務表示なのか。

韓国の制度について、例外規定に混乱は無いか。原料原産地表示は、どういう風に生かされているか。消費者は表示を見て商品を選択しているか。 事務局(窪田):原産国と主要な原材料の原産地が異なるというだけでは、消費者に誤認を与える場合にはならない。あくまで任意で、ただし、表示する場合は原材料まで書かないといけないというもの。原産国を表示する場合のルール作りである。

韓国の制度では「輸入産」の表示に不満が高い。消費者は、特定の国の原料又は原材料かについて知りたいとのこと。見直す方向で検討したいと担当者は言っていた。

小笠原委員:EUの原料原産地表示の表示箇所及び文字の大きさの基準は。

事務局(窪田):表示箇所に何か決まりがあるのかどうかはわからない。基本は、文字の大きさは最低3mm(8ポイント)である。

澁谷委員:EUで任意表示と判断したのは、安全性と原料原産地表示を切り離すという判断によるのか。

韓国の制度は、制定されてから15年の間にどのような改定の歴史があるか。外食での原産地表示を求める基本的考え方は何か。

事務局(窪田):消費者は安全性を確保したいと求める意見が多かった。EUとしては、原産地表示は安全性を担保するものではないとした上で、表示を義務付けた場合の、利益、コスト等を総合的に判断したとのこと。韓国では、例外規定は制度導入当初から認めていた。導入後、大きな改正があったかは承知していないが、少なくとも対象品目の見直しは随時行っている。外食の原産地表示は限られた品目に義務付けられており、背景にはアメリカでのBSEの発生等、食の安全性に関わる問題が関係している。

宗林委員:韓国において外食の原料原産地表示はどのくらい実際されているのか。また、表示が正しいのかをどのようにチェックしているのか。

事務局(窪田):実施状況については、非常にサンプルが少なくて恐縮であるが、少なくとも私が調査の時に行ったレストランでは全てで表示は行われていた。農林部の品質管理院で監視活動を行っており、その部署には強制的調査権を持った人が数名配属されている。監視活動は、巡回してチェックし、必要であれば帳簿等を確認していると聞いた。また、一般の人の情報で捕まると報奨金を出すシステムもある。

信太委員:韓国における外食への表示の導入は、1994年からではなく、去年の6月から段階的に行っているということではないか。また、日本においては牛トレーサビリティ法で、焼き肉屋さんで個体識別番号を表示することとされていると思うが、その遵守状況はどうか。

事務局(窪田):外食への表示義務化について、段階的に行っているというのはそのとおり。牛トレはわからない。

宇野委員:EUにおいても消費者が安全性を判断するための手段として表示を求めていると感じた。EU圏内の国によっては原料原産地表示を義務化しているのか。韓国では可能性表示は規定されているか。

事務局(窪田):EU規則はEU全体の規則である。規則の上乗せ自体は、EU議会の承認を得ることができれば技術上は可能である。韓国では可能性表示は認めていない。使用していない国を書くのはミスリーディングになると考えているとのこと。そういう場合は「輸入産」と書く。

手島委員:EUは任意なので罰則は無いと思うが、韓国では罰則規定はあるか。

事務局(窪田):韓国では直罰規定があり、懲役7年以下又は1億ウォン以下の罰金となる。

(地方での意見交換会の概要について)

事務局より資料4について説明

座長:12月、1月の意見交換会をまとめたものが報告された。本件に関し、感想又は意見はあるか。

阿久澤委員:言葉では書けないその場の雰囲気を参加することによって感じられたことがよかった。また、地方では消費者、事業者、生産者が非常に近い関係にあり、お互いを理解しているように感じた。

小笠原委員:表示に気を遣うよりメーカーがいいものを作ってほしい、制度を頻繁に変えないでほしいという消費者の御意見が印象に残った。

信太委員:阿久澤委員のご報告と同様、食品製造業者等と消費者の関係が近いため、互いの事情がよくわかっているという印象であった。食品製造業者等からは、原料原産地の変動や併用等が具体的に説明され、表示が困難であること等が述べられ、消費者からは、メーカーのそういう事情もよくわかっているので無理は言いませんとの意見や、原料原産地表示よりも、むしろ「どう飼っているか、どう生産されているか」等の安全管理状況を知りたいという意見、消費者の中でも詳しい表示はいらないという意見と必要という意見に分かれるので、関心のある人が問い合せたりバーコード等で見られれば良いという意見、などがあった。また、事業者からは、本日の資料4の全国での「意見交換会の概要」には載っていないが、「中間加工」の定義が不明確なので、定義の明確化と周知の徹底をお願いしたい等の意見があった。

(地方公共団体から寄せられた意見書について)

事務局より資料5について説明

<議題3について>

宇野委員:いただいた意見や資料を見ると、全ての原料原産地表示をすべきという意見がある一方でわかりやすい表示を求める意見がある。食品の表示を情報としてどのように伝えるかなど現行の枠組みを超えた大きな話が出ている。表示の中でだけ考えて論点整理をしていくというよりは、中長期的視点で幅広く検討していく必要があるのでは。

座長:ただ今の発言について、事務局で検討課題に反映できるよう努めていただきたい。

続いて、事務局から今後の議論の取りまとめについて提案があるのでお願いしたい。

事務局(新井):7月の検討会においては、表示の方法、いわゆる大括り表示について方向性を取りまとめ、その上で対象品目について整理していくという課題設定をして、幅広く意見を聞いてきたところだが、本日の意見集約に見られるとおり、原料原産地の表示のしかたのみならず、消費者への情報提供、事業者から見れば情報開示のあり方、包装への表示の困難性、他の情報伝達ツール活用の必要性など総合的に検討すべきとの御意見が多く出された。また、商品を手にとって表示を確認することができない通販等の遠隔地販売も一般化しており、これらへの対応も必要ではないかと考えている。

第35回の会議で示した日程案では、3月末までに表示方法の方向性について取りまとめるとしていたが、委員のご了解を得ることができたら、これに限定したものではなく、今までの貴重な御意見をふまえ、消費者への情報提供のあり方について現在の販売方法や情報提供手段をふまえた対応の方向性について中間的な論点まとめをさせていただきたいと考えている。

小笠原委員:提案に賛成。消費者が求める表示には、生産したところから一貫した移動の履歴を記録するシステムを表示に反映させるような、幅広い観点からの整理がいいと思っていた。

信太委員:共同会議で3回にわたり行って頂いた事業者ヒアリングの内容や実行可能性等を十分踏まえて、かつ、第36回共同会議の資料における「学識経験者」の意見も十分踏まえて検討して頂きたい

神田委員:広い観点は大事だと思う。また、原料原産地表示で安全性を判断するのは誤りというのはそのとおりで、今後何かのために原料原産地表示をするのかを明確にしないといけない。つまり、知る権利の範囲と義務表示の範囲をきちんと整理する必要がある。大きな議論をする中で、原料原産地表示の目的や、どういうことを読み取るべきか、共通認識をもてるような提案をまとめる必要がある。

宗林委員:原料原産地表示の論点が出てきた。直接的には安全性につながる情報ではないが、これが安全性の判断にどのようにつながっていくのか、消費者の不安(安全かどうか)の払拭にどう役に立つかという点を評価基準としていくべき。

3.今後の予定

事務局(筬島):次回の共同会議は、当初予定していた2月下旬ではなく、3月に入っての開催を予定している。委員の皆様と日程調整をさせていただき、決まり次第連絡するのでよろしくお願いしたい。

座長:それでは、これをもって閉会としたい。

以上


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