厚生労働省

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資料5

障害者に対する就労支援の推進

〜平成21年度 障害者雇用施策関係予算概算要求のポイント〜

  平成20年8月
 
厚生労働省
職業安定局障害者雇用対策課
職業能力開発局能力開発課
施策の概要

障害者雇用に関する状況をみると、平成19年度におけるハローワークの新規求職申込件数や就職件数が過去最高となるなど、障害者の就労意欲の一層の高まりがみられる。

現在、障害者自立支援法の下、障害者がその能力や適性に応じて自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう支援が進められ、特別支援教育により、障害のある生徒等の自立や社会参加に向けた主体的な取組への支援も実施されており、福祉、教育の分野におけるこうした動向を踏まえ、障害者の希望や能力に応じて雇用の場を提供していく必要性が高まっている。

こうした中、政府としては、「経済財政改革の基本方針2008」(平成20年6月27日閣議決定)において「『新雇用戦略』の推進」の一環として、「『福祉から雇用へ』推進5か年計画」(平成19年12月26日策定)に基づき、その就労による自立を図ることとしており、中小企業における障害者雇用の促進等を内容とした障害者雇用促進法の改正法案を国会に提出するなど、障害者雇用に係る取組の充実を図っているところである。

平成21年度においては、上記の状況を踏まえつつ、

(1) 中小企業における障害者雇用促進のための重点的な支援

(2) 雇用、福祉、教育等の連携による地域の就労支援力の強化

(3) 障害特性に応じた支援策の充実・強化

(4) 障害者に対する職業能力開発支援の充実

を主要な柱に掲げ、障害者に対する就労支援の充実を図ることとする。

平成21年度要求額 20,465(16,780)百万円

※括弧書きは前年度予算額

I 中小企業における障害者雇用促進のための重点的な支援


1 障害者雇用ファースト・ステップ奨励金(仮称)の創設(新規)

[要求額  255( 0)百万円]

障害者雇用の経験のない中小企業が初めて障害者を雇用した場合に奨励金を支給することにより、中小企業における障害者雇用の促進を図り、さらには障害者雇用の裾野が広がることを目的とした「障害者雇用ファースト・ステップ奨励金(仮称)」を創設する。 


2 事業協同組合等障害者雇用促進助成金(仮称)の創設(新規)

[要求額  15( 0)百万円]

単独では障害者を雇用するだけの十分な仕事量を確保することが困難な場合が多い中小企業における障害者雇用を促進する観点から、複数の中小企業が事業協同組合等を活用して共同で障害者雇用を図る場合に、そのための取組に要した経費に対する助成を行う。


3 中小企業における障害者雇用推進事業の実施(新規)

[要求額   268( 0)百万円]

中小企業による障害者雇用の促進を図るため、中小企業事業主団体を通じて、事業 協同組合等の活用も含めた障害者雇用に関して、中小企業事業主に対する相談や具体 的なノウハウの提供等を全国的に推進する。


4 特定求職者雇用開発助成金の中小企業事業主に対する助成の拡充

[制度拡充要求]

中小企業における障害者雇用の促進、安定を図るため、特定求職者雇用開発助成金について、中小企業に対する助成の拡充を図る。

 

│(1) 身体・知的障害者  60万円→ 90万円(助成期間 1年 →1年6月)

 

│(2) 重度身体・知的障害者 120万円→160万円(助成期間 1年6月→2年 )

 

│(3) (1)(2)のうち短時間労働者 40万円→ 60万円(助成期間 1年 →1年6月)

 
 

II 雇用、福祉、教育等の連携による地域の就労支援力の強化


1 ハローワークを中心とした地域の関係機関との連携による「チーム支援」の推進

[要求額   674( 674)百万円]

ハローワークが中心となって、地域の福祉施設、特別支援学校等の関係機関と連携した「障害者就労支援チーム」を編成し、就職から職場定着まで一貫した支援を行う「チーム支援」を推進するとともに、「就職ガイダンス」等の実施により、ハローワークのマッチング機能の向上を図る。


2 雇用と福祉の連携による地域に密着した就労支援の実施

[要求額 3,776(2,509)百万円]

障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な相談・支援を行う「障害者就業・生活支援センター」について、全障害保健福祉圏域への設置に向け、設置箇所数の拡充等を図る。

(設置箇所数 205センター → 285センター)


3 障害者試行雇用事業の推進

[要求額 1,072(1,072)百万円]

事業主に障害者雇用のきっかけを提供するとともに、障害者に実践的な能力を取得させて常用雇用へ移行するため、短期間の試行雇用(トライアル雇用)を実施する。

(対象者数 9,500人)


4 地域における就労支援に係る助言、援助等の実施(新規)

[要求額   265( 0)百万円]

地域障害者職業センターにおいて、就労支援機関に対する助言・援助や就労支援を担う専門的な人材の育成等、地域における就労支援機能を強化するための体制整備を図る。

III 障害特性に応じた支援策の充実・強化


1 精神障害者の特性に応じた支援策の充実・強化

[要求額   478( 290)百万円]

精神障害者の障害特性を踏まえ、一定程度の期間をかけて段階的に就業時間を延長しながら常用雇用を目指す[精神障害者ステップアップ雇用奨励金」の活用を促進するとともに、「精神障害者就職サポーター」を配置し、ハローワークにおける精神障害者のカウンセリング機能の充実・強化を図る。


2 精神障害者の雇用促進のためのモデル事業の実施(新規)

[要求額   200( 0)百万円]

精神障害者雇用の意欲はあるもののそのノウハウが十分でない企業において、精神障害者の雇用を促進するため、精神障害者の障害特性に応じた職域開拓や支援体制の整備等に取り組むことにより、精神障害者の雇用及び職場定着のノウハウを構築するためのモデル事業を実施する。


3 医療機関等との連携による精神障害者の就労支援の推進

[要求額    42( 45)百万円]

医療機関等を利用している精神障害者を対象に、就職活動のノウハウ等を付与するジョブガイダンスを実施し、医療から雇用への移行を促進する。


4 うつ病等精神障害者の職場復帰のための総合支援事業(個別実践型リワークプログラム)の実施

[要求額   411( 0)百万円]

精神障害者の職場復帰ニーズに対応するため、地域障害者職業センターにおける支援体制を強化し、うつ病等休職者の職場復帰支援の抜本的拡充を図る。

(支援対象者数 710人 → 1,420人)


5 発達障害者の特性に応じた支援策の充実・強化

[要求額   208( 97)百万円]

(1)若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムの推進

[要求額   140( 85)百万円]

ハローワークにおいて、発達障害等の要因によりコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者について、ニーズや特性に応じた専門支援機関に誘導する等、きめ細かな就職支援を実施する。また、発達障害者向けの就労支援テクノロジー機器を配備する等、発達障害者に対する就労支援のための環境整備を図る。

(2)発達障害者の就労支援者育成事業の推進[要求額    10( 12)百万円]

発達障害者支援センターにおいて、医療、保健、福祉、教育等関係機関の発達障害者支援関係者に対する就労支援ノウハウの付与のための講習等を実施するとともに、発達障害者と支援者による体験交流会を開催する。

(3)発達障害者の雇用促進のためのモデル事業の創設(新規)

[要求額    59( 0)百万円]

発達障害者を雇用し、適切な雇用管理等を行った事業主に対する助成を行うことにより、発達障害者の就労を支援するとともに、その雇用管理上の課題等の把握を行う。


6 難病のある人の雇用促進のためのモデル事業の創設(新規)

[要求額    59( 0)百万円]

難病のある人を雇用し、適切な雇用管理等を行った事業主に対する助成を行うことにより、難病のある人の就労を支援するとともに、その雇用管理上の課題等の把握を行う。

IV 障害者に対する職業能力開発支援の充実


1 民間を活用した機動的かつ実践的な職業訓練の推進

[要求額 2,139(1,800)百万円]

企業、社会福祉法人等の多様な委託先を活用し、様々な障害の態様やニーズを踏まえた訓練機会の充実を図るとともに、特別支援学校と連携したより早い段階からの職業能力開発機会を拡充し、一般就労に向けた切れ目のない支援を実施する。

また、在職障害者を対象として、職場定着や職種転換に伴い必要となる職業訓練を実施する。

(対象者数 8,150人 → 9,550人)


2 政令指定都市における職業能力開発推進基盤の強化

[要求額   219( 217)百万円]

教育・福祉の実施主体である政令指定都市において、特別支援学校の生徒及び就労移行支援事業の利用者等の態様やニーズを踏まえた職業訓練を推進する「障害者職業能力開発プロモート事業」を実施する。

(実施箇所数 17か所)


3 一般校を含めた公共職業能力開発施設における障害者職業訓練の推進

[要求額 4,035(4,023)百万円]

障害者職業能力開発校において、「職業訓練上特別な支援を要する障害者」に重点を置いた支援を実施するとともに、一般の職業能力開発校において知的障害者等を対象とした訓練コースの設置を促進し、身近な地域での職業訓練機会を拡充する。


4 発達障害者に対する職業訓練の推進

[要求額   179( 106)百万円]

一般の職業能力開発校における発達障害者対象の職業訓練コースを拡充する。

(実施箇所数 6か所 → 10か所)


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