第35回「食品の表示に関する共同会議」議事概要
1.委員の出欠
岸座長代理、坪野委員が欠席。
2.概要
<議題1について>
事務局より資料1について説明。
信太委員:「単一原料米」の場合、並びに「複数原料米」の「○割」表示の場合において、意図せざる混入の誤差、アローアンスをどう考えるのか。また、引き続き%表示をしたいという場合の扱いは、どうなるのかを確認したい。
事務局(筬島):表示の面で具体的なアローアンスを設定するということではない。考え方については、改正の際のQ&Aでお示ししたい。%表示については、一括表示外の任意の表示の部分では記載できる。
宇野委員:単一原料米と複数原料米で印刷の関係から同じ様式で印刷することも認めてほしい。また、移行期間を十分にとり、制度改正の周知徹底を行うとともに、施行の時期を考慮ねがいたい。
事務局(筬島):様式については、考え方をQ&Aで整理したい。移行期間については、事業者から意見を聞いて必要な期間を設定したい。その際は、施行日から移行期間中は、2種類の表示が存在することになる。また、改正した際は、制度改正について周知していきたい。
阿久澤委員:今回の改正と逆行するかもしれないが、小数点での表示をどのように考えるのか。
事務局(筬島):細かいブレンド比率で混合しているものはあまり事例がないが、考え方については、Q&Aで整理したい。
増田委員:消費者はだまされる、事業者はなんとかだまそうとするという傾向が続いている。最近の米は、食味が変わらなくなってきているのにかかわらず、消費者は、ブランド指向が高く、例えば、コシヒカリ等の割合が高ければおいしいと考えられているのではないか。%表示から割にすると、ブランドでない米を19%混ぜておいて、ブランド米が9割、そうではない米が1割と表示するといったように、事業者にとって都合のよい表示となり、だましだまされるのを助長することになるのではと心配になる。
事務局(新井):今までの%表示が必ずしも正確ではないのではというのが改正の発端となっている。大規模流通される中で農産物検査の段階において、既に意図せざる混入があるとされており、現行の%表示において、正確に一桁まで表示することが、消費者への情報提供の観点から正確でない場合がある。割で表示したときにどこまで誤差を認めるかといったことは、食品の制度と表示の監視の両面から適切に管理していくように考えており、この改正をもって緩和をするものではない。
上谷委員:%表示を割に変更するということであるが、ブレンドの表示や、輸入品の表示についての考え方は、現行どおりということでよいか。
事務局(筬島):今回の改正は、%表示を割に変更するのみの改正であり、その他の部分については、現行どおりである。
座長:改正案については、原案通り承認し、共同会議として、農林水産省農林物資規格調査会総会に「改正案のように進めていただくことが望ましい」と報告させていただく。
<議題2について>
事務局より資料2について説明。
小笠原委員:議論の発端になったのは、中国製の冷凍餃子の問題と考えられるが、これは産地表示の問題ではなく、意図的な毒物の混入、いわゆる食品テロであるという点を踏まえ議論すべき。
限られた表示スペースの中に、何を優先して表示すべきかという、幅広い観点から議論すべき。
丹委員:生協での取組を紹介したい。中国での冷凍餃子の事案については、みなさまにお詫びしないといけない。餃子事案以降、生協への問い合わせは、原料原産地や工場の場所についてのものが多く、昨年と比べても何十%増となっており、いろいろな理由から消費者の関心が高まってきている。現在は、データベースで調べ、電話で回答を行っている。生協で扱っている商品について調べてみたが、産地を限定している商品もあるが、限定しない商品の方が多く、加工して同等のものができれば、原材料の産地はどれを使用してもよいとしており、原材料の産地について報告を求めていない。こうした原材料について表示をすることはなかなか難しい。
また、東京都条例についても、対応しないといけないが、1商品中に、産地を限定している原材料と産地を限定していない原材料が混ざっており、包材に記載することについては、消費者に誤認をますます与えることになると考え、ホームページで公表して行っていくこととしている。産地については、変更があるため、変更があったら報告を頂き、月に1回更新することで対応していこうと考えている。変更したところで報告してもらうが、全ての業者で100%実行することはなかなか難しいと考えている。
消費者の関心も細かいところまで及んでおり、包材の表示だけではその関心を満たすのは、難しい状況にあるが、ホームページを見てくださいと組合員に説明することも難しい。
原料原産地表示について、今後、議論していくことについては賛成である。
神田委員:今後、原料原産地表示をどのようにしていくか。なぜ、産地を表示してほしいのかを考えていかないといけない。
どこの産地のものでも安全性が担保されていないといけないし、品質がきちんと管理されていないといけない。国の表示をすることによって、品質の管理がされていると勘違いされてもいけない。産地の情報よりもむしろ品質の管理の情報を知りたい。
外国産との大括りは良くない。慎重に議論した方が良いと考える。
増田委員:外国産と国産の違いは、目安になることには違いない。中国産の冷凍ものは避けたいと考えている。外国と国産というより、原産国表示を続けてほしい。
だます、だまされるが続いており、企業のコンプライアンスという言葉が死語になっている。産業界からもっとアピールしていくべき。冷凍枝豆を安全に管理し輸入していることを説明した広告を新聞で見たことがある。広告する際に、単に、おいしい、安いだけでなく、作り方の決意表明のような、安全・安心情報が欲しい。
ホームページまできっちり確認できる消費者はなかなかいない。消費者への情報提供は、表示でなるべくやってほしい。
座長:ホームページも中小企業等については、対応できる業者とできない業者がいるのではと考えられる。
宇野委員:生産者の立場としては、安全・安心なものを届けたい。国内製造のものは、20食品群のものしか原料原産地表示の義務はないが、自給率向上、地産地消の観点からも、大括りの表示を認めることにより、国産という表示を届けられるようになることは良いことと考えている。
国産ということを表示の中で前向きにやっていく議論をしていただきたい。
阿久澤委員:現在、限られた表示スペースの中で、何を使って、誰が作ったか、いつまで食べられるか等が記載されている。
食品科学の分野からすると、どんな原産地の材料を使ってもおいしく安全に食べられるようにすることが必要であると考えている。
生産者の顔が見えることは消費者が求める情報であり、誰が何処で作ったかがわかる等が大事と考えている。大企業からの委託生産などをする中小企業だと、何処で作ったかが表示上見えてこない場合がある。作る側とすれば、おいしく安全を自負した製品を作った工場の名前まで表示されることはありがたいと思うし、消費者も知りたい情報と思っている。
信太委員:今回の検討の趣旨は、先程、事務局から説明があったが、これまで長い時間をかけた共同会議での議論や18年4月の報告書の品目横断的ルール等の結論を十分に踏まえた上で、報告書で残された課題について方向性を検討するということだと理解する。そこで、要望だが、一つは、実行可能性について食品製造事業者の意見を幅広く聞いてほしいこと、二つは、現行の20食品群の義務付けからほぼ2年が経つため義務付けたことの評価を行っていただきたいと思う。
また、「外国産」等の大括り表示は、食品製造業界としても、消費者の関心に応えるものとなるのかどうか、懸念がある。現時点で言えば、中国隠しと受け取られ、却って混乱を招く恐れがある。
食品製造事業者としては、これまでも自主的にホームページ、消費者相談窓口、包材への表示等により、原料原産地情報の提供に取り組んできている。特に、3月の原料原産地表示の推奨通知を踏まえ、自主的な取組を強化している企業や、ガイドラインの策定を検討している団体もある。「国名の表示から大括り表示へ」表示方法が変更されるとすれば、こうした事業者の自主的な取組に水を差す恐れがある。
丹委員:大括りの表示は、国産の方がいいと優良誤認を与えることになるのではとも考えられる。国産のものに加工適性がなく、外国産に頼っているものもあり、そういった実態についても調べてほしい。また、中間加工品の問題では、例えば、生協では、ノルウェーのさばを中国で半加工し、国内で最終加工したものについて、全ての経由地を表示しているが、訳がわからないというご指摘を受けている。現在業者が行っている事例とそれに対する消費者の反応について、調べて紹介してほしい。
また、消費者に直接聞くということについては、企業のお客様相談室への声も生の声が寄せられていると考えられるため、そういったものも活用してはどうか。
上谷委員:今日の共同会議は、消費者の声がたくさん聞かれる会議となっている。不祥事があってから、消費者も勉強をしてきている。表示の欄が小さく見にくいものもあるが、アレルギーの表示を義務付けたことについてはよくなった。
加工食品の原材料は、外国からのものが多く、フードマイレージが高いものを食べている。国産のものを食することは少ない。
子供達には、実行可能は範囲で、見える範囲の周囲のものを食べさせていきたい。自分たちの国のものを自分たちで食べることが重要であり、外国産との大括りではなく、国名を書いて、食教育をしていきたい。
板倉委員:消費者にアンケートを行うということであるが、賞味期限と品質保持期限についてアンケートを行い、賞味期限に統一をした経緯があるが、現在、大学で教えていて、消味期限と書く学生がいる現状をみると、表示の意味が伝わっていない。原料原産地表示についてアンケートをする際には、消費者がどういう理由で産地の情報が知りたいのかきちんと抽出すべき。いろいろな消費者がいるが賞味期限しか表示を見ていない消費者もいる。詳細な表示には、費用がかかり、最終的には価格に反映することも伝えた上で、消費者が何のためにどこまで原料原産地表示を求めるのかを把握すべき。
表示方法については、国名まで表示してあることに意義があり、大括りの表示は国産信仰をのばすだけであり、現行を崩さない方がよいと考える。
小笠原委員:東京都の条例についてだが、厚生労働省や農林水産省の表示の基準があるなかで、地方自治体で行うことについて疑問がある。国のルールと地方自治体のルールが並存すると、どちらのルールが正しいのか疑念を抱く原因となる。地方分権の検討もされているが、十分検討していただきたい。
事務局(新井):歴史的にみて、国に先駆けて消費者条例等の中で自治事務で表示の規則を定めてきたこともあり、情報提供の観点から自治体の取り組みは有意義と考えている。一つの都道府県のみで行う際もJAS法等と矛盾が無いように整合性をとっていただくこととしている。また、東京都条例については、関係団体からの要望も聞いた上で案が作成されていると聞いている。
座長:このような議論を、次回以降も進めていきたい。
事務局より資料3、4について説明。
座長:個別事情があるかとは思うが、長いところルールについてはその徹底を図ってほしい。
阿久澤委員:食品衛生法の中で牛乳、乳製品については特別に基準があるが、消費者庁ができる機会に、品質についてはJASで、衛生管理については食品衛生法で行うという整理は行わないのか。
事務局(西嶋):現行の法体制を変更せずに、表示制度を消費者庁に移管する案となっており、現在のところ、議論の対象とはなっていない。
長野委員:食品衛生法の関係で、都道府県の自治事務は今までどおりなのか、その辺を詳しく教えてほしい。
事務局(西嶋):現行と大きく変わらない案となっている。現在の厚生労働省の役割を消費者庁が行うという考え方となる。今後は、表示については、消費者庁と都道府県が直接やりとりを行うイメージとなる。
信太委員:消費者庁ができたことにより、いたずらに規制強化とならないように注意していただきたい。JASについては、農林水産省に同意を得ることとなっており、同意権限を有効に活用していただきたい。
神田委員:農林水産省に同意を得るとか、農林水産省の表示・規格課がどうなるかとか、関係がわかりづらい。
また、うなぎについては、同じような問題が繰り返されている。関係者に通知を出してはいるが、受けた側が周知徹底を行っているのかも把握することは大事ではないか。
事務局(新井):JAS法、食品衛生法に限らず、約30の法律が移管されることとなっている。仕事の割り振りについては、公務員の定員増はしないという考え方のもと、今、どういう体制にしていくか検討しているところ。
うなぎについては、原料のうなぎの国産は約2割くらいである。いわゆる里帰りうなぎといわれているものについては、業界団体が自主的に、1回外国に持って行ったものについては、外国産として表示し販売していくとのこと。また、外国産のものについても、品質や安全性をアピールしていくと聞いている。土用の丑の日までいろいろあったが、アウトサイダーが多い業界ではあるが、業界全体で見直しをしていくこととしている。
小笠原委員:うなぎの通知について説明したい。発出文書先にチェーンストア協会もあるが、6月18日付けの文書については、6月18日に文書を頂き、その日中に会員企業に文書を回付している。
上谷委員:健康増進法については、どの部分が移管されるのか。
また、うなぎの餌は国産なのか。
事務局(西嶋):具体的には、特別用途食品の審査・許可の部分である。
事務局(筬島):うなぎの餌の産地については、今後、調べてご説明したい。
座長:本日はこれで閉会としたい。
3.今後の予定
次回、第36回食品の表示に関する共同会議は、委員と日程を調整の上、資料2のスケジュールにあるように秋に開催する予定。
以上