厚生労働省


第10回ILO懇談会議事要旨

1.日時:平成20年4月15日(火) 15:30〜17:45

2.場所:厚生労働省共用第9会議室(18階)

3.出席者:(敬称略)

(1)労働者側

日本労働組合総連合会国際代表 中嶋   滋
日本労働組合総連合会総合労働局長長谷川裕子
日本労働組合総連合会総合国際局長生澤 千裕

(2)使用者側

日本経団連国際協力センター参与 鈴木 俊男
日本経済団体連合会労政第二本部長 松井 博志
日本経済団体連合会国際第二本部長 讃井 暢子

(3)政府側

厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当) 松井 一實
厚生労働省大臣官房国際課長 南野  肇
厚生労働省大臣官房国際課国際企画室長 勝田 智明

4.議題

(1)第301回ILO理事会の報告

(2)未批准条約について

・第47号条約について

・第105号条約について

・第111号条約について

・第158号条約について

5.議事要旨

(1)議題1 第301回ILO理事会の報告

松井総括審議官からの挨拶、南野課長からの出席者紹介に引き続き、政府側より資料1に基づき第301回ILO理事会の概要説明がなされた。

【発言概要】

(労働者側)

1) 2010年の総会議題「家事労働のためのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」について

「家事労働者」が基準設定議題として取り上げられることを歓迎する。家事労働に携わる人はアジアの人々や女性が圧倒的に多く、また家事労働に対する認識が遅れており、二重、三重の問題がある。国際労働基準を設定する場合、制度と実態をよく整理し、対象範囲の考え方についてよく検討することが重要である。

2) PFA(計画財政管理)委員会について

ネットプレミアム、剰余金の取扱いについて、強硬姿勢をとる国々と歩調を合わせず、建設的な対応を行った日本政府の対応は、労働者側として評価している。

3) IOAC(独立監査諮問委員会)について

使用者側推薦のスイス人、労働者側推薦のフィンランド人、政府側推薦のフィリピン人、マラウィ人、アルゼンチン人が選ばれ、地域バランスにも配慮されたものとなった。

4) FSR(地域機構見直し)について

本件は、ICT(情報通信技術)小委員会と深くリンクしている。地域事務所において、IRIS(新たなITシステム)の導入がすすまず、ほとんど機能していない実態がある。ILOの次のIT戦略をどうするかについて本格的な議論が11月の理事会に始まるので、日本の政労使理事間でも意見交換が必要だと感じている。

(使用者側)

1) ミャンマー案件について

ミャンマー問題については、昨夏に着任したリエゾン・オフィサーが、セミナーを開催するなどの進展がある。

2) 2010年の総会議題「家事労働のためのディーセント・ワーク」について

議論の対象を明確にするため、日本における家事労働者の人数、労働基準法の適用との関係、介護労働との関係等について考える必要がある。

(政府側)

1) 2010年の総会議題「家事労働のためのディーセント・ワーク」について

家事労働の捉え方については労使それぞれにおいても整理していただきたい。また、今後ILOの事務局から本議題に係る質問票が送付される見込みだが、既存の統計を活用しつつ、家事労働者の実態把握に努めていきたい。

(2)議題2 未批准条約について

政府側より、資料2−1〜2−4に基づき、第47号条約、第105号条約、第111号条約、第158号条約について説明がなされた後、意見交換が行われた。

1)第47号条約について

[労]

日本は労働時間関連の条約を一つも批准していない。深刻な長時間労働の実態が一向に改善されていない現実の中、ワーク・ライフ・バランス推進の観点からも批准が欠かせない。

[政]

政府としては、着実な労働時間短縮を進める努力を行っているところ。

[使]

47号条約だけでなく、労働時間に関する他の条約も考慮する必要がある。

2)第105号条約について

[労]

本条約の批准に向け国家公務員法等を見直していくべき。ディーセント・ワークを目指す上で批准は必須であるので、批准に向けて省庁間の協議をしていただきたい。

[使]

105号、111号を批准していないことにより、国際的に不利な状況に置かれている。

3)第111条約について

[労]

本条約の批准は人権擁護法案が成立しなければ実現しないのか。

[政]

人権擁護法案が条約の批准に向けた前進となると考えているが、国内法制度と条約の整合性についての検討が必要。

4)第158号条約について

[労]

条約の規定にあるように、解雇にあたって労働者に弁明の機会を与えることにより、使用者がもう一度考え直す機会になると考える。

[使]

弁明の機会を与えるより、まずは、むやみな解雇出来ないということを周知していくことが重要。

−了−

照会先:
厚生労働省大臣官房国際課
国際労働機関第二係
03-5253-1111(7310)
03-3595-2402


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