厚生労働省

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連絡先

厚生労働省医政局研究開発振興課

担当 佐藤・梅垣(内線2545)

電話 03-5253-1111(代表)

03-3595-2430(直通)

平成20年2月18日

厚生科学審議会科学技術部会
第4回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会
議事概要

1.日時

平成20年2月18日(月) 17:00〜19:00

場所

中央合同庁舎5号館2階 共用第6会議室

2.出席委員

永井委員長
青木委員 位田委員 掛江委員 貴志委員 木下委員
島崎委員 高橋委員 戸口田委員 中畑委員 中村委員
前川委員 松山委員 水澤委員 湊口委員 山口委員

(事務局)

厚生労働省 医政局研究開発振興課

3. 議事概要

第42回厚生科学審議会科学技術部会に付議されたヒト幹細胞臨床研究実施計画のうち、継続審議となっていた信州大学医学部附属病院からの計2件の申請に加え、平成20年2月14日付で新たに付議された慶應義塾大学の申請についての審議も行われ、合計3件の申請について審議された。

その結果、3件の申請すべてに関して、次回審査委員会以降も継続して審議していくこととされた。

なお、継続審議となっていた帝京大学医学部、奈良県立医科大学からの申請に関しては、前回審査委員会の審議結果の通知後、いずれも一旦申請取り下げとなったことも報告された。

(審議された臨床研究実施計画の概要は別紙1〜3参照。)


(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成20年2月18日審議分

研究課題名 若年者における有痛性関節内軟骨障害に対するI型コラゲンを担体としたヒト培養自己骨髄間葉系細胞移植による軟骨再生研究
申請受理年月日 平成19年10月1日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:信州大学医学部付属病院

研究責任者:加藤 博之

対象疾患 若年者の肘、膝、足関節に発症した有痛性離断性骨軟骨炎・若年者の膝蓋骨骨軟骨障害
ヒト幹細胞の種類 (自己)骨髄間葉系幹細胞
実施期間及び
対象症例数
3年間、年齢13歳以上の10症例
治療研究の概要 治療困難であり、自然修復が期待できない重症化した上記軟骨疾患(特に若年者)を対象とし、患者の骨髄液から採取した骨髄間葉系幹細胞を増幅した後、担体であるコラーゲン(アテロコラーゲン・ペルナック)に包埋させる。採取より数週間後、軟骨欠損部に外科的に移植して表面を骨膜でパッチすることで、軟骨欠損部および軟骨下骨の早期修復を図る。
その他(外国での状況等) 軟骨損傷に対する治療は従来、骨髄刺激法、モザイクプラスティー、自己培養軟骨細胞移植などが行われているが、骨髄間葉系幹細胞移植に関しては、1994年Wakitaniらによりウサギ膝関節軟骨欠損に対してMSC移植後、硝子軟骨様組織が形成されることが示されたのを期に、2002年ヒト膝蓋骨軟骨損傷への臨床応用例が初めて報告された。それ以降、下肢関節軟骨を中心とした国内での臨床応用が、少数例ではあるが報告されている。
新規性について これまで、骨髄間葉系幹細胞による軟骨再生の臨床研究は国内では産業技術総合研究所を中心に行われてきたが、今研究は申請者である信州大学医学部付属病院として初めて行われる研究であり、また上肢の骨軟骨損傷に対する同様の治療報告はなく、新規性を認める。

(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要  平成20年2月18日審議分

研究課題名 青壮年者の四肢良性骨腫瘍および骨腫瘍類似疾患掻爬後の骨欠損に対するβ-リン酸三カルシウムを担体としたヒト培養自己骨髄間葉系細胞移植による骨欠損修復研究
申請年月日 平成19年10月1日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:信州大学医学部付属病院

研究責任者:加藤 博之

対象疾患 内軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、骨巨細胞腫、単純性骨嚢腫、動脈瘤様骨嚢腫、骨内ガングリオン、非骨化性線維腫、線維性骨異形成症
ヒト幹細胞の種類 (自己)骨髄間葉系幹細胞
実施期間及び
対象症例数
3年間、年齢16歳以上の10症例
治療研究の概要 若年者に多い良性骨腫瘍の摘出後生じる骨欠損で、骨折を生じる危険性が高い症例に対して、あらかじめ自己骨髄液から採取して、培養して得た骨髄間葉系幹細胞を付着させた人工骨を骨欠損部に充填することで早期の良好な骨形成を図る。
その他(外国での状況等) 骨髄から採取した骨形成前駆細胞を培養して増幅し、人工骨(ハイドロキシアパタイト)に播種させ、骨欠損部に移植した例は2001年Quartoら(伊・露)が3例報告した。国内でも同じく2001年Ohgushiが骨髄間葉系細胞を培養・増殖し骨形成細胞に分化させ、HAやβ-TCP等の表面に播種して移植した臨床例での報告を行っており、歯科領域でも2006年Yamadaらの報告がある。奈良医科大学、大阪大学でも臨床使用例が報告されている。
新規性について 培養骨髄間葉系幹細胞と人工骨を組み合わせて作成した再生培養骨に関しては、すでに産業技術総合研究所、奈良医大、大阪大などで臨床応用例の報告があるが、信州大学医学部付属病院での臨床研究は今回が初めてであり、新規性・審議の必要性を認める。

(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成20年2月18日審議分

研究課題名 角膜上皮幹細胞不全症に対する培養上皮細胞シート移植
申請受理年月日 平成20年1月16日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:慶應義塾大学医学部

研究責任者:坪田 一男

対象疾患 スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、角膜化学傷/熱傷、膠様滴状角膜変性症、先天性無虹彩症
ヒト幹細胞の種類 角膜上皮幹細胞
実施期間及び
対象症例数

厚生労働大臣の意見発出から2年間

5例

治療研究の概要 自己健眼の角膜輪部上皮細胞、又は同種角膜輪部上皮細胞(海外ドナー由来)を採取。同種骨髄間葉系幹細胞をフィーダー細胞として、フィブリン上で培養し、シート化したものを移植する。
その他(外国での状況等) 生体外の培養環境で作成した培養角膜上皮シートによる眼表面再建術としては、現在羊膜を用いた培養角膜上皮幹細胞シートの臨床利用例が報告されている。またその後、国内グループにより培養口腔粘膜上皮シート、羊膜を用いない温度応答性ポリマーシートも開発され、臨床研究がなされている。
新規性について 本研究は角膜上皮シート移植としては、フィーダーとして異種細胞である3T3細胞を用いない点、羊膜を用いない点で新規性が認められる。

(参考)

厚生科学審議会科学技術部会
ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿

  氏名 所属・役職
  青木   清 上智大学名誉教授
  阿部  信二 日本医科大学呼吸器感染腫瘍内科部門講師
  位田  隆一 京都大学公共政策大学院教授
  掛江  直子 国立成育医療センター研究所成育保健政策科学研究室長
  春日井  昇平 東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学教授
  貴志  和生 慶應義塾大学医学部形成外科准教授
  木下   茂 京都府立医科大学眼科学教室教授
  高坂  新一 国立精神・神経センター神経研究所長
  小島   至 群馬大学生体調節研究所所長
  島崎  修次 杏林大学救急医学教室教授
  高橋  政代 理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チームチームリーダー
  戸口田  淳也 京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野教授
永井  良三 東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
  中畑  龍俊 京都大学大学院医学研究科発達小児科学教授
  中村  耕三 東京大学大学院医学系研究科整形外科学教授
  西川  伸一 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 副センター長
  前川   平 京都大学医学部付属病院輸血部教授
  松山  晃文 大阪大学医学部附属病院未来医療センター准教授
  水澤  英洋 東京医科歯科大学大学院脳神経病態学教授
  湊口  信也 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学・呼吸病学教授
  山口  照英 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長
 

(○は委員長)

敬称略 50音順


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