今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会
報告書

平成18年4月28日

 はじめに(研究会設置の趣旨、報告書の位置付け)

 児童虐待相談件数の急増等により、緊急かつより高度な専門的対応が求められる一方で、育児不安等を背景に、身近な子育て相談ニ−ズも増大している。このような状況の中で、平成17年4月から施行されている平成16年改正児童福祉法においては、児童家庭相談における市町村の役割を明確化するとともに、都道府県(児童相談所)の役割を困難事例への対応や市町村の支援に重点化するなど、地域における児童家庭相談体制の充実が図られたところである。

 よりきめ細かな児童家庭相談体制を構築するためには、平成16年改正児童福祉法が目指す市町村における相談体制の強化は必須の方向である。その際、国においては、細部にわたる規定や指針を示すのではなく、大枠やモデル・先進例を示し、あとは市町村の実情に合わせ、各々の市町村がより有効な検討を行うことが必要である。一方で、児童虐待や少年非行問題への対応など、児童の権利に重大な影響を及ぼし、その援助プロセスにおいて法的枠組みが重要な意味を持つものについては、共通の基盤整備や理解が図られなければならない。

 そのためには、法的な対応やより深刻な問題に対応する都道府県(児童相談所)レベルのシステムと、より住民に身近な地域で対応する市町村レベルのシステムをつなぐ新たなシステムが必要である。児童家庭相談においては、単に相談だけでなく、そこから始まる実際的な援助や援助終了後のフォロ−アップなども重要な意味を有する。

 平成16年改正児童福祉法の趣旨に沿って地域における児童家庭相談体制を構築するためには、このような全体状況を視野に入れつつ、国としての大枠の仕組みの提示や支援、都道府県、市町村それぞれのレベルでの主体的な取り組みが求められる。

 本研究会は、各地域における取組の実践に学び、また現場の実態や感覚を踏まえた議論・検討を積み重ね、その具体的な課題として、国及び地域の取組を促すためのメッセ−ジを織り込み、発信することを目的として平成17年2月に設置された。

 以来、議論を重ね、平成17年8月に、都道府県(児童相談所等)における児童相談体制の整備を中心に「中間的な議論の整理」を行ったところであるが、それ以降「市町村における児童相談体制の整備」のあり方を中心にさらに議論を進めるとともに、市町村における児童家庭相談体制の実情調査なども行い、今般、研究会としての「報告」を取りまとめたものである。

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