平成18年4月7日
検討事項(たたき台)


I  総論的事項

 1. 指針(ガイドライン)に定める内容のあり方

 (1) 何を規定することとするか。
 研究実施に当たって研究機関及び研究者が遵守すべき事項
 研究実施のための手続き

 (2) 国の関与のあり方について、どのように考えるか。
(1)  研究実施のための手続きに、国が何らかの形で関わることとするか。関わる場合、どのような関与のあり方が適当か。
 国が審査を実施
 審査機関を別に設置
 厚生労働大臣等が「意見を述べる」(最終判断は機関に委ねる)
(2)  または、研究実施のための手続きに、国が関わらないこととするか。

 2. 規制対象の範囲

 (1) 規制の考え方について
(1)  ヒト受精胚について
 ヒト受精胚は、総合科学技術会議意見具申「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」において、「人」そのものでないとしても「人の生命の萌芽」として位置付け、特に尊重されるべきものであるとの考え方が示されていることから、ヒト受精胚の取扱いを伴う研究について規制が必要と考えられる。
(2)  ヒト卵子について
 ヒト卵子については、総合科学技術会議意見具申「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」において、採取に伴う肉体的侵襲や精神的負担、人間の道具化・手段化といった懸念があること等に鑑み、入手制限や提供女性保護のための枠組みの整備が求められているところ、ヒト卵子のみを取り扱う研究について規制が必要と考えてよいか。
(3)  ヒト精子について
 ヒト精子については、総合科学技術会議意見具申「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」において言及されておらず、現在のところ産科婦人科学会が会告によってヒト精子を取り扱う研究の登録を学会員に対して求めているところであるが、ヒト精子のみを取り扱う研究について、規制の対象とすべきか議論することが必要と考えてよいか。
(4)  生殖補助医療研究の性質について
 胚・配偶子の提供者が過去の生殖補助医療研究の成果による恩恵を受けている受益者であるという点を、規制のあり方を考えるに当たって考慮することが必要であると考えてよいか。

 











(参考) 総合科学技術会議意見具申「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」(平成16年7月23日)
ヒト受精胚の位置付け
 「人」そのものでないとしても「人の生命の萌芽」として、「人の尊厳」という社会の基本的価値の維持のために特に尊重されるべき。
未受精卵の入手制限及び提供女性の保護
 未受精卵の採取には提供女性の肉体的侵襲や精神的負担が伴い、広範に行われるようになれば、人間の道具化・手段化といった懸念も強まることから、未受精卵の入手については個々の研究において必要最小限の範囲に制限し、みだりに未受精卵を採取することを防止しなければならない。













 


























(参考) 日本産科婦人科学会会告「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解」(平成14年1月)
1. 研究の許容範囲
 精子・卵子・受精卵は生殖医学発展のための基礎的研究ならびに不妊症の診断治療の進歩に貢献する目的のための研究に限って取り扱うことができる。
 なお、受精卵はヒト胚性幹細胞(ES細胞)の樹立のためにも提供できる。
2. 精子・卵子・受精卵の取り扱いに関する条件
 精子・卵子及び受精卵は、提供者の承諾を得たうえ、また、提供者のプライバシーを守って研究に使用することができる。
1) 非配偶者間における受精現象に関する研究は、その目的を説明し、十分な理解を得たうえで、これを行う。
2) 受精卵は2週間以内に限って、これを研究に用いることができる。
3) 上記期間ないの発生段階にある受精卵は凍結保存することだできる。
3. 研究後の処理
 研究に用いた受精卵は、研究後、研究者の責任において、これを法に準じて処理する。
4. 精子・卵子・受精卵の取り扱い者
 ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う責任者は、原則として医師とし、研究協力者は、その研究の重要性を充分認識したものがこれにあたる。
5. 研究の登録報告等
 ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究を本学会員が行うにあたっては、学会指定の書式に準じてこれを報告する。




























 (2) 具体的な規制対象の範囲をどのように考えるか。
 胚の作成を伴う研究
 余剰胚を使用する研究
 卵子を単独で使用する研究※
 精子を単独で使用する研究※
 ※ クローン法の規制範囲(特定胚)との関係について整理が必要。

(3) 研究の範囲についてどのように考えるか。
(1)  研究と医療の境界について
 どのように考えることが適当か(例えば、胚の胎内への移植を伴うか否か、と考えられるか)。
(2)  基礎的研究と臨床研究の範囲について
 基礎的研究と臨床研究を区別する必要があるか、または区別できるか。区別する場合には、何が基準となるか。

 3. 指針(ガイドライン)の実効性の確保

 指針(ガイドライン)の実効性の確保を図るために、どのような方策が必要か。
 ・  定期的な審査(確認)の必要性
 ・  定期的な報告の必要性
 ・  国による調査の必要性

II  各論的に検討が必要な事項

 1. 研究の目的について

 認められる研究の範囲
 研究実施の要件 等

 






(参考) 日本産科婦人科学会会告に基づき登録されている研究の例
 ・ 受精効率を上げるための研究
 ・ 受精過程の研究
 ・ 胚の成熟過程に関する研究
 ・ 胚の培養条件に関する研究 等








 2. 禁止事項について

 研究のため作成した胚の取扱い(胎内への移植、培養期間等)
 研究で得られた配偶子に加えてはならない操作
 研究に用いてはならない配偶子の分化段階 等

 3. 研究実施機関の要件について

 実績、設備、能力
 倫理審査委員会の設置(倫理的問題に関する検討体制の整備)
 研究の体制(機関の長、研究責任者の役割等) 等

 



































(参考) 「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」
 (樹立機関の長)
十一条 樹立機関の長は、次に掲げる業務を行うものとする。
 樹立計画の妥当性を確認し、その実施を了承すること。
 ヒトES細胞の樹立の進行状況及び結果を把握し、必要に応じ樹立責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えること。
 ヒトES細胞の樹立及び分配を監督すること。
 樹立機関においてこの指針を周知徹底し、これを遵守させること。
 (樹立責任者)
十二条 樹立責任者は、次に掲げる業務を行うものとする。
 ヒトES細胞の樹立に関して、内外の入手し得る資料及び情報に基づき、樹立計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性について検討すること。
 前号の検討の結果に基づき、樹立計画を記載して書類(以下「樹立計画書」という。)
を作成すること。
 ヒトES細胞の樹立を総括し、及び研究者に対し必要な指示をすること。
 ヒトES細胞の樹立が樹立計画書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。
 ヒトES細胞の樹立の進行状況及び結果に監視、樹立機関の長及び樹立機関の倫理審査委員会に対し必要な報告をすること。
 前各号に定めるもののほか、樹立計画を総括するに当たって必要となる措置を講ずること。
 樹立責任者は、一の樹立計画ごとに一名とし、動物胚を用いたES細胞の樹立の経験その他ヒトES細胞の樹立に関する充分な専門的知識及び技術的能力を有し、かつ、前項各号に掲げる業務を的確に実施できる者とする。
 (樹立の手続)
十五条 樹立機関の長は、樹立責任者から樹立計画の実施の了承を求められた際には、その妥当性について樹立機関の倫理審査委員会の意見を求めるとともに、当該指針に対する適合性を確認するものとする。





































 4. 胚・配偶子の入手のあり方

 胚・配偶子の入手方法
 胚・配偶子の提供に係るインフォームドコンセントのあり方
 ・  説明者に求められる要件、説明内容
 ・  カウンセリング体制の整備
 ・  提供者の自由意思を担保する環境整備
 提供者の個人情報の保護
 ・  配偶者間の配偶子を用いて胚を作成する場合の取扱い
 ・  非配偶者間の配偶子を用いて胚を作成する場合の取扱い
 ・  胚・配偶子の提供とそれらを用いた研究が同一機関内で行われる場合の取扱い

 5. 研究審査体制について

 国による審査(関与)のあり方
 機関における倫理審査委員会の審査のあり方
 ・  倫理審査委員会の委員の構成
 女性委員の割合について、生殖補助医療の特性を踏まえる必要があるか。
 一般の立場に立って意見を述べられる者について、生殖補助医療の特性を踏まえる必要があるか。
 ・  倫理審査委員会の規模
 研究実施機関の規模によって倫理審査委員会の規模等を考慮する必要があるか。

 
























(参考) 「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」
 (樹立機関の倫理審査委員会)
十三条 樹立機関の倫理審査委員会は、次に掲げる業務を行うものとする。
 樹立計画についてこの指針に即し、その科学的妥当性及び倫理的妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項に関して樹立機関の長に対し意見を提出するとともに、当該審査の過程の記録を作成し、これを保管すること。
 樹立の進行状況及び結果について報告を受け、必要に応じて調査を行い、その留意事項、改善事項等に関して樹立機関の長に対し意見を提出すること。
 樹立機関の倫理審査委員会は、次に掲げる要件に適合するものとする。
 樹立計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるよう、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の立場に立って意見を述べられる者から構成されていること。
 樹立機関の関係者以外の者が二名以上含まれていること。
 男性及び女性がそれぞれ二名以上含まれていること。
 樹立計画を実施する者が審査に参画しないこと。
 倫理審査委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められていること。
 倫理審査委員会の構成、組織、及び運営並びに議事の内容の公開その他樹立計画の審査に必要な手続きに関する規則が定められ、かつ、当該規則が公開されていること。


























 6. その他

 情報の公開について
 記録の保存について
 総合科学技術会議との関係
 用語の整理

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