医学研究・ライフサイエンス研究に関する指針の概要
○ |
機関内における審査に加え、国の審査を要するもの |
名称 |
所管省庁 |
趣旨 |
内容 |
ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針 (H13.9) |
文部科学省 |
人の生命の萌芽であるヒト胚を滅失して樹立される等の倫理的問題を有しており、その取扱いに当たっては慎重な配慮が必要であるヒトES細胞の樹立及び使用を行う研究において、人の尊厳を侵すことのないよう生命倫理の観点から遵守すべき事項を定め、研究の適正な実施の確保を図る。 |
(1) |
倫理審査委員会による審査、樹立に用いるヒト胚の要件(凍結余剰胚、インフォームド・コンセントの取得等)、研究実施機関の要件 等 |
(2) |
実施機関の長が研究計画書(樹立計画又は使用計画)を文部科学大臣に提出し、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の意見に基づき指針への適合性について確認を受ける。 |
|
遺伝子治療臨床研究に関する指針 (H14.3) |
文部科学省 厚生労働省 |
遺伝子治療臨床研究に使用される遺伝子やベクター等の有効性、安全性、品質及び生体への投与方法の安全性の確保等を図る。 |
(1) |
審査委員会の設置、個人情報保護、インフォームド・コンセント等の徹底 等 |
(2) |
実施施設の長が実施計画書を厚生労働大臣に提出して意見を求め、特に新規性のあるものについては、厚生科学審議会の意見を聴いて、意見を述べる。 |
|
|
所管省庁 |
趣旨 |
内容 |
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
(H13.3) |
文部科学省
厚生労働省
経済産業省 |
ヒトゲノム・遺伝子解析研究においては、特に慎重な対応が求められるヒト遺伝情報等を取扱うことを踏まえ、研究者等が遵守すべき事項を定め、研究の適正な推進を図る。 |
倫理審査委員会による審査、個人情報保護、インフォームド・コンセント等の徹底、遺伝カウンセリングの実施 等 |
疫学研究に関する倫理指針
(H14.6) |
文部科学省
厚生労働省 |
疫学研究においては、多数の研究対象者の心身状態や周囲の環境、生活習慣等についての具体的な情報を取り扱うことを踏まえ、研究者等が遵守すべき事項を定め、研究の適正な推進を図る。 |
倫理審査委員会による審査、個人情報保護、インフォームド・コンセント等の徹底 等 |
臨床研究に関する倫理指針
(H15.7) |
厚生労働省 |
人を対象とする医学系研究全般について、個人の尊厳、人権の尊重等の観点から、臨床研究に携わる関係者が遵守すべき事項を定め、研究の適正な推進を図る。 |
倫理審査委員会による審査、個人情報保護、インフォームド・コンセント等の徹底 等 |
「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」の概要
文部科学省告示
(平成13年9月策定)
1. |
趣旨及び目的
ヒトES細胞は、医学及び生物学の発展に大きく貢献する可能性がある一方で、人の生命の萌芽であるヒト胚を滅失して樹立されること、人の体のあらゆる種類の細胞に分化する可能性があること等の生命倫理上の問題を有しており、その取扱いに当たっては慎重な配慮が必要とされる。このことから、ヒトES細胞の樹立及び使用を行う研究において人の尊厳を侵すことのないよう、生命倫理の観点から遵守すべき基本的事項を定め、研究の適正な実施の確保を図る。 |
(1) |
指針の適用範囲
・ |
すべてのヒトES細胞の樹立及び使用に適用 |
・ |
当分の間、基礎的研究に限定 |
|
(2) |
ヒト胚及びヒトES細胞に対する配慮 |
(3) |
研究実施の手続き
・ |
樹立計画及び使用計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性について機関内倫理審査委員会で指針に即して審査し、国が確認(二重審査) |
・ |
樹立については、ヒト受精胚の提供医療機関においても倫理審査委員会の了解を得ることが要件 |
・ |
研究の進行状況・完了を機関内倫理審査委員会及び国に報告 |
・ |
研究成果は原則として公開 |
|
(4) |
ヒトES細胞の樹立について
【樹立機関】
・ |
樹立の要件
: |
使用の方針が示され、当該方針が新たにヒトES細胞を樹立することの科学的合理性及び必要性を有すること |
|
・ |
樹立機関の基準
: |
研究実績、研究設備、技術的能力、倫理審査委員会の設置等 |
|
・ |
樹立機関の業務
: |
ヒトES細胞の樹立、維持・管理、使用機関への分配(無償) |
|
・ |
樹立の用に供されるヒト胚の要件
: |
無償提供 |
: |
凍結された生殖補助医療の余剰胚(受精後14日以内)に限定 |
: |
適切なインフォームド・コンセントを受けたもの |
|
【提供医療機関】
・ |
提供医療機関の基準
: |
ヒト受精胚の取扱いに関する実績・能力、倫理審査委員会の設置、個人情報保護のための措置等 |
|
・ |
ヒト受精胚提供時における適切なインフォームド・コンセントの取得 |
|
(5) |
ヒトES細胞の使用について
・ |
使用の要件
: |
以下のいずれかに資する基礎的研究を目的とすること
(1) |
ヒトの発生、分化及び再生機能の解明 |
(2) |
新しい診断法、予防法若しくは治療法の開発又は医薬品等の開発 |
|
: |
科学的合理性及び必要性を有すること |
|
・ |
個体産生、胚や胎児へのヒトES細胞の導入、生殖細胞の作成を禁止 |
・ |
ヒトES細胞の再分配の禁止 |
・ |
分化細胞の使用も当分の間、ES細胞の使用とみなす |
・ |
使用機関の基準
: |
研究実績、研究設備、技術的能力、倫理審査委員会の設置等 |
|
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(6) |
その他
|
「遺伝子治療臨床研究に関する指針」の概要
文部科学省、厚生労働省告示
(平成14年3月策定、平成16年12月全部改正)
1. |
「遺伝子治療」の定義
疾病の治療を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞等を人の体内に投与すること。 |
2. |
趣旨及び目的
(1) |
遺伝子治療臨床研究の医療上の有用性及び倫理性を確保しつつ、審査手続きの簡素化及び迅速化並びに遺伝子治療臨床研究の適正な推進を図ることを目的として、平成14年3月に策定された。 |
(2) |
個人情報保護法が平成17年4月に全面施行されること等を踏まえ、平成16年12月に全部改正された(平成17年4月より施行)。 |
|
(1) |
目的及び対象疾患
本指針は、遺伝子治療臨床研究が「治療」の側面を有することに鑑み、その医療上の有用性及び倫理性を確保するとともに、その社会的な影響等を踏まえ、情報公開や普及啓発の推進等により、社会に開かれた形で適正な実施を図ることを目的とする。また、生命を脅かす疾患が研究対象になることを明らかにするため、重篤な遺伝性疾患等を対象に規定する。 |
(2) |
被験者の人権保護
遺伝子治療臨床研究の実施に際し、研究者は被験者に対して、研究の目的、意義及び方法等に関して十分な理解が得られるよう説明すると殿に、文書により自由意志による同意を得るものとする。 |
(3) |
研究及び審査の体制
実施施設の長は、遺伝子治療臨床研究の進行状況及び結果について、必要に応じ、総括責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えるとともに、厚生労働大臣に(実施施設が大学、大学共同利用機関、文部科学大臣の所管する法人等(以下「大学等」という。)の場合は、文部科学大臣にも)報告を行う。また、被験者の死亡その他重大な事態等について、速やかに厚生労働大臣に(実施施設が大学等の場合は、文部科学大臣にも)報告することとなっている。
その他に審査委員会の業務及び要件について規定されている。 |
(4) |
研究実施の手続き
研究の統括責任者は、研究の実施にあたっては予め実施計画書を作成し、実施施設の長の了解を得なければならない。
統括責任者は、研究の進行状況を随時報告しなければならない。
統括責任者は、研究終了後直ちに総括報告書を作成し、実験施設の長に提出する。 |
(5) |
厚生労働大臣の意見等
厚生労働大臣は、あらかじめ遺伝子治療臨床研究の実施に関し意見を述べる。また、実施施設の長から報告があった場合には、必要に応じ意見を述べる。実施施設が大学等の場合は、厚生労働大臣は文部科学大臣に連絡する。 |
(6) |
個人情報の保護に関する措置
(1) |
遺伝子治療臨床研究の実施に関する責任
個人情報保護法において個人情報保護を図る責任主体との整合性を考慮し、法人または行政機関である研究を行う機関が組織として適切な対応を図るとの観点から、研究を行う機関の長を適正に研究が実施されるよう監督しなければならない者とした。 |
(2) |
予め個人情報の利用目的を特定し、それを超えた利用を行わないこと |
(3) |
個人情報の取得に際して利用目的の通知等を行うこと
・ |
個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えた場合の利用にあたっての本人同意、変更された利用目的について本人に通知又は公表することを規定。 |
・ |
本人の同意を得ないで既存試料等を利用する場合に、法が例外的に容認する場合の要件(公衆衛生の向上等)に適合することが必要であることを明確化。 |
|
(4) |
個人情報の内容の正確性の確保 |
(5) |
安全管理措置の実施 |
(6) |
委託者に対する必要かつ適切な監督 |
(7) |
第三者提供の際の本人同意等に係る規定の追加
・ |
訂正・利用停止を求められた場合の提供者等本人への通知、開示等の求めに応じない場合の本人への理由の説明、苦情相談に対する配慮等 |
|
|
(7) |
その他
・ |
記録の保存 |
・ |
秘密の保護 |
・ |
情報の公開 等 |
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「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の概要
文部科学省、厚生労働省、経済産業省告示
(平成13年3月策定、平成16年12月全部改正)
1. |
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」の定義
提供者の個体を形成する細胞に共通して存在し、その子孫に受け継がれ得るヒトゲノム及び遺伝子の構造又は機能を、試料等を用いて明らかにしようとする研究をいう。本研究に用いる試料等の提供のみが行われる場合も含まれる。 |
2. |
趣旨及び目的
(1) |
ヘルシンキ宣言(1964年6月第18回世界医師会採択)、「ヒトゲノム研究に関する基本原則」(平成12年6月14日科学技術会議生命倫理委員会取りまとめ)等を踏まえ、すべてのヒトゲノム・遺伝子解析研究に適用され、研究現場で遵守されるべき倫理指針として、平成13年3月に策定された。 |
(2) |
人間の尊厳及び人権が尊重され、社会の理解と協力を得て、ヒトゲノム・遺伝子解析研究の適正な推進が図られることを目的とする。 |
(3) |
個人情報保護法が平成17年4月に全面施行されること等を踏まえ、平成16年12月に全部改正された(平成17年4月より施行)。 |
|
(1) |
責任体制を明確にすること
・ |
個人情報保護法において事業者単位で個人情報保護を図るべきとされていることを踏まえ、研究を行う法人(行政機関)の長が研究実施の最終的な責任を有し、研究者等の監督を行う |
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(2) |
インフォームド・コンセントを基本とすること
・ |
文書による事前の十分な説明と自由意思による同意(インフォームド・コンセント) |
・ |
本人の意思を尊重して遺伝情報の開示、非開示の決定 |
・ |
既に提供された試料等についての慎重な取扱い |
・ |
インフォームド・コンセントの対応者の要件の明確化 |
|
(3) |
個人情報の保護を徹底すること
・ |
試料等の原則匿名化による研究の実施 |
・ |
個人情報管理者による保護の徹底 |
・ |
守秘義務の徹底 |
・ |
本人の意思を尊重した試料等の保存と匿名化した上での廃棄 |
・ |
保護すべき個人情報の範囲を規定 |
・ |
安全管理措置の実施 |
・ |
委託者に対する必要かつ適正な監督 |
・ |
個人情報の内容の正確性の確保 |
・ |
訂正・利用停止を求められた場合の提供者等本人への通知、開示等の求めに応じない場合の本人への理由の説明等 |
|
(4) |
倫理審査委員会が適切に構成され運営されること
・ |
研究機関の長の諮問機関として設置し、その意見を尊重 |
・ |
公正、中立な審査のため、専門家・一般の立場の人(外部委員を含む)から成る適切な構成 |
・ |
委員、議事内容の公開など透明性の確保 |
|
(5) |
研究の適正性を確保すること
・ |
倫理審査委員会による研究計画の事前審査 |
・ |
研究機関の長による研究計画の許可 |
・ |
研究計画に従った研究の適正な実施 |
・ |
同意撤回時の試料等の取扱いの規定の見直し |
|
(6) |
研究の透明性を確保すること
・ |
外部の有識者による実地調査 |
・ |
研究結果の公表 |
・ |
苦情窓口の設置 |
・ |
国際共同研究における指針の運用に係る規定の具体化 |
・ |
地域や集団の遺伝的特質を明らかにする研究の実施に係る規定の追加 |
|
(7) |
遺伝性疾患に配慮すること
・ |
遺伝性疾患の場合の遺伝カウンセリングの実施 |
・ |
遺伝性疾患の場合の本人の利益保護のための配慮 |
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「疫学研究に関する倫理指針」の概要
文部科学省、厚生労働省告示
(平成14年6月策定、平成16年12月全部改正)
1. |
「疫学研究」の定義
明確に特定された人間集団の中で出現する、疾病の罹患など健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を明らかにする科学研究をいう。 |
2. |
趣旨及び目的
(1) |
ヘルシンキ宣言(1964年6月第18回世界医師会採択)、個人情報保護に係る論議等を踏まえ、全ての疫学研究の関係者が従うべき基本的な原則を示す倫理指針として、平成14年6月に策定された。 |
(2) |
人間の尊厳及び人権が尊重され、社会の理解と協力を得て、疫学研究が円滑に進められ、一層社会に貢献することを目的とする。 |
(3) |
個人情報保護法が平成17年4月に全面施行されること等を踏まえ、平成16年12月に全部改正された(平成17年4月より施行)。 |
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(1) |
基本的考え方
(1) |
基本的原則
疫学研究を行おうとする研究者等は、研究対象者の個人の尊厳及び人権を尊重して研究を実施しなければならないなど疫学研究の科学的合理性及び倫理的妥当性を確保するとともに、研究対象者の個人情報を保護しなければならない。また、研究者等は研究対象者からインフォームド・コンセントを受領することを原則とし、研究責任者は研究成果を公表しなければならない。 |
(2) |
研究機関の長の責務等
研究機関の長は、疫学研究が、倫理的、法的又は社会的問題を引き起こすことがないよう倫理的配慮の周知を徹底するとともに、倫理審査委員会を設置しなければならない。また、研究機関の長は、研究計画の許可を求められたときは、倫理審査委員会の意見を聴き、その意見を尊重し、許可又は不許可等必要な事項を決定しなければならない。 |
|
(2) |
倫理審査委員会等
(1) |
倫理審査委員会の責務、構成及び運営 |
(2) |
疫学研究に係る倫理審査委員会への報告 |
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(3) |
研究対象者、又は代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける手続 |
(4) |
個人情報の保護の徹底
(1) |
疫学研究の実施に関する責任
個人情報保護法において個人情報保護を図る責任主体との整合性を考慮し、法人または行政機関である研究を行う機関が組織として適切な対応を図るとの観点から、研究を行う機関の長を適正に研究が実施されるよう監督しなければならない者とした。 |
(2) |
予め個人情報の利用目的を特定し、それを超えた利用を行わないこと |
(3) |
個人情報の取得に際して利用目的の通知等を行うこと
・ |
個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えた場合の利用にあたっての本人同意、変更された利用目的について本人に通知又は公表することを規定。 |
・ |
本人の同意を得ないで既存試料等を利用する場合に、法が例外的に容認する場合の要件(公衆衛生の向上等)に適合することが必要であることを明確化。 |
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(4) |
個人情報の内容の正確性の確保 |
(5) |
安全管理措置の実施 |
(6) |
委託者に対する必要かつ適切な監督 |
(7) |
第三者提供の際の本人同意等に係る規定の追加
・ |
訂正・利用停止を求められた場合の提供者等本人への通知、開示等の求めに応じない場合の本人への理由の説明、苦情相談に対する配慮等 |
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(2) |
資料の保存及び利用など |
(3) |
他の機関等の試料等の利用 |
(4) |
研究結果を公表するときの措置 |
4. |
その他
本指針は、必要に応じ、又は当初指針の施行後5年(平成19年6月末日)を目途としてその全般に関して検討を加えた上で、見直しを行うものとされている。 |