年次有給休暇
【現状】

  年次有給休暇は取得日数の減少及び取得率の低下傾向が続いている。
平成11年度までは取得率が50%を超えていたが、以降、低下しつづけ、平成16年度は46.6%になっている。
付与日数は平成5年度の16.3日から平成16年度の18日まで増加したものの、取得日数は平成5年度の9.1日から平成16年度の8.4日まで減少している。

グラフ

グラフ
資料出所 : 厚生労働省「就労条件総合調査」(旧「賃金労働時間制度等総合調査」)


  約7割(68.6%)の労働者は、年次有給休暇の取得にためらいを感じており、その理由としては「みんなに迷惑がかかると感じる」(58.7%)、「後で多忙になる」(42.3%)、「職場の雰囲気で取得しづらい」(36.4%)の順で多くなっている。

年次有給休暇の取得へのためらい

年次有給休暇の取得へのためらいのグラフ
ためらいを感じる理由(MA)

ためらいを感じる理由(MA)のグラフ
ためらいを感じない理由(MA)

ためらいを感じない理由(MA)のグラフ
資料出所 : 三和総合研究所「長期休暇制度に関する調査研究」(平成12年)


  年次有給休暇の取得を「積極的」(7.9%)または「ある程度」(36.2%)推進している企業は44.1%と、「推進していない」企業(54.0%)を下回っている。推進をしない理由は「労働者個人の問題であるので」(72.7%)が最も多くなっている。

年次有給休暇の取得の推進

年次有給休暇の取得の推進のグラフ
推進をしない理由 (n=836)

推進をしない理由のグラフ
推進策を取った理由 (n=681)

推進策を取った理由のグラフ
推進の具体策は次ページ

資料出所 : 三和総合研究所「長期休暇制度に関する調査研究」(平成12年)


  年次有給休暇の推進策をとった企業における具体的な取組としては、「休暇残日数の通知制度」(48.6%)、「有給休暇の計画的付与」(43.9%)、「休暇取得時季の調整」(41.1%)といったことを実施した企業の割合が高くなっている。

年次有給休暇の取得促進のために行ってきた活動 (MA)

(n=681)
年次有給休暇の取得促進のために行ってきた活動(MA)のグラフ
資料出所 : 三和総合研究所「長期休暇制度に関する調査研究」(平成12年)


  取得率向上のため、休暇日数の一部について、労使協定により年休を与える時季を定めた場合、その定めに従って年休を与えることができる制度(計画的付与制度)が導入されたが、計画的付与制度がある企業の割合は平成16年度で14.8%と低い状況にある。
企業規模が大きいところでは、計画的付与制度が活用されている(1,000人以上31.6%)。

表
資料出所 : 厚生労働省「就労条件総合調査」(旧「賃金労働時間制度等総合調査」)


  労働者の「一斉年休」に対する考え方については「全員が一斉に休むので気兼ねなく休めるのがよい」とする割合は40.3%であるが、「希望しない日に取得することもあるのでよくない」とする割合も19.7%みられる。
「年休の計画表などによる個人別取得方式」に対する考え方については「業務を考慮してあるので気兼ねなく休めるのがよい」とする割合は35.9%であるが、「希望する時期に取得できないこともあるのでよくない」とする割合も12.8%みられる。

「一斉年休」に対する考え方
「一斉年休」に対する考え方の表


「年休の計画表などによる個人別取得方式」に対する考え方
「年休の計画表などによる個人別取得方式」に対する考え方の表
資料出所 : 連合総研「年次有給休暇の計画的付与等の実態に関する調査研究報告書」(平成15年)


  年次有給休暇の取得形態では、「年休1日の単独取得」では「病気の療養・体調不良」が50.9%となっている。「年休1日と他の休日との組み合わせ」では「国内宿泊旅行」が35.7%となっており、「5日以上の連続休暇」になると「海外旅行」が31.4%となっている。

表
資料出所 : 連合総研「年次有給休暇の計画的付与等の実態に関する調査研究報告書」(平成15年)


  年次有給休暇の望ましい取得方法は「1日単位での取得」(42.0%)が最も多く、「なるべくまとめて取得」(31.7%)、「半日単位」(19.7%)、「時間単位」(5.5%)となっている。
「時間単位」の取得については、女性の30〜34歳(12.6%)、35〜39歳(10.1%)、40〜44歳(10.6%)、45〜49歳(11.7%)は、希望する割合が高い。

グラフ

表
資料出所 : 三和総合研究所「長期休暇制度に関する調査研究」(平成12年)


  年次有給休暇を残した者にその理由を尋ねると、最も多かったのは「病気など何かあった際に使いたいから」で6割(61.2%)を超えている。
「周囲もその程度しか取っていないから」といった回答も8.8%みられる。

表
資料出所 : 連合総研「年次有給休暇の計画的付与等の実態に関する調査研究報告書」(平成15年3月)


10   労働組合に、法定の年次有給休暇を除く休暇部分の買上げ制度の有無を尋ねたところ、買上げ制度があるのは3.9%しかみられない。

表
資料出所 : 連合総研「年次有給休暇の計画的付与等の実態に関する調査研究報告書」(平成15年3月)


11   年次有給休暇についての労働基準監督署における指導例

年次有給休暇の取得率が著しく低下していることから、その原因を明らかにし、年次有給休暇等の取得促進について組織的な検討を行うよう指導した例

労働者が請求したにもかかわらず、年次有給休暇制度が無いとして付与していないことから、これに付与するよう指導した例

年次有給休暇を取得した期間の賃金については、会社独自の計算により算定した賃金を支払っていたが、これが労働基準法第39条第6項により計算された賃金を下回っていたため、その不足額について、再計算の上支払うよう指導した例

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