輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われた事例
(6月23日報告)について


 経緯
  平成17年6月23日、日本赤十字社から輸血(赤血球濃厚液及び新鮮凍結血漿)によるHBV感染の疑い事例で患者が死亡した症例の報告があった。

 事例
  50歳代の男性。原疾患は消化管腫瘍。平成17年2月3日に手術施行のため、赤血球濃厚液合計8単位、新鮮凍結血漿合計30単位を受ける。
 輸血前の血液検査(平成16年12月)ではHBs抗原検査陰性、輸血後の平成17年4月6日でもHBs抗原検査陰性であったが、退院時の平成17年4月21日にHBs抗原検査陽性が確認された。
 その後、平成17年6月13日に発熱、全身倦怠感等出現し、肝機能値が高値を示し、6月16日再入院、6月20日には、HBs抗体、HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体のいずれも陽性が確認された。また、同日のHBcのIgM抗体も陽性であり、劇症肝炎と診断される。
 患者は、7月3日にB型劇症肝炎にて死亡した。
 患者の検体のHBVの解析結果は、ジェノタイプC、サブタイプadrであり、CP/Pre Core領域の塩基配列の解析からPreC部位には変異はなく、CP(Core Promoter)部位に変異があるCP変異、PreC野生株であった。

 状況
 (1) 輸血された血液製剤について
(1) 当該患者には20人の供血者から採血された赤血球濃厚液等を輸血。
(2) 20人の供血者と同一の供血者に由来し、同時に製造された原料血漿は17本のうち10本が確保、新鮮凍結血漿6本のうち3本は確保済み。15本の赤血球濃厚液はすべて医療機関へ供給済み。医療機関への情報提供は実施済み。
 (2) 20人の供血者について
 供血者20人のうち、13人が再採血・献血に来場(HBV関連検査は陰性)。
 (3) 供血者個別NATの試験結果
 輸血時の供血者20人の供血時の保管検体について、個別NATを実施したところ、すべて陰性であった。

 今後の対応
 (1) 供血者7人の再献血・検査に係るフォローを行う(再採血の依頼中)。
 (2) 血液の安全対策の推進
 「輸血医療の安全確保のための総合対策」を着実に実施する。

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