福祉サービスの利用者負担



障害福祉サービス(個別給付)に係る
利用者負担の見直しの必要性

サービス提供未実施市町村が多く、新規の利用者が急速に増えることが見込まれる
既存の利用者と新規の利用者の公平
当面、新たにサービスを利用し始める者の増加によるサービス量や、支援の必要度に応じたサービス量を確保することが必要。
必要なサービスを確保するため、制度の効率化・透明化等を進めるとともに、その費用を皆で負担し支え合うことが不可欠。
<利用者負担>
在宅と施設のバランスのとれた負担
サービスの利用量に応じた負担
 
<国・都道府県の負担>
制度的課題の解決を前提に、国及び都道府県の財政責任を強化する。



障害福祉サービスに係る利用者負担の見直しの考え方
−実費負担+サービス量と所得に着目した負担−

(居宅、通所)
 応能負担(現在の平均負担率約1%  →  実費負担+サービス量と所得に着目した負担
(入所)
 応能負担(現在の平均負担率約10%  →  実費負担+サービス量と所得に着目した負担

負担能力の乏しい者については、経過措置も含め負担軽減措置を講ずる。

図
この他、医療費・日用品費は自己負担
精神関係の施設は、平成18年10月以降に、新施設・事業体系に移行したものから対象となる。



利用者負担に係る配慮措置

定率負担
(1) 利用者負担の月額上限(所得階層別)(※1)
(2) 入所者等の個別減免(※2)
入所施設、グループホーム利用者に対し、預貯金等が一定額以下の場合に減免
(3) 生活保護への移行防止
生活保護の対象とならないよう減免

食費、光熱水費の実費負担(※3)
(1) 入所施設における補足給付(※4)
入所施設利用者の食費・光熱水費の負担軽減措置

(2) 通所施設等における食費負担軽減措置
施行後3年間、食費の人件費相当分を給付し、食費負担は食材料費のみ
施設における食事提供の規制緩和等を進めコストの低下を促す。

※1  加えて、高額障害福祉サービス費として、介護保険利用負担分等の合算による軽減措置を講じる。
※2  施行後3年間実施(継続の必要性については実態調査に基づき再検討)
※3  特に栄養管理等が必要な者については、平成18年10月の新施設・事業体系の報酬設定の際に別途評価方法を検討。
※4  入所施設における食費等に係る実際のコスト等を調査し、その結果を補足給付の基準額に反映。



(定率負担に係る措置)
(1)利用者負担の月額上限措置について

利用者本人の属する世帯の収入等に応じて、以下の4区分に設定
 (1)生活保護 生活保護世帯に属する者
 (2)低所得1 市町村民税非課税世帯であって世帯主及び世帯員のいずれも収入が80万円(障害基礎年金2級相当)以下である世帯に属する者
 グループホームで単身で生活する基礎年金2級のみの者
 (3)低所得2 世帯主及び世帯員の全員が市町村民税の均等割非課税である世帯に属する者
 障害者を含む3人世帯で障害基礎年金1級を受給している場合、概ね300万円以下の収入に相当。
 (4)一般 市町村民税課税世帯

グラフ



利用料の負担義務の範囲について

利用者本人による負担
(本人の収入に応じ、額を設定)

本人が負担できない場合

扶養義務者による負担
(扶養義務者の収入に応じ、額を設定)

【扶養義務者の範囲】
 ○ 20歳以上の障害者の場合
配偶者及び子
 ○ 20歳未満の障害者(児)の場合
配偶者、父母及び子
 いずれも障害者と同一の世帯に属し、かつ、生計を同じくすると認められる者
利用者本人による負担
(扶養義務者の負担を廃止)

※ただし、利用者負担の負担上限額は、世帯の収入に応じて設定



負担上限額の設定の際の範囲について

負担上限額の設定をするに当たって、その収入等の基準の範囲をどのようにすべきかについては、以下の2つの意見がある。

障害者の自立の考え方から、障害者本人のみの収入で判定すべき。
 
社会保障制度全体の整合性の観点から、世帯全体の収入で判定すべき。

より強い扶養義務が課される配偶者まで除外するのは不適当ではないか。

健康保険制度や税制面において、被扶養者として事実上経済的な利益を受けている場合まで、特別な扱いを行うことについて国民の理解が得られるか。



税制や健康保険制度における取扱いについて

税制における配偶者控除、扶養控除等
【所得税】
配偶者控除、扶養控除(38万円)

配偶者、扶養者が障害者である場合は上記に加え、以下の控除。
障害者控除
一般の障害者(3級〜6級)の場合  27万円
特別障害者(1級、2級)の場合  40万円
 ※同居している場合、35万円割増控除(同居特別障害者扶養控除)

(地方税においても同様の優遇措置あり)

健康保険制度における被扶養者
【被扶養者となるための要件】
 被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び弟妹の場合→生計維持関係があること
 被保険者の3親等内の親族で上記に掲げる以外の者等の場合→生計維持関係にあり、かつ、同居していること
※生計維持関係・・・  同居している場合−原則として年収130万円未満であって被保険者の収入の2分の1未満
 同居していない場合−原則として年収130万円未満



(定率負担に係る措置)
(2)個別減免(グループホーム、入所施設)について

 3年間の経過措置( 期間終了までに実態調査を行い必要性を再検討)
 制度施行後3年間、食事や人的サービスが事業者により包括的に提供されるグループホーム、入所施設利用者に対して、定率負担に係る個別の減免制度を実施する。
 負担能力がある場合には、利用者負担を負担していただくという考え方から、定率負担の個別減免措置を講じるにあたっては、障害者本人が一定の預貯金等を有していない場合に、個別減免の対象とすることとする。

グループホーム利用者の図   入所施設利用者(20歳以上)の図



定率負担の個別減免の場合の負担額

 定率負担の個別減免措置を講じるにあたっては、障害者が得た収入のすべてを利用者負担として負担しなくともよいよう、負担額が減額される仕組みとする。
 この際、特に、就労等により得た収入については、働くことを促進する観点から、より負担額を減額する。
 賃金、工賃等については、基礎控除として3千円(「その他生活費」の算定に当たり3〜5千円の加算により負担軽減措置を受けている者は除く)を設定。 → 月額3千円の負担軽減措置
 賃金、工賃等の基礎控除以上の額及び障害基礎年金2級相当を超える年金額に係る控除の方法は、グループホーム、入所施設別に制度施行時までに検討。

グループホーム入所者の負担額のイメージ
グループホーム入所者の負担額のイメージの図
入所施設については、食費等に係る補足給付を受けていることから、グループホームとは別の基準を設ける方向で検討。



(定率負担に係る措置)
(3)生活保護への移行防止について

 本来適用されるべき上限額を適用すれば生活保護を必要とするが、仮に、より低い上限額を適用すれば生活保護を必要としない状態になる者については、本来適用されるべき上限額より低い負担上限額を適用する。

月額上限24,600円
 ↓ より低い上限額を適用
月額上限15,000円
 ↓ より低い上限額を適用
月額上限    0円

※ 認定については、生活保護の収入、支出と同様の仕組みとする。



(実費負担の軽減措置)
(1)入所施設における補足給付(食費・光熱水費の軽減措置)

(1)  20歳以上の入所者に係る実費負担の軽減措置
 食費や居住費以外の「その他の生活費」として一定の額が残るように、食費、光熱水費について補足給付を行う。
 「その他生活費」の額については、2.5万円(平成21年度より2.1万円)とする。
 障害基礎年金1級の者、60歳以上の者等は3〜5千円を加算。

図
 
(2)  20歳未満の入所者に係る実費負担の軽減措置
 収入のない20歳未満の入所者の実費負担について、子どもを養育する一般の世帯において通常要する程度の費用(収入階層別の家計における平均的な一人あたり支出)の負担となるように補足給付を行う。
 「その他生活費」の額については、2.5万円(平成21年度より2.1万円)とする。
 18歳未満の場合は、教育費として9千円を加算。

図

(※1) 20歳以上の入所者に係る定率負担については、グループホームと同様の個別減免措置を講じる予定。
(※2) 食費、光熱水費に係る補足給付を行う際の尺度として5.8万円(食費4.8万円、光熱水費1.0万円)を設定(今後、食事等に係るコストの実態に応じて3年ごとに見直すものとする)。



(実費負担の軽減措置)
(2)通所施設等食費軽減措置

新制度においては、通所施設、ショートステイ、デイサービスについては、定率負担のほか、食費が自己負担となる。
 ショートステイ、デイサービスは、現行制度においても食費のうち食材料費が自己負担となっている。

このため、施行後の概ね3年間、通所施設利用の低所得者(生活保護、低所得1、低所得2)について、食費のうち人件費相当分(1日約420円)を支給し、食材料費のみの負担とする減額措置を講ずる。

なお、食費の実費については、利用者保護の観点から、施設が利用者に求めることができる費用の範囲を明確にした上で、その範囲内で、施設ごとに設定し、利用者と契約する仕組みとする。

<参考>実施後のおおむねの負担(通所施設、デイサービスの場合)
図
 現在の予算上は、食費約650円/日の単価であり、うち約230円/日が食材料費

 これを前提として、月22日通った場合には、約5千円 の実費負担となる。

注)実際の実費のコストは、個々の施設によって異なる。



(参考) 支出の実態(一般家計、グループホーム、入所施設)

図
 その他生活費は、被服・履物、家具・家事用品、保健医療、交通・通信、教育、教育娯楽費、その他支出である



平均的な利用者負担の例(在宅)

モデル1 在宅でホームヘルプを利用する障害児・者
  身体障害 知的障害 精神障害 障害児
月平均利用額 8.4万円 3.0万円 2.4万円 3.9万円
利用者負担 生活保護 0円 0円 0円 0円
その他 8.4千円 3.0千円 2.4千円 3.9千円
平均負担率 改正後 5.9% 8.7% 7.3% 8.9%
改正前 1.1% 0.8% 1.6% 3.8%

<具体例>
 収入10万円 (年金1級 8.3万円、その他1.7万円) → 低所得2に該当
 日常生活支援 200時間 移動介護 20時間を利用している場合
図

モデル2 家族と同居して、通所施設に通いながら、ホームヘルプを利用する知的障害者
知的通所施設:月14.9万円(食費除く)/22日通所、ホームへルプ 3.0万円/月
  食費(通所) 定率負担 合計
生活保護 0.50万円(約230円×22日)※ 0.5万円
低所得1 0.50万円(約230円×22日)※ 1.5万円 2.0万円
低所得2 0.50万円(約230円×22日)※ 1.8万円 2.3万円
一般 1.43万円(約650円×22日) 1.8万円 3.23万円
 3年間の経過措置(予算上の数値を用いて計算しており、実際には施設ごとに異なる)



平均的な利用者負担の例(グループホーム/通所施設)

モデル3 グループホームで生活しつつ通所施設に通う知的障害者(グループホーム利用者の約2割)
グループホーム:月6.6万円、知的通所施設:月14.9万円(食費除く)/22日通所

  食費(通所) 定率負担 費用負担増
生活保護 0.5万円(約230円×22日)
※1
0.5万円
低所得1 1.5万円
(個別減免により0円まで減免)
0.5万円〜2.0万円
低所得2 2.15万円
(個別減免により0円まで減免)
0.5万円〜2.65万円
一般 1.43万円(約650円×22日) 2.15万円  1.43万円+2.15万円 =
3.58万円

 ※1  3年間の経過措置(予算上の数値を用いて計算しており、実際には施設ごとに異なる)
 ※2  グループホームの食費、居住費は従来から全額実費負担となっている。



平均的な利用者負担の例(施設)

モデル4 入所施設に入所する障害者

○ 障害者の収入が障害基礎年金2級のみの場合(低所得1)
  現行 改正後
定率負担 食費・居住費※2 合計
身体障害者療護施設 19,100円※1 0円
(個別減免※3)
41,000円
(補足給付17,000円)
41,000円
知的障害者更生施設 39,800円※1 0円
(個別減免※3)
41,000円
(補足給付17,000円)
41,000円

※1  支援費制度における利用者負担については、知的障害者では日常生活品費を給付の対象としていることから、身体障害者と異なり、日常生活品費を控除せず収入認定するため、同じ収入でも身体障害者の施設と知的障害者の施設では利用者負担額が異なる。
※2  食費を48,000円/月、光熱水費を10,000円/月とした場合
※3  預貯金が一定額以下の場合

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