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第6回
資料4
最低賃金制度の変遷


昭和32年12月18日
中央最低賃金審議会「最低賃金制に関する答申」
 最低賃金制は大きな意義を有しており、政府は、この際この制度の法制化に前進すべきである。最低賃金制の基本的あり方については、将来の問題としては全産業一律方式は望ましいものであるが、産業別、規模別等に経済力や賃金に著しい格差があるわが国経済の実情に即しては、業種、職種、地域別にそれぞれの実態に応じて最低賃金制を実施し、これを漸次拡大していくべきである。
 法案の内容については、次の4決定方式で実施すべきである。すなわち、
 (1) 業者間協定を最低賃金として決定する方式
 (2) 業者間協定による最低賃金を拡張する方式
 (3) 労働協約の最低賃金に関する定めを拡張して、最低賃金として決定する方式
 (4) 前記の方式で最低賃金を決定することが困難又は不適当な場合に、最低賃金審議会の調査によって、国が最低賃金を決定する方式

昭和34年4月
最低賃金法の制定
   昭和32年の中央最低賃金審議会答申を全面的に尊重

昭和36年
最低賃金制普及計画(昭和36年〜38年)
   適用労働者数を250万人とするよう、計画的に普及拡大。業者間協定方式が中心。

昭和39年
最低賃金推進計画(昭和39年〜41年)
   中央最低賃金審議会の選定した重点的対象業種(88業種)を中心として約510万人の中小企業労働者に目安に適合した最低賃金の適用を図る。

昭和42年5月15日
中央最低賃金審議会「現段階における最低賃金制の取扱いについての答申」
(1)  業者間協定に基づく最低賃金方式及び業者間協定に基づく地域的最低賃金方式(法第9条、第10条)を廃止すること。
(2)  最低賃金審議会の調査審議に基づく最低賃金(法第16条)については、これまで他の方式により最低賃金を決定することが困難又は不適当な場合に限り設定できることとされていたが、その制限を除き、必要により、最低賃金審議会の審議に基づいて設定できるものとすること。

昭和43年5月
最低賃金法の一部を改正する法律の成立
   昭和42年答申を反映。
 国会修正により、審議会方式による最低賃金の新設又は改正・廃止の決定について関係労使からもその申出ができることとする規定(法第16条の4)を追加。

昭和45年9月8日
中央最低賃金審議会「今後における最低賃金制度のあり方について」答申
(1)  全国全産業の労働者があまねく最低賃金の適用を受ける状態が実現されるよう配慮されるべきである。その際には、労働市場に応じ産業別、職業別又は地域別に最低賃金を設定することを基本とすべきである。この場合、低賃金労働者が多数存在する産業、職業又は地域から逐次最低賃金を適用し、すべての労働者に包括的に適用を及ぼすという姿勢が肝要である。
(2)  このため、年次推進計画を中央最低賃金審議会の意見を聴いて作成し、積極的にその推進を図る。

昭和46年5月
「最低賃金の年次推進計画」の策定
   昭和46年度を初年度とし、少なくとも昭和50年度までに、すべての労働者に最低賃金の適用を図ることを目標とする。
 これがため、低賃金労働者が多数存在する主要な産業又は職業などから最低賃金の設定を推進し、労働市場の実情に応じ、これと並んで地域別最低賃金の設定を進めるものとする。
 地域別の最低賃金が設定され、当該地域のすべての労働者に最低賃金の適用が及んだ場合は、当該地域における産業別又は職業別の最低賃金については、職種、年齢の区分を設けるなどの工夫を加え、基幹的労働者、一人前の労働者などについても、より実効性のある最低賃金が設定されるよう努めるものとする。

昭和51年1月
   すべての都道府県に地域別最低賃金が設定される。

昭和52年12月15日
中央最低賃金審議会「今後の最低賃金制のあり方について」答申
(1)  現行の最低賃金の決定方式は、今日なお地域間、産業間等の賃金格差がかなり大きく存在し、依然として地域特殊性を濃厚に持つ低賃金の改善に有効であるが、当面の最低賃金制のあり方としては、地方最低賃金審議会が審議決定する方式によることを基本としつつ、その一層適切な機能発揮を図るため、全国的な整合性の確保に資する見地から、(2)(3)の措置を講ずるべきである。
(2)  最低賃金額の決定の前提となる基本的事項である、(1)地域別最低賃金と産業別最低賃金のそれぞれの性格と機能分担、(2)高齢者の扱いその他適用労働者の範囲、(3)最低賃金額の表示単位期間のとり方などについて、中央最低賃金審議会がその考え方を整理し、これを地方最低賃金審議会に提示する。

昭和56年7月29日
中央最低賃金審議会「最低賃金額の決定の前提となる基本的事項に関する考え方について」答申
(1)  基本的考え方
 (1) 「大くくり産業別最低賃金」が果たしてきた、「最低賃金の効率的適用拡大」を図るという「経過措置的役割・機能」は見直す必要がある。
 (2) 今後、産業別最低賃金は、最低賃金法第11条の規定に基づくもののほか、関係労使が労働条件の向上又は事業の公正競争の確保の観点から地域別最低賃金より高い最低賃金を必要と認めるものに限定して設定すべき。
(2)  具体的手法
以下の条件に適合するもの。
   イ  「くくり方」は、「小くくり」。
   ロ  対象は、「基幹的労働者」。
   ハ  契機は、「関係労使の申出」。
   ニ  設定産業は、次のいずれか。
a. 同種の基幹的労働者の相当数に、最低賃金協約が適用されている産業(労働協約ケース)
b. 事業の公正競争の確保の観点から、同種の基幹的労働者に最低賃金を設定する必要が認められる産業(公正競争ケース)
(3)  「大くくり産業別最低賃金」の改善
 (1) 大くくり産業別最低賃金は、
   イ  低賃金業種・業務は適用除外
   ロ  18歳未満65歳以上は最低賃金額との関連において、必要に応じ適用除外する等の改善をすることができる。
 (2) 大くくり産業別最低賃金の廃止の時期と方法は、新産業別最低賃金の設定状況・(1)の改善実績を勘案し、昭和60年度に決定する。

昭和57年1月14日
中央最低賃金審議会「新しい産業別最低賃金の運用指針について」
(1)  くくり方
 原則として、日本標準産業分類の小分類、必要に応じ細分類。2以上の産業を併せて設定することも可。
(2)  基幹的労働者
 (1) 当該産業に特有の又は主要な業務に従事する者。当該産業の生産工程・労働態様に即して決める。
 (2) 基幹的労働者の規定方法には、2方法ある。
   イ  ポジティブリスト方式(該当する職種・業務を規定する)
   ロ  ネガティブリスト方式(該当しない職種・業務を規定する)
(3)  申出要件
 (1) 申出のケースは、労働協約・公正競争ケースの2タイプ。
   イ  労働協約ケース:同種の基幹的労働者の概ね1/2以上に協約が適用されており、協約締結当事者である労又は使の全部の合意による申出。
   ロ  公正競争ケース:公正競争確保を理由とする申出であって、当該産業別最低賃金が適用される労又は使の全部又は一部を代表する者による申出。
 (2) 申出書には、必要事項(代表する範囲、適用範囲、件名、申出内容、公正競争確保上最低賃金が必要な理由など申出理由)を記載。
(4)  必要性の決定等
 (1) 必要性の有無の決定は以下による。
   イ  形式的要件〔(イ)適用範囲が明確、(ロ)協約が1/2以上に適用(労働協約ケース)、(ハ)労又は使の全部の合意による申出(労働協約ケース)等々〕を満たした申出は、決定等の必要性を原則諮問
   ロ  公正競争ケースは、関連する諸条件を勘案の上、企業間、地域間、組織・未組織間に産業別最低賃金の設定を必要とする程度の賃金格差が存在する場合に設定
 (2) 必要性ありの場合に金額諮問。専門部会労使委員各3名のうち2名は、当該産業に直接関係する労使を代表する者。
(5)  了解事項
 (1) 必要性の有無は、新産業別最低賃金の設定の趣旨にかんがみ、全会一致の議決に至るよう努力。
 (2) 本運用方針は、新産業別最低賃金の設定状況等をみて昭和60年度に再検討。

昭和61年2月14日
中央最低賃金審議会「現行産業別最低賃金の廃止及び新産業別最低賃金への転換等について」答申
(1)  基本的考え方
 (1) 新産業別最低賃金の考え方については、昭和56年答申を踏襲する。
 (2) 旧産業別最低賃金は速やかに整理する。しかし、賃金秩序に対する急激な変化を回避し、業種によっては新産業別最低賃金への転換の準備期間を考慮する必要がある。このため、整理にあたっては、次の方針の下に行う。
(2)  整理にあたっての方針と具体的手法
 (1) 旧産業別最低賃金は、年齢(18歳未満、65歳以上)・業務(a清掃・片付け、b雇入れ後一定期間以内の者で技能修得中のもの、c産業特有の経緯業務)・業種(当該業種の第1・10分位数が調査産業計のそれより低く、他の特性値も同様の傾向にあるなど平均的な賃金分布より低位な業種)の適用除外を計画的・段階的(年齢=60年度、業務=61年度、業種=62・63年度)に行う
 (2) (1)の計画的・段階的な適用除外(適用除外の方針決定でも可。業種は検討中でも可)が行われないものは、改正諮問を行わない。
 (3) 新産業別最低賃金へ転換することが適当なものは、転換のために必要な準備・調整作業等(他の業種が適用除外され例外的に残る業種の適用除外の適否や、適用除外対象業種であるが主要産業であるものの取扱いなどを含む「くくり方」等の工夫)を行っておく
 (4) 計画的・段階的適用除外や転換のための準備・調整を円滑に行うため、地方最低賃金審議会に意見調整の場(小委員会等)を設ける。
 (5) 計画的・段階的適用除外、準備・調整を終えた旧産業別最低賃金のうち、申出があり新運用方針に適合する場合には新産業別最低賃金としての合理的理由があるものとして、関係者は昭和64年度中に転換できるよう努力する。
 (6) 転換できなかった旧産業別最低賃金は、昭和64年度以降凍結する。
(3)  運用方針の一部改正
 新産業別最低賃金の運用方針は、転換の場合の経過措置を設けるなどの一部改正を行う。

平成4年3月30日
中央最低賃金審議会「公正競争ケース」検討小委員会報告
   検討の過程において
 (1)  61年答申は慎重な審議を経て出されたものであり、現在は、61年答申を尊重し、その適切な運用により新産業別最低賃金の定着に向け関係者は努力が必要であること
 (2)  新産業別最低賃金は61年答申の趣旨に鑑みれば、「同種の基幹的労働者の相当数について最低賃金に関する労働協約が適用される場合」(以下「労働協約ケース」という。)を中心に想定していたものと理解することが適当であることに加え、特に、61年答申前文にあるとおり「関係労使が労働条件の向上又は事業の公正競争の確保の観点から地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を必要と認めるものに限定して設定すべき」とされていること
  の2点を基本的前提とし、諸点を整備。


1  「公正競争」の概念と「公正競争ケース」に対する考え方
 種々の法律においていわゆる公正競争の規定がみられるが、公正競争の概念は幅の広いものであり、それぞれの法律の目的等によりその意味するところは当然に異なり、事業法等他の法律における公正競争概念と最低賃金法上のものは必ずしも同一概念ではない。
 公正競争の確保は「労働条件の改善を図る」という第一義的な目的とは異なり、最低賃金の設定により達成される副次的な目的。
 法における公正競争の確保とは賃金の不当な切下げの防止によって達成されるものであり、地域別最低賃金が全都道府県において設定されている現在、賃金の不当な切下げの防止は一定の水準ですでに措置されており、"一定の公正競争"は確保。
 新産業別最低賃金は、目的を限定し、かつ、関係労使の合意を前提に、主として「労働協約ケース」は61年答申前文の「労働条件の向上」を、また「公正競争ケース」は「事業の公正競争の確保」を受けて設定されていると理解することが適当。とりわけ、「公正競争ケース」で申出される新産業別最低賃金は"より高いレベルでの公正競争"の確保を主たる目的とすると理解することが適当

 公正競争ケースの取扱い
(1)  申出の要件
 「公正競争ケース」は、申出の内容は個別の事案により種々異なることが想定され、また賃金格差の程度についてもその生ずる要因は多様であり、申出の要件として定量的要件を一律に付すことは適当でない
 申出者は申出に当たって、賃金格差の存在等個別具体的な疎明が不可欠。申出の受理に当たっては特に申出の背景も含め疎明の内容について十分審査すること。
 また、申出者は関係労使の合意が得られるよう労働協約の締結・機関決定等に努めることが重要である。
 なお、当該最低賃金の適用を受けるべき労働者又は使用者の概ね1/3以上のものの合意による申出があったものについては受理・審議会への諮問が円滑に行われることが望ましい。
(2)  原則諮問
 少なくとも必要性の諮問は「原則的」に行うことが適当である。
 しかし、法及び61年答申の趣旨から、競争関係が認められない事業等明らかに新産業別最低賃金の設定に無理があると判断でき得るものは原則諮問の対象外とすることが妥当。
(3)  決定の必要性に関する要件(「賃金格差が存在する場合」の考え方)
 一般の産業では企業間等に賃金格差は通常存在しており、またその生ずる要因は多様である。どの程度の賃金格差があれば、賃金の不当な切下げの防止のため新たに産別最賃の設定が必要であるかを明らかにすることは事実上不可能であり、賃金格差の程度について一定基準を定めることは適当でない
 最低賃金の決定の審議に当たっては61年答申の趣旨を踏まえ当該事案について「産業別最低賃金の設定を必要とする程度の賃金格差が存在する場合」に該当するかどうか、すなわち競争関係の存在を前提にして"より高いレベルでの公正競争"確保の必要性について、疎明の内容、関係労使間の合意形成の状況等を踏まえ審議会において適切な判断がなされることを期待。
(4)  特記事項
 (1) 使側は、経済構造の急速な変化等もあり、産業別最低賃金と地域別最低賃金の役割分担について、なお、議論が必要との見解を表明。
 (2) 基幹的労働者の範囲は、業種・規模・地域で多種多様であり、審議会における適切な審議を期待する。
 (3) 労側は、申出手続を簡略化(合意署名は3年に1度等)すべきとの見解を表明。

平成7年4月28日
中央最低賃金審議会 目安制度のあり方に関する全員協議会報告
(1)  賃金改定状況調査における賃金上昇率の算出方法の変更
 (1) 「パート労働者の賃金水準とそのウェイトの変化」が反映されるようにするため、一般労働者及びパート労働者の全労働者について賃金上昇率を求めることが適当である。
 (2) 「男女構成の変化」については、従来この影響が反映された賃金上昇率と当該影響を除去した賃金上昇率とを算出していたが、前者のみを算出することが適当である。
 (3) 「就労日数の増減」が反映されるように賃金水準上昇率を算出することが適当である。
(2)  各都道府県の各ランクへの振分けの見直し
 地域別最低賃金は、各都道府県の賃金水準、生活水準等の動向を可能な限り反映したものとなることが公平性の観点からも望ましいと考えられる。そこで、上記の問題点を改善するため、各都道府県の経済実態に基づき各都道府県の各ランクへの振分けを見直し、今後見直し後のランクで目安を示すこととする。
 ランク数及び各都道府県の各ランクへの振分けについては、今後の目安制度の円滑な運用を図るためには、昭和53年以来実施され定着している面もある現行のランクとの継続性に留意する必要があるとともに、目安が法定労働条件としての最低賃金額に関わるものであることにかんがみ、その法的な安定性という面も考慮しなければならないことを踏まえつつ検討した。
 この結果、ランク数については、従来と同様4つとすることが適当である。
 また、各都道府県の各ランクへの振分けに当たっては、各都道府県の経済実態を示す総合指数を基本に、原則として総合指数に比較的大きな格差のある府県間に注目するとともに各ランクにおける総合指数の分散度合を全体的に小さくする方向でランクの境界を設定する。
(3)  表示単位
 地域別最低賃金の表示単位については、具体的に最低賃金の適用対象となる労働者層(いわゆる未満労働者)についてみると、就業形態ではパート労働者よりも一般労働者の方が多く、賃金支払形態別の割合では月給者が約6割弱、日給者及び時間給者が約2割であること、現在までの労働時間短縮は労働日数の減少が主であり、1日当たりの労働時間にはほとんど変化がないこと等からみて、現行の日額・時間額併用方式には現時点でそれほど大きな問題はないと考えられる。したがって、当面、現行通り日額・時間額併用方式を維持することとする。目安額の表示単位についても、当面、現行の日額表示を維持することが適当である。

平成10年12月10日
中央最低賃金審議会 産業別最低賃金に関する全員協議会報告
(1)  基本的な考え方
 (1) 産業別最低賃金のあり方については今後時機を見てさらなる議論を深め、審議していくことが適当
 (2) 産業別最低賃金の運用面について一定の改善が図られることが適当
(2)  個々の産業別最低賃金についての審議促進等
 (1) 「産業別最低賃金(公正競争ケース)の審議に当たっての視点」「産業別最低賃金(公正競争ケース)の審議に当たっての審議参考資料」を参考として個々の産業別最低賃金について十分な審議を行うこと。
 (2) 必要に応じ、適用除外業務及び業種のくくり方について見直しを行うこと。
 (3) 公正競争ケースから労働協約ケースによる申出に向けての関係労使の努力を期待。
(3)  産業別最低賃金の審議手続上の取扱いの改善
 (1) 中小企業関係労使の意見の反映
   イ  中小企業関係労使からの選任や当該産業の中小企業関係労使からの意見聴取に配慮すること。
   ロ  合意の当事者に中小企業関係労使がより含まれるように努めることが望ましいこと。
 (2) 賃金格差疎明資料添付の徹底及び審議会の効率的運営
   イ  申出者は公正競争ケースによる産業別最低賃金の決定等の申出の際の個別具体的な疎明に当たっては、賃金格差の存在の疎明のための資料の添付を徹底すること。
   ロ  改正の必要性の審議に当たって、制度の趣旨を逸脱することがないと認められる場合には、一括して審議を行うこととする等、審議会の効率的運営に配慮すること。

平成14年4月2日
中央最低賃金審議会 時間額表示問題全員協議会報告
   地域別最低賃金額の表示単位について、時間額単独方式に移行

平成14年12月6日
中央最低賃金審議会 産業別最低賃金制度全員協議会報告
(1)  基本的な考え方
 (1) 産業別最低賃金設定の趣旨である関係労使のイニシアティブ発揮を中心とした改善の在り方について検討。
 (2) 法改正を伴う事項も含めた産業別最低賃金の在り方については、時機を見て新たに検討の場を設け、中長期的な視点から更なる議論を深めることが適当
(2)  関係労使のイニシアティブ発揮による改善
 (1) 申出の意向表明後速やかに、関係労使当事者間の意思疎通を図ること。
 (2) 「必要性審議」について、従来どおりの方法で行うか、当該産業の労使が入った場で行うかを、地域、産業の実情を踏まえつつ検討すること。
 (3) 「金額審議」については、全会一致の議決に至るよう努力することが望ましいこと。
 (4) 行政の役割とあいまって、当該産業別最低賃金が適用される関係労使がその自主的な努力により、産業別最低賃金の周知及び履行確保に努めることが望ましいこと。
(3)  その他の改善
 (1) 公正競争ケースから労働協約ケースによる申出に向けて一層努めること。賃金格差の存在を疎明するための資料の一層の充実を図ること。
 (2) 産業別最低賃金における「相当数の労働者」の範囲についても、原則として1,000人程度とし、地域、産業の実情を踏まえ、1,000人程度を下回ったものについては、申出を受けて廃止等について調査審議を行うこと。
 (3) 申出の意向表明後速やかに、事務局から当該産業別最低賃金の基幹的労働者である適用労働者数等を明示し、関係労使に通知すること。
 (4) 産業別最低賃金の表示単位期間の時間額単独方式への移行についても、地域、産業の実情を踏まえつつ検討すること。

平成16年12月15日
中央最低賃金審議会 目安制度のあり方に関する全員協議会報告
(1)  表示方法及びランク区分のあり方について
 (1) ランク設定の必要性
 地域別最低賃金の表示単位期間がすべて時間額単独方式に移行したこともあり、ランクごとの目安額に差が生じにくくなっており、ランクを設定する意義が低下しているが、時間額単独方式移行後、短期間しか経過していないこと等から、当面ランク制度を維持することが適当。
 ただし、次回の見直しの際には、ランク設定の必要性を改めて検討。
 (2) 表示方法について
 ランク制度の維持を前提とするならば、当面は現行の各ランクごとの引上げ額による表示を引き続き用いることが適当。
 (3) 新しい総合指数に基づく各都道府県の各ランクへの振り分け
 平成7年及び平成12年に続く今回の見直しにおいても、4ランク制を前提としてランク区分の基礎となる20の指標に基づき、新たな総合指数を算出し、別紙のとおり各都道府県を各ランクに振り分ける。

(2)  賃金改定状況調査等参考資料のあり方について
賃金改定状況調査における賃金上昇率の計算方法について
 賃金改定状況調査結果第4表の賃金上昇率の計算方法については、パートタイム労働者構成比の変化によって賃金上昇率が影響を受けることは望ましくないことから、今後はパートタイム労働者構成比の変化よる影響を除去して賃金上昇率を計算する方法を採用

(3)  改定審議のあり方について
 中賃における目安の提示と地賃における改定審議は2年に1回程度行えば足りるとする意見が出されたが、最低賃金は社会経済情勢を踏まえ時宜にかなった改正が行われるべきこと等を考慮すると、毎年目安を示すことが適当。

(4)  金額水準について
 労使の見解に隔たりがあり、明確な結論を得ることができなかったが、最低賃金の金額審議に当たっては、引き続き各種資料を総合的に勘案し、最低賃金の機能が適切に発揮されるよう審議することが必要。


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