VIII.病院の状況,手術の有無等と血液製剤使用量との関連

 各血液製剤(M・A・P,FFP,PC,アルブミン,グロブリン)の一般病床数千床当りの平均使用量を,病床数毎(20-99床,100-199床,200-299床,300-499床,500床以上)に集計した.ここでは,各病院千床当たりの使用量の平均値を集計し,各区分ごとに赤血球MAPとFFPを表示する.
 (1)救命救急センター あり・なし
 (2)病院輪番制 あり・なし
 (3)全麻手術 あり・なし
 (4)心臓手術 あり・なし
 (5)造血幹細胞移植 あり・なし
 (6)臓器移植(肝腎の合計) あり・なし
 (7)血漿交換数 あり・なし
 (8)血液疾患患者 あり・なし
 (9)血液透析ベッド あり・なし

1-1 救急救命センターの有無と赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  救命救急センターあり 救命救急センターなし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 12 16053.5 31349.4 2000 3458.9 3568.5
b 100-199床 12 5095.7 4158.2 500 4084.9 3313.0
c 200-299床 7 4040.5 1368.0 257 4905.3 3470.2
d 300-499床 36 7979.2 4390.8 342 6093.7 3794.8
e 500床以上 102 10527.7 3061.2 130 8395.0 3595.7
169 9722.8 9054.3 2299 4427.8 3781.9
千床当たりの平均使用量は救命救急センターが「あり」の場合は9722.8と「なし」場合の4427.8に対して2.2倍であった.これを病床規模別に見ても200〜299床を除いてはいずれも救命救急センター「あり」が「なし」に比較して使用量が多かった

1-2 新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関係(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  救命救急センターあり 救命救急センターなし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 7 12572 20527.5 627 1677.9 4926.2
b 100-199床 12 2485.7 2880.0 448 2086.8 4012.8
c 200-299床 7 3229.1 3791.3 244 2737.3 3419.4
d 300-499床 36 5291.3 3738.8 336 3788.6 3865.8
e 500床以上 102 8974.8 5885.9 130 6298.4 4582.1
164 7599.7 6872.8 1785 2659.2 4482.6
千床当たりの平均使用量は救命救急センターが「あり」の場合は7599.7と,「なし」の場合の2659.2に対し2.9倍であった.これを病床規模別に見ると,全ての病床規模において「あり」が「なし」より多かった

2-1 病院群輪番制の有無と赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  病院輪番制に入っている 入っていない
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 586 3229.2 5582.5 432 3999.9 3397.3
b 100-199床 210 3697.1 4115.5 286 4525.1 3103.7
c 200-299床 75 4389.2 2786.8 178 5038.4 3626.0
d 300-499床 109 6219.0 4759.3 257 6355.5 3529.5
e 500床以上 88 10283.1 3319.6 123 8410.7 3481.4
1068 4289.0 5307.0 1276 5162.1 3660.2

2-2 新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  病院輪番制に入っている 入っていない
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 311 1501.4 4001.5 291 2155.9 6770.8
b 100-199床 178 2092.5 5130.2 269 2136.6 3185.7
c 200-299床 69 2727.9 2965.1 172 2735.0 3557.5
d 300-499床 106 3939.3 3734.9 254 3978.4 3979.1
e 500床以上 87 9374.7 5385.2 124 5925.3 4979.8
751 3010.4 4987.7 1110 3079.1 4929.8

3-1 全身麻酔下の手術と赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用の平均)
  全身麻酔下手術あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 655 4031.5 5499.1 387 2793.7 3889.8
b 100-199床 455 4393.0 3613.8 38 1069.8 984.7
c 200-299床 249 5021.1 3441.8 8 757.6 1311.3
d 300-499床 366 6382.2 3950.0 2 336.1 227.0
e 500床以上 231 9389.2 3447.5 2 132.4 87.0
1956 5314.2 4679.6 437 2583.1 3722.4
千床当たりの平均使用量は全身麻酔手術「あり」の場合は5314.2と「なし」の2583.1の2.1倍であった.これを病床規模別に見ても全ての病床規模において「あり」が「なし」より多かった

3-2 新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  全身麻酔下手術あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 448 2141.8 6320.1 156 865.5 1451.1
b 100-199床 419 2207.4 4174.4 21 570.0 812.4
c 200-299床 240 2817.0 3469.9 5 282.9 456.3
d 300-499床 360 4063.7 3964.1 2 49.7 8.9
e 500床以上 232 7487.4 5326.9 1 604.0 0
1699 3390.5 5184.1 185 806.0 1368.7
千床当たりの平均使用量は全身麻酔手術「あり」の場合は3390.5と「なし」の806.0の4.2倍であった

4-1 心臓手術(開心術)と赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  心臓手術あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 13 14705.8 23280.7 1067 3455.9 4125.2
b 100-199床 27 10709.2 8226.8 481 3772.5 2673.5
c 200-299床 25 8953.0 5153.0 233 4417.3 2915.3
d 300-499床 112 8760.2 4968.4 262 5315.5 2887.0
e 500床以上 181 9904.8 3018.5 48 6822.8 4179.6
358 9715.2 6207.1 2091 3946.2 3643.9
千床当たりの平均使用量は,心臓手術(開心術)「あり」の場合は9715.2と「なし」の3946.2の2.5倍であった.病床規模別に見ると全ての病床規模において「あり」のほうが「なし」よりも多かった

4-2 新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均) 心臓手術ありなし
  心臓手術あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 13 14919.1 25557.1 618 1520.4 3689.3
b 100-199床 27 9150.6 11611.5 428 1671.6 2402.8
c 200-299床 24 8120.3 7285.2 222 2125.1 1965.3
d 300-499床 112 6225.0 5259.1 257 2977.3 2580.6
e 500床以上 182 8267.0 5316.0 47 3940.5 3389.4
358 7926.5 7809.3 1572 1957.5 3044.5
千床当たりの平均使用量は心臓手術(開心術)「あり」の場合は7926.5と「なし」の1957.5の4.0倍であった

5-1 造血幹細胞移植と赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  造血幹細胞移植あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 3 13568.9 5437.1 1078 3565.8 4904.7
b 100-199床 9 6076.2 2896.7 502 4118.6 3558.2
c 200-299床 13 11329.9 7854.6 247 4534.4 2682.8
d 300-499床 60 9148.4 4059.8 313 5820.8 3712.9
e 500床以上 156 10302.2 3175.1 73 6862.5 2959.9
241 9953.2 3904.4 2213 4227.0 4292.5
千床当たりの平均使用量は造血幹細胞移植「あり」の場合は9953.2と「なし」の4227.0の2.4倍であった.病床規模別に見ると全ての病床規模において「あり」のほうが「なし」よりも多かった

5-2 造血幹細胞移植と新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  造血幹細胞移植あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 3 2888.1 4231.9 629 1790.8 5425.0
b 100-199床 9 3908.8 3502.6 449 2061.4 4014.4
c 200-299床 13 5893.0 5942.5 234 2555.4 3149.6
d 300-499床 59 5775.7 4444.2 309 3653.1 3746.1
e 500床以上 157 8503.3 5495.9 72 4644.9 3010.8
241 7453.3 5385.8 1693 2429.5 4490.4
千床当たりの平均使用量は造血幹細胞移植「あり」の場合は7453.3と「なし」の2429.5の3.1倍であった.病床規模別に見ると全ての病床規模において「あり」のほうが「なし」よりも多かった

6-1 臓器移植(肝腎)と赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  臓器移植(肝腎)あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 1 11772.7 0 1081 3583.2 4926.2
b 100-199床 2 9620.6 3922.9 510 4135.5 3538.4
c 200-299床 4 11680.3 13367.9 257 4736.8 3008.9
d 300-499床 23 6870.4 3827.3 355 6304.3 3951.0
e 500床以上 73 10669.6 3172.3 157 8584.5 3479.3
103 9850.8 4280.3 2360 4570.2 4466.8
千床当たりの平均使用量は臓器移植(肝腎)「あり」の場合は9850.8と「なし」の4570.2の2.1倍であった

6-2 臓器移植(肝腎)と新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  臓器移植(肝腎)あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 1 6106.1 0 631 1789.1 5419.4
b 100-199床 2 1422.0 843.4 457 2115.4 4027.9
c 200-299床 4 6352.7 5338.3 244 2663.0 3355.0
d 300-499床 23 5341.4 4812.5 350 3892.9 3853.8
e 500床以上 73 11054.4 5994.5 157 5640.8 3853.3
103 9361.0 6212.6 1839 2715.4 4586.9

7-1 血漿交換と赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均) 血漿交換ありなし
  血漿交換あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 36 9957.5 18471.6 1027 3367.8 3510.5
b 100-199床 72 6533.6 4512.8 427 3670.3 2900.4
c 200-299床 96 6174.5 4262.9 154 4076.8 2631.3
d 300-499床 220 7252.0 4201.2 142 4901.4 3022.1
e 500床以上 201 9455.5 3454.0 17 7009.4 3826.0
625 7868.2 6007.0 1767 3661.0 3308.7
千床当たりの平均使用量は血漿交換「あり」の場合は7868.2と「なし」の3661.0の2.1倍であった.病床規模別に見ると全ての病床規模において「あり」のが「なし」より多かった

7-2 血漿交換と新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  血漿交換あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 36 9957.5 18471.6 1027 3367.8 3510.5
b 100-199床 72 6533.6 4512.8 427 3670.3 2900.4
c 200-299床 96 6174.5 4262.9 154 4076.8 2631.3
d 300-499床 220 7252.0 4201.2 142 4901.4 3022.1
e 500床以上 201 9455.5 3454.0 17 7009.4 3826.0
625 7868.2 6007.0 1767 3661.0 3308.7
千床当たりの平均使用量は血漿交換「あり」の場合は5793.8と「なし」の1644.2の3.5倍であった.病床規模別に見ると全ての病床規模において「あり」のほうが「なし」より多かった

8-1 血液疾患患者と赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  血液疾患患者あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 140 4249.5 5054.3 871 3475.2 5017.7
b 100-199床 128 5021.9 3209.0 339 3822.1 3774.6
c 200-299床 111 6176.2 4121.2 107 3541.7 2177.2
d 300-499床 230 7030.2 4249.2 97 4834.0 2993.8
e 500床以上 203 9500.1 3522.2 9 6814.3 3262.7
812 6734.9 4471.5 1423 3676.6 4471.4
千床当たりの平均使用量は血液疾患患者「あり」の場合は6734.9と「なし」の3676.6の1.8倍であった

8-2 血液疾患患者と新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  血液疾患患者あり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 91 1372.2 2447.0 499 1788.1 5850.5
b 100-199床 123 2715.5 4119.9 295 1812.0 4091.7
c 200-299床 105 3192.1 4367.3 101 2203.3 2336.6
d 300-499床 229 4161.7 4080.9 94 3368.0 3487.4
e 500床以上 203 7579.4 5425.4 9 6482.8 3861.3
751 4375.1 4863.1 998 2028.3 4922.4
千床当たりの平均使用量は血液疾患患者「あり」の場合は4375.1と「なし」の2028.3の2.2倍であった

9-1 血液透析ベッドと赤血球MAP使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  血液透析ベッドあり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 207 5202.0 4029.8 873 3216.0 5049.4
b 100-199床 232 5233.6 3636.6 278 3269.1 3228.3
c 200-299床 156 5161.9 3259.4 103 4470.7 3660.5
d 300-499床 276 6717.6 3994.0 101 5184.4 3504.3
e 500床以上 203 9384.4 3461.6 23 8720.0 4368.1
1074 6383.0 4043.3 1378 3556.7 4606.9
千床当たりの平均使用量は血液透析ベッド「あり」の場合は6383.0と「なし」の3556.7の1.8倍であった

9-2 血液透析ベッドと新鮮凍結血漿(FFP)使用量との関連(各病院の千床当たりの使用量の平均)
  血液透析ベッドあり なし
施設数 平均使用量(単位) SD 施設数 平均使用量(単位) SD
a  20-99床 142 1868.6 3185.9 491 1774.8 5902.4
b 100-199床 221 2578.8 3646.6 236 1687.2 4323.6
c 200-299床 150 2648.1 2559.1 96 2825.6 4419.1
d 300-499床 275 4249.7 4125.7 96 3182.9 3194.5
e 500床以上 203 7558.6 5397.3 23 6722.8 4816.2
991 3971.3 4475.9 942 2124.2 5210.3
千床当たりの平均使用量は血液透析ベッド「あり」の場合は3971.3と「なし」の2124.2の1.9倍であった


IX.血液製剤使用量に及ぼす要因(重回帰解析)
1.M・A・P総使用量と関連する因子

目的変数:千床当M・A・P総使用量
説明変数   P  標準偏回帰係数
Inter cept <.0001 0
一般病床数 <.0001 0.16611
千床当全身麻酔下総手術件数 <.0001 0.16175
千床当心臓手術件数 <.0001 0.21757
千床当造血幹細胞移植件数 <.0001 0.16766
千床当臓器移植件数 0.7836 0.00567
千床当血漿交換件数 0.0061 0.05253
千床当血液疾患患者1日当入院数 <.0001 0.13081
千床当血液透析ベッド数 <.0001 0.11781
P<.0001,1997件
R-Square 0.2873
Adj R-Sq 0.2844

 千床当たりのM・A・P総使用量との関連を多変量解析の手法を用いてみると,「千床当全身麻酔下総手術件数」,「千床当心臓手術件数」,「千床当造血幹細胞移植件数」,「千床当血液疾患患者1日平均入院数」「千床当血液透析ベッド数」は危険率0.01%以下で有意差があった.

2.FFP総使用量と関連する因子

目的変数:千床当FFP総使用量
説明変数   P  標準偏回帰係数
Inter cept 0.0081 0
一般病床数 <.0001 0.26185
千床当全身麻酔下総手術件数 <.0001 0.13021
千床当心臓手術件数 <.0001 0.28498
千床当造血幹細胞移植件数 0.0033 0.06445
千床当臓器移植件数 <.0001 0.16194
千床当血漿交換件数 <.0001 0.11263
千床当血液疾患患者1日当入院数 0.1136 0.03146
千床当血液透析ベッド数 0.0927 0.03233
P<.0001,1739件
R-Square  0.3776
Adj R-Sq  0.3747

 千床当たりのFFP総使用量との関連を多変量解析の手法を用いてみると,「千床当全身麻酔下総手術件数」,「千床当心臓手術件数」,「千床当臓器移植件数」,「千床当血漿交換件数」,は危険率0.01%以下で有意差があった.

3.PC総使用量と関連する因子

目的変数:千床当PC総使用量
説明変数   P  標準偏回帰係数
Intercept 0.2452 0
一般病床数 <.0001 0.13224
千床当全身麻酔下総手術件数 0.0554 0.03329
千床当心臓手術件数 0.0005 0.05682
千床当造血幹細胞移植件数 <.0001 0.47297
千床当臓器移植件数 0.0080 0.04562
千床当血漿交換件数 0.3783 0.01404
千床当血液疾患患者1日当入院数 <.0001 0.34688
千床当血液透析ベッド数 0.9388 0.00123
P<.0001,1705件
R-Square  0.5775
Adj R-Sq  0.5755

 千床当たりのPC総使用量との関連を多変量解析の手法を用いてみると,「千床当造血幹細胞移植件数」,「千床当血液疾患患者1日平均入院数」は危険度0.01%以下で有意差があった.

4.アルブミン,グロブリン使用量と関連する因子
 千床当たりの関連を上記と同様に計算すると,人血清アルブミンでは「千床当心臓手術件数」が,グロブリンは「千床当造血幹細胞移植件数」が,危険率0.01%以下で有意差があった.


X.考察

1.輸血部門管理体制について
1)血液入出庫,輸血検査ならびに台帳管理などの輸血業務を一元管理している施設は全体で45.9%あった.一元管理している施設の血液製剤の使用量はしていない施設より多く,使用量の多い施設ほど管理の一元化が進んでいる事が分かる.
2)輸血療法監督医師をおいている施設は全体で44.4%あったが,この輸血療法監督医師が日本輸血学会の認定医であるのはその内の7.0%であった.今後,専門医の養成と確保が求められる.また輸血療法委員会は全体で55.6%に設置されており,300床以上では90%以上に施設されていた.
これらの管理体制は大規模施設ほど充実しており,日常的に輸血を実施している施設では輸血の管理体制が整えられている事がうかがえる.

2.血液製剤による副作用(輸血感染症を含む)対策について
副作用の院内報告体制は全体で約6割が,また日赤への報告体制は300床以上で約6割が整備されていたが,輸血後感染症追跡調査は「一部のみ実施」と回答した施設が多く見られたが,遡及調査ガイドラインも出来た事から今後追跡調査についても全例の実施が求められる.一方輸血事故の報告体制はほとんどの施設で整備されており,防止策への取り組みもされていた.しかし,照射血液を使用しない施設が38施設(1.5%)あり,照射血液使用の更なる周知が望まれる.

3.血液製剤の適正使用について
「輸血療法委員会で検討し病院全体で取り組んでいる」と回答した施設は,「個々の医師に任せている」や「レセプトの減点に関してのみ病院で指導している」と回答した施設より血液製剤の使用量が多い事から,使用量の多い施設ほど輸血業務の一元管理,輸血学会認定医の確保,検査の24時間体制,使用記録の保存,血液製剤の管理台帳の整備,輸血療法委員会の設置など輸血業務の管理体制が整っていると推察される.

4.血液製剤の使用状況について
1)赤血球MAPや人血清アルブミンならびに静注用免疫グロブリンは300床以上の施設で全体の約75%が使用され,新鮮凍結血漿や血小板製剤,加熱人血漿蛋白も300床以上の施設で約85%が使用されていることから,全体の使用量を削減するためにはこれら大規模施設への対策が効果的である.
2)血液製剤使用量に最も大きな影響をあたえる要因は病床数と病院の機能である.500床以上と99床以下では,千床当たりの血液製剤使用量はほぼ2倍の差異を示していた.さらに「救命救急センター」,「全身麻酔下手術数」,「心臓手術」,「造血幹細胞移植」,「肝腎移植」,「血漿交換」,「血液疾患患者」ならびに「血液透析」と言った病院の機能が,血液使用量にほぼ2倍から血液の成分によっては4倍以上も影響していることが推察された.


(4)血液製剤の平均的使用量の検討資料
中部学院大学 人間福祉学部 田久 浩志

I.施設の機能分類による血液製剤の標準的な使用量
-病床区分、全身麻酔、心臓手術、造血幹細胞移植、血漿交換による検討-

1.はじめに
 血液製剤の適正な使用量を検討するために、病院の施設機能別に1000床あたりの血液製剤の統計量(件数、平均、標準偏差、50%値、75%値、90%値)を求めた。ここでは調査対象とした病院の医療機能を、全身麻酔の件数、心臓手術、造血幹細胞移植、血漿交換など(以後、機能パタンと略)で分類した。
 1000床あたりの血液製剤の使用量は必ずしも正規分布といえないため、全体の平均、標準偏差とともに、50%値(中央値)、75%値、90%値を求めた。また、アルブミン3gをFFP1単位に換算して、FFP/MAP、(アルブミン/3)/MAP、((アルブミン/3)+FFP)/MAPの比率を機能パタンごとに求めて資料を作成した。

2.対象と方法
 解析は2004年に血液製剤調査機構が全国の医療施設8110施設に血液製剤の使用について問い合わせた調査票を元に解析を行った。回答は3397施設から回答があり(回収率41.9%)、血液製剤の使用なし、一般病床が20床未満、回答不備の825施設を除くと有効回答は2572施設であった。
 調査票では、施設所在地、一般病床数とともに、病院機能として三次高度救急の救命救急センター、病院群輪番制、全身麻酔手術、心臓手術、造血幹細胞移植、臓器移植、血漿交換、血液疾患患者、血液透析などの実施や参加の有無、その実施数を質問した。また輸血部門の管理体制、血液製剤による副作用対策、血液製剤の適正使用対策への取り組みなどの各種の管理体制を質問した。
 血液製剤の使用状況については、赤血球MAP「日赤」総使用量、新鮮凍結血漿(FFP)、血小板製剤(PC)、加熱人血漿蛋白、人血清アルブミン、静注用グロブリンなどの平成12年度から平成14年度の使用状況を質問した。解析にあたってはMicrosoft社のExcel2002、SAS社JMPVer5.11で解析を行った。
 今回の解析対象は一般病床数が20床以上の病院とし,一般病床数は1:20-199、2:200-499、3:500-の3段階に分類した。全身麻酔の件数は、年間の件数を1000床あたりに換算し、1:全身麻酔なし、2:2000症例/年未満、3:2000症例/年以上の3段階とした。
 病院の機能を分類するために、上記の一般病床数区分、全身麻酔区分に加え、心臓手術の有無、造血幹細胞移植の有無、血漿交換の有無を用いた。救命救急センターの有無を考慮すると機能パタンの一つあたりの施設数が非常に少なくなるので、今回は救命救急センターでの区分は行わなかった。
 以上の施設機能の有無をまとめると変数の一覧は以下のようになる。
  病床規模(一般)  (1)20-199床   (2)200-499床 (3)500床以上
  全麻手術  (1)なし (2)2000未満/年・1000床当り (3)2000以上/年・1000床当り
  心臓手術  (1)なし (2)あり
  造血幹細胞移植  (1)なし (2)あり
  血漿交換  (1)なし (2)あり

 これらの5桁の機能パタンに欠損値が無く、今回の対象となる施設は2290施設となる。ただし、病床規模、病床-全麻手術、施設機能パタンの各々1,2,5桁のパタンの集計において、各パタンの中では欠損値がないものを集計した。そのため、もし全身麻酔に欠損値があるものは、病床-全麻の集計では除かれるが、病床のみでは組み入れられる。これは少しでも、有効なデータを組み込むための処置である。なお、本報告書の各種の図表において12111もしくは21111といった標記を行うが、最初の一桁は病床規模、以後、全身麻酔の分類、心臓手術、造血幹細胞移植、血漿交換の有無を示す。
 実際の機能パタン毎の施設数を求めると表1のようになった。一つの分類の施設数が少ない区分では血液製剤の適正使用量を検討する場合、一部の異常値に影響を大きく受ける可能性がある。そこで、表1の中で太字の斜め字で示した施設を解析対象とした。これは、施設機能としてはおおむね一分類あたり15施設以上のものであるが、実際に各種の血液製剤を使用するものが11施設以上のものを対象とした。これは90%値を求めるのには当該血液製剤を扱う施設が11箇所必要なためである。
 今回は、表1に示す17種類を対象に標準的な使用量を検討することにした。これらの施設数の合計は、全有効回答病院2572施設中の2163施設、84.1%、となった。

 表1 病院の機能分類と施設数

表1 病院の機能分類と施設数

 血液製剤の使用量の単位は、MAP,FFP,PCにおいては単位(U)を用い、アルブミン(人血清アルブミン+加熱人血漿蛋白)、グロブリンにおいては実際の使用量(g)を用いた。血液製剤の使用量は一般病床1000床あたりに換算しなおした。MAPは調査票の赤血球MAP(平成14年度)使用量を用いた。FFP、血小板、アルブミン、グロブリンも平成14年度の値を用いた。アルブミン、グロブリンはパーセントの異なる数種類の血液製剤が存在するため、実際の使用した人血清アルブミン、加熱人血漿タンパク、グロブリンの重量から、アルブミン、グロブリンの重量を求めた。

3.結果
3.1 血液製剤の使用量について
 前述の17種類の機能パタンについて、施設数、病床数、使用した血液製剤の合計を示すと図1のようになり、これら17種類で全体の80%近くを占めていることが明らかとなった。
 各種血液製剤の総使用量の概要を把握するために機能パタンによりパレート図の図2-1から図2-3に示した。これから、どのような機能の病院が全体に対してどの程度の血液製剤を使用しているかがわかる。全体的に、病床数500以上、年間全身麻酔件数2000件/1000床以上、で心臓手術、造血幹細胞移植、血漿交換全てを行う施設(病院機能パタン33222)の使用量が多い。

図1 17種類の施設による施設数、一般病床数、各種血液製剤使用合計の比較

図1 17種類の施設による施設数、一般病床数、各種血液製剤使用合計の比較


図2-1 各種血液製剤使用合計のパレート図 MAP,FFP

図2-1 各種血液製剤使用合計のパレート図 MAP,FFP


図2-2 各種血液製剤使用合計のパレート図 PC、アルブミン

図2-2 各種血液製剤使用合計のパレート図 PC、アルブミン


図2-3 各種血液製剤使用合計のパレート図 グロブリン

図2-3 各種血液製剤使用合計のパレート図 グロブリン



3.2 各種の血液製剤の1000床あたりの分布
 平成14年度の1000床あたりの各種血液製剤の使用量の分布を図3-1、図3-2- 図3-3に示す。なお、本報告での散布図の表示において、●印:20床から200床未満、×印:200床以上500床未満、□印:500床以上を示す。図に示した箱ひげ図は、Xの水準別に点の分布を要約したプロットである。箱の両端は25パーセント点と75パーセント点で、この2つの4分位点の差が4分位範囲である。箱の中央を横切る線は標本の中央値を示し、どの箱にも両端に「ひげ」と呼ばれる線がついている。ひげは、箱の端から、次の式で計算された範囲内で最も遠くにある点まで伸びている。

 上側のひげ=4分位点+1.5*(4分位範囲)  下側のひげ=4分位点-1.5*(4分位範囲)

 従って、箱の上下に同じ長さのひげが伸びているのは上下に対称の分布を示す。図3-1、図3-2,図3-3からわかるように、多くの場合、上にすそを引いた分布である。また、全般的に11111,12111で異常値が多い傾向が見られる。それと同時に、X軸の右側の医療機能が高度な施設では、全体の分布の中央値は上昇するが、ばらつきは11111,12111ほど大きくはなっていない。軸の右側に位置する、33212,33222は500床以上で全身麻酔件数も多く、心臓手術、造血幹細胞移植、血漿交換のすべてをおこなっている施設である。

図3-1 MAP,FFPの分布

図3-1 MAP,FFPの分布


図3−2 PCの分布

図3−2 PCの分布


図3-3 アルブミン、グロブリン

図3-3 アルブミン、グロブリン



3-3 MAPとFFP、アルブミン、グロブリンとの比率について
 我が国の血液使用の問題点は,緒外国に比しアルブミンやFFPの使用量が多いことであり、これが血液法にうたわれた国内自給の達成に足かせとなっている。
 そこで赤血球使用は諸外国と対人口比で大差ないため,赤血球を基準にして対血漿比を示し,諸外国と比較することで,血漿の使用の実態を検討した。基本となる諸外国との比較を提供資料表1,2に示す。これらは血液製剤調査機構から2004/8/27に提供されたものである。この資料の算出にあたり、日本は全血200mlが1単位,諸外国では全血約450mlが1単位なので.200ml全血由来の赤血球製剤(赤血球濃厚液)1単位の赤血球の容量を80mとし,海外の赤血球製剤の容量を180mlとして計算した.またFFPは日本では1,2単位由来は1単位が80ml,5単位は450ml,諸外国ではFFPの容量が国によって異なっているため比較のために総L(容量)で表示してある。

 提供資料 表1 諸外国の赤血球製剤と血漿製剤の使用量
表1 諸外国の赤血球製剤と血漿製剤の使用量
*:赤血球容量の求め方:全血1単位は諸外国では450〜500mlだが日本では200mlなので,200ml全血由来の赤血球製剤(赤血球濃厚液)1単位の赤血球の容量を80mとし,海外の赤血球製剤の容量を180mlとして計算した.

提供資料 表2 1999年の分画製剤の使用状況
表2 1999年の分画製剤の使用状況
赤血球量及び人口は表1を用いた
表1,表2の参考資料
 「Blood collection and transfusion in Europe 2000」Marketing Research Bureau INC
「The plasma fractions market in the US 2000」
「The plasma fractions market in the US 2002」
「Report on Blood Collection and Transfusion in the US in 1999」National Blood Data Resource Center
日本赤十字社統計資料


 今回の調査ではFFPは全て単位数なので×80mlとし,MAPも×80mlとして容量換算して,FFP/MAP,アルブミン/MAP 比を算出した。
 次に提供資料 表1,2に示されたFFP/MAP比0.72,アルブミン/MAP比132.2が今回の調査対象ではどのようになっているかを検討した。具体的には、FFPとMAPに関してはともに80mlが1単位となっているのでそのままFFP/MAPの比を求めた。アルブミンに関してはアルブミン3グラムをFFP1単位と換算して、(アルブミン/3)/MAP、((アルブミン/3)+FFP)/MAPの値を求めた。この変換を行うと、提供資料表2のアルブミン/赤血球の比率の値は(80/(1000×3))=0.0266の値を乗じればよく、イギリス:0.303、ドイツ:0.62、フランス:0.646、日本:3.51となる。なお、今回の調査対象では、MAP、FFP、アルブミンのみ使用した施設も存在したため、分子、分母に0または欠損値を持つものは集計から除外した。全体の分布を図4に示す。これをみると医療機能が低いX軸の左側ではデータのばらつきが大きい傾向が観察される。特にアルブミンに関しては11111,12111で極端に大きな値を示す施設が存在した。

図4-1 FFP/MAP、(アルブミン/3)/MAPの分布

図4-1 FFP/MAP、(アルブミン/3)/MAPの分布


図4-2 ((アルブミン/3)+FFP)/MAPの分布

図4-2 ((アルブミン/3)+FFP)/MAPの分布



3-4 調査結果の統計量の数値
 今まで述べた施設の医療機能毎の血液製剤使用量(H14年度)の具体的な統計量を示す。統計量として、平均、標準偏差、50%値、75%値、90%値を算出するにあたり、対象とする施設の数が少ないと異常値に影響を大きくうける。そこで、ひとつの目安として5施設以上のものを対象とした。ただし、対象の施設数が5から10施設の場合は90%値を求められないので数表では太字、斜め文字、一本取り消し線でその旨を明確にした。
 なお、すでに述べたが病床規模、病床-全麻手術、施設機能パタンの各々1,2,5桁のパタンの集計において、各々のパタンの中では欠損値がないものを集計している。そのため、もし全身麻酔に欠損値があるものは、病床-全麻の集計では除かれるが、病床のみでは組み入れられる。これは少しでも、有効なデータを組み込むための処置である。

 実際の使用にあたっては、
1:自施設の機能パターンをもとめる。
2:最初に自施設の病床数をもとに、同規模の病床をもつ施設の中で自施設の血液製剤の使用量がどの程度のところに位置するか検討する。
3:次に全身麻酔手術の件数をもとに同規模も病床-全麻区分の中でどこに位置するかを検討する。
4:最後に、該当するパターン(11NNN etc.)があるときはその値を参考にして自施設が類似施設の中でどこに位置するかを検討する。
5:もし、該当するパターンが無い時は、病床、もしくは病床−全麻の2桁の値をみて全体の中でどこに位置するか検討する。
6:もし90%値を超える時は特殊疾患や重篤な患者の有無など、特別な事情があるか否かを検討する
7:値が極端に大きい時は、病床数が多く機能が多い施設(33YYY etc.)と比較し、血液製剤の使用について検討する
といった手順になるであろう。

表2-1 施設機能パタン別の1000床当たり統計量
MAP,FFP

表2-1 施設機能パタン別の1000床当たり統計量MAP,FFP


表2-2 施設機能パタン別の1000床当たり統計量 PC、アルブミン

表2-2 施設機能パタン別の1000床当たり統計量 PC、アルブミン


表2-3 施設機能パタン別の1000床当たり統計量 グロブリン、FFP/MAP

表2-3 施設機能パタン別の1000床当たり統計量 グロブリン、FFP/MAP


表2-4 施設機能パタン別の1000床当たり統計量
(アルブミン/3)/MAP、((アルブミン/3)+FFP)/MAP

表2-4 施設機能パタン別の1000床当たり統計量 (アルブミン/3)/MAP、((アルブミン/3)+FFP)/MAP


II.施設の管理分類による血液製剤の標準的な使用量
-輸血業務の一元管理、輸血療法の監督医師、輸血担当検査技師、輸血療法委員会による検討-

1.はじめに
 輸血業務の一元管理、輸血療法の監督医師、輸血担当検査技師、輸血療法委員会の4種類の機能の有無は、輸血業務に対する管理機能と考えられる。そこでこれらの機能の有無で施設を分類し、血液製剤の使用状況を調べた。

2.対象と方法
 対象としたのは、施設機能パタンで対象とした2163施設である。管理パタンとして4桁の数字を用いる。数字の意味は上位の数字から、輸血業務の一元管理、輸血療法の監督医師、輸血担当検査技師、輸血療法委員会の有無(無:1、有:2)を意味する。今回は救命有無、病床規模、全身麻酔件数による細分化は行わなかった。

3.結果
3-1 管理パタンによる各種血液製剤の1000床あたりの分布
 病床数を考慮せず、施設の血液製剤に対する管理パタンで検討した、各種血液製剤の1000床あたりの分布を表3-1、表3-2に、200床以上のもののみの値を表3-3、表3-4に示す。

表3-1 管理パタン別1000床当たりMAP,FFP,PC,アルブミンの使用量(全病床数対象)

表3-1 管理パタン別1000床当たりMAP,FFP,PC,アルブミンの使用量(全病床数対象)


表3-2 管理パタン別1000床当たり、グロブリン使用量、及びFFP/MAP、(アルブミン/3)/MAP、(アルブミン/3)+FFP)の値(全病床数対象)

表3-2 管理パタン別1000床当たり、グロブリン使用量、及びFFP/MAP、(アルブミン/3)/MAP、(アルブミン/3)+FFP)の値(全病床数対象)


表3-3 管理パタン別200床以上の施設の1000床当たりMAP,FFP,PC,アルブミン使用量
n数が少なく90%値、75%値、50%値が意味を持たないところは太字、斜め文字、取り消し線で示した

表3-3 管理パタン別200床以上の施設の1000床当たりMAP,FFP,PC,アルブミン使用量


表3-4 管理パタン別200床以上の施設の1000床当たり、グロブリン、FFP/MAP、(アルブミン/3)/MAP、((アルブミン/3)+FFP)使用量
n数が少なく90%値、75%値、50%値が意味を持たないところは太字、斜め文字、取り消し線で示した

表3-4 管理パタン別200床以上の施設の1000床当たり、グロブリン、FFP/MAP、(アルブミン/3)/MAP、((アルブミン/3)+FFP)使用


III.都道府県別の血液製剤の使用量
 各都道府県においてどのような医療機能の施設が存在するかはまちまちである。しかし、参考までに都道府県別の1000床あたりの血液製剤の使用量を求めた。表4-1から表4-4に該当する施設数、平均、標準偏差、50%値、75%値、90%値を示す。

表4-1 都道府県別、MAP,FFPの使用量

表4-1 都道府県別、MAP,FFPの使用量


表4-2 都道府県別、PC、アルブミンの使用量

表4-2 都道府県別、PC、アルブミンの使用量


表4-3 都道府県別、グロブリンの使用量、FFP/MAPの値

表4-3 都道府県別、グロブリンの使用量、FFP/MAPの値


表4-4 都道府県別、(アルブミン/3)/MAP、((アルブミン/3+FFP)/MAPの値

表4-4 都道府県別、(アルブミン/3)/MAP、((アルブミン/3+FFP)/MAPの値


IV.まとめ
 今まで明確でなかった、血液製剤の使用量について病院の医療機能、管理機能、都道府県毎に1000床あたりの使用量の現状分析(H14年度)をおこなった。今後、これらの数値をもとにすれば各施設の血液製剤の使用量が全体の中でどの程度に位置するかが容易に把握できる。
 また、実際の血液製剤の使用量合計に関して、病院の医療機能毎のパレート図を作成した。これを用いれば、今後、どのような医療施設に対策を施すのかが効果的かが容易に把握できることになる。
 今回の調査は、全医療施設に対する調査とはいえないが、血液製剤調査機構の調査に協力的な医療施設での血液製剤の使用量の実際を知る上には有効であると考える。本報告の図表が、適正な使用量の基準を検討するのに資することを望むものである。
 なお都道府県別の血液製剤使用量は,各施設の1000床当り使用量の平均値を用いているので,全施設の使用量の合計を1000床当りで算出してある他の同様な統計資料と比較する場合は,本検討の方が低めになる事を考慮して参考としていただきたい.なお、諸外国の血液製剤の使用量の資料を作成し提供してくださった、血液製剤調査機構調査課の鈴木典子氏に深く感謝いたします。


4.「我が国における血液製剤の平均的使用量に関する研究」協力者名簿

  氏名  
班長 高野正義 血液製剤調査機構
協力者 太田 宏 全日本病院協会(太田総合病院附属熱海病院)
川口 毅 昭和大学医学部公衆衛生学教室
櫻井秀也 日本医師会
白幡 聡 産業医科大学小児科学教室
橋孝喜 東京大学医学部附属病院輸血部
田久浩志 中部学院大学人間福祉学部健康福祉学科
半田 誠 慶應義塾大学病院輸血センター
平澤博之 千葉大学大学院医学研究科救急集中治療医学講座
藤井康彦 山口大学医学部附属病院輸血部
松崎道男 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院輸血部
門田守人 大阪大学医学系研究科病態制御外科学


5.調査票

平成15年度血液製剤使用動向の全国調査

 我国の血液製剤は未だ輸入に依存しているものも多く,国際的にも大きな問題になっています.そこで血液製剤使用の実態を把握し今後の血液対策に役立てるため本調査を行うこととなりました.ご多忙のところ恐縮ですが本調査にご協力賜りますようお願い申し上げます.なお,本調査に記載された内容は,他の目的に使用したり,外部に漏れることはありません.

 あてはまる項目に○を付けてください.なお回答が数字選択や数字記述になっている場合は,回答欄に数字を記載して下さい.1年間(平成14年度または14年次)の実績でご記入下さい.事務の方にもお聞き下さい.

調査票

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