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2004年11月15日
(社)日本看護協会

ALS患者の在宅療養支援コールセンターの活動報告


1.事業概要
 ○ 事業開始:平成15年12月1日
 ○ 電話相談:月・火・木の週3日
 ALS患者の看護経験豊富な相談員による相談窓口。制度利用に関する情報提供や相談者の了解のもと都道府県看護協会や相談者の地元の保健所等に連絡調整を行う。電話の他、ファックス・メールでも相談を受付。


2.活動実績
1)相談件数の推移(図1)
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2)相談者の属性(図2)
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3)相談内容(図3)
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<主な相談内容と支援内容>
 ○ ALS療養者への看護経験の豊富な相談員が対応し、難病研究機関など関係機関に照会を行ったほか、相談者の意向を確認したうえで、長期入院前のケアマネージャー及び訪問看護ステーションへ相談者の希望を伝えて、相談者の地域の支援チームに橋渡しを行った。
相談内容 支援内容
(1)ALS療養者の症状・疾患に関すること(27件)
人工呼吸器の取り扱い
排痰ケアの方法
コミュニケーション方法の確保
治験薬、病気の進行等の情報提供

行政等の関係機関の紹介
制度利用に関する情報提供
(2)療養環境・療養支援に関すること(14件)
退院移行時の療養環境について
訪問看護ステーションの紹介希望
ショートステイやレスパイト先の紹介希望
滅菌業者など医療機器関連業者の紹介希望

相談者の了解のもと、保健所等の関係機関に連絡し、地域支援体制の構築を働きかけ
(3)制度の利用に関すること(54件)
訪問看護制度の利用について
福祉器具(パソコンや環境制御装置、車椅子など)、医療機器・器具(低圧吸引器、パルスオキシメータ、衛生材料など)の入手方法

行政等の関係機関の紹介
制度利用に関する情報提供
(4)その他:53件
看護協会のALS事業、教育・研修に関すること
研修会の講師の紹介、マニュアルやパンフレットの入手方法について
「家族以外の者」の吸引に関する事柄
看護師の人材不足

情報提供


3.まとめ
1) 制度利用に際しての、行政解釈や運用の差による困難
 都道府県等におけるALS等難病支援対策、サービスに大きな格差があることや行政解釈、運用の差がみられている。加えて訪問看護制度の活用を考えたとき、医療保険と難病対策の利用となるが、その運用上の制約が都道府県によって異なる点、照会窓口が異なることから、総合的な判断が難しく、適切な利用を阻む要因のひとつとなっていることが指摘できる。

2) 具体的解決策検討に際しての困難
 コールセンターに寄せられる相談は、夜間支援者の不足や医療ニーズを満たしきれない訪問看護の体制など現行制度下での解決が困難な事例が多い。コールセンターの機能として、地域支援体制の構築を働きかけるべく、都道府県看護協会や各地域関係者への連絡を行っているが、地域側も「ない袖は振れない」のが実情である。
 寄せられる相談が現在進行形であることを充分に認識し、一事例に対しての取り組みを蓄積させていくなど、具体的な対応策の検討を行っていく必要がある。

3) 相談窓口としての役割の期待
 今後、ALSコールセンターでは、各都道府県看護協会とのさらなる連携を進め、各地域の訪問看護ステーションと情報共有を図り、ALS患者・家族等の相談者のために役立つ情報の提供を進めていきたい。
 特に、これまで難病の訪問看護に対する相談を専門的に行う場所はなく、当コールセンターが訪問看護提供者や地域支援の相談窓口として果たすべき役割は大きい。

4)今後の課題
(1) 訪問看護推進事業の各都道府県段階での推進
(2) 国の難病対策での神経難病医療ネットワークの体制強化
(3) 全県での難病相談支援センターの整備


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