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資料番号−3

「健康障害を防止するための指針」及び運用通達の内容


 指針の位置付け及びその概要
 厚生労働省では、国内で大量に製造、使用されている化学物質について哺乳動物(ラット、マウス)によるがん原性試験を実施し、その結果がん原性が認められた物質については、労働安全衛生法第28条第3項に基づく「健康障害を防止するための指針」(以下「指針」という。)を公表してきており、これまでに12物質について指針が公表されている。
 指針には、事業者が講ずべき措置として次の事項が規定されており、また、指針の公表と合わせて、これらの措置についての留意事項を記載した運用通達が示されている。
 (1)ばく露を低減するための措置
 (2)作業環境測定
 (3)労働衛生教育
 (4)製造等に従事する労働者の把握
 (5)危険有害性等の表示等
 厚生労働省では、平成15年度に「職業がん対策専門検討会」において新たに6物質についてがん原性試験結果の評価を行い、6物質それぞれについて「行政対応が必要」との検討会報告がなされている。このため、厚生労働省では、これら6物質についても、今後、指針及び運用通達を公表する予定である。

 指針及び運用通達の記載内容(作業環境測定関係)
 指針及び運用通達においては、指針対象物質の区分によって作業環境測定に関する記載の内容が異なっており、その概要は表1のとおりであり、既に指針が公表されている12物質及び今後指針を公表する予定の6物質の区分は表2のとおりである。


表1 指針対象物質の区分及び指針・運用通達の記載内容の概要(作業環境測定関係)

物質の区分 指針の記載内容 運用通達の記載内容
A:法定の測定対象物質(有機則、特化則の対象物質)
作業環境測定基準に基づき測定する
作業環境評価基準に基づき測定結果を評価する(管理濃度との比較)
 
上記以外の物質    
 
B:日本産業衛生学会等のばく露限界濃度があるもの
定期的に測定する
測定結果を評価する
測定方法
評価方法
 <従来の運用通達>
計算式により算出した「評価値」を日本産業衛生学会等のばく露限界濃度と比較
 <今後の運用通達>(※)
計算式により算出した「評価値」を基準濃度と比較
C:日本産業衛生学会等のばく露限界濃度がないもの
定期的に測定する
測定方法

 (※):従来の運用通達についても、今後改正して基準濃度を示す予定。


表2 指針対象物質等の区分

物質の
区分
既に指針を公表済みの物質(12) 今後指針を公表予定の物質(6)
有機則対象物質(7)
 クロロホルム、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、1,2-ジクロルエタン、ジクロロメタン、テトラクロルエチレン、1,1,1-トリクロルエタン

特化則対象物質(1)
 p-ニトロクロルベンゼン
有機則対象物質(1)
 N,N-ジメチルホルムアミド
酢酸ビニル、p-ジクロルベンゼン、ビフェニル (※) グリシドール、クロトンアルデヒド、ヒドラジン一水和物
アントラセン キノリン、1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼン

 (※):これら3物質については、平成15年度に開催された管理濃度等検討会において基準濃度を検討済み。


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