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血液製剤に関する報告事項について (目次)


 輸血用血液製剤でHIV感染が疑われる事例について

 輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われた事例(6月30日報告)について

 輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われた事例(7月9日報告)について

 輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われた事例(3月22日報告)について

 輸血用血液製剤で細菌感染が疑われた事例について

 平成16年度感染症報告事例のまとめ(前回報告分以降)について

 アミカスアフェレシスキットの回収について(平成16年9月1日付けバクスター株式会社提出資料) (PDF:104KB)

 全国の輸血用血液製剤の供給状況について (PDF:130KB)
(別添)血液センターから医療機関に到着するまでの平均所要時間(緊急走行時)が40分を超える理由について

 「献血をお断りすべき人から採血した血液を供給した事例について」、「輸血に使用された血液の個別核酸増幅検査の結果について」(平成16年8月11日日本赤十字社報道発表資料)

 ハプトグロビン欠損症患者へ貯留保管未完了のFFPを供給した件について(平成16年9月14日付け日本赤十字社提出資料) (PDF:67KB)

 血漿分画製剤のプリオン安全対策について(依頼)(平成16年8月23日付け血液対策課事務連絡)

 血小板製剤の使用適正化の推進及び「輸血療法の実施に関する指針」の一部改正について(通知案) (PDF:123KB)

 輸血副作用として重い肺障害が存在することが報道されたことについて
(別添)平成16年9月15日朝日新聞記事、日本赤十字社提出資料 (PDF:507KB)


< 参考 >

 ・ 血液製剤に関する報告事項について(平成16年9月2日付け血液対策課事務連絡)

 ・ 血液製剤に関する報告事項について(平成16年9月13日付け日本赤十字社提出資料)

 ・(参考)安全対策業務の流れ


輸血用血液製剤でHIV感染が疑われる事例について


1.経緯等
 平成15年9月5日、後天性免疫不全症候群発生届にて感染経路として輸血が考えられるHIV感染者が報告されたとの情報を入手。同日、当該報告医が、同事例について副作用感染症報告を日本赤十字社に提出、これを受けて同社による調査が開始され、その結果が、平成15年10月30日に開催された第95回エイズ動向委員会(委員長:吉倉廣国立感染症研究所長)に報告された。

2.事例  50歳代の男性で平成15年の3月〜7月に赤血球製剤(MAP16単位)の輸血を受けた後、実施した血液検査においてHIV感染を確認(WB検査陽性)。報告医は感染経路として輸血を疑っている。

3.事実関係
1)輸血された輸血用血液製剤について
当該感染者には、8人の供血者から採血された赤血球製剤(MAP)が8本(保管検体の個別NATはいずれも陰性)投与された。
2)他の血液製剤への影響について
投与された赤血球製剤の原料血液からは、他に新鮮凍結血漿と血漿分画製剤用の原料血漿が製造されていた。
原料血漿については流通を停止。
新鮮凍結血漿については3本が製造されており、既に他の医療機関で3名の患者に投与されていた。(他に行方不明の製剤はない。)
3)新鮮凍結血漿の投与を受けた3名について
1名は既に原疾患により死亡
残り2名については輸血後(約6ヵ月後)の抗体検査で陰性。

4.エイズ動向委員会での専門家からの意見
 記者会見では、「HIVの感染が輸血用血液製剤によるか追求すれば、患者のプライバシーに関わりうるケースである。」との発言があった。

5.エイズ動向委員会後の事実経過
1)健康状態の確認を行っていた2名の受血者は、いずれも感染していなかったことが確認された。
2)供血者の次回献血での検査については、平成16年9月6日現在、8名中5名が来訪し、感染していなかったことが確認された。

6.今後の対応
 当該感染者のプライバシーの最大限尊重を徹底しつつ、引き続き調査を継続するよう指導してまいりたい。


輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)
感染が疑われた事例(6月30日報告)について


 経緯
 平成16年6月30日、日本赤十字社から輸血(人赤血球濃厚液)によるHBV感染の疑い事例で患者が死亡した症例の報告があった。

 事例
 60歳の男性。原疾患は胃ガン。本年3月2日〜10日の間に、貧血及び胃ガン手術のため輸血を計3回(人赤血球濃厚液2単位を4袋分)受ける。
 輸血前の2回の血液検査(昨年2月4日、2月24日)ではHBs抗原検査(B型肝炎ウイルスの検査)は陰性であったが、本年6月8日に実施したHBs抗原検査は陽性、肝機能検査(GOT、GPT)は大幅に上昇した数値を示す。
 患者は劇症肝炎で6月10日に死亡。

 状況
1)輸血された赤血球製剤について
 当該患者には、4人の供血者から採血された赤血球製剤を輸血。
 当該製剤に関わる血漿のうち、新鮮凍結血漿1袋(2単位、160mL)は既に出荷され、使用済み(投与された患者は輸血後約40日後、原疾患により死亡。輸血前のHBs抗原検査は陰性、輸血後検査は実施していない。)。残りは原料血漿で使用されないよう措置済み。
2)4人の供血者について
4人の供血者は、4人すべてがその後献血し、HBV関連検査はすべて陰性。
3)個別NATの試験結果
4人の供血時の保管検体について、個別NATを実施したところ、全て陰性であった。

 今後の対応(案)
1)輸血とHBV感染(劇症肝炎発症を含む。)との因果関係はないものと考えられる。
2)輸血医療の安全性確保のための総合対策(別紙)を推進する。また、日赤に対して、核酸増幅検査の精度を向上、輸血用血液製剤に対する不活化工程の導入等を推進するよう指導する。


輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が
疑われた事例(7月9日報告)について


 経緯
 平成16年7月9日夕方、日本赤十字社から輸血(人赤血球濃厚液、人血小板濃厚液及び新鮮凍結血漿)によるHBV感染の疑い事例で患者が死亡した症例の報告があった。

 事例
 10歳未満の男児。原疾患は急性リンパ性白血病。昨年9月16日〜本年7月5日の間に、輸血を計19回(人赤血球濃厚液1単位を10袋分、人血小板濃厚液10単位を8袋分及び新鮮凍結血漿2単位を1袋分)受ける。
 輸血前の血液検査(昨年9月16日)ではHBs抗原検査(B型肝炎ウイルスの検査)は陰性であったが、本年7月6日に実施したHBs抗原検査は陽性、肝機能検査(GOT、GPT)は大幅に上昇した数値を示す。また、7月6日に新鮮凍結血漿による血漿交換(2単位製剤(約160mL)を7本使用)を行っていた。
 患者は劇症肝炎による急性肝不全で7月7日に死亡。

 状況
(1) 輸血された血液製剤について
 当該患者には、19人の供血者から採血された赤血球製剤、血小板製剤及び新鮮凍結血漿を輸血。
 当該製剤に関わる血漿は、人赤血球濃厚液2単位1本及び原料血漿19本。
 なお、赤血球製剤については、既に医療機関へ供給していたが、医療機関へは当該情報を提供済み。
(2) 19人の供血者について
 19人の供血者のうち、7人の献血者がその後献血しており、検査は陰性であった。(9月6日現在)。
(3) 供血者の個別NATの試験結果
 供血者19人の保管検体について、個別NATを実施したところ、全て陰性であった。
(4) 患者の保管検体の個別NAT及びHBs抗原の試験結果
 医療機関に保管されていた患者検体のうち、12検体すべての個別NAT及び検査可能な6検体のHBs抗原検査はすべて陰性。

 検討課題
(1) 7月7日検査のHBc抗体(+)について、IgM抗体が上昇していないので、HBVによるものとは考えにくい、及びHBVで劇症肝炎を発症する前にはウイルスDNAが上昇するが、この症例ではそれが見られないのでHBVは否定的との専門家の意見あり。
 また、7月6日のHBs抗原が低力価であったことや6月29日の患者検体の個別NAT及びHBs抗原検査が陰性であるということから、7月6日の反応が非特異的な反応であることやアーチファクトである可能性が高いとの専門家の意見あり。

(2) その他、7月6日の血漿交換により、個別NAT(−)となった可能性、6月24日個別NAT(−)であるが、短期間で劇症肝炎となるのか等の問題等を整理する必要がある。

 今後の対応
 19人の供血者のうち、その後献血に来ていない12人のフォローを行う。
 なお、患者の保管検体は微量であり、医療機関側の希望でHBs抗原検査を行った(すべて陰性)ことから、上記4課題確認のための「IgM抗体検査」、「HBV以外のウイルス検査」、「NAT」等の検査が困難な状況となっている。


輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)
感染が疑われた事例(3月22日報告)について


 経緯
 平成16年3月22日及び30日、日本赤十字社から輸血(人血小板濃厚液及び人赤血球濃厚液)によるHBV感染の疑い事例の報告があった。

 事例
 70歳代の女性。原疾患は急性骨髄性白血病。昨年10月5日〜本年1月22日の間に、輸血を計18回(人血小板濃厚液10単位を11袋分並びに人赤血球濃厚液1単位を3袋分及び2単位を4袋分)受ける。
 輸血前の血液検査(昨年10月3日)ではHBs抗原及び抗体検査(B型肝炎ウイルスの検査)はいずれも陰性であったが、輸血後の本年3月19日に実施したHBs抗原検査は陽性、肝機能検査(GOT、GPT及びLDH)は高値を示す。
 患者は4月26日に死亡したことを確認済み。死因は現在調査中。

 状況
(1) 輸血された血液製剤について
 当該患者には、37人の供血者から採血された血小板製剤及び赤血球製剤を輸血。
 当該製剤に関わる血漿のうち、4人分由来の5本が新鮮凍結血漿(FFP)として医療機関へ供給された(残りは原料血漿)。
(2) 37人の供血者について
 37人の供血者のうち、24人の献血者がその後献血しており、検査は陰性であった。(9月6日現在)。
(3) 供血者の個別NATの試験結果
 供血者37人の保管検体について、個別NATを実施したところ、全て陰性であった。
(4) 患者の保管検体の個別NAT及びHBs抗原の試験結果
 本年3月19日(輸血後)の医療機関に保管されていた患者検体は個別NAT及びHBs抗原検査はいずれも陽性(輸血前は保管されていなかった)。
(5) 輸血とHBV感染との関連
 現在のところ、輸血とHBV感染(当該事例の死亡原因を含む)の因果関係については不明。

 今後の対応(案)
(1) 当該事例への対応
 医療機関へ供給した5本の新鮮凍結血漿に関して情報提供した医療機関における受血者(患者)の健康状態を確認する。
 37人の供血者のうち、その後献血に来ていない13人のフォローを行う。
(2) 血液の安全対策の推進
 「輸血医療の安全確保のための総合対策」を着実に実施する。


輸血用血液製剤で細菌感染が疑われた事例について


 経緯等

 平成16年9月8日、日本赤十字社から輸血(人赤血球濃厚液)による細菌感染疑いの症例の報告があった。

 事例
 60歳代の女性。原疾患は消化器系がん。
 平成16年9月4日、膿瘍があり、PTCD(経皮経肝胆道ドレナージ)カテーテル交換。その後、輸血(人赤血球濃厚液2単位を1本)を実施。輸血1時間後に呼吸困難、血圧低下をきたし、翌5日に白血球数高値、肝機能検査高値を示し、翌6日に敗血症性ショックにより死亡。

 状況

(1) 輸血された輸血用製剤について
 当該患者には、1人の供血者から採血された赤血球製剤を輸血。
 当該製剤に関わる血漿は新鮮凍結血漿(FFP)2単位1本、原料血 漿1本ともに確保済み。
(2) 検体検査の状況
 日本赤十字社から輸血血液と同一採血番号の血漿について、現在、無菌 試験を実施する予定。
(3) 患者検体の調査
 患者血液培養で好気・嫌気ともに陰性。
 非溶血性副作用関連検査実施予定。

 今後の対応

(1) 検体検査及び患者検体の調査を実施し、細菌感染の有無及び輸血用血液製剤との因果関係を明らかにする。
(2) 今後、問診強化策や細菌を除去・不活化する方策の検討を進める。


平成16年8月11日

 報道機関各位

日本赤十字社事業局血液事業部

献血をお断りすべき人から採血した血液を供給した事例について

1.本件の概要

 この度、献血者の前回問診履歴を正しく反映していない輸血用血液製剤が医療機関に供給されていた事例が判明しました。供給された人赤血球濃厚液4本の製剤は、献血をお断りすべき人の血液から製造され医療機関に供給されたことから、未使用の2本を医療機関から回収しましたが、2本は既に使用されておりました。

 日本赤十字社ではHIV等の感染リスクを排除すべく、献血血液のスクリーニング検査を行なうとともに、検査結果が適合している場合にも2回目の献血以降は、献血者の前回履歴を参照し、その結果を採血及び製剤の出荷の可否に反映させています。しかしながら、平成16年7月2日から使用を開始したコンピュータシステムの修正プログラムの設定に過誤があったため、前回の問診に関する履歴が反映されずに、本来は献血をお断りする人から採血されて、医療機関に供給されました。このプログラムを使用する以前の製剤は、全て適切に処理されており問題がないことを確認しています。

 上記4本の製剤は、50プール核酸増幅検査を含むスクリーニング検査で適合ではありますが、念のため輸血された血液の保管検体を用いたHIV−RNA、HBV−DNAの個別NATによる精査を現在実施中です。
 また、患者様と医療機関のご協力を得ながら、輸血を受けられた患者様のHIV、HBV及びHCV等についてのウイルス関連マーカーにかかる追跡検査を「輸血療法の実施に関する指針」に準じて約6か月間実施していくことを予定しております。

 また、本件の対象となる製剤は全て特定されており、供給医療機関及び供給本数は全て把握しております。

2. 事例
(1)対象
(1)前回の問診履歴が反映されなかったために採血した献血者 8人
(2)8人から製造された血液製剤 
人赤血球濃厚液(供給済み)⇒4本

< 
使用済み⇒2本
未使用  ⇒2本(回収済み)
その他の輸血用血液製剤、原料血漿については、出庫を差止めた。
(2)原因
 平成16年7月2日に使用を開始したプログラムにおいてプログラム設定に過誤があったため、1年間採血不可とすべき情報が反映されなかったことが原因です。

3.対応
(1)8月9日(月) 対象の血液を供給した血液センターに対して、医療機関へ連絡し使用状況を確認のうえ使用されていなければ使用中止の依頼及び製剤を回収するよう指示しました。

(2)該当献血者の血液から同時に製造された新鮮凍結血漿及び血漿分画製剤用原料血漿については、出庫差止めの指示を実施しました。

(3)輸血された血液の保管検体により、HIV−RNA、HBV−DNAの個別NATを精査中です。今後、当該医療機関を通じて、今回輸血された患者さんの追跡検査を実施していきます。

(4)プログラムについては9日に修正済みです。また、コンピュータシステムの開発・保守会社である日本電気株式会社(NEC)に対して、現時点でのプログラムの総点検を指示しております。

(5)日本赤十字社では、8項目の安全対策の実施に向け取り組んでおり、献血者の自覚ある献血行動を促がし、血液製剤の安全性向上につなげるために、特に献血者の本人確認の実施を本年10月から全国的に実施する予定です。また、献血手帳のカード化について検討しています。

 日本赤十字社といたしましては、輸血を受けられた方及びそのご家族、医療機関並びに関係の方々に大変なご心痛をおかけし、深くお詫び申し上げますとともに、今回の事例を真摯に受け止め、再発防止に万全を期す所存であります。

(照会先)  日本赤十字社血液事業部企画課
 TEL 03−3437−7507


平成16年8月11日

 報道機関各位

日本赤十字社事業局血液事業部



輸血に使用された血液の個別核酸増幅検査の結果について



 平素から日本赤十字社の血液事業にご指導いただき厚くお礼申し上げます。
 さて、本日午後2時から日本赤十字社で記者会見を行ないご説明した標記の個別核酸増幅検査の結果は、2本共にHIV−RNA、HBV−DNA陰性であったことをお知らせいたします。



保管検体の個別精査結果


検査日: 平成16年8月11日
検査項目と方法:
HBV−DNA検査 SingleNAT HBV試薬を用いたTaqMan PCR法
HIV−RNA検査 TMA法
検査結果: 陰性


(照会先)
  日本赤十字社事業局血液事業部企画課
    TEL 03−3437−7507


事務連絡
平成16年8月23日

(社)日本血液製剤協会 御中

薬事・食品衛生審議会血液事業部会事務局
厚生労働省医薬食品局血液対策課



血漿分画製剤のプリオン安全対策について(依頼)



 血液事業の推進に御努力いただき、厚く御礼申し上げます。
 さて、平成15年4月14日付け医薬発第0414004号医薬局長通知「ウシ等由来物及び人由来物を原料として製造される医薬品、医療用具等の品質及び安全性確保の強化について」、同年7月25日付け薬食審査発第0725001号及び薬食血発第0725002号「ウシ等由来物及び人由来物を原料として製造される医薬品、医療用具等の品質及び安全性確保の強化について」により、各製造業者等に対して血漿分画製剤の自社製品の製造工程における異常プリオンの除去に関する工程評価を自主的に行い、安全性を確認するよう指導したところです。
 今般、これらの自主的な確認について、その現在の状況を血液事業部会の調査会等におきまして確認する予定としております。つきましては、貴会会員に対し、下記の事項についての資料を作成いただき、平成 16年9月17日までに、個別に当事務局あて提出いただきますようお願いします。
 なお、資料の作成にあたっては、企業秘密に属する事項が含まれる場合には、公開できる資料に、非公開とすべき部分を別紙として添付し、その旨を注記してください。



 製品ごとの人血液から最終製品までのプリオンクリアランス値の推定
 プリオンクリアランスに効果が期待される各工程のプリオンクリアランス値及び値の根拠・試験方法(自社データ、文献等の別)
 その他安全性確認において考慮するべき事項
 外国規制情報
(1) 外国当局における当該製品に対する対応(輸入品)
(2) 上記1から3まで外国当局に提出した内容と相違ないか等(輸入品)
(3) 国際的なガイドライン作成状況等
 上記1から4までの資料の概要


平成16年9月17日
(照会先)
医薬食品局血液対策課
  中山 鋼(2905)
 直通:03-3595-2395


輸血副作用として重い肺障害が存在することが報道されたことについて



 記事概要
 輸血による重い肺障害(輸血関連急性肺障害(TRALI))で死亡例が出ていることが、全国44カ所の旧国立大学の附属病院による調査で分かった。過去5年間に少なくとも3人が亡くなっており、調査した医師は「全国で年に数十人が死亡している可能性がある」と推測している。17日から京都市で開かれる日本血液学会で発表し、実態調査の必要性を訴える予定である。

 事実関係
 調査をまとめた山口大学医学部附属病院輸血部藤井副部長に確認したところ、発表概要と概ね一致しているとのことであった。また、輸血による重い肺障害(輸血関連急性肺障害(TRALI))が存在し、先進各国でも危険性が指摘されていることも事実である。

 今後の方針
 輸血関連急性肺障害(TRALI)を含む「免疫学的な副作用対策の推進」については、本年7月にとりまとめた「輸血医療の安全性確保のための総合対策」において、「これまでほとんど調査・検討されてこなかった領域であることから、調査研究等による実態把握が必要である」としているところ。
 このような状況のもと、本年度の厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業に「免疫学的輸血副作用の実態把握とその対応に関する研究」として申請しているところである。

 ※ 輸血関連急性肺障害(TRALI)
 輸血後4時間以内に発症する副作用で呼吸困難等を示し、死亡率は5%と報告されている。その多くは献血者の血液中の白血球抗体が原因となるが、我が国ではその報告数は少ない。
 なお、現在推進している保存前白血球除去が一般化されればTRALIの10%は予防できると言われている。


事務連絡
平成16年9月2日

日本赤十字社事業局 御中

薬事・食品衛生審議会血液事業部会事務局
厚生労働省医薬食品局血液対策課



血液製剤に関する報告事項について



 血液事業の推進に御努力いただき、厚く御礼申し上げます。
 さて、標記につきましては、平成16年8月5日付け血企第271号にて貴社から報告をいただいたところですが、平成16年9月17日(金)に平成16年度第5回血液事業部会運営委員会が開催されますので、下記の事項について資料を作成いただき、平成16年9月14日(火)までに当事務局あて提出いただきますようお願いします。
 なお、資料の作成に当たっては、供血者、患者及び医療機関の名称並びにこれらの所在地若しくはこれらの事項が特定できる情報を記載しないよう、個人情報及び法人情報の保護に特段の御配慮をお願いします。



1. 平成15年9月5日付けで報告された輸血用血液製剤でHIVの感染が疑われる事例について、残る3人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

2. 平成16年6月30日付けで報告された輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われる事例について、残る4人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

3. 平成16年7月9日付けで報告された輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われる事例について、残る12人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

4. 平成16年3月22日付けで報告された輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われる事例について、
(1) 新鮮凍結血漿を投与された患者の健康状態の確認。
(2) 残る14人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。


血企第307号
平成16年9月13日

 厚生労働省医薬食品局血液対策課長 様

日本赤十字社 事業局長


血液製剤に関する報告事項について



 平成16年9月2日付事務連絡によりご依頼のありました標記の件については、下記により回答いたします。



1. 平成15年9月5日付けで報告された輸血用血液製剤でHIVの感染が疑われる事例について、残る3人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

 平成16年9月6日現在、来訪はありません。


2. 平成16年6月30日付けで報告された輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われる事例について、残る4人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

 4人が来訪し、4人すべてがHBV関連検査は陰性です。


3. 平成16年7月9日付けで報告された輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われる事例について、残る12人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

 平成16年9月6日現在、来訪はありません。


4. 平成16年3月22日付けで報告された輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われる事例について、
(1)  新鮮凍結血漿を投与された患者の健康状態の確認。
(2) 残る14人の供血者のその後の検査結果。来訪がなければ、その旨。

(1)⇒
 患者1:輸血前陰性、輸血後陰性
 患者2:輸血前不明、輸血後陰性
 患者3:輸血前陰性、輸血後不明
 患者4:輸血前陰性、輸血後不明で原疾患により死亡
 患者5:輸血前不明、輸血後不明で原疾患により死亡

(2)⇒ 平成16年9月6日現在、1人の来訪があり、HBV関連検査は陰性です。


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