戻る

「振動障害の検査手技に係る技術専門検討会」及び
委託研究等における検討概要


 振動障害の検査手技に係る技術専門検討会(平成13年11月報告書取りまとめ)
(1) 検討内容
 現行の認定基準を前提としつつ、安全でかつ客観的に振動障害が存在することを確認するための精密検査及び振動障害と類似疾患を鑑別しうる検査手技としてどのようなものがあるかについて、特に末梢循環障害及び末梢神経障害の検査手技を中心に検討を行った。
 現在、主として認定基準に基づいて業務上外を決定する際に使用している検査手技以外で、振動障害の診断を行う際に利用すれば、より的確な診断が可能となると思われる検査手技を、その検査手法の特徴を踏まえて、(1)スクリーニングとして有効、(2)精密検査として有効、(3)鑑別診断として有効、の3種に分類を行い、また、その導入に当たっての留意点について検討を行った。

(2) 今後の検討課題
 検討会において紹介した検査手技は、現在、振動障害の業務上外を判断するに当たり、一般的に用いられている検査手技とは異なり、多くは振動障害の類似の症状を呈する疾病の診断や原因の推定のために一般の臨床で使用されている検査手技であり、検査機器によっては高価で、しかも高度で特殊な技能が必要となるものを含んでいることなどから、各検査の普及状況について調査するとともに、一定の期間の臨床試験を行う等により臨床データの集積を行い、認定基準で示されている検査手技との比較、現行の検査手技に代わるものとして実用化が可能な検査手技、また、その検査手技を用いた場合の測定条件や評価基準等について、引き続き検討することが必要であるとされた。

 平成14年度委託研究
(1) 研究内容
 平成13年度の検討会報告書に基づき、実用化が可能な検査手技とされた、各種検査結果の事例収集を中心に、検査手技の確立と評価基準について研究し、さらに、これらの研究を相互に連携させ、現行の検査手技及び評価基準の問題点について研究を行った
 振動障害に係る各検査の事例収集に関しては、末梢循環障害、末梢神経障害、運動器障害のそれぞれの専門領域ごとに、新しい、客観性の高い検査法についての事例収集及び知見の集積を行った。
 その結果、末梢循環機能検査として、レーザードプラー皮膚灌流圧、レーザー血流画像化装置による皮膚血流が、末梢神経機能検査法として、神経伝導速度が、運動機能検査では、MRIによる筋の機能評価が新しい検査法として期待される可能性が示唆された。

(2) 今後の研究課題について
 振動障害に係る検査法について総括的検討を行った結果、末梢循環機能、末梢神経機能、運動機能の各検査項目の一部には客観性、再現性、妥当性等で診断における有効性に問題ないしは、限界が存在することが指摘された。
 また、新しい検査法については、現行の問題点をさらに整理しつつ、有効性、診断基準、鑑別診断、検査の普及等、さらに多方面から検討する必要があるとされた。

 平成15年度委託研究
(1) 研究内容
 レーザードプラー血流計による皮膚灌流圧、レーザー血流画像化装置による皮膚血流、神経伝導検査、MRIによる筋の機能評価の4検査法について、振動障害の認定を受けている者18名を含む22名のチェンソーや刈払い機を使用していた林業労働者に対し、同一時期に実施した。
 当該実証検査結果を基に、新しい諸検査の各障害に対する有効性、並びに相互の検査方法の間での関連性、現行の通達に示されている既存の検査方法との関連性等について検討を行った。
 振動障害における末梢循環機能、末梢神経機能、運動機能を客観的に診断することが可能であることが示された。

(2) 今後の研究課題について
 振動障害における末梢循環機能、末梢神経機能、運動機能を客観的に診断することが可能であるとの結論が得られたが、引き続き、振動障害患者に対する検査症例を重ね、その有効性を検証するとともに、各検査法の評価基準、振動障害の類似疾患における各検査法の適用が課題とされた。
 また、正中神経障害及び尺骨神経障害に関する電気生理学的所見とMRI所見とが必ずしも一致していないため、今後の検討を要するものとされた。

 振動障害の検査手技に係る技術専門検討会以後の局所冷却による指動脈血圧測定(FSBP%)の研究状況
 局所冷却による指動脈血圧測定(FSBP%)の研究については、労働福祉事業団の医学研究において、山陰労災病院振動障害センター長の那須吉郎氏によって、平成13年4月より3か年計画で「振動障害患者の予後調査」に係る研究の中で行われてきた。


トップへ
戻る