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平成14年度末に必要な積立金の積算について


 労災保険の積立金は、年金受給者への将来の年金給付に充てる原資であり、平成14年度末に必要な積立金は、平成14年度末の年金受給者に対する平成15年度以降の給付に必要と見込まれる額のことであり、平成15年度以降各年度の年金受給者数 × 年金単価 × スライド率 × (1/現価率)の合計で求めている。
 ここで、年金受給者数は平成14年度末年金受給者数をもとに、平成15年度以降残存表に沿って推移するものとして将来の各年度の年金受給者数を推計した。年金単価は平成14年度実績単価を用い、平成18年度までは年0.5%、19年度以降は年1.0%でスライドするものとした。現価率は年2.0%とした。
 なお、推計は、傷病補償年金(じん肺・せき損・その他)、障害補償年金(1〜3級、4〜7級)、遺族補償年金の6種類ごとに残存表が作られていることから、この6種類の別に計算し、その合計とした。

 必要な積立金(考え方)
 =Σ
年金の種類
Σ
経過年度
 (年金受給者数×年金単価×スライド率×(1/現価率))


平成14年度末に必要な積立金約7兆8千億円の計算方法
 ※受給者数、年金単価等については、平成14年度の実数を用いた。


 年金種類別にそれぞれ必要な積立金を計算しており、その合計額が7兆8千億円である。

(表1)年金種類別の必要な積立金額
(単位:億円)
  傷病(補償)年金 障害(補償)年金 遺族(補償)年金
じん肺 せき損 その他 1-3級 4-7級
平成14年度末 3,202 1,643 981 8,612 22,833 41,119 78,390



 1の計算にあたり、平成14年度末の年金種類別の受給者数を基準としている。

(表2)平成14年度末の年金種類別の受給者数
(単位:人)
  傷病(補償)年金 障害(補償)年金 遺族(補償)年金
じん肺 せき損 その他 1-3級 4-7級
平成14年度末 7,924 2,532 1,746 16,604 79,706 111,208 219,720



 例として、障害(補償)年金(4-7級)に係る平成14年度末に必要な積立金の計算について説明する。(障害(補償)年金(4-7級)以外の年金についても同様の計算を行っている。)
 平成15年度以降、平成14年度末までに現存する障害(補償)年金(4-7級)受給者 79,706人が0となることが推計される平成95年度まで各年度ごとに給付が想定される給付額を計算し、合計した金額が障害(補償)年金(4-7級)に係る平成14年度末に必要な積立金である。

障害(補償)年金(4-7級)に係る平成14年度末に必要な積立金(22,833億円)
={各年度毎の年央値年金受給者数×年金単価×スライド率×(1/現価率)}の合計

 ここで、各項における条件については
  各年度ごとの年金受給者数 年度の年央値(表4参照)
  年金単価 1,560,933円(平成14年度実績値)
  スライド率 平成18年度までは、年1.005倍で推移
 19年度以降は、年1.010倍で推移(表3参照)
  現価率(積立金利子収入分の割引率) 年1.020倍で推移(表3参照)
 を用いている。

(表3)障害(補償)年金(4-7級)に係る平成14年度末に必要な積立金

年度 年度末年金
受給者(人)
年央値年金
受給者(人)
年金単価
(円)
スライド率 1/現価率 積立金(百万円)
平成14年度 79,706 79,581 1,560,933 1.000000 1.000000
15年度 77,687 78,696 1,560,933 1.005000 1.000000 123,454
16年度 75,643 76,665 1,560,933 1.010025 0.980392 118,498
17年度 73,577 74,610 1,560,933 1.015075 0.961169 113,626
60年度 5,368 5,661 1,560,933 1.549394 0.410197 5,616
61年度 4,823 5,096 1,560,933 1.564888 0.402154 5,006
62年度 4,319 4,571 1,560,933 1.580537 0.394268 4,447
80年度 218 247 1,560,933 1.900008 0.276051 202
81年度 169 193 1,560,933 1.919008 0.270638 156
82年度 129 149 1,560,933 1.938198 0.265331 119
  2,283,280
↑  
障害(補償)年金(4-7級)に係る平成14年度末に必要な積立金


 (表4)平成14年度末の障害(補償)年金(4-7級)受給者の推計方法

 平成14年度末の障害(補償)年金(4-7級)受給者79,706人が平成15年以降、どのように残存するかを裁定年度別に対応する残存表の数値(残存率)を乗じて算出する。
(単位:人)
  A欄
  裁定年度   裁定年度
昭和41年度 昭和42年度 昭和43年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度
14年度 1,794 2,044 2,083 1,962 1,989 1,920 79,706
15年度 1,704 1,945 1,985 1,945 1,971 1,903 77,687
16年度 1,616 1,848 1,889 1,928 1,955 1,886 75,643
17年度 1,530 1,752 1,794 1,911 1,938 1,870 73,577
18年度 1,446 1,659 1,702 1,892 1,920 1,853 71,490
19年度 1,364 1,568 1,611 1,873 1,902 1,837 69,386
20年度 1,285 1,479 1,523 1,853 1,882 1,819 67,267
21年度 1,208 1,393 1,437 1,831 1,862 1,800 65,137
22年度 1,134 1,310 1,353 1,807 1,840 1,781 63,000
 
60年度 0 1 1 390 421 432 5,368
61年度 0 1 362 392 403 4,823
62年度 0 334 363 375 4,319
 
80年度 30 37 44 218
81年度 24 30 36 169
82年度 18 24 29 129
 
 

(注)平成14年度の障害(補償)年金(4-7級)受給者数=79,706人
A欄=(裁定された年度ごとの人数×残存率)の合計

残存率
 労災保険における残存表は、年金の種類ごとに過去の年金受給者の動向実績を基に10万人の新規受給者が失権等により毎年減少し0人になるまでの間、毎年の受給者数を推計し、10万人に対する比率にした表が残存表である。
 この残存表を基に算出した経過年数ごとの残存割合を残存率という。

 N年目残存率= N年目に残存している年金受給者数
――――――――――――――――
1年目に残存している年金受給者数

 N年目に残存している年金受給者数は、各年度ごとに裁定された年金受給者のうちN年目に残存している受給者数を平均したものである。


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