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年金充足賦課額算定の考え方
労災保険において、年金たる保険給付等の長期給付分については、将来給付分も含めた年金給付に要する費用を全額徴収する「充足賦課方式」によって料率を算定している。
将来給付分も含めた年金給付に要する費用の額は、年金の種類ごとに、
一人当たり充足賦課額 = 一人当たり年間給付額 × 充足賦課係数
を計算し、これに業種毎の新規年金受給者見込数を乗じて計算する。
ここで、充足賦課係数とは、スライド率及び現価率を考慮に入れた平均受給期間に当たるものである。
年金の種類は、傷病補償年金(じん肺、せき損、その他)、障害補償年金(1〜3級、4〜7級)、遺族補償年金の6種類に分けている。
| (1) | 一人当たり年間給付額の算出方法(全業種平均値)
| (1) | 年金の種類ごとに、前年度末受給者数(A)及び当年度末受給者数(B)の年央値(C)(C=(A+B)/2)を、当該年度の年金受給者数とする。 |
| (2) | 当該年金の種類にかかる年金給付額、療養費(傷病補償年金のみ)、特別年金額の合計を年金たる長期給付額の年間総給付額(D)とする。 |
| (3) | (2)の年間総給付額を(1)の年金受給者数で割った額(D/C)が当該年金の種類にかかる一人当たり年間給付額である。 |
|
| (2) | 充足賦課係数の算出方法
| (1) | 年金の種類ごとに、残存表における残存数の年央値に、経過年数に応じた現価割戻率とスライド率を乗じる。 |
| (2) | (1)で算出した数値を100,000で割って、現価率とスライド率を考慮した年金受給者の賦課係数を算出する。 |
| (3) | 初年度は受給者の半数のみが受給するものとし(0.5とする)、それ以外の年度については(2)で算出した賦課係数を全て加えたものが充足賦課係数である。 |
|
| (3) | 上記(1)、(2)から、
| 年金充足賦課額 = | 一人当たり年間給付額 × 充足賦課係数 | × 新規年金受給者数 |
| ↓ 一人当たり充足賦課額 | |
によって、事業の種類及び年金の種類ごとの当該年度の新規受給者に対する将来給付分も含めた年金給付に要する費用の額を求める。
| (例) | 平成15年度料率改定における充足賦課係数の算出(障害補償年金1〜3級) 現価率2.0%、スライド率は当初5年間0.5%、以後1.0%とした。 |
|
経過年数 t |
A(t) |
スライド率 B(t) |
残存数 C(t) |
年央値 E(t) |
賦課係数 D(t) |
| 0 |
|
|
100,000 |
|
|
| 1 |
1 |
1 |
96,290 |
|
0.5 |
| 2 |
1 |
1.005 |
93,514 |
94,902 |
0.9537651 |
| 3 |
0.980392 |
1.010025 |
90,949 |
92,231.5 |
0.9132953 |
| 4 |
0.961169 |
1.015075125 |
88,728 |
89,838.5 |
0.8765170 |
| 5 |
0.942322 |
1.020150501 |
86,810 |
87,769 |
0.8437327 |
| … |
… |
… |
… |
… |
… |
| 81 |
0.209212 |
2.173144748 |
6 |
6 |
0.0000273 |
| 82 |
0.205110 |
2.194876195 |
0 |
3 |
0.0000135 |
| 83 |
0.201088 |
2.216824957 |
0 |
0 |
0 |
| 充足賦課係数 ⇒ |
計 21.1194876 |
┌ | | | | | | | | | | | | └ |
| 現価割戻 | A(t) | = {1/(1+0.02)}の(t−2)乗 |
| スライド率 | B(t) | = (1+0.005)の(t−1)乗 (1≦t≦5) |
| = (1+0.005)4×(1+0.01)の(t−5)乗 (t≧6) |
| 賦課係数 | D(1) | = 0.5 |
| D(t) | = A(t)×B(t)×E(t)/ 100,000 (t≧2)
|
| ここで、 | E(t) | = {C(t−1)+C(t)}/2 (t≧2)
|
| 以上より、障害1〜3級にかかる充足賦課係数は、 |
| D = Σt D(t) ≒ 21.1194876 |
|
┐ | | | | | | | | | | | | ┘
|
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