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労災保険率の算定における業種間調整について


 短期給付
 短期給付は、原則として、災害発生の業種に賦課しているが、災害発生から3年を経ている短期給付(長期療養者分)については、当該事業主の業種の賦課とはせず、全業種一律賦課として算定している。
 これは、
(1) 被災後3年を超えても傷病が治ゆしない労働者について、労基法第81条の打切補償の規定では、3年経過時点で打切補償を行い、当該事業主はそれ以後補償を行わなくてもよいとされていること、
(2) 徴収法施行令第2条において、過去3年間に発生した災害に係る給付等を基礎として、料率算定することとされていること、
(3) 個々の事業主のメリットの算定において、メリット収支率に算入する短期給付は、療養の開始後3年以内の給付に限定されていること
等の理由から、当該事業主の業種だけに責任を負わすことは適当でないものであり、労働者保護及び産業間扶助の観点から全業種一律賦課として算定しているものである。

 長期給付
 年金等給付は、支給開始時にその将来給付に要するすべての費用を災害発生の業種に賦課しているが、被災後7年を超えて支給開始したものについては、当該事業主の業種の賦課とはせず、全業種一律賦課として算定している。
 これは、
(1) 被災後3年を超えても傷病が治ゆしない労働者については、労基法第81条の打切補償の規定に基づき、3年経過時点でさらに1,200日分の打切補償を行うこと、
(2) また、被災後3年以内に治ゆした労働者に障害等が残った場合には、労基法別表第2に基づく災害補償を行うこと、最重度(第1級)の場合の災害補償は1,340日分であり、労災法の障害補償年金の額は、給付基礎日額の313日分であることから、事業主が補償する年数(換算)は1,340/313=4.281年となること、
(3) 労基法第79条に基づく遺族補償は1,000日分であり、労災法の遺族補償年金の額(家族4人)は、給付基礎日額の245日分であることから、事業主が補償する年数(換算)は1,000/245=4.082年となること
等から、労基法では、災害発生日から最高3年の短期給付、治ゆ後最高4.3年余りの長期給付を事業主責任としている。
 したがって、災害発生から7年以内に支給開始した長期給付は、当該事業主の業種に将来給付費用のすべてを賦課することとし、災害発生日から7年を超えて支給が開始される年金等給付は、全業種一律賦課として算定しているものである。


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