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労災保険率の算定方法について


 労災保険率
 労災保険率は、事業の種類(51業種)ごとに過去3年間の労災保険の給付等に基づき算定した保険給付に要する費用の予想額を基礎とし、二次健康診断等給付に要する費用、労働福祉事業及び事務の執行に要する費用等の予想額その他の事情を考慮して定めることとされている。

 算定料率の計算
(1)賃金総額の計算
 労災保険率は、保険給付必要額を賃金総額で除して計算されることから、各業種ごとの賃金総額を計算する。
 過去3年度間(平成15年度改定:平成11年度〜平成13年度。以下同じ)について、非業務災害分を除く保険料の収納済額に返還金(控除)、雑収入及び国庫補助等を考慮した実質収入額を求め、この実質収入額を労災保険率(非業務災害分を除く)で除して賃金総額を計算する。
 この賃金総額を基に、新料率の算定期間(平成15年度改定:平成15年度〜平成17年度の3年間。以下同じ)の賃金総額の見込額(*147兆897億円)を推計する。
{*人件費の増加が見込まれないことから同額を採用した}

(2)業務災害分の計算
(1) 短期給付分の計算
 業務災害における短期給付分は、「純賦課方式」を用いており、過去3年度間の給付額等を基に、新料率の算定期間の見込額(*平均3.8%の減少を見込む)を推計する。
{*療養補償給付は平成12年及び平成14年の診療報酬等の改定の影響として2.1%の減少}
{*それ以外の短期給付は、平成9〜13年度の減少率を考慮し平均6.9%の減少}
(注) 短期給付とは、療養補償給付、休業補償給付、障害補償一時金、遺族補償一時金、葬祭料、介護補償給付及びそれらに付随する特別支給金である。

(業種間調整)
 上記見込額を災害発生から3年以内の療養者に係る見込額と災害発生から3年を超える療養者に係る見込額に分ける。後者のみ業種間調整しており、全業種一律に賦課するため、後者の全業種の合計額を各業種の賃金総額に応じて再配分した額を計算する。

 この再配分した額と前者の見込額の合計額を当該業種の短期給付の見込額とする。この短期給付の見込額を賃金総額で除して算定料率(業務災害分・短期給付分)を計算する。

(2) 長期給付分の計算
 業務災害における長期給付分は、「充足賦課方式」を用いており、一人当たり充足賦課額(被災労働者等に対する将来も含めた、年金等給付に要する費用(現価))に、新料率の算定期間の新規年金受給者の見込数(*5%の減少を見込む)を乗じて得た額を賦課額とする。
 {*新規年金受給者は、平成8〜13年度の減少率を採用}
(注) 長期給付とは、傷病補償年金(傷病補償年金受給者に係る療養補償給付を含む)、障害補償年金、遺族補償年金及びそれらに付随する特別支給金である。

(業種間調整)
 上記賦課額を災害発生から7年以内に支給を開始する新規年金受給者分と7年を超えて支給を開始する新規年金受給者分に分ける。後者のみ業種間調整しており、全業種一律に賦課するため、後者の全業種の合計額を各業種の賃金総額に応じて再配分した額を計算する。

 この再配分した額と前者の額の合計額を当該業種の長期給付の賦課額とする。この長期給付の賦課額を賃金総額で除して算定料率(業務災害分・長期給付分)を計算する。

(過去債務分)
 昭和63年度以前に裁定された年金受給者に必要な費用の不足額は、平成元年度以降35年間均等に全業種一律に賦課している。
 平成15年度の料率改定時において、不足額は2,531億円(推計)であることから、残余期間均等に賦課すべき額は146億円であり、これは0.1/1,000に相当することから、全業種一律に0.1/1,000を賦課したものである。


(3)非業務災害分の計算
 非業務災害分は、通勤災害分及び二次健康診断等給付分からなり、これらは全業種一律に賦課している。
(1) 通勤災害分(短期給付分)
 業務災害分と同様に「純賦課方式」を採用しており、過去3年度間の給付額等を基に、新料率の算定期間の見込額を推計(同額(517億円)を使用)し賦課している。

(2) 通勤災害分(長期給付分)
 業務災害分と同様に「充足賦課方式」を採用しており、新料率の算定期間の新規年金受給者の見込数に一人当たり充足賦課額(被災労働者等に対する将来も含めた、年金等給付に要する費用(現価))を乗じた額(666億円)を賦課している。

(3) 二次健康診断等給付分
 二次健康診断等給付分については、「純賦課方式」を採用しており、過去3年度間の給付額等を基に、新料率の算定期間の見込額を推計し賦課している(平成15年度改正:予算額(96億円)を計上)。

(4) (1)〜(3)の賦課額(1,279億円)を合計し、賃金総額で除して計算する(0.9/1,000)。

(4)労働福祉事業(特別支給金を除く)及び事務の執行に要する費用
 労働福祉事業に係る費用(特別支給金を除く)については、労働福祉事業が被災労働者等を対象とする事業だけでなく、労働災害の防止、労働者の健康の増進等全労働者を対象とした事業を展開していること、事務費についても、保険給付・徴収事務ともすべての事業場を対象していることから、全業種一律に賦課する方式を採用している。
 昭和63年度の労災保険審議会において、労働福祉事業(特別支給金を除く)及び事務の執行に要する費用の賦課を全業種一律とすること及びその料率を1.5/1,000とすることが認められ、それ以降、その水準を超えることのないように労働福祉事業等の効率的な運営を図り、料率も据え置かれている。


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