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資料4
アレルギー物質を含む
食品に関する表示について

〜検討骨子〜


2004.5.31 食品の表示に関する共同会議



1 アレルギー物質を含む食品を取り巻く制度・環境

 《アレルギー物質を含む食品の表示制度:平成13年4月より施行(経過措置期間1年)》

規定 特定原材料等の名称 理由 表示の義務
省令 卵、乳、小麦 発症件数が多い 表示義務
そば、落花生 症状が重篤であり生命に関わるため特に留意が必要なもの(症状が重篤な件数が多いもの等)
通知 あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン 過去に一定の頻度で発症件数が報告されたもの 表示を奨励
(任意表示)



1 アレルギー物質を含む食品を取り巻く制度・環境

制度導入から3年間の運用実績を踏まえ、指摘されている課題

(1)  制度導入以降に実施された調査研究等の結果を基にした表示対象品目の見直し(拡充)

現行のアレルギー表示制度は、平成10〜11年度に行われた食物アレルギー即時型に関する全国疫学調査を基にしている。

制度導入以降に「重篤な食物アレルギーの全国調査に関する研究」(平成12年度〜14年度厚生労働科学研究)等、新しい知見が得られている。



1 アレルギー物質を含む食品を取り巻く制度・環境

制度導入から3年間の運用実績を踏まえ、指摘されている課題

(2)  特定原材料のコンタミネーション(混入)と推奨表示のあり方

(コンタミネーション)
コンタミネーションとは、食品を生産する際に、原材料として使用していないにもかかわらず、アレルギー物質が微量混入してしまう場合をいう。

原材料として用いた場合のみに表示義務を課す現行のアレルギー表示制度では、コンタミネーションについては表示義務がない。

任意表示である注意喚起表示(例 本品製造工場ではそばを含む製品を生産しています)により対応。

企業が安易にPL法対策を講ずる結果、患者の食品選択可能性を不当に狭めるおそれがあるため、可能性表示(例 本品にはそばが入っている可能性があります)を禁止。

(推奨表示)
推奨表示の19品目が書かれていない→使っていないまたは使っているが書いていない



1 アレルギー物質を含む食品を取り巻く制度・環境

制度導入から3年間の運用実績を踏まえ、指摘されている課題

(3)  患者にとってよりわかりやすい表示方法(文字の色、大きさ)

特定原材料等以外の表示と同じ文字の色や大きさで表示を行っている(原材料表示についてはJAS法で規定)。

健康危害発生に密接に関連するアレルギー表示について、文字の色を変える、文字をより大きくする等、患者にとってより分かりやすい表示を実現すべきでないか。



2 制度検討に向けての視点

(1)現行の表示対象品目は、
「健康危害の発生防止」の
目的に照らして、
科学的に必要十分か
健康被害防止の視点
──→
現行の表示義務により、健康危害発生を最小化できているか。
現行の表示基準の設定根拠となった知見と、最新の知見に違いはあるか。
コンタミに関する情報の充実化
アレルギー物質を含む旨、含まない旨等患者が手に取った食品に係る情報をより理解しやすい方法で伝える方策
 
(2)表示の義務づけは
関係者にとって実行可能か

実現可能性の視点
──→
導入からまだ3年しか経っていない
現行の表示制度に対する事業者、食品衛生監視員の実施状況等
食品衛生監視員の理解度、現行制度における食品衛生監視の実効性の程度
検知技術等



3 具体的な方策 (1) 表示対象品目

《アレルギー発症件数の多い品目順位(各調査比較)》
順位 今回の調査 今村らの報告 前回の調査
全体(注1) ショック例の順位
1 鶏卵◎ 鶏卵◎ 乳◎ 卵◎
2 牛乳・乳製品◎ 牛乳・乳製品◎ 卵◎ 牛乳◎
3 小麦◎ 小麦◎ 小麦◎ 小麦◎
4 ソバ◎ ソバ◎ 落花生◎ ソバ◎
5 エビ○ ピーナッツ◎ 大豆○ エビ○
6 ピーナッツ◎ エビ○ ゴマ ピーナッツ◎
7 イクラ○ イクラ○ そば◎ 大豆○
8 大豆○ モモ○ キウイフルーツ○ チーズ◎
9 キウイ○ 大豆○ くるみ○ キウイ○
10 バナナ キウイ○ えび○ ヨーグルト◎
11 カニ○ バナナ ゼラチン○ イクラ○
12 鶏肉○ ヤマイモ○ いくら○ 牛肉○
12 クルミ○ カニ○ かに○ カニ○
14 イカ○ イカ○ やまいも○ 豚肉○
15 サバ○ サケ○ さけ○ サバ○
16 豚肉○ クルミ○ さば○ 鶏肉○
17 サケ○ 豚肉○ アーモンド イカ○
18 ゼラチン○ タコ いか○ サケ○
19 ヤマイモ○ サバ○ タイ コメ
20 モモ○ ゼラチン○ バナナ 桃○
21 メロン マグロ まぐろ チョコ
22 マグロ 牛肉○ イチゴ  
23 タコ ゴマ カツオ  
23 牛肉○ ホタテガイ カレイ  
25 ゴマ   牛肉○  
26 タラ   魚卵  
26 リンゴ○   鶏肉○  
26 アジ   香料  
26 ホタテガイ   さわら  
注1: 表外にもオレンジ○、アワビ○、マツタケ○あり。
  ◎:義務 ○:推奨  



3 具体的な方策 (1) 表示対象品目

《食品業者のアレルギー表示の理解度に係る調査(食品衛生監視員から聴取)》
Q 担当管内の製造業者
アレルギー表示制度を
現在理解できていると思うか

十分思う 1 1.9%

まあまあ思う  15 28.8%

あまり思わない  30 57.7%

ほとんど思わない 6 11.5%

 52  100.0%
Q 担当管内の販売業者
アレルギー表示制度を
現在理解できていると思うか

十分思う 1 1.9%

まあまあ思う 5 9.6%

あまり思わない  29 55.8%

ほとんど思わない  17 32.7%

 52  100.0%
食品衛生監視員の
アレルギー表示の理解度に係る調査》

Q 食物アレルギーについて十分知識があるか
  度数 累積%
かなりある 19 3.5 3.5
まあまあある 196 36.4 39.9
あまりない 287 53.2 93.1
ほとんどない 37 6.9 100
合計 539 100  
健康被害防止の視点
制度導入時と、状況は大きく変わっていない。
実現可能性の視点
制度を導入してから3年しか経過していない。
   食品産業センターの調査によると、その会員企業の60%が推奨品目を表示、28%が可能な限り表示、11%が記載せず。

「えび」について詳細に研究を開始する。
「バナナ」、「ごま」等についても検討。



3 具体的な方策 (2) コンタミと推奨表示の取扱い

《現行制度の充実化》
  混入の可能性が客観的にあり得る状況下では、注意喚起表示をより積極的に推奨する。
混入防止対策が十分に講じられていない環境 ──→
注意喚起表示の推奨

 本品製造工場ではそばを含む製品を生産しています。
《推奨表示の新規追加》
  「特定原材料等を使用していない」旨の任意表示を積極的に推奨する。
推奨品目の表示の充実
──→
患者が客観的に選択することを可能にする表示の推奨

 本品は特定アレルギー物質を使っていません。
健康被害防止の視点

 混入可能性が客観的に評価され、事業者が的確に実施する限り、「健康危害の発生防止」を図ることができる。
 食品衛生監視により混入可能性の有無を担保する必要。
 推奨品目の客観的な使用状況を患者に提供することができる。
実現可能性の視点

これらの表示の実現・充実化のためには、パンフレット等を通じて患者・事業者・食品衛生監視員に制度を浸透させることが重要。



3 具体的な方策 (3) 患者にわかりやすい表示方法

患者の理解の視点

 アレルギー物質の有無をより判断しやすくするため、原材料表示のうち、特定原材料に係る表示について、文字の色や大きさを変えて強調表示(任意表示)できることとする。

 特定原材料について強調表示が可能となる旨、食衛法・JAS法共通のQ&Aで明確化することが必要。
文字の色を変えた例
名称

原材料名
ポテトサラダ

じゃがいも、にんじん、ハム(
卵・豚肉を含む)、マヨネーズ(大豆油を含む)、たんぱく加水分解物(牛肉・さけ・さば・ゼラチンを含む)、調味料(アミノ酸等)


文字の大きさを変えた例
名称

原材料名
ポテトサラダ

じゃがいも、にんじん、ハム(卵・豚肉を含む)、マヨネーズ(大豆油を含む)、たんぱく加水分解物(牛肉・さけ・さば・ゼラチンを含む)、調味料(アミノ酸等)





4 表示の充実化に向けた制度の普及啓発

 現行制度に基づくアレルギー表示の着実な実施を図るため、事業者に対する周知広報及び食品衛生監視員に対する研修を実施する。

 民間業界団体等による自主的な取組等を促進・支援する。



5 特定原材料の範囲を含めた今後の見直し

 引き続き実態調査を行い、3年後を目途に特定原材料の範囲を含めて、制度の見直しの検討を行う。


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