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IV  結核対策の見直し実現の方策
(まとめに代えて)

 以上により、今日の我が国の結核およびその対策が抱える問題点のみならず、対応策も明らかになったものと思われる。
 結核は、未だに我が国最大の感染症であり、また、BCGを用いた予防接種や一般国民に対する定期健康診断など感染症法にない感染症としての特性にもとづく規定を要するものである。一方、国・地方自治体の責任、事前対応としての計画の作成、感染者の人権への配慮など、感染症法にはあって現行結核予防法にない規定も多い。そこで、現行結核予防法に今回提言する内容を盛り込むよう努める中で、結核予防法と感染症法の整合性の問題にも配慮する必要がある。
 かつて結核は、毎年自然に改善してゆく疾患と見なされていたのではなかろうか。そのような慢心によって結核対策の遅延、ひいては、結核制圧への歩みが阻害されてはならない。この提言の実現をとおして、結核を今世紀中盤までに公衆衛生の課題から無くするという目標に向かって着実な一歩が制度面でも行われることを期待する。
 その為に、本提言で指摘した技術事項について専門家の英知を結集して具体的な指針等を作成するとともに、本部会の上部機関である厚生科学審議会感染症分科会におかれては、感染症対策全般といった見地から本提言に必要な検討を加えられ厚生労働省に意見を具申されることを期待する。


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