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報告書の概要

【はじめに】
 近年の結核の「再興」
 →  「21世紀に向けての結核対策(意見)」公衆衛生審議会
 「結核緊急事態宣言」
 →  結核への取組強化への呼びかけ、当面の緊急課題への対応
 「結核緊急実態調査」
 →  結核対策の包括的見直し検討
→ 提言 : 新たな結核対策の起点となることを期待。


【結核及び結核対策を取り巻く状況の変化】
 結核の状況は、現行結核予防法制定当時と大きく変化している。
 昭和26年(現行結核予防法制定当時)
  高まん延状態
若年者中心の罹患
医療提供体制の未整備
標準的治療に反応する者が大多数


→
 現在
  大幅に改善をしたが、依然として中まん延状態
高齢者、ハイリスク者中心の罹患
地域格差の拡大
予防・医療に関する知見の蓄積
患者の病態の多様化、複雑化  等
 感染症法の施行から5年後(平成16年)の見直し規定
 医学の進歩等による対策の見直し(諸外国の状況も変化)


【今後の結核対策についての具体的な提案】
(基本理念)
 ・   結核は、依然として我が国最大の感染症として重点的取組が必要
 ・ 将来的には、他の感染症対策との整合性を考慮した対応をすべき。
 ・ 現在、高齢者、大都市部の問題を中心に、対策を充実・強化すべき。
 ・ 現在の行政システム、医療システム等の最大限の活用とメリハリをもった施策体系の再構築を。
 ・ より人権を重視した「患者支援・患者中心主義」の施策へ。
 ・ 一律的、集団的対応から、最新の知見やリスク評価等に基づくきめ細かな対応へ

(主な具体的な対策の見直し)
 <結核の予防・早期発見> 根拠に基づく重点的施策の実施
  ・  患者の早期発見
 →  一律的な定期健診からハイリスク・デンジャー層等へのリスク評価を重視した効率的な健診へ
 →  有症状受診、積極的疫学調査(接触者健診)をあわせ充実、強化
  ・  予防接種(BCG接種)
 →  再接種の中止、初回接種(乳児期)の徹底

 <医療の提供> 治療完遂率の向上
  ・  標準治療法の普及と徹底
 →  結核診査協議会の機能強化 等
  ・  外来治療(DOTS)の積極的位置付け
 →  入院中からのDOTS推進と地域連携
  ・  結核病床の機能分化と計画的整備・確保
 →  感染性と合併症の有無等に基づく、きめ細かな医療の提供体制
  ・  人権を尊重した確実な医療の提供
 →  「患者への医療」と「感染を受ける者への感染防止」の両立
 →  都道府県毎に人権制限的な行政対応をとる場合の要否審査のための協議会の設立

<インフラの充実強化> 現在の保健所、健診システムの最大限の活用
  ・  事前対応型行政
 →  発生動向調査の充実強化、国の基本指針・都道府県の予防計画の策定
  ・  国、地方自治体の役割分担の明確化
 →  国:結核対策の公共財の確保を含む基盤整備、都道府県:対策の実施
 →  国:ナショナルミニマムのプログラムを提示、都道府県:地域格差是正の措置を上乗せして実施
  ・  公衆衛生対策上の拠点としての保健所の役割の明確化
  ・  国内対策の延長としての国際協力への取組


【結核対策の見直し実現への方策】
 今後、感染症分科会において、感染症対策全般からの検討を加え、
 厚生労働省の取組への意見具申を期待。


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