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通勤災害保護制度におけるいわゆるマルチジョブホルダー関係の指摘


第5回労働者災害補償保険審議会労災保険制度検討小委員会(平成11年10月6日)議事録(抄)

○委員
 もう1つ、ただいまの検討項目とは別ですが、私として問題提起をしたいと思います。それは、私立学校の非常勤職員の通勤災害の範囲についての問題提起です。私立学校の非常勤職員の中には、複数の学校の授業を受け持っている者が相当数おり、これらの方々の中には、同一日に自宅からA校へ、A校の授業のあと、交通機関を用いてB校へ、B校の授業のあと自宅へ、との移動のケースがあります。現行労災保険法では、自宅からA校へ、そしてB校から自宅への移動中の災害は、通勤災害の対象となりますが、A校からB校への移動は、自宅と職場との間の経路ではないので、通勤災害の範囲とはならないと解されているようです。通勤災害の制度が発足した当時、このような就業形態は想定していなかったのではないかと思料されますが、かかるケースについて、通勤災害保護制度上、どのように取り扱うか、労働省としても検討すべきであると思うので、問題提起をしたいと思います。



労働者災害補償保険制度の改善について」(平成12年1月25日 労働者災害補償保険審議会の建議)(抄)

 3 本小委員会においては、過去の審議会における建議において指摘を行った事項と併せて、労使各側から労災保険制度に関連する要望事項の提出を求め、そのうち優先的に検討すべきものとして、以下の事項について対応の在り方の検討を行った。これらの事項については、以下のとおり、さらに検討を深め、あるいは、運用上の対応を図るべきであると考えられる。
 (中略)
(7) 複数の企業と雇用関係を有する、いわゆる「二重就職者」等が増大しているといわれているが、現行の通勤災害保護制度においては、就業の場所と就業の場所との間の移動中の災害については補償の対象となされていない、まずは、行政当局において、その就業の実態や災害状況等についての実態を把握することが望まれる。


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