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(5)地域福祉計画

 地域福祉計画は、平成12年の社会福祉事業法の改正により、社会福祉法に新たに規定された計画であり、市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画からなる。
 地域福祉計画については、当部会においてご審議いただき、平成14年1月28日、「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について(一人ひとりの地域住民への訴え)」としてご報告いただき、これを受け、当省は、同年4月1日、同報告を地域福祉計画策定の技術的助言として通知したところである。
 平成15年4月1日、地域福祉計画の策定に関する社会福祉法の規定が施行され、現在、市町村においては地域福祉計画の策定が本格化している。

1 市町村地域福祉計画の概要
(1)計画内容
  ○  福祉サービスの適切な利用の促進に関する事項
  ○  地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
  ○  地域における社会福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項

(2) 策定手続
 市町村は、市町村地域福祉計画を策定等しようとするときは、あらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映するために必要な措置を講ずるとともに、その内容を公表するものとされている。

2 都道府県地域福祉支援計画の概要
(1)計画内容
  ○  市町村の地域福祉の推進の支援に関する事項
  ○  社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項
  ○  福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項

(2) 策定手続
 都道府県は、市町村地域福祉計画の達成に資するために、各市町村を通ずる広域的な見地から、都道府県地域福祉支援計画を策定等しようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民その他の者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、その内容を公表するものとされている。

 地域福祉計画の目指すもの
 地域福祉計画の策定及び実施を通じて、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるよう地域福祉を推進することである。

4 地域福祉計画の特徴
(1) 住民参加
 地域福祉の推進は、地域住民の主体的な参加が前提であり、「地域住民の参加がなければ策定できない」ことが地域福祉計画の特徴である。

(2) 総合性
 地域福祉計画は、社会的に支援を要するあらゆる者を対象としているという点で対象者が総合的であり、また、その内容となるサービスについても、福祉サービスに軸をおきながら、医療、保健等いろいろなサービスを含めて総合的に検討するという点でも総合的である。こうした対象者、施策の総合性が地域福祉計画の特徴である。



全国の市町村地域福祉計画及び都道府県地域
福祉支援計画の検討状況について(概要)
(平成15年6月末現在の状況調査結果)


 市町村地域福祉計画について

策定年度 市町村数 ※ 割合(%)
  全市町村数 3,087 100.0
  14年度に策定(計画策定済含む) 128 4.1
15年度に策定予定 194 6.3
16年度に策定予定 348 11.3
17年度以降に策定予定 782 25.3
  策定と策定予定の合計 1,452 47.0
※ 長野県内の120市町村を除く。


 都道府県地域福祉支援計画について

策定年度 都道府県数 割合(%)
  全都道府県数 47 100.0
  14年度に策定(計画策定済含む) 17.0
15年度に策定予定 17 36.2
16年度に策定予定 14.9
17年度以降に策定予定 8.5
  策定と策定予定の合計 36 76.6



地域福祉計画の策定未定の要因

 地域福祉計画について、「策定未定」としている市町村を対象に調査を実施。(平成15年11月調査)

「策定未定」としている市町村数  1,602

策定未定の要因 回答数
(A)
全体に占める割合
(A)/1,602
1.計画の策定方法がわからない 62 3.9(%)
2.計画の策定や実施のための財源がない 350 21.8(%)
3.策定のための組織体制が整っていない 479 29.9(%)
4.他業務より優先順位が低い 250 15.6(%)
5.市町村合併の予定がある 1,224 76.4(%)
6.都道府県のガイドラインをみてから考える 156 9.7(%)
7.近隣市町村が策定する予定がない 139 8.7(%)
8.既に地域福祉計画を内包する総合計画等を策定している 158 9.9(%)
9.策定するメリットがない 149 9.3(%)
10.策定するまでもなく、地域福祉の推進が図られている 81 5.1(%)
11. その他 31 1.9(%)
 ※  市町村からの回答は複数回答によるものです。
社会・援護局地域福祉課調べ



地域福祉計画策定についての国の支援策

 (1) 策定指針
 地域福祉計画の策定及び実施は、地域福祉の推進を図る上で重要な意義を有することから、都道府県及び市町村が地域福祉計画を策定する際の参考に資するよう、地域福祉計画の策定に関する指針の在り方について社会保障審議会福祉部会に審議を求め、平成14年1月取りまとめられた同審議会の報告をもって策定指針と位置づけ、各都道府県知事あて技術的助言として通知した。

 (2)財政支援
  ○  地域福祉計画の策定に当たり、老人保健福祉計画等との整合性を図るなど、先駆的に取り組む市町村に対して補助を行う。
 都道府県ごとに2ヶ所(市1ヶ所、町村1ヶ所)を限度とし、事業費(市にあっては300万円、町村にあっては200万円)を上限に1/2を補助する。
  ○  住民の主体的な参加による地域福祉計画の策定に取り組み、その中で得られたノウハウを、これから地域福祉計画を策定する自治体に発信し、牽引役となる全国15ヶ所の自治体(「モデル地域福祉計画策定自治体」については別添のとおり)に対して補助を行う。
 事業費500万円を上限に1/2を補助する。

 (3) ホームページの開設
 地方自治体における地域福祉計画及び地域福祉支援計画策定に係る取組状況を広く共有することにより、各地方自治体の計画策定に資するよう、厚生労働省のホームページに地域福祉計画ホームページを開設している(随時更新中)。
 【16年4月1日現在30府県93市区町村の検討状況等を掲載】

 (4) 各地方自治体への地域福祉計画に関連する情報の提供
 各地方自治体の計画策定に資するよう、都道府県が市町村に提示した地域福祉計画策定ガイドラインや、市町村の住民の主体的参加を促すためのアイディア事例等を「地域福祉関係情報」として提供している(随時提供中)。



モデル地域福祉計画策定自治体一覧表

ブロック 自治体名
北海道ブロック 本別町
東北ブロック 高畠町(山形県)
皆瀬村(秋田県)
関東ブロック 鎌ヶ谷市(千葉県)
我孫子市(千葉県)
北陸ブロック 加賀市(石川県)
甲信越ブロック 大町市(長野県)
東海ブロック 名張市(三重県)
近畿ブロック 大津市(滋賀県)
愛東町(合併町村含む)(滋賀県)
枚方市(大阪府)
中国ブロック 広島市(広島県)
西伯町(合併町村含む)(鳥取県)
四国ブロック 檮原町(高知県)
九州ブロック 姫島村(大分県)

1万人未満 本別町、皆瀬村、愛東町、西伯町、檮原町、姫島村 6か所
1万人〜5万人未満 高畠町、大町市 2か所
5万人〜10万人未満 加賀市、名張市 2か所
10万人〜20万人未満 鎌ヶ谷市、我孫子市 2か所
20万人〜50万人未満 大津市、枚方市 2か所
50万人〜 広島市 1か所
合計 15か所


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