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生物由来製品による感染被害の救済制度の創設について


1) 制度創設の経緯
 ヒトの細胞組織等に由来する医薬品・医療機器等(生物由来製品)については、平成14年の薬事法改正において、その特質に応じて、原材料の採取から市販後の段階に至る安全対策の強化を図っているところである。
 しかしながら、生物由来製品については、最新の科学的知見に基づく安全対策を講じたとしても、感染症を伝播するおそれを完全には否定できない。
 このため、平成14年3月に取りまとめられた「ヒト細胞組織等に由来する医薬品等による健康被害の救済問題に関する研究会」の報告書を踏まえ、平成14年12月に成立した独立行政法人医薬品医療機器総合機構法において、今後生じ得る生物由来製品による感染等の健康被害について救済制度を創設することとなった。
 なお、本制度の運営は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)において行う。

2) 機構の行う業務
 機構は、現行の医薬品副作用被害救済制度に準じ、以下の業務を行う。
(1) 生物由来製品を介した感染等による疾病、障害又は死亡について、救済給付を行うこと。
(2) 救済給付の支給に係る者について保健福祉事業を行うこと。
(3) 拠出金を徴収すること。
(4) 以上に附帯する業務を行うこと。

3) 制度の概要
(1) 救済給付の種類
ア 医療費及び医療手当
イ 障害年金又は障害児養育年金
ウ 遺族年金又は遺族一時金
エ 葬祭料

(2) 厚生労働大臣への判定の申出
 機構は、厚生労働大臣に対し、救済給付請求者の健康被害が生物由来製品を介した感染等であるかどうか、その他医学的薬学的判定を要する事項について、判定の申出を行う。
 この場合、厚生労働大臣は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて判定を行い、その結果を機構に通知する。

(3) 拠出金
 生物由来製品の製造業者及び輸入販売業者は、機構の業務に必要な費用に 充てるため、その製造(又は輸入)に係る生物由来製品の総出荷数量を基礎 として算定される算定基礎取引額に拠出金率を乗じて得た額の拠出金額(一 般拠出金)を納付しなければならない。
 機構が前年度に支給を決定し、救済給付に係る健康被害の原因となった生 物由来製品を製造(又は輸入)した製造業者(又は輸入販売業者)は、当該 救済給付の給付原価を基礎として算定される拠出金(付加拠出金)を一般拠 出金に付加して納付しなければならない。

(4) 救済対象
 救済給付の支給業務は平成16年4月1日から開始し、開始日以降に使用された生物由来製品を介した感染等による疾病、障害及び死亡について行われる。



(参考図)
生物由来製品による感染被害救済制度の仕組み

生物由来製品による感染被害救済制度の仕組みの図

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