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平成5年度第4回薬事・食品衛生審議会血液事業部会概要
(※正式な議事録は、おって公開する。)


日時:平成15年1月26日(月)15:00〜17:15

 委員22名中14名が出席

 議題1「運営委員会の委員の指名について」

 部会長より、橋孝喜委員を新たに運営委員会の委員に指名したとの報告があった。

 議題2「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針の一部改正(案)について」

 基本方針の一部改正(案)については、事務局案どおり了承され、法令的な審査を経た上で、薬事分科会に上程することとされた。

 議題3「平成6年度の献血の推進に関する計画(案)について」

 事務局の説明に続き、参考人から意見募集結果に対する日本赤十字社の見解について説明があった。また、三星委員から、ライオンズクラブにおける献血推進ボランティアの資格認定制度の検討状況について報告があった。
 これらに対する質疑のほか、以下の意見があった。

 全血製剤の確保に関する問題については、日本赤十字社と医療現場でよく検討して、適正使用の基準に従い、どちらが妥当かを判断することが必要。
 昨年、日本赤十字社が輸血用血液製剤に関する市場調査をして、問題点を整理すべきという指摘をしたが、この懸案が解決されていないのは残念。
 献血者の健康被害救済については、まずは、具体的な事故の事例、見舞金の支払い状況等を調査しないと、検討するインセンティブが働かないと思う。
 献血をするボランティアの側から、献血における問題点をきちんと勉強しながらお手伝いをしていくことが重要。

 これらの議論の後、「平成6年度の献血の推進に関する計画(案)」は、事務局案どおり了承され、法令的な審査を経て、告示することとされた。

 議題4「輸血医療の安全性確保のための総合対策に係る検討項目について」

 事務局の説明に続き、参考人から、日本赤十字社の安全対策に関する取組について説明があった。また、大平委員から、本議題に関する大平委員・花井委員連名の意見書について説明があった。
 これらに対する質疑のほか、以下の意見があった。

 肝炎に関しては、それ以外の感染経路がなくなったことにより、現在の日本では性感染症としての側面が多く、確かに増えつつあるというのはHIVと同じ。「社会環境の整備」とは、性感染症としての側面を持つ疾病としての対応を推進することと理解。そこで、献血が検査に使われるのは、検査が受けにくいからである。HBVについては、70〜80年代のHIVと同じ状況で、どこでも検査ができず、陽性が判明すると排除の機構が働く。そういうところを改善して、通常の一般の病院でどこでも検査ができるよう、社会的な助成を是非推進していただきたい。保健所の検査では到底用を成していない現状だということをよく認識していただきたい。
 HIVの感染が判明したら通知するということを全面的に打ち出すべきではないか。ただし、この通知を行うに当たっては、血液センター以外での検査を受けやすくすることが前提にならざるを得ない。前回の輸血後HIV感染の際も、通知をせずに献血者の追跡調査をすることが問題になった。感染源と感染ルートの追及という感染症予防策の一つが途切れてしまうのは問題。また、クァランティンの望ましいスタイルとして、献血後2〜3ヵ月後に検査だけでも来てもらうような対策を前向きに考えるべきと思う。そういうことに焦点を合わせた総合対策を是非議論してもらいたい。
 いずれも、あるグループが対応すれば済む話ではなく、社会全体に輸血の安全性確保のための広報活動を行うことが大事。感染症罹患者の拡大防止や、国の方式としてのID提示をさせることなどについての説明をしなければならない。また、現実に検査目的の方が血液センターに来られるなら、はっきり窓口を二つにして、IDを提示して献血をやりたい方と、検査目的だという方と分けてやることも場合によっては考えられるのではないか。輸血や献血に関しては、社会一般の情報があまりにも少ない。その辺りを整理して問題の所在を明らかにし、解決策を提示していくことが大事だと思う。
 ここで出されたことは、既に論点は出ているし、保健所の検査の問題や、輸血後検査の保険適用についてもそれぞれの関係部署で対応が行われている。これらを、大臣の一声によっていかに具体化するかということを考えていただきたい。
 本人確認については、売血をやっている国のシステムそのもの。日本は献血で血液を賄っており、売血の国とは違うことを勘案して、慎重に取り扱う必要があるのではないか。そうしないと、地方では献血本数の絶対数がもう既に減ってきているのが現状で、さらに安全のことを肥大化させると献血それ自体の本数が減ってくるという現象に拍車がかかるかもしれない。そこのバランスをとりながら考える必要があるのではないか。
 血小板製剤に含まれる白血球数は、ほとんどが1×107 くらいであり、赤血球製剤が1×108 〜09 くらいなので、血小板製剤に白血球除去を導入しても殆ど導入されたとはいえないと思う。やはり赤血球製剤に力を入れて欲しい。また、貯留保管、不活化の導入、NATのプールサイズ減少には非常にお金が掛かる。ウイルス性感染症の対策も依然として重要だが、頻度としては免疫性副作用が非常に多い。保存前白血球除去は、フランスのヘモビジランスのデータから、明らかに免疫性副作用を低減化し、細菌感染も有意差はでないものの低減傾向があったことを考えると、最もコストベネフィットが高い安全対策ではないかと思うので、やはり早く導入していただきたい。
 たくさんの血液を使う大病院においては、患者の在院期間が非常に短くなっている。そうすると、フォローアップが非常に難しい。制度として確立したとしても、輸血後のフォローにはあまり大きな期待は持てないのではないか。貯留保管についても、ただ6ヵ月間置いていて、問題があったら捨てるような方式ではあまり意味がないのではないか。また、白血球除去の導入まで2年3ヵ月もかかるというが、ずいぶん長いと思う。これを短縮することに何か問題があるとするならば、何が問題なのかを洗い出して、それに対して厚生労働省がどういうサポートをできるかを検討する必要があるのではないか。国として導入するとはっきり決めれば、メーカーはメーカーで頑張ると思う。方針を明確にして、いつだったらこういう手順で導入できると、そのための障害は何かを明確にしていただきたい。
 総合対策の検討項目は、大分議論されてきたものばかり。要はどういう優先順位で具体的に何をやるかということ一つにかかってくると思う。また、こういう対策を講じたときに、何が変わったかのアウトカムをリサーチする戦略も同時に考えておいて欲しい。日本はアウトカムリサーチが系統だってできていないということがある。

 事務局は、これらの意見を十分念頭において、各調査会で検討を進め、次回の部会に対策のフレームワークを提示することとされた。

 議題5「血液製剤に関する報告事項について」

 事務局の資料説明に対する質疑のほか、以下の指摘があった。。

 (平成15年2月29日に報告された)HIV感染事例については、6か月の貯留保管をすれば防げたと思う。しかし、この人が前回献血から6か月以内に来たのは、たまたまであって、別に6か月以内に来てくださいといったわけではない。これを6か月貯留保管していたらこの例が救われたと考えるのはちょっと楽天的過ぎると思う。

 議題6「供血者からの遡及調査の進捗状況について」

(特に議論なし。)

 議題7「その他」について

(特に議論なし。)

(了)


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