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特定保健用食品の表示の科学的根拠

 特定保健用食品は、実質的に、その安全性については食品安全委員会で審議され、有効性(効果)については薬事・食品衛生審議会で審議される。その結果、科学的根拠があると認められた場合に、その表示が許可される。
 具体的には、ヒトを対象とした試験において保健の用途に係る効果が確認されている資料等に基づき、下記の「許可等の要件」を満たしているかどうかについて審議される。
 保健機能食品制度の創設等に伴う特定保健用食品の取扱い等について(平成13年3月27日食発第111号)(抄)
別添1  特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領
 許可等の要件
 次の要件に適合するものについて許可等を行うものであること。
(1)  食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるものであること。
(2)  食品又は関与成分について、保健の用途の根拠が医学的、栄養学的に明らかにされていること。
(3)  食品又は関与成分についての適切な摂取量が医学的、栄養学的に設定できるものであること。
(4)  食品又は関与成分が、添付資料等からみて安全なものであること。
(5)  関与成分について、次の事項が明らかにされていること。ただし、合理的理由がある場合は、この限りでない。
 ア  物理学的、化学的及び生物学的性状並びにその試験方法
 イ  定性及び定量試験方法
(6)  同種の食品が一般に含有している栄養成分の組成を著しく損なったものでないこと。
(7)  まれにしか食されないものでなく、日常的に食される食品であること。
(8)  食品又は関与成分が、昭和46年6月1日付け薬発第476号薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別紙「医薬品の範囲に関する基準」の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に含まれるものでないこと。



(別紙1)添付資料作成上の留意事項

(4) 食品及び特定の保健の目的に資する栄養成分に係る保健の用途及び一日当たりの摂取目安量を医学的及び栄養学的に明らかにした資料
 ア  in vitro及び動物を用いた in vivo試験
 関与成分のin vitro及び動物を用いた in vivo試験により、関与成分の作用、作用機序、体内動態を明らかにするための資料を添付する。
 これらの試験結果は、統計学的に十分な有意差を確認できるものでなければならない。 なお、関与する成分に関し、ヒトを対象とした試験において、その作用、作用機序、体内動態に関する知見が得られている場合には、当該資料の添付により、in vitro及び動物を用いた in vivo試験を省略することができる。
 イ  ヒトを対象とした試験
 原則として、審査申請する食品(以下「申請食品」という。)を用いて実施する。動物試験において保健の用途に係る有効性を確認した後、ヒトを対象とした試験(以下「ヒト試験」という。)を実施し、保健の用途に係る効果及び摂取量を確認する。
 ヒト試験は、ヘルシンキ宣言の精神に則り、常に被験者の人権保護に配慮し、倫理委員会等の承認を得て、医師の管理の下に実施する。
 ヒト試験の実施が極めて困難な場合、これに代わる試験の実施が求められること。例えば、疫学データをもって保健の用途に係る有効性を証明する際には、疫学データの高い質が求められる。
 (ア) 試験目的と計画
 食品の保健の用途に係る有効性及びその摂取量を確認することを目的とすること。
 試験は、原則として、設定しようとする1日摂取目安量による長期摂取試験を実施すること。
 試験計画を立てる際には、保健の用途に合致した指標、統計学的に十分な有意差を確認するに足りる試験方法と調査客体を設定することが重要であること。
 (イ) 対象被験者及び被験者数
 被験者は、健常人から疾病の境界域の者に至るまでの範囲において、目的とする保健の用途の対象として適切な者であること。
 妊婦や小児等は被験者から一般的には除外されるが、目的とする保健の用途、食品の形態等により、これらの者に対する医学的、栄養学的配慮についての検討を行う必要があること。
 被験者数は、試験内容や実施方法により必要な客体数が異なるが、統計学的手法によって有意水準の判定が可能な客体数を確保すること。
 したがって、統計学的手法上、有意水準の判定に不十分な被験者数の場合には、報告例として扱うものとすること。
 また、実施した試験における有意差が一過性と考えられる場合には、より精密な評価が要求されるものであること。
 (ウ) 試験食
 試験食は、原則として、申請する食品を用いること。
 ただし、関与成分と当該食品との差異が極めて少ない場合、その他合理的な理由がある場合には、当該食品ではなく関与成分で実施してもよいこと。
 (エ) 試験実施方法
 試験実施に当たっては、被験者の割り付け方法等に十分配慮し、統計学的に十分な有意差を確認するに足りる試験方法と調査客体を設定することが必要であること。
 (オ) 保健の用途に係る有効性等の判定方法
 保健の用途に係る有効性及び摂取量の確認のための試験結果の判定は、必ず統計学的処理による有意差検定により行うこと。



(参考)有効性を審査する審議会

 特定保健用食品の有効性については、下記メンバーの薬事・食品衛生審議会の新開発食品評価調査会及び新開発食品調査部会の審議を経て、新開発食品調査部会長が分科会に報告する。

┌───────────────── 《新開発食品調査部会》
【新開発食品評価調査会】  
氏名 現職 専門分野
池上 幸江 大妻女子大学家政学部食物学科教授 薬学
池田 義雄 タニタ体重科学研究所長 内科学
石綿 肇 聖徳大学人文学部教授 衛生化学
井藤 英喜 東京都多摩老人医療センター院長 医学
大野 泰雄 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター薬理部長 薬理学・代謝
斎藤 衛郎 独立行政法人国立健康・栄養研究所食品機能研究部長 栄養化学
清水 誠 東京大学教授 免疫系
田中 平三 独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長 栄養疫学
中澤 裕之 星薬科大学薬品分析化学教室教授 分析化学
中村 丁次 神奈川県立保健福祉大学栄養学科教授 臨床栄養
米谷 民雄 国立医薬品食品衛生研究所食品部長 GLP
山田 和彦 独立行政法人国立健康・栄養研究所食品表示分析・規格研究部長 保健学
和田 直江 主婦連合会専門委員 消費者・食品情報学
〔第1調査会〕
代謝、内分泌、腎、血圧系
氏名 現職 専門分野
井藤 英喜 東京都多摩老人医療センター院長 医学
及川 眞一 日本医科大学第三内科教授 脂質代謝
川島 由起子 聖マリアンナ医科大学病院栄養部長 臨床栄養学
久代 登志男 駿河台日本大学病院循環器科助教授 循環器
合田 敏尚 静岡県立大学食品栄養科学部助教授 栄養生理学
斎藤 衛郎 独立行政法人国立健康・栄養研究所食品機能研究部長 栄養化学
志村 二三夫 十文字学園女子大学人間生活学部教授 栄養学
伏木 亨 京都大学大学院教授 栄養代謝
松村 康弘 独立行政法人国立健康・栄養研究所健康栄養情報・教育研究部長 統計
山崎 壮 国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部第二室長 食品添加物
  〔第2調査会〕
消化、歯系
氏名 現職 専門分野
飯野 久和 昭和女子大学教授 微生物学
江指 隆年 聖徳大学人文学部生活文化学科教授 食品栄養学
清水 誠 東京大学教授 免疫系
鈴木 和春 東京農業大学応用生物科学部教授 栄養生理学
合田 幸広 国立医薬品食品衛生研究所生薬部長 分析化学
真田 宏夫 千葉大学園芸学部教授 栄養生化学
雫石 聰 大阪大学大学院歯学研究科教授 歯科衛生
中澤 裕之 星薬科大学薬品分析化学教室教授 分析化学
松井 輝明 日本大学医学部消化器内科講師 消化器
松村 康弘 独立行政法人国立健康・栄養研究所健康栄養情報・教育研究部長 統計学
山田 和彦 独立行政法人国立健康・栄養研究所食品表示分析・規格研究部長 保健学
渡辺 敏明 姫路工業大学環境人間学部生活環境学科食環境解析学教授 栄養学
(敬称略)


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