※ FDA・・・ | 米国食品医薬品庁。食品行政や薬務行政を所管。健康食品関係は、FDAの食品安全・栄養センター(CFSAN)が担当。 |
○ | 飲食に供するものについて法律上定義されているものは、(1)医薬品(Drug)、(2)食品(Food)、(3)ダイエタリーサプリメント(Dietary Supplement)の3つである。「健康食品(Health Food)」や「機能性食品(Functional Food)」といった用語の定義はない。 |
○ | 強調表示(Claim)については、「健康強調表示(Health Claim)」と「構造/機能強調表示(Structure/Function Claim)」の2つがある。 |
○ | 健康強調表示とは、特定の物質(substance)と特定の疾病(disease)の2つの要素の関係を示す表示。
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○ | 健康強調表示は、FDAの許可を必要とし、専門家の間に十分な科学的な合意(Significant Scientific Agreement=SSA)が必要である。許可体制はFDA内の科学者5人及び事務方5人の計10人。 |
○ | 構造/機能強調表示は、FDAの許可を必要としない(届出は必要)。製造者は真実で誤解の無い証拠(substantiation)を持つことが義務づけられているが、FDAにはそれを確かめる権限が無い。 |
○ | 当初、FDAは、ダイエタリーサプリメントについてもSSAに合致しない健康強調表示は認めない方針であったが、そのような規制は憲法上の表現の自由を侵すとしたピアソン訴訟判決を踏まえ、SSAに合致しない健康強調表示であっても限定的な表示を付けることにより健康強調表示を認めることとした。 |
○ | 現在、FDAは、この限定的健康強調表示に対する規則を作るまでの暫定的な制度案を示している。健康強調表示を科学的根拠の程度によりAからDまでのレベルに分類している。
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○ | この案について外部の意見を聴いているところであり、今春末には規制案を出す予定。規制案についてさらにパブコメを行って確定し、施行はその1年後の予定。 |
○ | 表示監視については、年1回監視計画を立てるが、安全性についての監視が最優先される。人員不足により、ダイエタリーサプリメント専門の監視員はいない。 |
○ | しかし、最近、公正取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)と協力し、不正表示に対する監視を強化している。 |
○ | 食品及びダイエタリーサプリメントの製品に示されている表示の監視はFDAが所管しているが、TV、新聞、インターネット等の広告の監視はFTCが所管。このため、FDAはFTCと連携して、広告等の監視を進めている。 |
食品 | ダイエタリー サプリメント |
医薬品 | |
広告 (Advertising ) |
公正取引委員会(FTC) | FDA | |
表示 (Labeling) |
FDA |
○ | 副作用情報のホットラインは役に立っていないことから中断された。代わりに、医薬品の有害事象データ(Medwatch Program)を使ってフォローアップしているが、フルに機能しているとは言えず、改善が求められている。 |
※ GAO・・・ | 会計検査院。議会の依頼により、政策評価、調査、政府支出の会計検査を行う。議会に調査結果を提出し、各行政機関の施策の改善等を求める。 |
○ | 議会に対して、(1)法律上定義の無い機能性食品についても、ダイエタリーサプリメントと同様の規制を適用すること、(2)健康強調表示と構造・機能強調表示の区分を再検討することなどを勧告。 |
○ | FDAに対しては、ダイエタリーサプリメント及び機能性食品の安全性を保証し、正確な情報提供を確保するため、(1)安全性に関する企業に対する規則の制定、(2)構造・機能強調表示の科学的根拠に対する規制強化等を勧告。 |
○ | 抗老化や代替医療を趣旨とする健康食品による高齢者への健康被害の危険性を示唆。 |
○ | 減量目的のダイエタリーサプリメントの安全性の監視は自主的な健康被害事例報告に頼っており不十分。安全性及び有効性について科学的根拠のある正確な情報が消費者に対して必要である。 |
○ | 深刻な健康被害に関連してきたエフェドラ含有製品について、ユーザーから企業に寄せられた電話を検証したもの。 |
○ | FDAがエフェドラについて行った過去の作業の評価を行った。FDAが被害事例のパターンを調査し、エフェドラ関連の文献を一致させれば、3年前に因果関係が明確化されていた。 |
○ | ダイエタリーサプリメントの販売額 95年98億ドル(1.1兆円)→99年推定147億ドル(1.6兆円) |
○ | 機能性食品の販売額 95年113億ドル(1.2兆円) | →99年推定162億ドル(1.8兆円) →2010年推定490億ドル(5.3兆円) |
(アメリカ会計検査院報告書より) |
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※ European Commission・・・ | 欧州委員会。EUの執行機関。加盟国の合意に基づき欧州議会の承認を受けた委員で構成。24の総局があり、政策、法案を提案、EU諸規則の適用を監督、理事会決定等を執行する。健康食品の担当は保健・消費者保護総局が担当。 |
○ | 当初、健康強調表示は規制案の対象として考えていなかったが、業界の要望と違法な実態に鑑み、対象に加えた。 |
○ | 現在、規則案は、欧州議会では第1読会に入っており、理事会では専門家会合が8回開かれ、 かなり議論が煮詰まってきている状況。 |
○ | その中で、消費者と業界が対立している争点は、第4条(栄養プロファイルの原則、特定の食品及びアルコールについて表示の禁止)及び第11条(暗示的な表現の禁止)の2つに絞られてきている。 4条については、食品のプラス面だけでなく、マイナスの要素も合わせて正しく情報提供すべきと考えている。例えば、子供向けのシリアルに砂糖が多く入っていながら健康強調表示を行うのはバランスを欠き不適切と考えているが、業界は科学的根拠があれば健康強調表示は認められるべきと反対している。 11条については、心理的な機能は影響する要素が多々あり、また、痩身については既に禁止されている国があり、医師の助言については単にロゴを使うなと言っているのみであるが、この規定は今後修正となる公算が大きい。 |
1. | この規則の採択から18ヶ月以内に、欧州委員会は、第23条(2)で定める手続きに従って、食品あるいは特定の食品分類に栄養・健康強調表示をつけるために顧慮しなければならない特定の栄養プロファイルを規定する。栄養プロファイルは、特に、食品中の以下の栄養素の量として規定する。
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2. | 本条第1項の免除規定として、脂肪・飽和脂肪酸・トランス型脂肪酸・糖質・塩(ナトリウム)の量の低減を謳う栄養強調表示は、この規則に定める条件に準拠していれば、使用を許される。 | ||||||
3. | アルコールを体積で1.2%以上含む飲料は、
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4. | 本条第3項で定めた以外の食品あるいは食品分類で、栄養・健康強調表示が制限・禁止されるべきものは、第23条(2)に定めた手続に従って、科学的実証に照らして決定することができる。 |
1. | 以下のような暗示的な強調表示は許されない。
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2. | (略) |
○ | 疾病リスク低減強調表示を認めることを提案しており、議会及び理事会もその方向。よく知られたカルシウムと骨粗鬆症の関係のような表示は、迅速に許可される見込みである。 |
○ | 今後のスケジュールとしては、欧州議会の選挙準備やEU拡大に伴う新加盟国の参加等もあり、 この案がどのような内容でいつ成立し、いつ発効するのか予測できない。 |
○ | 許可に必要な科学的根拠のレベルをどう設定するかについてはEFSA(欧州食品安全委員会)の役割であり、保健・消費者保護総局(DGSanco)としては関知しない。また、評価のメンバー・手続も規制が成立していない段階では何も決まっていない。 |
○ | 第12条のポジティブリストにおける「一般に認められた科学的データに基づき平均的消費者に十分理解される、・・・栄養素あるいはその他の物質の役割を表示した健康強調表示」については、加盟国が作成することとなるが、この「一般に認められた」とは、“栄養学の教科書レベルで認められた”、との意味である。 |
○ | アメリカの限定的強調表示のような有効性のレベルに基づく段階的な表示制度を作成する予定はない。(担当官の見解では、ディスクレーマー(付随する否定的表示)は一種の免責条項であり、そのような言葉を付すことは強調表示自体の意味を無くすのではないか、とのこと。) |
○ | 現行のビタミン、ミネラル関係の表については変更の予定はない。現在作成されていないビタミン、ミネラル以外の成分については、1年半ぐらいでリストを作成する予定。 |
○ | データは持っていない。 |
※ beuc・・・ | 欧州消費者同盟(英語名European Consumer’s Organization)。EU加盟国ほか25カ国における35の国内消費者団体からなり、消費者の利益に資するよう、EUの政策に影響を与えることを任務とする。消費者への啓蒙活動などは行っていない。 |
○ | 現行の制度は不十分であり、市場には曖昧で意味の無い不適切な強調表示が多い。beucの目指すことは、強調表示に焦点を当てたルールを作ることにより、(1)健康強調表示や栄養強調表示を制限し、(2)当該強調表示の価値を高めることである。 |
○ | 欧州委員会の案は、beucの意見に極めて近い内容となっており歓迎している。この案は、(1)どのような表示でも誤解を与えてはいけない、(2)科学的根拠があっても、バランスのとれた食生活の観点からは健康強調表示を行うことが不適切な食品があるというアプローチに立っており、特に、第4条(栄養プロファイルの原則、特定の食品及びアルコールについて表示の禁止)及び第11条(暗示的な表現の禁止)は、大変評価している。 | ||
○ | しかし、これらの規定については、(1)科学的根拠があるにもかかわらず表示が禁止されるのは不適当、(2)第4条手続(各国政府と欧州委員会のメンバーのみで決定)が欧州議会をバイパスしている、といった厳しい批判がある。
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○ | 現段階で言及することは難しいが、挙証責任は製造者、販売者に求めるべきである。なお、個人的には、権威ある文献でないとダメとまでは言えないであろう。(peer reviewの考え方) ただ、いかに科学的根拠があっても、「正しい」ことは表示の十分条件ではない。(不利な表示も含めて全て表示すること。(栄養プロファイルの原則)) また、アルコールのような過剰摂取が懸念される場合もダメである。 |
○ | 情報が少なすぎるため、現段階で言及することは難しい。 |
○ | 情報は持っていない。 |
○ | 今回の規制案は、業界にとっても長い目で見てメリットがあると思う。 |
○ | 消費者の自己責任の考え方は否定しないが、「情報によって行動は影響される」という点を強調したい。強調表示は、特に、今、非常に不適切な状況にあるので、もう一度、その価値を高めることが必要と考える。なお、消費者の行動原理を一番よく分かっているのは、我々よりも、むしろ、業界のマーケティング部門である。 |
※ Ministry of Health, Welfare and Sports・・・ | 健康福祉スポーツ省。健康食品行政は、栄養健康保護部(Department of Nutrition and Health Protection)が担当。 |
○ | 機能性食品(functional food)という言葉があるが、全ての食品は、何らかの栄養学的価値あるいは機能を持っている。したがって、製品は健康に対する効果によって特徴づけられるわけではなく、効果に関する表示がなされているという事実によって特徴づけられるものである。 |
○ | 医薬品との区分が最重要であるが難しい。食品全般の健康強調表示が規制される予定。医薬品的効能効果の表示は食品には認められない。 |
○ | フードサプリメントの定義はEUの「フードサプリメントに関する理事会指令(2002/46)」に基づく。 |
○ | 法的根拠は、EUの「食品のラベル表示・外観・広告に関する指令(2000/13)」第2条に置いている。消費者を誤解させる表示及び疾病を治癒させる旨等の表示の禁止。同規定は明確なようで、各国間の解釈の差を生んており、見直しの予定と聞いている。 |
○ | オランダ広告委員会(Dutch advertisement committee)が、法令違反等の観点から健康強調表示がされている食品及び健康関連製品(health products)の広告を監視。特徴として低予算。どの団体もこのシステムを利用できる。
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○ | 表示及び広告を事前審査。1000種類の具体的な表示例のリストについて、医薬品的表示でないかどうか、健康強調表示として認められるかどうかを判断。
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○ | オランダニュートリションセンター(Voedingscentrum)は1998年に事業者の申請及び負担に基づき、個々の製品ごとに、その表示の科学的根拠を審査する準則を創設。同センターの外部に専門家のパネルを設け、大学、研究機関から常時4人を置いて、審査(所要3ヶ月が標準)。 |
○ | これまで5製品が申請。4製品(コレステロールを低下させる植物ステロールを含むスプレッド・ヨーグルトや大腸の生物学的機能を活性化させるイヌリンを含むパン等)が認められ、1製品(内容非公開)が科学的根拠が不十分として却下された。 |
○ | 一種の訴訟前プロセスとして機能(訴訟回避)。事業者負担。健康強調表示の科学的証明に関する実施準則は、科学的根拠を厳格に審査。KAGコードは事前承認制であり、加盟団体の会員はこれに従う。 |
○ | 健康強調表示の科学的証明に関する実施準則は、まだあまり知られていないため、わざわざ許可を取るだけのメリット(reward)が無い。KAGコードは、表示の科学的根拠よりも言葉選びに重点が置かれてしまっている。(消費者はかえって混乱。) |
○ | 担当大臣から「機能性食品」についての議会あてレター(2002)において、曖昧な科学的根拠の無い表示が多いことなど受け入れ難い状況であり、各種自主規制を統合して法制化すべきこと、健康会議(Health Council)の助言を求めるべきことなどを提言。健康会議は、報告書の中で、(1)明確で証明された疾病リスク低減強調表示だけが価値があること、(2)「豊富な・・・」、「低・・・」等の栄養強調表示は健康強調表示を暗示させるので、より明確化すべきことを指摘(2003)。 |
○ | EUのイニシアティブを待つ一方、新しい規則策定のためのワーキンググループを設置。 |
○ | 以下の点から、基本的に評価。(1)科学的根拠があり評価された健康強調表示を支持、(2)EUの強調表示許可リストを支持、(3)疾病リスク低減強調表示を支持、(4)EFSAの中心的役割を支持(しかし、食薬区分等の適切な表現選びや強調表示の分かりやすさのチェックについてはEUレベルでの規制に馴染まないのではないか)、(5)「栄養プロファイル(nutrient profile)」を支持する。 |
○ | 第11条の規定については、(1)心理的・行動的機能の強調表示の全面禁止は必要ない、(2)体重抑制に関する強調表示の全面禁止は必要ない、(3)確立された団体からの栄養学的助言に言及する余地は残すべきである、(4)空想的な表示の禁止は支持する。 (注)なお、上記のオランダ政府のコメントとは別途、企業側からも「EUで統一規制を作成する方向は、各国ごとに許可を取る手間を省き、歓迎できる」とのコメントあり。 |
○ | EU規則案が成立し実施されれば、栄養素機能強調表示の用語の適否の判断に限られるであろう。 |
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「強調表示(Claim)」とは、コーデックスの包装食品表示一般規格及び強調表示に関する一般ガイドラインによると、食品が、その起源、栄養的特性、性質、生産、加工処理、組成あるいはその他あらゆる品質に関して特別な特徴を持つことを述べたり、示唆あるいは暗示する全ての表示を指す。 |
コーデックス(案) Proposed Draft Guidelines for Use of Health and Nutrition Claims(健康・栄養強調表示の使用に関するガイドライン案)(現在step6) |
日本 健康増進法 食品衛生法
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アメリカ The Federal Food, Drug, and Cosmetic Act (連邦食品・医薬品・化粧品法1983)
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EU(案) 「食品に表示される栄養強調表示及び健康強調表示に関する規則案」(2003.7)※欧州議会と閣僚理事会の承認を経た上で、2005年までには施行の予定
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Conventional foods | Dietary supplements | |||||||||||||
Health Claims (健康強調表示) 食品あるいはその成分と健康の関わりを述べ、示唆し、暗示するすべての表現のことであり、次のものが含まれる。 |
Nutrient Function Claims (栄養素機能強調表示) |
健康の保持増進の効果等の表示 | Food with health claims(2001) (保健機能食品) |
Food with nutrient function claims(2001) (栄養機能食品) 規格基準型自己認証制 |
Structure/ Function Claims 規制無し(但し、non-nutritive effectsには認められていないほか、ハーブ等の添加成分はGRAS基準又は添加物として承認される必要がある。) |
Structure/Function Claims(1994) 事後届出制 (+disclaimers等) |
Health Claims 認可制 |
describing a generally accepted role of a nutrient or other substance ポジティブリスト制 (認可制の特例) |
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Other Function Claims (栄養素以外のその他の機能強調表示) |
Food for specified health uses(1991) (特定保健用食品) 個別大臣許可制 |
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“Health Food” (いわゆる健康食品) |
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Reduction of Disease Risk Claims (疾病リスク低減強調表示) |
認められていない。 | Health Claims(1990) FDA承認制 |
Reduction of Disease Risk Claims 認可制(+disclaimers) |
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Nutrition Claims (栄養強調表示) |
Nutrient Content Claims (栄養素成分) |
Nutrition Labeling (栄養表示1996) |
(絶対表示) | Nutrient Content Claims (1990) ※1975〜任意制度 |
Nutrition Claims | |||||||||
Nutrient Relative Claims (栄養素比較強調表示) |
(相対表示) | Nutrient Relative Claims | Comparative Nutrition Claims |