戻る

権利擁護等に関する現行施策の概要

 現行の運営基準においては、介護サービス事業者はサービス提供の開始に当たり、利用者等に文書で説明等を行い同意を得なければならないこととなっている。
 痴呆性高齢者等の介護保険サービス利用等に関しては、本人の意思決定を補完する観点から、成年後見制度利用支援事業や地域福祉権利擁護事業が行われている。
 また、高齢者が虐待などを受けている場合で介護保険サービスを利用できない場合には市町村は老人福祉法に基づき特別養護老人ホーム等への入所措置を行わなければならないこととなっている。
 施設内における身体拘束については介護保険施行当初より施設運営基準において原則禁止する旨の規定を設けている。

1.介護サービス利用に関する説明と同意

 ○ 現行の運営基準においては、指定介護サービス事業者(施設)は、介護サービスの提供開始に際し、あらかじめ利用(入所)申込者及び家族に対し、サービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、サービス提供開始についての同意を得なければならないこととされている。

2.成年後見制度利用支援事業

(実施主体)市町村
(対象者)重度の痴呆性高齢者、知的障害者
(事業内容)
  (1)成年後見制度利用促進のための広報・普及活動
在宅介護支援センター等を通じたパンフレットの作成・配布
高齢者、知的障害者やその家族に対する説明会の開催 など
  (2)成年後見制度の利用に係る経費に対する助成
成年後見制度の申立てに要する経費(登記手数料、鑑定費用等)及び後見人等の報酬の全部又は一部
(費用負担)国1/2、都道府県1/4、市町村1/4
(実施市町村数)
平成13年4月1日現在179市町村(全体の 5.5%)
平成14年4月1日現在343市町村(全体の10.6%)
平成15年4月1日現在551市町村(全体の17.1%)

3.地域福祉権利擁護事業

(実施主体)都道府県社会福祉協議会、指定都市社会福祉協議会、市区町村社会福祉協議会
(対象者)痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等
(事業内容)
  以下の援助内容について、利用希望者の意向を確認しつつ、具体的な支援計画を策定し、契約を締結する。
(1)福祉サービスの利用援助
(2)苦情解決制度の利用援助
(3)福祉サービスの適切な利用のために必要な一連の援助
(4)日常的金銭管理((1)〜(3)に伴う預金の払い戻し、預け入れの手続き等)
 第三者機関である「運営適正化委員会」等を設置することにより、契約による事業の的確性を確保し、安心して利用できる仕組みになっている。
(利用料)実施主体が定める利用料を利用者が負担。
(実施状況)
 利用に関する相談件数利用契約件数
平成14年度159,746件4、704件

4.老人福祉法に基づく措置

 市町村は、高齢者が家族の虐待等を受けている場合等であって、介護保険サービスを受けることができない場合には、職権により、特別養護老人ホーム等への入所措置を行わなければならないこととなっている。
(老人福祉法第11条)
平成14年3月調査
 ・介護保険施行後2年間で、入所措置対象者:累計140人
うち、「虐待・無視」を理由とする入所者:58人

5.身体拘束廃止への取組み

(1)国における取組み
 (1) 身体拘束廃止に向けた取組みに係る運営基準等の改正
  ○ 平成12年の介護保険法の施行当初より、介護保険施設等の運営基準において、入所者の生命・身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束を行ってはならない旨を規定。

  ○ 身体拘束廃止に向けて更なる取組みを促すため、以下のように運営基準等を改正(平成15年4月1日より施行)。
 緊急やむを得ず身体拘束を行う場合の義務を、運営基準上に明記。
 ・その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録。
 ・当該記録を2年間保存。

 解釈通知上に、緊急やむを得ず身体拘束を行う場合の手続きについて、運営規程に記載することが望ましい旨を、新たに規定。

 (2) 「身体拘束ゼロへの手引き」の作成と普及
  ○ 身体拘束廃止の趣旨、具体的なケアの工夫や実例などを盛り込んだ、介護現場用の手引きを作成・普及(平成13年3月末より配布)。
 また、痴呆介護研究・研修東京センターにおいて、「手引き」に基づいた啓発用のビデオを作成し、配布(平成14年7月)。

(2)都道府県における主な取組み
  ○ 推進会議の開催

  ○ 身体拘束相談窓口の設置
都道府県の推進会議などに、介護の専門家が、介護担当者や利用者の相談に応じ、身体拘束を廃止していくためのケアの工夫等について具体的な助言・指導を行う身体拘束相談窓口を設置。

  ○ 相談員養成研修事業の実施
介護相談員や在宅介護支援センターの職員などを対象として、身体拘束に関する基礎知識等の研修を行い、身体拘束廃止の助言・指導ができるような人材を養成。

  ○ 家族支援事業の実施
家族に対し、身体拘束の意義を理解させるための講習会を実施するとともに、住民の身体拘束に対する理解を深めるための説明会等を開催。


トップへ
戻る