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サービスの第三者評価について

 第三者評価については、サービスに関する客観的情報の開示により、利用者の適切な事業者選択に資するものとして、その導入が求められている。
 本年度は、調査研究が実施されており、この結果や来年度に行うモデル事業による検証を踏まえて、第三者評価の導入を進めていくこととしている。


1.第三者評価の導入に関する決定・提言

○規制改革推進3か年計画(再改定)(平成15年3月28日閣議決定)−抜粋−

6 福祉等
 1 介護分野
 (5)介護サービス事業者の情報公開及び第三者評価の推進
 (略)また、痴呆性高齢者グループホームについては、特に入所者の特性から事業者の評価が重要である点にかんがみ、平成14年度から他の介護サービス事業者に先んじて第三者評価制度が実施されたところであるが、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど他の事業者についても、順次第三者評価の推進方策を講ずる。【平成15年度中に検討(逐次実施)】

2015年の高齢者介護 〜高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜(2003年6月26日 高齢者介護研究会報告)−抜粋−
4.サービスの質の確保と向上
 (略)介護サービスによる自立支援の効果の評価(アウトカム評価)の手法の確立等を行い、評価結果を利用者に開示することにより、質の高いサービスを提供する事業者が選択され、事業者自身にも質の改善を促していく仕組みの構築が求められる。具体的には、現在、痴呆性高齢者グループホームについて実施しているような外部評価の仕組みを他のサービスにも早期に導入することが必要である。


2.調査研究での検討状況と今後の予定

 現在、老人保健健康等増進事業(国庫補助事業)により、(社)シルバーサービス振興会に、「介護保険サービスの質の評価に関する調査研究委員会」を設置。
 同委員会においては、利用者による介護サービス事業者の適切な選択に資する情報提供及び介護サービス全体の質の向上を図るための介護保険サービスの質の評価に関して調査研究を実施。
 これらの検討の過程の中で整理された事項は、次のとおり。

1.基本的な考え方について
 介護保険の基本理念である「利用者本位」、「高齢者の自立支援」、「利用者による選択(自己決定)」を、現実のサービス利用において保障するための制度的枠組みの構築を目指すものであること

 (1) 利用者が介護サービス事業者を選択するに当たっての判断に資する情報開示の標準化
 (2) 第三者評価のプロセスを通じて、介護サービス事業者自身による介護サービスの質の向上への取組みを促進

2.情報開示の標準化の概要について
 利用者による介護サービス事業者の選択に資するため、事業者が現に行っている事柄(事実)を前提として開示すべき情報を標準化し、これについて第三者が客観的事実に基づき調査し、その結果を開示する。

 ○ 事業者選択に資する情報として必要となる評価項目と評価項目に応じた判定基準、ファクトシートなどを標準化
 ○ 適切な事業者選択に資するため、その地域の全ての事業所に関する情報が開示されるとともに、評価項目の全てが開示されることが必要

 平成16年度においては、本年度の調査研究結果を踏まえたモデル事業を実施し、課題等の検証を行うこととして予算(案)に計上したところであり、今後、これらの調査研究結果やモデル事業による検証等を踏まえながら、第三者評価の推進を進めていくこととしている。



「介護保険サービスの質の評価」の位置付けの整理

「介護保険サービスの質の評価」の位置付けの整理の図

(注1) 本資料における「情報開示」とは、利用者の請求に基づくものではなく、公表することを表している。
(注2)位置づけを明確にするため「一義的な受益者」を整理しているが、「第三者評価」についても利用者が、「情報開示の標準化」についても事業者が、それぞれ受益者となり得るものである。



「介護保険サービスの質の評価に関する調査研究事業」の概要について


1.趣旨・目的
 利用者による介護サービス事業者の適切な選択に資する情報提供及び介護サービス全体の質の向上を図るための介護サービスの質の評価に関する調査研究を行う。

2.実施主体
 社団法人シルバーサービス振興会

3.研究体制
(1)調査研究委員会
 社団法人シルバーサービス振興会に、「介護保険サービスの質の評価に関する調査研究委員会」を置く。

(2)部会
 調査研究委員会の下に、次の部会を置く。
(1) 訪問介護・訪問入浴介護部会
(2) 福祉用具貸与部会
(3) 通所介護部会
(4) 特定施設入所者生活介護部会
(5) 介護老人福祉施設部会
(6) 介護老人保健施設部会
(7) 評価者養成部会

4.調査研究内容
(1)調査研究委員会
(1) 評価の実施方法
(2) 評価の実施体制
(3) 評価基準(評価項目、判定基準)
(4) 費用負担のあり方
(5) 評価結果の公表
(6) 人材の養成

(2)部会
 部会長会議での調整等を踏まえ、下記内容についての調査研究を行う。
(1) 各サービスの評価基準(評価項目、判定基準)案について
(2) 評価者養成研修カリキュラム等案について

5.スケジュール
 平成16年3月末までに報告書を取りまとめる。



介護保険サービスの質の評価に関する調査研究委員会
(50音順、敬称略)


天本 宏   医療法人天翁会理事長

岩渕 勝好 産経新聞論説委員

大森 彌 千葉大学法経学部教授

梶原 洋 東京都福祉局総務部計画調整課課長

川越 雅弘 日本医師会総合政策研究機構主席研究員

岸上 善徳 愛知県高浜市福祉部長

木間 昭子 国民生活センター研修生活研究部主任研究員

白澤 政和 大阪市立大学大学院教授

菅原 弘子 福祉自治体ユニット事務局長

高橋 紘士 立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ福祉学科教授

田中 滋 慶應義塾大学大学院教授

栃本 一三郎 上智大学文学部教授

永田 久美子 高齢者痴呆介護研究・研修東京センターサービス評価推進室室長

中原 登世子 日本能率協会審査登録センター(JMQA)専任審査

新津 ふみ子 特定非営利活動法人メイアイヘルプユー代表

橋本 廸生 横浜市立大学医学部教授

樋口 恵子 高齢社会をよくする女性の会代表

本田 純一 中央大学法科大学院(開設準備室)教授

増田 時枝 全国老人クラブ連合会評議員


  ※ ◎印は委員長  ○印は副委員長



都道府県・指定都市おける介護サービスの第三者評価についての取組状況

事項 介護サービス
第三者評価

(福島県)
福祉サービス
第三者評価

(東京都)
介護サービス
第三者評価

(福井県)
福祉サービス
第三者評価

(三重県)
福祉サービス
第三者評価

(滋賀県)
介護サービス
第三者評価

(京都府)
評価の目的  介護保険施設サービスについて、評価及び助言を行うことにより、利用者の希望に添った質の高いサービスの提供に向けて、施設自らが行おうとするサービス水準の向上を支援  第三者評価結果を幅広く利用者や事業者に情報提供することにより、サービスの内容を利用者に見えるものとするとともに、サービス提供事業者の質の競い合いを促し、サービスの質の向上に向けた事業者の取組を促進  利用者の心身の状況等に応じて適切なサービスを提供するとともに、常に利用者の立場に立ったサービスを提供するため、自らサービス内容を点検し、サービスの質の向上に取組むことを支援
改善志向(サービスの質の改善)
自己評価重視(サービスの質の向上のために施設が組織的な取組を行う)
職員と管理者による評価(改善のための課題に向けて施設全体で取り組む)
施設の取組アピール
 事業者のサービスの向上に向けた取組を促すとともに、その結果の公表により、利用者のサービス選択に資する情報提供  サービス事業者の公正・公平な「サービス評価」の取組を促進し、利用者本位の質の高い介護サービス提供の確保と選択を支援
事業の実施主体  福島県  東京都福祉サービス評価推進機構
 ((財)東京都高齢者研究・福祉振興財団に設置)
 福井県  三重県  滋賀県  京都府
事業の受託機関  ー  ー  ー  ー  滋賀県社会福祉協議会(委託事業(モデル実施))  ー
評価の決定機関  福島県

 (福島県介護保険施設サービス評価委員会)
 多様な評価機関

(東京都福祉サービス評価推進機構が認証)

(例)
 公益法人、営利法人、NPO法人等
 福井県

(在宅系) 地区介護サービス評価委員会(県健康福祉センター単位に設置)
(施設系) 福井県介護サービス評価委員会(県委員会に設置)
 多様な評価機関

(みえ福祉第三者評価推進会議に参画)

(例)
 公益法人、営利法人、NPO法人等
 滋賀県社会福祉協議会(委託事業(モデル実施))

 第三者評価機関の育成を検討中
 多様な評価機関

(京都府が認定)

(例)
 公益法人、NPO法人 等
評価員  福島県介護保険施設サービス評価委員会の委員  評価機関に所属する者(評価員となる場合、資格、研修等の要件あり)
(在宅系) 地区介護サービス評価委員会の委員
(施設系) 福井県介護サービス評価委員会の委員
 評価機関に所属する者(資格、研修等の要件あり)  評価基準(案)等の作成に携わった者で県と協議の上本人から同意を得た者(委託事業(モデル実施))

 評価機関に設置する第三者評価委員会が任命する者(介護専門職、学識経験者等)とすることを検討中
 評価機関に所属する者(推薦、研修等の要件あり)
評価の対象  介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設  福祉サービス(35サービス)  訪問介護、通所介護、通所リハビリテーション、介護老人福祉施設、介護老人保健施設 介護老人福祉施設(福祉サービス全般としていくことを検討中)  福祉サービス全般  介護サービス全般
受審義務  任意  任意  任意  任意  任意  義務化を検討
結果の公表 公表義務  なし
 (福島県介護保険施設サービス評価委員会と施設経営者の同意)
 なし(合意による)  なし  義務化を検討中  義務化を検討中  あり(要綱で規定)
公表内容  評価結果概要
講評
結果コメント
利用者ヒアリング結果
サービス提供プロセス項目毎のコメント
5事業所毎の評価結果比較表
 (葉印、5段階)
 評価結果概要
ホームページ、冊子に評価結果詳細を掲載予定
事業所内等に概要を掲示予定
 評価項目毎の評価結果又は、再調査の結果を公表することを検討中
評価結果と自己評価結果の対比
事業所に対するアドバイス等の公表を検討中
実施状況  6施設(H14')  83ヶ所(H16.1.29現在)  在宅系:8事業所
 施設系:4施設
 (H14')
 20施設実施予定(H15')  介護保険サービス20ヶ所実施予定
 (H15'モデル事業)
 110ヶ所実施予定(H15'モデル事業)
 
事項 福祉サービス
第三者評価

(大阪府)
介護サービス
第三者評価

(兵庫県)
介護サービス
第三者評価

(熊本県)
介護サービス
第三者評価

(神戸市)
介護サービス
第三者評価

(福岡市)
介護サービス
第三者評価

(北九州市)
評価の目的
事業者が行う自己評価等によるサービスの質の向上の取組を第三者の目で確認し評価することでより質の高いサービスに誘導
利用者選択が可能なサービスについては、結果公表によりサービスの選択に資する
 評価結果や情報を幅広く利用者や事業者に提供する仕組みを作ることにより、利用者が安心してサービスを選択できるようにするとともに、サービスの質の向上に向けた取り組みを促進  サービスの質を向上させるとともに、評価結果が広く公表されて、利用者がより良いサービスを自由に選択出来る環境を構築  利用者の選択に資する情報の提供や事業者の自主的なサービスの質の向上
介護サービスを必要とする利用者のサービス事業所の選択に資する
介護サービス事業所が提供するサービスの質の向上に資する
利用者の適切なサービス選択に資するための情報となる
事業者自らによるサービスの向上に向けた取組に結びつける
事業の実施主体  福祉サービス第三者評価システム推進支援会議・大阪(大阪府福祉人権推進センター内に設置)  兵庫県  熊本県  神戸市消費者協会介護保険評価委員会(任意団体)  介護サービス評価センターふくおか(福岡市社会福祉協議会に設置)  北九州市
(北九州市介護サービス評価委員会)

(民間評価機関とすることを検討中)
事業の受託機関  ー  兵庫県社会福祉協議会(委託事業(モデル実施))  ー  ー  ー  ー
事業の決定機関  多様な評価機関

(福祉サービス第三者評価システム推進支援会議・大阪(大阪府福祉人権推進センター内に設置)に参画)

(例)
 公益法人、営利法人、NPO法人 等
 兵庫県社会福祉協議会(モデル実施)

(本格実施後は、多様な評価機関とすることを検討中(兵庫県介護保険サービス第三者評価事業推進委員会が認証))
 多様な評価機関とすることを検討中  神戸市消費者協会介護保険評価委員会(任意団体)  介護サービス評価センターふくおか(福岡市社会福祉協議会に設置)  北九州市
(北九州市介護サービス評価委員会)

(民間評価機関とすることを検討中)
評価員  評価機関に所属する者(推進支援会議における第三者評価調査者養成研修の修了者)  兵庫県社会福祉協議会(委託事業(モデル実施))、兵庫県が公募、関係団体の推薦等により選定

 中立性と客観性を確保できる者とすることを検討中
 評価機関に所属する者(評価員となる場合、研修等の要件あり)  神戸市消費者協会介護保険評価委員会に所属(協会内で組織)するホームヘルパー  介護支援専門員の資格を有し、実務経験のある者で福岡市社会福祉協議会で採用し、研修を終了した者  北九州市介護サービス評価委員会の委員(市長による委嘱)
評価の対象  福祉サービス全般  介護サービス(痴呆対応型共同生活介護、特定施設入所者生活介護、居宅療養管理指導を除く)  訪問介護、通所介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、居宅介護支援  訪問介護、訪問看護、通所介護  介護サービス(居宅療養管理指導を除く)  訪問介護、訪問看護、通所介護、通所リハビリテーション、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、居宅介護支援
受審義務  任意  任意  任意  任意  任意  任意
結果の公表 公表義務  本格実施後は義務化とすることを検討中  義務化を前提に検討中  義務化を前提に検討中  あり(契約書案で規定)  あり(要綱で規定)  なし(同意による)
公表内容  評価機関毎に異なる  評価結果の概要、結果詳細、事業者コメント等とすることを検討中  評価結果の概要  レーダーチャート方式で示した結果概要 等  レーダーチャート方式で示した結果概要 等  評価結果の概要
実施状況  16事業所実施予定(15'モデル事業)  各サービス2事業者(福祉用具貸与を除く)計24事業者(H14'モデル事業)  各サービス1事業所(H14'モデル事業)  83事業所を予定(H16'1.30)  149事業所申込(H15.12.31)  70事業所(H16.2現在)


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