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7 社会福祉法(抄)
(昭和二十六法律第四十五号)

目次
 第一章  総則(第一条−第六条)
 第二章  地方社会福祉審議会(第七条−第十三条)
 第三章  福祉に関する事務所(第十四条−第十七条)
 第四章  社会福祉主事(第十八条・第十九条)
 第五章  指導監督及び訓練(第二十条・第二十一条)
 第六章  社会福祉法人
  第一節  通則(第二十二条−第三十条)
  第二節  設立(第三十一条−第三十五条)
  第三節  管理(第三十六条−第四十五条)
  第四節  解散及び合併(第四十六条−第五十五条)
  第五節  助成及び監督(第五十六条−第五十九条)
 第七章  社会福祉事業(第六十条−第七十四条)
 第八章  福祉サービスの適切な利用
  第一節  情報の提供等(第七十五条−第七十九条)
  第二節  福祉サービスの利用の援助等(第八十条−第八十七条)
  第三節  社会福祉を目的とする事業を経営する者への支援(第八十八条)
 第九章  社会福祉事業に従事する者の確保の促進
  第一節  基本指針等(第八十九条−第九十二条)
  第二節  福祉人材センター
   第一款  都道府県福祉人材センター(第九十三条−第九十八条)
   第二款  中央福祉人材センター(第九十九条−第百一条)
  第三節  福利厚生センター(第百二条−第百六条)
 第十章  地域福祉の推進
  第一節  地域福祉計画(第百七条・第百八条)
  第二節  社会福祉協議会(第百九条−第百十一条)
  第三節  共同募金(第百十二条−第百二十四条)
 第十一章  雑則(第百二十五条−第百三十条)
 第十二章  罰則(第百三十一条−第百三十五条)
 附則

第一章 総則

 (目的)
一条 この法律は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、社会福祉を目的とする他の法律と相まつて、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域における社会福祉(以下「地域福祉」という。)の推進を図るとともに、社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図り、もつて社会福祉の増進に資することを目的とする。

 (定義)
二条 この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
 次に掲げる事業を第一種社会福祉事業とする。
 一  生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に規定する救護施設、更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設を経営する事業及び生計困難者に対して助葬を行う事業
 二  児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設又は児童自立支援施設を経営する事業
 三  老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームを経営する事業
 四  身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)に規定する身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉ホーム又は身体障害者授産施設を経営する事業
 五  知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)に規定する知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、知的障害者福祉ホーム又は知的障害者通勤寮を経営する事業
 六  売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)に規定する婦人保護施設を経営する事業
 七  授産施設を経営する事業及び生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業
 次に掲げる事業を第二種社会福祉事業とする。
 一  生計困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品若しくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業
 二  児童福祉法に規定する児童居宅介護等事業、児童デイサービス事業、児童短期入所事業、障害児相談支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業又は子育て短期支援事業、同法に規定する助産施設、保育所、児童厚生施設又は児童家庭支援センターを経営する事業及び児童の福祉の増進について相談に応ずる事業
 三  母子及び寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)に規定する母子家庭居宅介護等事業又は寡婦居宅介護等事業、同法に規定する母子福祉施設を経営する事業及び父子家庭居宅介護等事業(現に児童を扶養している配偶者のない男子がその者の疾病その他の理由により日常生活に支障を生じた場合に、その者につきその者の居宅において乳幼児の保育、食事の世話その他日常生活上の便宜を供与する事業であつて、母子家庭居宅介護等事業その他これに類する事業を経営する者が行うものをいう。)
 四  老人福祉法に規定する老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業又は痴呆対応型老人共同生活援助事業及び同法に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、老人福祉センター又は老人介護支援センターを経営する事業
 五  身体障害者福祉法に規定する身体障害者居宅介護等事業、身体障害者デイサービス事業、身体障害者短期入所事業、身体障害者相談支援事業、身体障害者生活訓練等事業又は手話通訳事業、同法に規定する身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設又は視聴覚障害者情報提供施設を経営する事業及び身体障害者の更生相談に応ずる事業
 六  知的障害者福祉法に規定する知的障害者居宅介護等事業、知的障害者デイサービス事業、知的障害者短期入所事業、知的障害者地域生活援助事業又は知的障害者相談支援事業、同法に規定する知的障害者デイサービスセンターを経営する事業及び知的障害者の更生相談に応ずる事業
 七  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)に規定する精神障害者社会復帰施設を経営する事業及び同法に規定する精神障害者居宅生活支援事業
 八  生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業
 九  生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業
 十  生計困難者に対して、無料又は低額な費用で介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に規定する介護老人保健施設を利用させる事業
 十 一 隣保事業(隣保館等の施設を設け、無料又は低額な料金でこれを利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及び向上を図るための各種の事業を行うものをいう。)
 十 二 福祉サービス利用援助事業(精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービス(前項各号及び前各号の事業において提供されるものに限る。以下この号において同じ。)の利用に関し相談に応じ、及び助言を行い、並びに福祉サービスの提供を受けるために必要な手続又は福祉サービスの利用に要する費用の支払に関する便宜を供与することその他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行う事業をいう。)
 十 三 前項各号及び前各号の事業に関する連絡又は助成を行う事業
 この法律における「社会福祉事業」には、次に掲げる事業は、含まれないものとする。
 一  更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)に規定する更生保護事業(以下「更生保護事業」という。)
 二  実施期間が六月(前項第十三号に掲げる事業にあつては、三月)を超えない事業
 三  社団又は組合の行う事業であつて、社員又は組合員のためにするもの
 四  第二項各号及び前項第一号から第九号までに掲げる事業であつて、常時保護を受ける者が、入所させて保護を行うものにあつては五人、その他のものにあつては二十人(政令で定めるものにあつては、十人)に満たないもの
 五  前項第十三号に掲げる事業のうち、社会福祉事業の助成を行うものであつて、助成の金額が毎年度五百万円に満たないもの又は助成を受ける社会福祉事業の数が毎年度五十に満たないもの

 (福祉サービスの基本的理念)
三条 福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない。

 (地域福祉の推進)
四条 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。

 (福祉サービスの提供の原則)
五条 社会福祉を目的とする事業を経営する者は、その提供する多様な福祉サービスについて、利用者の意向を十分に尊重し、かつ、保健医療サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図るよう創意工夫を行いつつ、これを総合的に提供することができるようにその事業の実施に努めなければならない。

 (福祉サービスの提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務)
六条 国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して、社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施が図られるよう、福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。

第二章〜第五章 (略)

第六章 社会福祉法人

 第一節 通則

 (定義)
二十二条 この法律において「社会福祉法人」とは、社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。

 (名称)
二十三条 社会福祉法人以外の者は、その名称中に、「社会福祉法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。

 (経営の原則)
二十四条 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。

 (要件)
二十五条 社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない。

 (公益事業及び収益事業)
二十六条 社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益を目的とする事業(以下「公益事業」という。)又はその収益を社会福祉事業若しくは公益事業(第二条第四項第四号に掲げる事業その他の政令で定めるものに限る。第五十七条第二号において同じ。)の経営に充てることを目的とする事業(以下「収益事業」という。)を行うことができる。
 公益事業又は収益事業に関する会計は、それぞれ当該社会福祉法人の行う社会福祉事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。

 (住所)
二十七条 社会福祉法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

 (登記)
二十八条 社会福祉法人は、政令の定めるところにより、その設立、従たる事務所の新設、事務所の移転その他登記事項の変更、解散、合併、清算人の就任又はその変更及び清算の結了の各場合に、登記をしなければならない。
 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
 登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。

 (準用規定)
二十九条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十三条(法人の権利能力)及び第四十四条(不法行為能力)の規定は、社会福祉法人に準用する。

 (所轄庁)
三十条 社会福祉法人の所轄庁は、都道府県知事とする。ただし、次の各号に掲げる社会福祉法人の所轄庁は、当該各号に定める者とする。
 一  主たる事務所が指定都市の区域内にある社会福祉法人であつてその行う事業が当該指定都市の区域を越えないもの及び第百九条第二項に規定する地区社会福祉協議会である社会福祉法人 指定都市の長
 二  主たる事務所が中核市の区域内にある社会福祉法人であつてその行う事業が当該中核市の区域を越えないもの 中核市の長
2 社会福祉法人でその行う事業が二以上の都道府県の区域にわたるものにあつては、その所轄庁は、前項本文の規定にかかわらず、厚生労働大臣とする。

 第二節 設立

 (申請)
三十一条 社会福祉法人を設立しようとする者は、定款をもつて少なくとも次に掲げる事項を定め、厚生労働省令で定める手続に従い、当該定款について所轄庁の認可を受けなければならない。
 一  目的
 二  名称
 三  社会福祉事業の種類
 四  事務所の所在地
 五  役員に関する事項
 六  会議に関する事項
 七  資産に関する事項
 八  会計に関する事項
 九  評議員会を置く場合には、これに関する事項
 十  公益事業を行う場合には、その種類
 十 一 収益事業を行う場合には、その種類
 十 二 解散に関する事項
 十 三 定款の変更に関する事項
 十 四 公告の方法
 設立当初の役員は、定款で定めなければならない。
 第一項第十二号に掲げる事項中に、残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者のうちから選定されるようにしなければならない。
 前条第二項の社会福祉法人に係る第一項の規定による認可の申請は、当該社会福祉法人の主たる事務所の所在地の都道府県知事を経由して行わなければならない。この場合において、当該都道府県知事は、必要な調査をし、意見を付するものとする。

 (認可)
三十二条 所轄庁は、前条第一項の規定による認可の申請があつたときは、当該申請に係る社会福祉法人の資産が第二十五条の要件に該当しているかどうか、その定款の内容及び設立の手続が、法令の規定に違反していないかどうか等を審査した上で、当該定款の認可を決定しなければならない。

 (定款の補充)
三十三条 社会福祉法人を設立しようとする者が、第三十一条第一項第二号から第十四号までの各号に掲げる事項を定めないで死亡した場合には、厚生労働大臣は、利害関係人の請求により又は職権で、これらの事項を定めなければならない。

 (成立の時期)
三十四条 社会福祉法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

 (準用規定)
三十五条 民法第四十一条(贈与、遺贈の規定の準用)、第四十二条(寄附財産の帰属)及び第五十一条第一項(財産目録)(法人設立の時に関する部分に限る。)の規定は、社会福祉法人の設立に準用する。この場合において、同法第四十二条第一項中「法人設立ノ許可ノアリタル時」とあるのは、「社会福祉法人成立ノ時」と読み替えるものとする。

 第三節 管理

 (役員の定数、任期、選任及び欠格)
三十六条 社会福祉法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。
 役員の任期は、二年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。
 役員のうちには、各役員について、その役員、その配偶者及び三親等以内の親族が役員の総数の二分の一を超えて含まれることになつてはならない。
 次の各号のいずれかに該当する者は、社会福祉法人の役員になることができない。
 一  成年被後見人又は被保佐人
 二  生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法又はこの法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
 三  前号に該当する者を除くほか、禁錮〈こ〉以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
 四  第五十六条第四項の規定による所轄庁の解散命令により解散を命ぜられた社会福祉法人の解散当時の役員

 (役員の欠員補充)
三十七条 理事又は監事のうち、その定数の三分の一を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない。

 (理事の代表権)
三十八条 理事は、すべて社会福祉法人の業務について、社会福祉法人を代表する。ただし、定款をもつて、その代表権を制限することができる。

 (業務の決定)
三十九条 社会福祉法人の業務は、定款に別段の定めがないときは、理事の過半数をもつて決する。

 (監事の職務)
四十条 監事は、次に掲げる職務を行う。
 一  理事の業務執行の状況を監査すること。
 二  社会福祉法人の財産の状況を監査すること。
 三  理事の業務執行の状況又は社会福祉法人の財産の状況について監査した結果、不整の点があることを発見したとき、これを評議員会(評議員会のないときは、所轄庁)に報告すること。
 四  前号の報告をするために必要があるとき、理事に対して評議員会の招集を請求すること。
 五  理事の業務執行の状況又は社会福祉法人の財産の状況について、理事に意見を述べること。

 (監事の兼職禁止)
四十一条 監事は、理事、評議員又は社会福祉法人の職員を兼ねてはならない。

 (評議員会)
四十二条 社会福祉法人に、評議員会を置くことができる。
 評議員会は、理事の定数の二倍を超える数の評議員をもつて組織する。
 社会福祉法人の業務に関する重要事項は、定款をもつて、評議員会の議決を要するものとすることができる。

 (定款の変更)
四十三条 定款の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 第三十一条第四項の規定は定款の変更の認可の申請に、第三十二条の規定は定款の変更の認可にそれぞれ準用する。
 社会福祉法人は、第一項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。
 第三十条第二項の社会福祉法人に係る前項の規定による届出は、当該社会福祉法人の主たる事務所の所在地の都道府県知事を経由して行わなければならない。

 (会計)
四十四条 社会福祉法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
 社会福祉法人は、毎会計年度終了後二月以内に事業報告書、財産目録、貸借対照表及び収支計算書を作成しなければならない。
 理事は、前項の書類を監事に提出しなければならない。
 社会福祉法人は、第二項の書類及びこれに関する監事の意見を記載した書面を各事務所に備えて置き、当該社会福祉法人が提供する福祉サービスの利用を希望する者その他の利害関係人から請求があつた場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。

 (準用規定)
四十五条 民法第五十五条から第五十七条まで(代表権の委任、仮理事、特別代理人)及び非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第一項(裁判所の管轄)の規定は、社会福祉法人に準用する。この場合において、民法第五十五条中「定款、寄附行為又ハ総会ノ決議」とあるのは「定款」と、同法第五十六条中「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは「所轄庁(社会福祉法第三十条ニ規定スル所轄庁ヲ謂フ)ハ利害関係人ノ請求ニヨリ又ハ職権ヲ以テ」と読み替えるものとする。

 第四節 解散及び合併

 (解散事由)
四十六条 社会福祉法人は、次の事由によつて解散する。
 一  理事の三分の二以上の同意及び定款でさらに評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決
 二  定款に定めた解散事由の発生
 三  目的たる事業の成功の不能
 四  合併
 五  破産
 六  所轄庁の解散命令
 前項第一号又は第三号に掲げる事由による解散は、所轄庁の認可又は認定がなければ、その効力を生じない。
 清算人は、第一項第二号又は第五号に掲げる事由によつて解散した場合には、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。
 第三十一条第四項の規定は、第二項の規定による認可又は認定の申請に準用する。

 (残余財産の帰属)
四十七条 解散した社会福祉法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除くほか、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、定款の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。
 前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

 (合併)
四十八条 社会福祉法人は、他の社会福祉法人と合併することができる。

 (合併手続)
四十九条 社会福祉法人が合併するには、理事の三分の二以上の同意及び定款でさらに評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決がなければならない。
 合併は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 第三十一条第四項の規定は合併の認可の申請に、第三十二条の規定は合併の認可にそれぞれ準用する。

五十条 社会福祉法人は、前条第二項に規定する所轄庁の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。
 社会福祉法人は、前項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。ただし、その期間は、二月を下ることができない。

五十一条 債権者が、前条第二項の期間内に合併に対して異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。
 債権者が異議を述べたときは、社会福祉法人は、これに弁済し、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

五十二条 合併により社会福祉法人を設立する場合においては、定款の作成その他社会福祉法人の設立に関する事務は、各社会福祉法人において選任した者が共同して行わなければならない。

 (合併の効果)
五十三条 合併後存続する社会福祉法人又は合併によつて設立した社会福祉法人は、合併によつて消滅した社会福祉法人の一切の権利義務(当該社会福祉法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

 (合併の時期)
五十四条 社会福祉法人の合併は、合併後存続する社会福祉法人又は合併によつて設立する社会福祉法人の主たる事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。

 (準用規定)
五十五条 民法第七十条、第七十三条から第七十六条まで、第七十七条第二項(届出に関する部分に限る。)及び第七十八条から第八十三条まで(法人の解散及び清算)並びに非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十六条から第百三十七条まで及び第百三十八条(法人の清算の監督)の規定は、社会福祉法人の解散及び清算に準用する。この場合において、民法第七十七条第二項及び第八十三条中「主務官庁」とあるのは、「所轄庁(社会福祉法第三十条ニ規定スル所轄庁ヲ謂フ)」と読み替えるものとする。

 第五節 助成及び監督

 (一般的監督)
五十六条 厚生労働大臣又は都道府県知事若しくは指定都市若しくは中核市の長は、法令、法令に基づいてする行政庁の処分及び定款が遵守されているかどうかを確かめるため必要があると認めるときは、社会福祉法人からその業務又は会計の状況に関し、報告を徴し、又は当該職員に、社会福祉法人の業務及び財産の状況を検査させることができる。
 所轄庁は、社会福祉法人が、法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該社会福祉法人に対し、期限を定めて、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
 社会福祉法人が前項の命令に従わないときは、所轄庁は、当該社会福祉法人に対し、期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は役員の解職を勧告することができる。
 所轄庁は、社会福祉法人が、法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反した場合であつて他の方法により監督の目的を達することができないとき、又は正当の事由がないのに一年以上にわたつてその目的とする事業を行わないときは、解散を命ずることができる。
 所轄庁は、第三項の規定により役員の解職を勧告しようとする場合には、当該社会福祉法人に、所轄庁の指定した職員に対して弁明する機会を与えなければならない。この場合においては、当該社会福祉法人に対し、あらかじめ、書面をもつて、弁明をなすべき日時、場所及びその勧告をなすべき理由を通知しなければならない。
 前項の通知を受けた社会福祉法人は、代理人を出頭させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
 第五項の規定による弁明を聴取した者は、聴取書及び当該勧告をする必要があるかどうかについての意見を付した報告書を作成し、これを所轄庁に提出しなければならない。

 (公益事業又は収益事業の停止)
五十七条 所轄庁は、第二十六条第一項の規定により公益事業又は収益事業を行う社会福祉法人につき、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、当該社会福祉法人に対して、その事業の停止を命ずることができる。
 一  当該社会福祉法人が定款で定められた事業以外の事業を行うこと。
 二  当該社会福祉法人が当該収益事業から生じた収益を当該社会福祉法人の行う社会福祉事業及び公益事業以外の目的に使用すること。
 三  当該公益事業又は収益事業の継続が当該社会福祉法人の行う社会福祉事業に支障があること。

 (助成及び監督)
五十八条 国又は地方公共団体は、必要があると認めるときは、厚生労働省令又は当該地方公共団体の条例で定める手続に従い、社会福祉法人に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも当該社会福祉法人に有利な条件で、貸付金を支出し、若しくはその他の財産を譲り渡し、若しくは貸し付けることができる。ただし、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)及び地方自治法第二百三十七条第二項の規定の適用を妨げない。
 前項の規定により、社会福祉法人に対する助成がなされたときは、厚生労働大臣又は地方公共団体の長は、その助成の目的が有効に達せられることを確保するため、当該社会福祉法人に対して、次に掲げる権限を有する。
 一  事業又は会計の状況に関し報告を徴すること。
 二  助成の目的に照らして、社会福祉法人の予算が不適当であると認める場合において、その予算について必要な変更をすべき旨を勧告すること。
 三  社会福祉法人の役員が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反した場合において、その役員を解職すべき旨を勧告すること。
 国又は地方公共団体は、社会福祉法人が前項の規定による措置に従わなかつたときは、交付した補助金若しくは貸付金又は譲渡し、若しくは貸し付けたその他の財産の全部又は一部の返還を命ずることができる。
 第五十六条第五項から第七項までの規定は、第二項第三号の規定により解職を勧告し、又は前項の規定により補助金若しくは貸付金の全部若しくは一部の返還を命令する場合に準用する。

 (所轄庁への届出)
五十九条 社会福祉法人は、毎会計年度終了後三月以内に、事業の概要その他の厚生労働省令で定める事項を、所轄庁に届け出なければならない。
 第四十三条第四項の規定は、前項の場合に準用する。

第七章 社会福祉事業

 (経営主体)
六十条 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。

 (事業経営の準則)
六十一条 国、地方公共団体、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者は、次に掲げるところに従い、それぞれの責任を明確にしなければならない。
 一  国及び地方公共団体は、法律に基づくその責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、又はこれらの者の財政的援助を求めないこと。
 二  国及び地方公共団体は、他の社会福祉事業を経営する者に対し、その自主性を重んじ、不当な関与を行わないこと。
 三  社会福祉事業を経営する者は、不当に国及び地方公共団体の財政的、管理的援助を仰がないこと。
 前項第一号の規定は、国又は地方公共団体が、その経営する社会福祉事業について、福祉サービスを必要とする者を施設に入所させることその他の措置を他の社会福祉事業を経営する者に委託することを妨げるものではない。

 (施設の設置)
六十二条 市町村又は社会福祉法人は、施設を設置して、第一種社会福祉事業を経営しようとするときは、その事業の開始前に、その施設(以下「社会福祉施設」という。)を設置しようとする地の都道府県知事に、次に掲げる事項を届け出なければならない。
 一  施設の名称及び種類
 二  設置者の氏名又は名称、住所、経歴及び資産状況
 三  条例、定款その他の基本約款
 四  建物その他の設備の規模及び構造
 五  事業開始の予定年月日
 六  施設の管理者及び実務を担当する幹部職員の氏名及び経歴
 七  福祉サービスを必要とする者に対する処遇の方法
 国、都道府県、市町村及び社会福祉法人以外の者は、社会福祉施設を設置して、第一種社会福祉事業を経営しようとするときは、その事業の開始前に、その施設を設置しようとする地の都道府県知事の許可を受けなければならない。
 前項の許可を受けようとする者は、第一項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した申請書を当該都道府県知事に提出しなければならない。
 一  当該事業を経営するための財源の調達及びその管理の方法
 二  施設の管理者の資産状況
 三  建物その他の設備の使用の権限
 四  経理の方針
 五  事業の経営者又は施設の管理者に事故があるときの処置
 都道府県知事は、第二項の許可の申請があつたときは、第六十五条の規定により厚生労働大臣が定める最低基準に適合するかどうかを審査するほか、次に掲げる基準によつて、その申請を審査しなければならない。
 一  当該事業を経営するために必要な経済的基礎があること。
 二  当該事業の経営者が社会的信望を有すること。
 三  実務を担当する幹部職員が社会福祉事業に関する経験、熱意及び能力を有すること。
 四  当該事業の経理が他の経理と分離できる等その性格が社会福祉法人に準ずるものであること。
 五  脱税その他不正の目的で当該事業を経営しようとするものでないこと。
 都道府県知事は、前項に規定する審査の結果、その申請が、同項に規定する基準に適合していると認めるときは、社会福祉施設設置の許可を与えなければならない。
 都道府県知事は、前項の許可を与えるに当たつて、当該事業の適正な運営を確保するために必要と認める条件を付することができる。

 (変更)
六十三条 前条第一項の規定による届出をした者は、その届け出た事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。
 前条第二項の規定による許可を受けた者は、同条第一項第四号、第五号及び第七号並びに同条第三項第一号、第四号及び第五号に掲げる事項を変更しようとするときは、当該都道府県知事の許可を受けなければならない。
 前条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による許可の申請があつた場合に準用する。

 (廃止)
六十四条 第六十二条第一項の規定による届出をし、又は同条第二項の規定による許可を受けて、社会福祉事業を経営する者は、その事業を廃止しようとするときは、廃止の日の一月前までに、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。

 (施設の最低基準)
六十五条 厚生労働大臣は、社会福祉施設の設備の規模及び構造並びに福祉サービスの提供の方法、利用者等からの苦情への対応その他の社会福祉施設の運営について、必要とされる最低の基準を定めなければならない。
 社会福祉施設の設置者は、前項の基準を遵守しなければならない。

 (管理者)
六十六条 社会福祉施設には、専任の管理者を置かなければならない。

 (施設を必要としない第一種社会福祉事業の開始)
六十七条 市町村又は社会福祉法人は、施設を必要としない第一種社会福祉事業を開始したときは、事業開始の日から一月以内に、事業経営地の都道府県知事に次に掲げる事項を届け出なければならない。
 一  経営者の名称及び主たる事務所の所在地
 二  事業の種類及び内容
 三  条例、定款その他の基本約款
 国、都道府県、市町村及び社会福祉法人以外の者は、施設を必要としない第一種社会福祉事業を経営しようとするときは、その事業の開始前に、その事業を経営しようとする地の都道府県知事の許可を受けなければならない。
 前項の許可を受けようとする者は、第一項各号並びに第六十二条第三項第一号、第四号及び第五号に掲げる事項を記載した申請書を当該都道府県知事に提出しなければならない。
 都道府県知事は、第二項の許可の申請があつたときは、第六十二条第四項各号に掲げる基準によつて、これを審査しなければならない。
 第六十二条第五項及び第六項の規定は、前項の場合に準用する。

 (変更及び廃止)
六十八条 前条第一項の規定による届出をし、又は同条第二項の規定による許可を受けて社会福祉事業を経営する者は、その届け出た事項又は許可申請書に記載した事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を廃止したときも、同様とする。

 (第二種社会福祉事業)
六十九条 国及び都道府県以外の者は、第二種社会福祉事業を開始したときは、事業開始の日から一月以内に、事業経営地の都道府県知事に第六十七条第一項各号に掲げる事項を届け出なければならない。
 前項の規定による届出をした者は、その届け出た事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を廃止したときも、同様とする。

 (調査)
七十条 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため、社会福祉事業を経営する者に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員をして、施設、帳簿、書類等を検査し、その他事業経営の状況を調査させることができる。

 (改善命令)
七十一条 都道府県知事は、第六十二条第一項の規定による届出をし、又は同条第二項の規定による許可を受けて社会福祉事業を経営する者の施設が、第六十五条の最低基準に適合しないと認められるに至つたときは、その事業を経営する者に対し、同条の基準に適合するために必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。

 (許可の取消し等)
七十二条 都道府県知事は、第六十二条第一項、第六十七条第一項若しくは第六十九条第一項の届出をし、又は第六十二条第二項若しくは第六十七条第二項の許可を受けて社会福祉事業を経営する者が、第六十二条第六項(第六十三条第三項及び第六十七条第五項において準用する場合を含む。)の規定による条件に違反し、第六十三条第一項若しくは第二項、第六十八条若しくは第六十九条第二項の規定に違反し、第七十条の規定による報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、同条の規定による当該職員の検査若しくは調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、前条の規定による命令に違反し、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは福祉サービスの提供を受ける者の処遇につき不当な行為をしたときは、その者に対し、社会福祉事業を経営することを制限し、その停止を命じ、又は第六十二条第二項若しくは第六十七条第二項の許可を取り消すことができる。
 都道府県知事は、第六十二条第一項、第六十七条第一項若しくは第六十九条第一項の届出をし、若しくは第七十四条に規定する他の法律に基づく届出をし、又は第六十二条第二項若しくは第六十七条第二項の許可を受け、若しくは第七十四条に規定する他の法律に基づく許可若しくは認可を受けて社会福祉事業を経営する者(次章において「社会福祉事業の経営者」という。)が、次条第二項の規定による条件に違反し、又は第七十七条若しくは第七十九条の規定に違反したときは、その者に対し、社会福祉事業を経営することを制限し、その停止を命じ、又は第六十二条第二項若しくは第六十七条第二項の許可若しくは第七十四条に規定する他の法律に基づく許可若しくは認可を取り消すことができる。
 都道府県知事は、第六十二条第一項若しくは第二項、第六十七条第一項若しくは第二項又は第六十九条第一項の規定に違反して社会福祉事業を経営する者が、その事業に関し不当に営利を図り、若しくは福祉サービスの提供を受ける者の処遇につき不当の行為をしたときは、その者に対し、社会福祉事業を経営することを制限し、又はその停止を命ずることができる。

 (寄附金の募集)
七十三条 社会福祉事業を営み、又は営もうとする者は、その事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集しようとするときは、その募集に着手する一月前までに、厚生労働省令で定める手続に従い、募集しようとする地域の都道府県知事(募集しようとする地域が二以上の都道府県の区域にわたるときは、厚生労働大臣)に対し、募集の期間、地域、方法及び使途等を明らかにした書面を提出して、その許可を受けなければならない。
 前項の許可には、募集の期間、寄附金の使途及び寄附金によつて取得する財産の処分につき、条件を付することができる。
 第一項の許可を受けて寄附金を募集した者は、厚生労働省令で定める手続に従い、募集の期間経過後遅滞なく、寄附金の募集の許可を受けた行政庁に対し、募集の結果を報告しなければならない。

 (適用除外)
七十四条 第六十二条から第七十一条まで並びに第七十二条第一項及び第三項の規定は、他の法律によつて、その設置又は開始につき、行政庁の許可、認可又は行政庁への届出を要するものとされている施設又は事業については、適用しない。

第八章 福祉サービスの適切な利用

 第一節 情報の提供等

 (情報の提供)
七十五条 社会福祉事業の経営者は、福祉サービス(社会福祉事業において提供されるものに限る。以下この節及び次節において同じ。)を利用しようとする者が、適切かつ円滑にこれを利用することができるように、その経営する社会福祉事業に関し情報の提供を行うよう努めなければならない。
 国及び地方公共団体は、福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 (利用契約の申込み時の説明)
七十六条 社会福祉事業の経営者は、その提供する福祉サービスの利用を希望する者からの申込みがあつた場合には、その者に対し、当該福祉サービスを利用するための契約の内容及びその履行に関する事項について説明するよう努めなければならない。

 (利用契約の成立時の書面の交付)
七十七条 社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用するための契約(厚生労働省令で定めるものを除く。)が成立したときは、その利用者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
 一  当該社会福祉事業の経営者の名称及び主たる事務所の所在地
 二  当該社会福祉事業の経営者が提供する福祉サービスの内容
 三  当該福祉サービスの提供につき利用者が支払うべき額に関する事項
 四  その他厚生労働省令で定める事項

 (福祉サービスの質の向上のための措置等)
七十八条 社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立つて良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。
 国は、社会福祉事業の経営者が行う福祉サービスの質の向上のための措置を援助するために、福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講ずるよう努めなければならない。

 (誇大広告の禁止)
七十九条 社会福祉事業の経営者は、その提供する福祉サービスについて広告をするときは、広告された福祉サービスの内容その他の厚生労働省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

 第二節  福祉サービスの利用の援助等

 (福祉サービス利用援助事業の実施に当たつての配慮)
八十条 福祉サービス利用援助事業を行う者は、当該事業を行うに当たつては、利用者の意向を十分に尊重するとともに、利用者の立場に立つて公正かつ適切な方法により行わなければならない。

 (都道府県社会福祉協議会の行う福祉サービス利用援助事業等)
八十一条 都道府県社会福祉協議会は、第百十条第一項各号に掲げる事業を行うほか、福祉サービス利用援助事業を行う市町村社会福祉協議会その他の者と協力して都道府県の区域内においてあまねく福祉サービス利用援助事業が実施されるために必要な事業を行うとともに、これと併せて、当該事業に従事する者の資質の向上のための事業並びに福祉サービス利用援助事業に関する普及及び啓発を行うものとする。

 (社会福祉事業の経営者による苦情の解決)
八十二条 社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。

 (運営適正化委員会)
八十三条 都道府県の区域内において、福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保するとともに、福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため、都道府県社会福祉協議会に、人格が高潔であつて、社会福祉に関する識見を有し、かつ、社会福祉、法律又は医療に関し学識経験を有する者で構成される運営適正化委員会を置くものとする。

 (運営適正化委員会の行う福祉サービス利用援助事業に関する助言等)
八十四条 運営適正化委員会は、第八十一条の規定により行われる福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、当該福祉サービス利用援助事業を行う者に対して必要な助言又は勧告をすることができる。
 福祉サービス利用援助事業を行う者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。

 (運営適正化委員会の行う苦情の解決のための相談等)
八十五条 運営適正化委員会は、福祉サービスに関する苦情について解決の申出があつたときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、当該苦情に係る事情を調査するものとする。
 運営適正化委員会は、前項の申出人及び当該申出人に対し福祉サービスを提供した者の同意を得て、苦情の解決のあつせんを行うことができる。

 (運営適正化委員会から都道府県知事への通知)
八十六条 運営適正化委員会は、苦情の解決に当たり、当該苦情に係る福祉サービスの利用者の処遇につき不当な行為が行われているおそれがあると認めるときは、都道府県知事に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。

 (政令への委任)
八十七条 この節に規定するもののほか、運営適正化委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

 第三節  社会福祉を目的とする事業を経営する者への支援

八十八条 都道府県社会福祉協議会は、第百十条第一項各号に掲げる事業を行うほか、社会福祉を目的とする事業の健全な発達に資するため、必要に応じ、社会福祉を目的とする事業を経営する者がその行つた福祉サービスの提供に要した費用に関して地方公共団体に対して行う請求の事務の代行その他の社会福祉を目的とする事業を経営する者が当該事業を円滑に実施することができるよう支援するための事業を実施するよう努めなければならない。ただし、他に当該事業を実施する適切な者がある場合には、この限りでない。

第九章 (略)

第十章 地域福祉の推進

 第一節 (略)

 第二節 社会福祉協議会

 (市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会)
百九条 市町村社会福祉協議会は、一又は同一都道府県内の二以上の市町村の区域内において次に掲げる事業を行うことにより地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であつて、その区域内における社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者が参加し、かつ、指定都市にあつてはその区域内における地区社会福祉協議会の過半数及び社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が、指定都市以外の市及び町村にあつてはその区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものとする。
 一  社会福祉を目的とする事業の企画及び実施
 二  社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助
 三  社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成
 四  前三号に掲げる事業のほか、社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業
 地区社会福祉協議会は、一又は二以上の区(地方自治法第二百五十二条の二十に規定する区をいう。)の区域内において前項各号に掲げる事業を行うことにより地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であつて、その区域内における社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者が参加し、かつ、その区域内において社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものとする。
 市町村社会福祉協議会のうち、指定都市の区域を単位とするものは、第一項各号に掲げる事業のほか、その区域内における地区社会福祉協議会の相互の連絡及び事業の調整の事業を行うものとする。
 市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会は、広域的に事業を実施することにより効果的な運営が見込まれる場合には、その区域を越えて第一項各号に掲げる事業を実施することができる。
 関係行政庁の職員は、市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会の役員となることができる。ただし、役員の総数の五分の一を超えてはならない。
 市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会は、社会福祉を目的とする事業を経営する者又は社会福祉に関する活動を行う者から参加の申出があつたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

 (都道府県社会福祉協議会)
百十条 都道府県社会福祉協議会は、都道府県の区域内において次に掲げる事業を行うことにより地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であつて、その区域内における市町村社会福祉協議会の過半数及び社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものとする。
 一  前条第一項各号に掲げる事業であつて各市町村を通ずる広域的な見地から行うことが適切なもの
 二  社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成及び研修
 三  社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導及び助言
 四  市町村社会福祉協議会の相互の連絡及び事業の調整
 前条第五項及び第六項の規定は、都道府県社会福祉協議会について準用する。

 (社会福祉協議会連合会)
百十一条 都道府県社会福祉協議会は、相互の連絡及び事業の調整を行うため、全国を単位として、社会福祉協議会連合会を設立することができる。
 第百九条第五項の規定は、社会福祉協議会連合会について準用する。

 第二節 (略)

第十一章・第十二章 (略)

附則 (略)



8 社会福祉法施行令(抄)
(昭和三十三年政令第百八十五号)

 (社会福祉事業の対象者の最低人員の特例)
一条 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号。以下「法」という。)第二条第四項第四号の政令で定める事業は、次のとおりとする。
 一  身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)に規定する身体障害者授産施設を経営する事業
 二  知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)に規定する知的障害者授産施設を経営する事業
 三  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)に規定する精神障害者授産施設を経営する事業

第二条・第三条 (略)

 (社会福祉法人の収益を充てることのできる公益事業)
四条 法第二十六条第一項の政令で定める事業は、次に掲げる事業であつて社会福祉事業以外のものとする。
 一  法第二条第四項第四号に掲げる事業
 二  介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第五項に規定する居宅サービス事業又は同条第十八項に規定する居宅介護支援事業
 三  介護保険法第七条第二十二項に規定する介護老人保健施設を経営する事業
 四  社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)第七条第二号若しくは第三号又は第三十九条第一号から第三号までに規定する厚生労働大臣の指定した養成施設を経営する事業
 五  精神保健福祉士法(平成九年法律第百三十一号)第七条第二号又は第三号に規定する厚生労働大臣の指定した養成施設を経営する事業
 六  児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第十八条の六第一号に規定する指定保育士養成施設を経営する事業
 七  前各号に掲げる事業に準ずる事業であつて厚生労働大臣が定めるもの

 (情報通信の技術を利用する方法)
五条 社会福祉事業の経営者は、法第七十七条第二項の規定により同項に規定する事項を提供しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該利用者に対し、その用いる同項前段に規定する方法(以下この条において「電磁的方法」という。)の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
 前項の規定による承諾を得た社会福祉事業の経営者は、当該利用者から書面又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があつたときは、当該利用者に対し、法第七十七条第二項に規定する事項の提供を電磁的方法によつてしてはならない。ただし、当該利用者が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。

 (運営適正化委員会の委員の定数及び選任)
六条 法第八十三条に規定する運営適正化委員会(以下「運営適正化委員会」という。)の委員(第四項及び第五項並びに第十五条を除き、以下単に「委員」という。)の定数は、福祉サービス利用援助事業に関する助言又は勧告及び福祉サービスに関する苦情の解決の相談、助言、調査又はあつせんの事務を第十一条第一項に規定する合議体が適切に行うために必要かつ十分なものとして、都道府県社会福祉協議会が定める数とする。
 都道府県社会福祉協議会は、前項に規定する定数を変更しようとするときは、運営適正化委員会の意見を聴かなければならない。
 委員は、都道府県社会福祉協議会に置かれる選考委員会の同意を得て、都道府県社会福祉協議会の代表者が選任する。
 前項の選考委員会は、福祉サービスの利用者を代表する委員、社会福祉事業を経営する者を代表する委員及び公益を代表する委員各同数をもつて組織する。
 第三項の選考委員会の委員は、都道府県社会福祉協議会の代表者が選任する。この場合においては、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、住民、福祉サービスの利用者、社会福祉事業を経営する者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
 前三項に規定するもののほか、選考委員会に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 (委員の任期)
七条 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
 委員は、再任されることができる。

 (委員の解任)
八条 都道府県社会福祉協議会の代表者は、委員が心身の故障のため職務の遂行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、これを解任することができる。

 (運営適正化委員会の委員長)
九条 運営適正化委員会に委員長一人を置き、委員の互選によつてこれを定める。
 委員長は、会務を総理し、運営適正化委員会を代表する。
 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 (運営適正化委員会の会議)
十条 運営適正化委員会は、委員長が招集する。
 運営適正化委員会は、過半数の委員の出席がなければ、これを開き、議決をすることができない。
 運営適正化委員会の議事は、出席した委員の過半数をもつて決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

 (合議体)
十一条 運営適正化委員会は、委員のうちから委員長が指名する者をもつて構成する合議体(以下「合議体」という。)で、次に掲げる事項に係る案件を取り扱う。
 一  福祉サービス利用援助事業に関する助言又は勧告
 二  福祉サービスに関する苦情の解決のための相談、助言、調査又はあつせん
 合議体に長を一人置き、当該合議体を構成する委員の互選によつてこれを定める。
 合議体を構成する委員の定数は、三人以上であつて運営適正化委員会が定める数とする。
 合議体は、これを構成する委員の過半数(三人をもつて構成する合議体にあつては、これを構成する委員のすべて)が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。
 合議体の議事は、出席した委員の過半数をもつて決し、可否同数のときは、長の決するところによる。
 運営適正化委員会において別段の定めをした場合のほかは、合議体の議決をもつて運営適正化委員会の議決とする。

 (運営適正化委員会の事務局)
十二条 運営適正化委員会の事務を処理させるため、運営適正化委員会に事務局を置く。
 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

 (委員等の秘密保持義務)
十三条 委員若しくは運営適正化委員会の事務局の職員又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 (情報の公開)
十四条 運営適正化委員会は、毎年少なくとも一回、運営適正化委員会の業務の状況及びその成果について報告書を作成し、これを公表しなければならない。

第十五条・第十六条 (略)

附則 (略)



 社会福祉法施行令第四条第七号の規定に基づき厚生労働大臣が定める社会福祉法人の収益を充てることのできる公益事業
(平成十四年八月三十日厚生労働省告示第二百八十三号)

 社会福祉法施行令(昭和三十三年政令第百八十五号)第四条第七号の規定に基づき、厚生労働大臣が定める社会福祉法人の収益を充てることのできる公益事業を次のように定める。
社会福祉法施行令第四条第七号の規定に基づき厚生労働大臣が定める社会福祉法人の収益を充てることのできる公益事業
 社会福祉法施行令(昭和三十三年政令第百八十五号)第四条第七号の規定に基づき厚生労働大臣が定める社会福祉法人の収益を充てることのできる公益事業は、身体上の障害があるために公共交通機関を利用することが困難な高齢者等に対し、移送用車両を用いて、これらの者の居宅と病院又は診療所等との間の送迎等を行うことにより、これらの者の外出時における移動を支援する事業、単身で生活する高齢者等を施設に通わせ、レクリエーション等を行うことにより、これらの者が生きがいを持てるよう支援する事業その他の事業であって、当該事業を行う社会福祉法人の経営する社会福祉事業と密接な関連があり、当該社会福祉事業と一体的に実施することによりその目的の一層の達成に資するものとして、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第三十条に規定する所轄庁が認めるものとする。


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