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付加退職金の支給率について


中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率について
(付加退職金の支給率)


  平成16年度に係る中小企業退職金共済法(昭和34年法律第160号)第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成14年政令第292号)第2条第1項第3号ロ(1)の支給率を0.00233とする。



(別紙)

付加退職金制度について


1.経緯

(1)平成2年法改正(平成3年度施行)〜
 平成3年4月1日以後の新規加入者に適用する退職金カーブの引下げ(予定運用利回り 6.60%→5.50%)を行ったことに伴い、当該新規加入者について、その退職金原資の年々の運用収入のうち予定運用利回りを上回ると見込まれる部分に対応する額を「付加退職金」に充てる制度を創設した。
 この「付加退職金制度」は、退職金共済事業の財政的安定を図りつつも、退職金カーブの引下げを行う新規加入者の利益にも配慮するために創設されたところであるが、平成3年度は488億円、平成4年度は250億円と、責任準備金を上回る剰余金があったことも背景にある(参考1参照)。

(2)平成7年法改正(平成8年度施行)〜
 平成8年4月1日以後に退職することになる全被共済者について、前回引き下げたものより更に引き下げた退職金カーブ(予定運用利回り 5.50%→4.50%)を適用することとしたことに伴い、退職金原資の年々の運用収入が予定運用利回りを上回ると見込まれること等により剰余金が生じた場合に、その剰余金を全被共済者の「付加退職金」に充てる制度に改めた。
 この制度の改正後、平成8年度から平成14年度までの間は、実際には剰余金が生じることがなかったため、「付加退職金」制度は発動されず、また、その間責任準備金不足を生じ、平成14年度末で2,571億円の累積欠損金が生じている(参考1参照)。

(3)平成14年法改正(平成14年度施行)〜
 平成14年11月1日以後に退職することとなる全被共済者について、退職金カーブの引下げ(予定運用利回り 3.00%→1.00%)を行った。
 この退職金カーブの引下げにおいては、既に累積欠損金が生じている中で大幅な引下げを行うことになった。これに伴い、累積欠損金の解消を図ることと同時に被共済者間の公平性等も併せ勘案することとし、全被共済者に係る「前年度の当期利益金の見込額」の1/2に限って付加退職金に充てることを基本としつつ、審議会の意見を聴いた上で決定することとした(参考1参照)。


2 勤労者退職金共済機構の独立行政法人化に伴う論点

(1)退職金原資の安定的運用は、退職金共済事業を遂行する上での重要な課題であるが、勤労者退職金共済機構が独立行政法人になる中で、その重要性は従来にも増して高まることとなる。

(2)また、独立行政法人化により、事業運営内容の透明化・健全化の要請が従来にも増して強まる中で、民間企業に準じて時価会計が導入された。これに伴い、改めて資産の評価を行ったところ、責任準備金に係る累積欠損金が更に拡大した(2,468億円(平成15年9月30日の簿価ベース)→3,230億円(平成15年10月1日の時価ベース)、参考4参照)。

(3)平成14年の中小企業退職金共済部会の建議(参考2参照)及びこれを受けた省令の改正を通じ、付加退職金制度を適切に運用することとしてきたところであるが、平成15年10月の勤労者退職金共済機構の独立行政法人化に伴う状況の変化等(上記(1)及び(2)並びに一般の中小企業退職金共済制度の運営状況)を勘案すると、付加退職金の支給率を定めるにあたっては、従来にも増して慎重な検討が必要になるものと考える(参考3〜5参照)。

(4)その場合の検討事項としては、
(1) 勤労者退職金共済機構における退職金原資の安定的運用が今後重要になる中で、付加退職金制度創設以来の経緯があるとしても、累積欠損金の解消を第一義的に考える必要があるのではないか。
(2) 累積欠損金の解消を第一義に考えるならば、付加退職金の支給率を定めるに際しては、累積欠損金の有無や今後の動向を勘案する必要があるのではないか。
(3) ちなみに、中小企業退職金共済法第10条第4項(参考6参照)では、各年度ごとに、「当該年度の運用収入の見込額その他の事情を勘案」することと規定されていることを踏まえ、今後部会においても慎重に御検討いただく必要があるのではないか。


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