1) | 新潟県松之山町
|
【 | 特徴】 うつの有病率が高く高齢者の自殺死亡率の高い地域で、先駆的に自己評価うつ病尺度(SDS)や研究用診断基準(RDC)を用いて、ハイリスク高齢者の拾い出しを行い、精神科医療機関による専門的治療や町立診療所における継続治療、保健福祉ケア、必要に応じた危機介入を行うことにより自殺死亡率の大幅な減少という成果をみた。 |
【 | 現状】 松之山町は新潟市の約130Km南西に位置し、長野県との県境の山間部にある日本有数の豪雪地帯である。平成12年の国政調査時の人口は3,184人、世帯数1,072戸、老年人口42.1%となっており、昭和61年時の人口4,345人、老年人口873人(20.9%)と比べ人口減少や高齢化が著しく進んでいる。 |
【 | 取り組みの経緯】 昭和60年代松之山町の自殺死亡率は全国より約9倍高く、町の保健師も自殺対策の必要性は感じていた。老人との日常会話のなかでも「こんなに長生きして申し訳ない」「家族の迷惑になるくらいなら早く死にたい」などという自殺念慮に関する言葉が聞かれることも多かったとされている。 こうした状況もあり、昭和60年度から5カ年間は県のモデル事業として、県精神衛生センター(現精神保健福祉センター)や上越保健所等の支援を受けて自殺予防対策に取り組むことになった。まず高齢者自殺の実態調査や老年期うつ病の疫学調査を実施した後、町立診療所の医師や町保健師が国立病院や新潟大学医学部の精神科医と連携し在宅の65才以上の高齢者全員に対しうつのスクリーニングを実施した。ハイリスク者を見いだした後は、精神科医療機関での専門的治療、町立診療所での治療、保健師の病状観察・保健福祉ケアへ結びつけることにした。 ハイリスク者や経過観察者の拾い出しは、自己評価うつ病尺度(SDS)を用いた質問紙票による調査の後、精神科医が保健師の同席のもとで研究用診断基準(RDC)による面接で行われている。事業を開始した昭和61年当初は対象者924人、精神科医の面接は526人だったが、保健師のうつの判定能力の向上や住民のうつに関する情報精度が増すとともに、平成8年には対象者数は1,179人と増えたものの精神科医による面接者数は46人と減少し、うつ病と診断された住民も44人から20人と改善された。 なおこの事業は、モデル事業終了後の平成2年度以降は町の事業として継続して実施されている。 |
1. | うつ病のスクリーニング |
(1) | 65歳以上の在宅の高齢者全員に対し、自己評価票うつ病尺度(SDS)「健康についてのアンケート」を用いたスクリーニングを実施し、うつ尺度の高い面接対象者を選別 |
(2) | 研究用診断基準(RDC)を用いて、精神科医と保健師による面接を実施し自殺のおそれのあるうつ病高齢者の拾い出し |
(3) | 保健師訪問後スタッフミーティングにより処遇を検討し、それぞれの立場でハイリスク高齢者のフォロー。 |
2. | それぞれの役割と対応 |
(1) | 精神科医
|
||||||
(2) | 町立診療所医師
|
||||||
(3) | 保健師
|
3. | 保健福祉的ケアの実施 |
(1) | ケア器具・ケアサービスの提供 |
(2) | 保健師の訪問・相談 |
1. | 自殺やその背景にあるうつ病といった、いわばタブー視されてきた地域の課題に対し町と県、精神科医等が連携をとって先駆的に積極的に取り組み、他の地域における行政機関が取り組むきっかけとなった。 | ||||||
2. | 高齢者の自殺死亡率の高い地域で自殺予防対策が長期にわたって行われ、自殺死亡率の改善をみた。
|
||||||
3. | 5千人以下で老年人口千人といった人口規模の地域におけるうつの早期発見・早期介入の手法の効果が検証され、類似の自治体における取り組みの参考となりうる。 |
1. | 全数のうつスクリーニングが難しい地域、精神科医が確保されない場合の実施体制 |
2. | 著しい高齢化、過疎化による対象者数の減少 |
3. | 症状が固定していないうつ病者や随時変化するうつ病者の把握と対応 |
4. | 多世代同居の高齢者へのケア体制 |
1) | 高橋邦明他:死なないで良かった.財団法人厚生問題研究会.平成14年度 厚生労働省老人保健事業推進費等補助金:平成15年3月31日 |
2) | 高橋邦明他:新潟県東頸城郡松之山町における老人自殺予防活動−老年期うつ病を中心に−.精神経誌、100:469,1998 |
3) | 須賀良一他:老年期うつ病をめぐって−松之山町の経験から−.社会精神医学.14(3).1991 |
2) | 青森県名川町
|
【 | 特徴】 高齢者に対する簡便で鋭敏なうつスクリーニングの開発・普及の分野で先駆的な事業を実施してきた。また、事業を支えてきた保健師は経験年数が浅いにもかかわらず、積極的に取り組むことによって調査研究から個別ケア、地域ケアまで幅広い事業へと発展させてきており、他地域の市町村保健師等の貴重な事例となりうる。 |
【 | 現状】 名川町は、青森県の南部地方をなしている三戸郡のほぼ中央に位置し、東西8km 南北17.4kmで南北に長く、東部は福地村・南郷村、南部は岩手県二戸市・軽米町、西部は三戸町・南部町、北部は五戸町に隣接する山間の果樹を中心とした農業の町である。平成12年国勢調査時には人口9,250人、世帯数2,779世帯、老年人口比率26.6%となっている。年間の自殺死亡者数は平成3〜12年の10年間で53人、死亡率57.3/10万人と全国の24.1/10万人(平成12年)と比べて約2倍と高く、なかでも65歳以上の高齢者の死亡率(平成2〜6年)が145.3/10万人と全国の36.2/10万人に比べて約4倍と高い。 |
【 | 取り組みの経緯】 名川町の自殺死亡率は、昭和50年代後半から国や県と比較して高い状況が続いており、町に採用されて間もない保健師は地域の保健活動の中でなんとか自殺死亡者を減らすことができないかと模索していた。そんな状況のなかで平成11年度から国の地域保健推進特別事業を活用した取り組みに厚生科学研究事業をタイアップさせた事業が開始された。初年度は、地域の実態把握と高齢者のうつ病を把握するための簡便なスクリーニング方法の試行と改善、及び方法の普及を主な目的として実施した。 事業開始当初は「自殺の予防」という表現を避けてきたが、地域住民へ行政として説明責任を果たす必要があることや、自殺予防という意識を多くの住民に持ってもらうことが必要であるといった意見もあり、2年目から本来の目的である「自殺予防のためにうつ対策に取り組む」という姿勢を町として公表し、積極的に啓発や予防活動に取り組み始めた。 平成14年度以降は町単独の予算で、老人保健事業等の既存事業を活用して事業を継続実施している。事業の枠組みはうつ病発見のための心の健康アンケート調査と、ハイリスク者への個別ケア、普及啓発活動や高齢者の生きがいづくり等のための地域ケアの3本柱からなっている。 |
1 | .心の健康アンケート調査 平成11年度から3年間は自殺死亡率の高い地区を選定し65歳以上を対象としてうつ病のスクリーニングを実施してきた。調査票は自己評価うつ病尺度(SDS)と身体疾患を持つ人の不安尺度であるHADS等を修正・改良したもの、及び生き生き度スケール等を組み合わせたものを使用している。調査開始当初は調査項目も多く、調査者も対象者も負担が大きかったが8項目の1次スクリーニングと13項目の2次スクリーニングの組み合わせで行う手法が確立されてきたため、双方の負担が軽減され現在ではその方法を用いて実施している。 また、国庫補助金によるモデル事業や厚生科学研究事業が終了した後は、町の既存事業を工夫活用して継続し今日に至っている。1次スクリーニングは町立診療所で実施する基本健康診査の町民の受診率が極めて高いこともあり、町の老人保健事業を活用して実施し、2次スクリーニングは保健師等の訪問により実施している。 スクリーニング実施状況
|
2. | 個へのケア |
(1) | うつスクリーニングの実施後、うつ度の高い住民への精神科医師の訪問面接診察 |
(2) | 精神科医・保健師によるケアカンファレンスを診断直後・1ヶ月実施し、その後は随時開催 |
(3) | 必要なケースに対して町立診療所の医師・及び保健師、看護師の継続訪問で経過観察、服薬指導やうつへの偏見解消・継続治療を支援する家族へのサポート、民生委員・保健推進員の友愛訪問等を組み合わせて、個へのケアを行っている |
3. | 地域へのケア |
(1 | )啓発活動
|
||||||
(2 | )高齢者の社会参加と生きがいつくり
|
(3) | 月1回の相談日、ストレス教室の開催(2ヶ月に一度は精神科医の相談日) |
1. | 町行政、地域住民がうつ・うつ病対策に関心が高くなり、地域全体の取り組みとして定着しつつある |
2. | 1次予防としての普及啓発と同時に、高齢者の社会参加や生きがいづくりの場の提供という心の健康づくりへの積極的な行政介入から、高齢者のみならず世代間交流の場として自主的な活動へ発展しつつある |
3. | 簡便で鋭敏なスクリーニングの手法が開発され、今後各地で活用されることが期待される |
1. | うつ対策の取り組みが短期間に自殺死亡者の減少まで至らない |
2. | うつ対策事業に取り組む保健師の精神的ケア |
1) | 大野裕:うつ状態のスクリーニングとその転帰としての自殺の予防システム構築に関する研究.平成11年〜12年度総括・分担研究報告書 厚生科学研究費補助金 障害保健福祉総合研究事業.平成13年3月 |
3) | 秋田県合川町
|
【 | 特徴】 秋田大学と連携して質問紙票を用いたうつスクリーニングによる2次予防的アプローチを行うとともに、地域住民のなかからふれあい相談員を育成し、住民相互のコミュニケーションを図るなど1次予防的アプローチにも力を入れた取り組みをすすめている。 |
【 | 現状】 合川町は秋田県北部に位置し、東西12Km、南北14.5Kmで町の西部一帯はなだらかな稜線が続く丘陵の一角で、秋田杉の代表的地帯である。平成13年の人口は7,904人、老年人口比率30.3%、世帯数2,287戸となっており過疎と高齢化が進んでいる地域である。 |
【 | 取り組みの経緯】 平成13年の自殺死亡者数が前年より3人増えたことや、町保健師が精神保健や心の健康づくり事業について、町として取り組む必要性を感じていたことから、県がモデル事業の実施を働きかけ、平成13年度から秋田大学医学部公衆衛生学講座と連携して3年間の自殺予防対策事業として取り組み始めた。 |
1. | 質問紙調査及び半構造化面接による高齢者のうつスクリーニング |
(1) | 自記式うつ病尺度(SDS)と大野らの簡易うつ病質問紙等を用いたスクリーニング |
(2) | 60歳以上の住民2,377人を対象に「心の健康づくりに関する調査」の実施 配布・回収は健康づくり推進員(自治組織)が協力し、分析は秋田大学医学部公衆衛生学講座が実施 |
2 | .心の健康づくり巡回相談事業(ハイリスク者に対する事後指導の徹底) 町保健師等、ふれあい相談員等による、継続的な訪問や各種事業への参加を進めがら、経過観察し事後指導を実施 |
3 | .いきいき心の健康づくり講演会等の開催 |
(1) | 基礎調査報告会「皆の調査から何がわかったか」 |
(2) | 新春フォーラム「心の豊かさを求めて」 |
(3) | 健康づくりリーダーへの講演会 |
4 | .ふれあい相談員(メンタルヘルスサポーター)育成事業 地域住民のなかからボランティアとして「ふれあい相談員」を募集し、継続的に相談員としての研修を行い、一人暮らし老人等への声かけ等を行っている 講座 6回 169人が参加 |
5 | .生きがいづくり事業 町の名人発掘事業、郷土料理の名人等各地区からの推薦により、名人として認定し、その技を健康教育等で披露 |
6 | .仲間づくり支援事業 住民グループ活動を支援 |
1. | 地域診断に地理情報システムを活用することで、優先度をつけ地域活動を展開できた |
2. | 多くの住民が、心の健康づくりについての認識が深まった。 |
3. | ふれあい相談員を活用した、ふれあい訪問や公民館等での世代間交流事業へと発展している |
1. | 県のモデル事業終了後の町単独事業としての事業継続 |
2. | 若年者へのうつ対策 |
3. | 生きがいづくり、仲間づくり等、社会教育部門と連携のとれた事業展開 |
4. | 隣接の国保診療所との連携を密にした事業 |
1) | 合川町・秋田大学医学部公衆衛生学講座:「合川町における心の健康づくりの基礎調査報告書」.平成14年3月 |
2) | 本橋豊:市町村における自殺予防のための心の健康づくり行動計画策定ガイド.平成15年10月 |
4) | 秋田県藤里町
|
【 | 特徴】 町のワーキンググループ(健康部会)で自殺予防をとりあげ、町と住民が一体となって市民活動団体「心といのちを考える会」を作って主体的に活動を展開していることや、秋田大学医学部公衆衛生学教室の協力の下で、秋田県のモデル事業として事業が拡大しつつある |
【 | 現状】 秋田県の北部に位置し、山本郡の北東部にあり、青森県との県境一帯は平成5年12月に世界遺産に登録された「白神山地」が広がっている。人口約4,700人、老年人口比率31.3%(わがまちわがむら100の指標(秋田県:2003年))で、年平均3〜4人の自殺死亡者数が報告されている。 |
【 | 取り組みの経過】 日頃から地域住民の間に自殺死亡者が多いのではないかという漠然とした思いがあり、町保健師も平成8年から老人保健事業のなかで、心の健康問題についての健康教育を行ってきた。平成12年7月、秋田県主催の自殺に関するシンポジウムに町職員の他、僧侶や町の関係団体のリーダーが参加したが、その際、藤里町でも自殺が多いと言うことに参加者が関心をもち、10月に僧侶を会長とし会員25人の「心といのちを考える会」が設立され、活動を開始し始めた。 その頃までは自殺予防という表現を使いづらい雰囲気が地域内にもあったが、平成13年度以降は自殺に関する実態を秋田大学と協同で実施するなど、自殺と言う言葉を使用して事業を行うことが可能になってきている。平成14年度からは秋田県のモデル事業の指定を受け、事業を発展させてきている。 |
1. | いきいき心の健康づくり |
(1) | 「心といのちを考える」シンポジウムの開催(平成14年10月) 実際に父親を自殺で失った遺児の発表や、重たくなりすぎないようにとの配慮から笑いを取り入れた寸劇が行われた。シンポジウムの企画や運営、寸劇への参加は会員が全て行っている。地域住民の主体的取り組みを示す貴重な事例の一つである。 |
(2) | 冬場のひきこもり予防対策(レクレーションによるストレス発散) 平成8年から町保健師が老人保健事業の健康教育を活用し、温泉施設での水中運動やレクレーションなどを行っている。 |
2. | 心の健康づくり巡回相談事業 |
(1) | 中高年男性を対象とした地区への出前講座 「男の更年期を考える」をテーマにした講座が各地区で開催された。中高年男性の自殺死亡者が多いことや、地区別の集まりに参加者が少ないことがそのきっかけとなっている。 |
(2) | 専門家によるケース別相談の実施 秋田大学の心理専門家による個別相談を開催している |
3. | 仲間づくり支援事業 |
(1) | 精神保健福祉ボランティアとの交流 |
(2) | 心の健康づくりと自殺予防パンフレットの作成 心の健康づくりと自殺予防をテーマにしたパンフレット「藤里物語」を、秋田大学の協力を得て「心といのちを考える会」が作成し、全戸配布している。内容は「3世代同居」「心の健康・不健康」「地域で支える」「心の健康づくりと自殺予防」となっている。このパンフレットの配布時には、内容に関するアンケート調査を実施し、今後の事業展開の参考になる様に工夫している。 |
1. | 命の大切さを考える講演会を年3〜4回開催するなど、地域住民主体の活動として発展してきつつある。 |
2. | 日頃あまり町保健師と話す機会の少ない中高年男性との接触の機会が持て、参加者の満足感を得られている。 |
1. | ケース別相談の実施を担ってくれる専門家の確保 |
2. | うつやうつ病を専門的立場から診療する医療機関の不足 |
3. | 地域住民の間にある精神科受診への偏見の存在による診療の遅れや躊躇 |
1) | 本橋豊:市町村における自殺予防のための心の健康づくり行動計画策定ガイド.平成15年10月 |
5) | 鹿児島県東市来町
|
【 | 特徴】 保健所と協働で心の健康疫学調査やうつスクリーニング、産後うつスクリーニング、心の健康づくり講演会など、既存事業を活用して1次予防や2次予防に取り組んでいる |
【 | 現状】 東市来町は、東シナ海に面した薩摩半島の中西部に位置し、九州の主要幹線である国道3号と国道270号、JR鹿児島本線の沿線として、さらに南九州西回り自動車道(鹿児島西〜市来間開通済)の整備も進められ、広域交通環境も充実している。主な産業は、農業と漁業であるが、歴史と泉質を誇る湯之元温泉や四百年余の伝統を誇る薩摩焼きの窯元が集まる豊かな自然と歴史に恵まれた町である。 人口は13,623人(平成12年国勢調査)で、出生数93人、死亡数164人、老年人口比率31.6%(平成13年)と少子高齢化が進み、自殺死亡率の標準化死亡比(SMR)が男性122.9と男性の自殺死亡率が高く、高齢者のうつ・うつ病の増加も懸念されている。 |
【 | 取り組みの経緯】 町保健師が精神保健への取り組みの必要性を早くから感じ、町役場など職域へ心の健康づくり教室の開催などの働きかけを行っていた。平成14年度に精神保健福祉業務が一部移譲されたことで精神保健相談の増加に伴い地域でミニデイケアを開催したり、保健所と協働で作成した市町村母子保健計画のなかで、保健所保健師や町母子保健推進員などと協力して母親の育児不安の軽減を掲げて、産後うつ対策にも取り組んできた。 そのような状況の中で、平成13年度から伊集院保健所と協働で実施した既存資料の分析や、自己評価うつ病尺度(SDS)等を使用したアンケート調査「心と身体の健康調査」の結果、日置地域において自殺死亡者の割合が高いことや、うつ傾向にある住民が多いことの情報提供を受け、保健所と協働でストレスコントロールを学ぶ場としてリラックス教室を開始した。 また、平成14年度から日置地域で行われている厚生労働科学研究「こころの健康疫学調査」に、平成15年度は東市来町が選択されたことにより、心の健康づくりに関して民生委員や各種推進員を対象として、うつや心の健康づくりに関して説明会や講話を行うとともに、基本健康診査結果報告会でのうつスクリーニングに取り組んでいる。 |
(1) | 町民向け講演会の開催 |
(2) | 町広報誌への掲載 |
(3) | 保健所広報誌「ハートほっとメール」の5,400世帯への全戸配布。 |
(4) | 平成11年度から実施している中学生を対象にした「命ふれあい体験教室」にて、心の健康づくりの視点をも含めた内容で教室を実施予定。 |
(5) | 民生委員や各推進員研修会に心の健康づくりをテーマに取りあげて実施している |
2. | スクリーニングの実施 |
(1) | うつスクリーニングの実施 8項目からなる一次スクリーニングを基本健康診査結果報告会や健康教室等で実施し、陽性者に対し13項目からなる二次スクリーニングを保健所保健師の協力を得て実施している。 |
(2) | 産後うつスクリーニングの実施 エジンバラ産後うつ病スケール(EPDS)等、3種類の質問紙票を活用して新生児訪問、乳児健康診査の場で、保健所保健師や町母子保健推進員と連携した母親の心の健康支援を行っている。 |
3 | .リラックス教室 住民を対象として自分でできるストレスマネージメントを学ぶ場として開催 |
4 | .こころの健康疫学調査 平成15年度の厚生労働科学研究の一部として精神障害やストレスに関する調査を、町役場や民生委員の協力を得て実施している。実施に際し、地域の保健所が民生委員への講話や説明会を開催し、地域の実態把握とともに、地域のキーパーソンへの普及啓発、地域精神保健活動の活性化につなげている |
5 | .ミニデイケア 精神障害者への支援等の一環として、精神保健福祉法の改正以降実施してきている |
1. | 命の大切さを考える講演会を年3〜4回開催するなど、地域住民主体の活動として発展してきつつあること。 |
2. | 精神保健相談の窓口が、役場や保健所にあることを知る住民が増えてきたこと。 |
3. | 体の健康と同じく心の健康に関心を寄せ相談をしてくる住民が増えてきたこと。 |
4. | 精神保健の事業が地域の中で一連の流れのもと実施することで、住民にも分かり易く参加しやすくなった。 |
1. | ケース別相談の実施を担ってくれる専門医の確保 |
2. | 健診時のスクリーニングや住民からの相談に応じることのできる保健師等、マンパワーの確保 |
3. | 精神科受診を躊躇しがちな地域住民への普及啓発の強化 |
4. | 精神診療科との連携強化 |
1) | 大野裕他:うつ状態のスクリーニングとその転帰としての自殺の予防システム構築に関する研究 総合研究報告書、平成11〜12年度 厚生労働科学研究費補助金障害保健福祉総合研究事業.3-24 |
1) | 川上憲人,大野裕,宇田英典他.こころの健康問題と対策基盤の実態に関する研究:3地区の総合解析結果.平成14年度厚生労働科学研究特別事業報告.2002 | ||
2) | WHO. The World Health Report 2001.Mental Health : New Understanding New Hope.P27 | ||
3) | Kendler KS, Kessler RC, Neale MC, Heath AC, Eaves LJ. The prediction of major depression in women: toward an integrated etiologic model. Am J Psychiatry. 1993; 150: 1139-48. | ||
4) | Kitamura, T., Fujihara, S., Iwata, N., Tomoda, A., Kawakami, N.. Epidemiology of psychiatric disorders in Japan. In Nakane, Y. & Radford, M., ed., In Images in Psychiatry: Japan. World Psychiatric Association, New York, 1999 ,pp. 37-46. | ||
5) | Andrade L, Caraveo-Anduaga JJ, Berglund P, Bijl RV, de Graaf R, Vollebergh W, et al. The epidemiology of major depressive episodes: results from the International Consortium of Psychiatric Epidemiology (ICPE) Surveys. International Journal of Methods in Psychiatric Research 2003; 12: 3-21. | ||
6) | WHO International Consortium in Psychiatric Epidemiology. Cross-national comparisons of the prevalences and correlates of mental disorders. WHO International Consortium in Psychiatric Epidemiology. Bull World Health Organ 2000; 78: 413-26. | ||
7) | Kawakami N, Shimizu H, Haratani T, Iwata N, Kitamura T. Lifetime and Six-month Prevalence of DSM-III-R Psychiatric Disorders in an Urban Community in Japan. Psychiatry Research 2004; 121 (3): 293-301. |