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6.長期的な支援のために
 うつ病は適切な治療により多くは回復する。しかし、糖尿病や高血圧などの生活習慣病と同じように、うつ病を繰り返したり、慢性の経過をとる場合もある。再発の防止のためには、回復後も比較的長期間の服薬やフォローアップが必要となる場合もある。
 また、経過が長期にわたると、家族も「怠けている」とか「甘えている」と誤解しがちであること、抗うつ薬に対する忌避感から早期の服薬中断を招く可能性があることから、家族に対しても正しい知識を提供することが必要である。医療機関における医師からの家族への助言の他、家族教室の開催なども一つの方法である。また、うつ病を体験し、そこから回復した人、及び彼らを支えてきた家族からの助言を得られるうつ病経験者の会などのピアサポートの場があることも望ましい。
 長期的な支援には事業場との連携も重要である。仕事を持つ者がうつ病になった時には、病気休暇などの制度を利用して本人が安心して休養できることが必要である。また、職場への復職にあたっては、本人、家族、主治医、上司、人事・労務担当者、産業保健スタッフ(産業医など)が事前に相談の機会をもち、本人を無理のない形でスムーズに出社できるように配慮することが重要である。うつ病は、しばしば職場の周囲のうつ病に対する無理解(急な労働負荷を与える、薬に頼らず自力でがんばれなどの誤った励まし等)や、職場と主治医とのコミュニケーションの悪さのために再発することがある。都道府県・市町村が事業場に対して、うつ病の広報・啓発を積極的に行ったり、職場と主治医の間に立って意見や情報の交換を円滑につなぐ役目を果たしたりすることも効果的である。


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