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II  勤労者3人(夫婦子1人)世帯における消費実態と生活保護基準との比較について


家計調査特別集計(平成8年〜12年平均)

(単位:月額・円)
年間収入階級 全体平均 第1〜10
/50分位平均
(第1/5分位)
第1〜5
/50分位平均
(第1/10分位)
第3〜5
/50分位平均
第1〜2
/50分位平均
消費支出額 311,619 224,400 210,769 220,925 195,535
生活扶助相当支出額 207,013 146,126 137,708 143,807 128,559
  食料費 66,170 50,605 48,893 50,241 46,871
(エンゲル係数) 21.2% 22.6% 23.2% 22.7% 24.0%
教養娯楽費と交通・通信費と
交際費の合計
51,118 33,439 30,769 32,755 27,789

注1  生活扶助相当支出額とは、消費支出額の全体から、生活保護制度中の生活扶助以外の扶助に該当するもの(家賃・地代等=住宅扶助、教育費=教育扶助、医療診療代=医療扶助等)、生活保護制度で基本的に認められない支出に該当するもの(自動車関連経費等)、被保護世帯は免除されているもの(NHK受信料)、最低生活費の範疇になじまないもの(家事使用人給料、仕送り金等)を除いたものである。
注2  交際費は「その他の消費支出」の一部である。


(単位:月額・円)
生活保護基準(平成8年〜12年平均)
  生活保護基準額 186,444
生活扶助基準額と
   勤労控除額との合計
164,008
 うち生活扶助基準額 143,409
 うち勤労控除額 20,599

 勤労控除は就労に伴う必要経費を控除するものであり、控除額は就労収入によって異なる。
(15年度上限額:33,260円・収入額8,000円までは全額控除)
 なお、上記の勤労控除額 20,599円は、平成8年〜12年までの平均控除額である。


◎ 第1〜2/50分位と他の分位との間で消費支出額(生活扶助相当)の格差が大きい主な費目

・食料 外食・調理食品(1類費)
・被服及び履物 洋服(1類費)
・教養娯楽 教養娯楽サービス等(1類費・2類費)
・交通・通信 通信費(2類費)
・その他消費支出 こづかい(1類費)


(参考)
昭和39年12月16日 社会福祉審議会生活保護専門分科会中間報告−抜粋−
2 当面の生活保護水準改善の方途
 一般国民の平均消費水準に比較して低所得階層の消費水準の上昇が大きく、消費水準の階層別格差縮小の傾向が見られる現状を前提として最低生活保障水準としての生活保護水準の改善を考える限りにおいては、一般国民の平均的消費水準の動向を追うのみではその目的を達し得ないものであって、低所得階層の消費水準とくに生活保護階層に隣接する全都市勤労者世帯第I・10分位階級の消費水準の動向に着目した改善を行なうことがとくに必要である。
  すなわち、第I・10分位階級における消費水準の最近の上昇率に加えて、第I・10分位階級と生活保護階層との格差縮小を見込んだ改善を行なうべきである。

昭和55年12月中央社会福祉審議会生活保護専門分科会中間的取りまとめ−抜粋−
 被保護世帯の消費支出水準については、昭和40年度以降、低所得世帯との消費支出水準格差を縮小することを目的とした格差縮小方式によって生活扶助基準が改定されてきた結果、当時の水準に比して相当の改善が図られた点は評価されるべきである。しかし、消費支出の内容を詳細に分析すると、栄養摂取の態様については主食の比率が高いこと等未だ貧困性が強く認められ、さらに、地域社会の成員としてふさわしい生活を営むために不可欠な交通費、教養費、交際費等社会的経費は一般世帯のみならず全国勤労世帯第1・10分位階級等の世帯と比較しても著しいひらきがあることなどを勘案すると被保護世帯の消費支出の水準は今後さらに改善を要するものと認められる。

昭和58年12月23日中央社会福祉審議会意見具申−抜粋−
 生活扶助基準の評価
(3 )…総理府家計調査を所得階層別に詳細に分析検討した結果、現在の生活扶助基準は、一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達しているとの所見を得た。
 しかしながら、国民の生活水準は今後も向上すると見込まれるので、生活保護世帯及び低所得世帯の生活実態を常時把握しておくことはもちろんのこと、生活扶助基準の妥当性についての検証を定期的に行う必要がある。
 生活扶助基準改定方式
(1 生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして設定すべきものであり、生活扶助基準の改定に当たっては、当該年度に想定される一般国民の消費動向をふまえると同時に、前年度までの一般国民の消費水準との調整がはかられるような措置をとることが必要である。


(参考)



生活扶助相当支出額(円)
家計調査特別集計結果による収入階級別生活扶助相当支出額
(勤労者3人(夫婦子1人)世帯)

平成8年〜12年平均

 家計調査特別集計結果による収入階級別生活扶助相当支出額(勤労者3人(夫婦子1人)世帯)の図
収入階級50分位



被保護世帯の支出・収入と生活保護基準との関係


被保護世帯の支出・収入と生活保護基準との関係の図


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