1 | 地域支援の基本的方向性 |
◇ | 新しいものをつくっていくという、創造の出発する点における発想・理念が必要。 | |
◇ | 3障害それぞれにおいて、共通した問題とそれぞれの障害に特異的な問題があるが、共通している部分は、障害の枠を超えた支援を行っていくべき。 | |
◇ | だれもが参加する、そしてともに協力し合う関係になっていくということで地域生活支援を考えるべき。 | |
◇ | 保健・医療・福祉以外にも地域の中で例えば既にある支援が、(公民館活動でも何でもいいが)退院してきた精神障害者なり地域で暮らす精神障害者が、その人のために支援をいかに有効に活用できるかといわれるようないわゆる地域監視型ではなく、地域志向性というのか、その中で暮らしといわれるものに着目しながら、専門家以外の方々にも協力を願ってその人を支えていくといわれるものが、地域生活支援のあり方。 | |
◇ | 個別の要望などから優先順位をつけて解決策を出すのではなく、包括的なビジョンを見据えながら地域を基盤にした当事者の生活を支えるところに焦点が絞られていくということがないと、いつまでたっても同じような分離した形でいろいろなサービスが存続することになるのではないかなという危惧が感じられる。 | |
◇ | 高齢者ケアの議論で言えば、専門サービスを地域にどうばらまくか等の議論はある意味では克服されつつあるし、知的・身体では、強力な当事者組織があらわれて、そういう意味ではコミュニティケアを原則とすることについての強いオリエンテーションが出始めてきているが、残念ながら精神障害の領域はなかなか難しいなということを改めて感じた。 | |
◇ | コミュニティケアというのは実は精神医療から始まった。その場合に、現代のコミュニティケアの基礎的な理解は、地域社会で専門サービスを提供すると同時に、先ほどから出ている地域社会がまさに分野の枠を超えて支援を必要とするサポートをしていくという思想であったはず。それがどうも、専門サービスをどう地域にばらまくかという話で終わってしまっているのではないか。 | |
◇ | カナダのオンタリオ州が10年にわたって精神保健改革をやってきて、この間、政策文書が出ているが、その中で議論されて必ず出てくるキーワードが、いろいろな部署間の、あるいはセクション、省庁間のコーディネーションが非常に欠けていることや、同じ省の中でも省内のコーディネーションが十分になされない。そういうところにいろいろな障壁が存在していて、必要な支援が受けられないということや、サービスを転換することそのものが非常に難しいということがあったが、それにメスを入れてようやく改革した。それをやっていくための政治的な意思とかそういうものが非常に必要になってくる。 |
2 | ライフサイクル等に応じた地域生活支援の在り方
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◇ | どういう人たちを頭に入れながら話を進めていくかというような焦点化を、この会議である程度煮詰めていかないと事は進んでいかないと思う。 | |
◇ | 新しく入院してきた患者さんたちの入院期間はものすごく短くなってきている。そうすると、社会的な機能を十分に持ちながら実は退院している。昔ながらの支援と新しい病気が発生されて退院されていった方の支援は違うだろうと思う。 | |
◇ | 狭い意味で精神障害者にかかわる人たちだけが地域にいるのはない。そうではない人たちの方が圧倒的であり、私たちは精神障害者が使えるものだけを使って生きているわけではなく、圧倒的にはそうではないものを使って暮らしている。そうしたことを忘れてはいけない。 | |
◇ | 医療も地域生活支援の構成要素の1つだと思う。医療か福祉かという二分法はおしまいにして、人間が地域の中で安心して生きるということは一体どういうことなのか、そのことを中心にしながら、そしてだれもが参加してだれもが経験をした者から学んで、それを社会システムの中に生かしていけるような知恵と協働活動を推進するような、そういう施策展開にしたい。 | |
◇ | 実際の生活を見て、仕事、収入、住居、服用している薬、主治医等を確認し、どのような思いを持っているか、当事者にもっと直接聞いて歩く調査が必要。 | |
◇ | 生活がどう支えられているか、医療はもちろん、それと同時に地域で医療がどういうふうに機能しているかということを含め、エビデンスに基づいて議論するのがこの種の検討会の基本だろうと思うので、注意深くデータ収集(全国的、地域的な調査等)をしていただきたい。 | |
◆ | 当事者、特に長期入院している当事者にニーズ調査を行うことには限界がある。いろいろな社会資源を提示しても、長期入院している当事者は、地域生活支援センター、福祉ホームなどが、どういうものかわからないままに調査をしても意味はない。 | |
◆ | まずきちんと情報を開示して、アンケートを取る人に強く説明した上でなければ、正確な調査結果が出ないと思う。 |
(1) | 中高年層 |
◇ | 地域で生活をしている当事者の方々が多様なニーズを持っている。そのサービスニーズをどのようにするかということは、当事者を含めて検討することが非常に重要ではないか。例えば退院の問題が具体的には議論されている。新しく入院した方と長期の入院の方、特に高齢者の方々の対応においては、在宅という形態になったときには違ってくるというのは当然。そのようなもろもろのものが多様なニーズとしてあるわけなので、当事者を含めて基本的に検討する必要がある。 | |
◆ | 高齢の精神障害者については、他の高齢者の施策とあわせた施策展開を行った方がいいのではないか。 |
(2) | 現役層 |
(3) | 未成年層 |
◆ | 年を追うごとに若い方、それも未成年の方の施設利用が多くなっている。これは、精神科の敷居が低くなったことも大きく関係していると思う。若い方たちの大きな問題である思春期の問題と、病気になったという大きな問題をどう構築をしていけばいいかが大きなポイントである。 | |
◆ | 未成年層の場合、自分探しをしている世代に病気をしてしまって、ますます否定感情が大きくなる。自分自身が生きている価値があるかということを思い悩んでいた時期に病気があるという想像もできないしんどさの中で、どんなふうに自分の自己実現、アイデンティティを確立するかというところが一番力を注いでいかなければいけないところではないか。 | |
◆ | 未成年層では、お母さんへの支援とセットになった支援が重要である。生活の支援、医療のタイミングの支援の相談に乗るためには、お母さんと一緒に住んでいるということはほとんど在宅であるため、多職種によるそれに届ける支援が重要。 |
(2) | 日中活動(就労・職業訓練、教育等) |
(1) | 中高年層 |
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(2) | 現役層 |
◆ | 現役層の場合、役割を持ってもらう支援が重要であり、基本的にはそのことが就労支援につながるような、あるいは、その人なりの就労が支援されることが重要。 | |
◇ | 小規模作業所、地域作業所の数は非常に多くなってきており、それがいいか悪いかは別として、多くの患者、すなわち当事者あるいは家族が通っている施設になっている。 | |
◇ | 入院の方を社会へ戻そうということは大変結構だと思っているが、生活の場だけではなく、働くことについて、その後社会復帰してからどういうふうなことで働くことへの準備をしていくかということが非常に大事。施設の中にいるとかグループホームとかだけではなくて、働く面のことを十分考えていただきたい。 | |
◇ | 社会的訓練とかそういう訓練の場はあるが、それがなかなか就職に結びつかないので、その辺をつなげて働く場というのを展開していく必要がある。就労とそれに必要な就労の支援をきちんと位置づけて、そういう仕組みの中に出ていただくことが大事だと思う。 | |
◇ | 職親制度は2年間が限度。また、県の福祉センターが世話するのも1年間が限度。これはたとえ本人がそれを続けたくても、そういう制度になっており期限があるため、それを中止せざるを得ない。したがって自分で職を探すとか、または、今まで通っていた作業所に戻るという道しか残されない。 | |
◇ | 学校と違って作業所には卒業というものがない。ほとんど全員が落第でいつまでもいる。やめていくとか病院に逆戻りする原因の1つは、もちろん体調とか心の状態も関係してくると思うが、未来が見えないという若い人が多から、未来というものに対して夢や希望があるのだと思うが、それが窓として開かれていないという現実があるのではないか。 | |
◆ | 成人の場合、就労支援ということがとても大きな意味を持つ。ただ、この就労支援を支えていくのに、生活支援がないと成り立たない。何も生活支援がないところでずっと就労支援を行ってきたが、途中で崩れてしまう。それが生活支援という事業ができてから、就労が継続するようになったという体験を持っている、この生活支援と就労支援という大きな2つの縁の下の柱がないと、なかなか(当事者の)夢に向かって進んでいけない。 | |
◆ | 社会福祉法人桑友が実施した利用者アンケートによると、どんなところで働きたいかという問いでは、一番多いのは、商店街、住宅地等、みんなが働いている場所で働きたいというニーズが一番多かった。就労形態としては、一般事業所で働きたいが、就労の仕方としては、障害者の制度とか支援を使って働きたいという方が、工賃収入については、15万円から20万円ぐらいの金額を答えた方がそれぞれ多い。就職するために必要とするための支援でも、生活支援パートナーとかジョブコーチが欲しいとか、愚痴を聞いて欲しい等が多い。就職をする上での生活場面をどう支えてほしいですかという問いでは、金銭的援助、就労支援、悩み事相談ということが多い。 | |
◆ | 生活支援と就労支援は両皿天秤のようなところがあって、どちらかが重くなってしまうとガタンとなってしまう。人によって違うので、そこはそれこそ当事者と一緒にやらなければいけないが、大きくまとめてしまうと、うまくバランスをとりながら、上皿が落ちないようにしていけば、みんなすごいなと教えてもらうことの方が多い。 |
(3) | 未成年層 |
◆ | 未成年層では、学校へ行きたいという思いを持っている方がとても多いのに、ここの支援がない。在学中に社会復帰施設を利用される方は本当に多く、幸いにも若い、学校を卒業したばかりのスタッフが多ければ、そういう人たちが家庭教師のような役割を担いながらその人たちと一緒にやっていけるが、ここのところがもう少し力を入れられないか。 | |
◆ | 未成年層では、就労体験、アルバイトの経験すらない方が多い。就労支援とか仲間づくり、就学支援とかいうところに時間を入れて、できるだけ早く、アパートだったり、グループホームだったり、自分で生活することを当事者の方と一緒に進めていければ、むしろ私たちがかかわるよりも、ピアが一番生きるところが、この若い世代ではないか。ちょっと先輩が、自分もそうだったんだよ、でも、今はこうなんだよと言える安心感というのは、当事者が一番強いのではないか。特にクラブハウスもここでは大きな役割も果たしていくのではないか。 | |
◆ | どういうものをつくるかとか、何が足りないとか、そのことだけを話しても限界がある。社会の方が本当に閉じているのではないか。社会が閉じているものを開いていくという象徴的な存在の一つとして、例えば診断書を持って、一度学校を除籍になった人を復権する等を考えていく必要があるのではないか。 |
(3) | 介護等生活支援 |
◆ | 中高年の方というのは、訪問介護あるいはホームヘルプなど、いわゆる在宅であり、箱ものというか、グループホーム、援護寮も増えていかなければいけないということはあるが、今後、劇的に地域支援を高めていくことを考えると、在宅を基本とすることを考えなければならない。 | |
◆ | 医者側と当事者側の意見が乖離している場合がある。医者側は、ホームヘルプをやってほしいとか、何をやってほしいと言う。しかし、入院している当事者にしてみれば、そんなことは全然してもらいたくないというようなこととか、援護寮とか福祉ホームについては全然わからないから、そういうニーズがない。また、デイケアは圧倒的に医者側が多く、入院している当事者の要望は少ない。 | |
◆ | 家庭に復帰させてあげたいと思うことは医者側に多いが、長期入院している人にとっては、家庭には帰りたくないという人がかなり多い。こういうことが現実に起こっているわけであり、ニーズ調査の乖離している部分を、単にこれがニーズだと思うときには、よく慎重に分析しないと、このニーズが多いからこれが必要だというようなことにはならない。もっと細かい分析が必要。 | |
◆ | 在宅のことを考えると、(各種医療、サービスを)届けるシステムが今後論議になるのかなということが、中高年の場合、重要。 |
(4) | 生活の場(住まい) |
◇ | 保証人をつくっていく取り組みや、あとアパート探しもなかなかない。とても少ない年金等で生活していこうとして公営住宅などにチャレンジしたくても、そういうものには入れないという仕組みに今はなっており、国土交通省の人たちは、精神障害者のサポートがもっと厚くならなければ考えられないと言う。 | |
◇ | アパートを借りるというのは非常に困難な状況。地域で生活する場合にそれをどうするかは大きな課題。 | |
◇ | 自立ということで考えれば、1人の生活が大事であり、例えばアパートを借りるにしても、公的保証人制度があればアパートを借りることができる。それがないがゆえになかなか生活の場を確保できないことが大きな問題。 | |
◇ | 民間のアパートを借り上げるような制度があれば、単に施設を整備するよりも効率的ではないか。 | |
◆ | 現役層から未成年にかけては、精神症状の動きがあったりする世代であり、柔軟な支援が必要になる。また、そういうときの問題行動があると、住居を貸してくれない、外に出られないという問題がある。いわゆる保証人制度など、住居のことが非常に大きいと感じる。 | |
◆ | 症状が激しい入院期は医療のかかわりがとても重要だが、地域に出るにしたがってだんだん、むしろ、私たち専門家と呼ばれる者がかかわることが弊害になっていく。どう地域住民にサポートをお願いしていくかという形を進めていくことが、彼らが地域の一員になれることではないか。 |
(5) | 医療との関わり |
(1) | 中高年層・現役層・未成年層 |
◇ | 精神障害者関係施策の考え方は、医療に引きずられる印象が強い。 | |
◇ | 精神科医と看護婦だけの精神科医療はもうとっくの昔に終わっている。もうちょっといろいろな人たちのチーム医療が大事。ケアマネジメントにはチーム医療の発展を期待したのだけれども、それすらできていない。 | |
◆ | 病院は医療であり、医療管理という点で重要なので、病院が管理することは当然のことだが、生活は自分で管理するというところがあり、施設も自分でどう管理するかが大きな課題であるため、長い間病院に入っていると、管理されることになれすぎてしまって、自分で自分を管理することが逆に大きな不安になっている。その不安をうまく一緒に乗り越えられるように、体験を繰り返す期間が重要。 | |
◆ | 高齢者の場合、精神科以外の疾患があり、これは高齢者特有のものだと思われるが、やはり医療が一定程度、精神科だけではなくて総合的な医療のかかわりが必要になってくるのではないか。 | |
◆ | 疾病教育について、医療情報が当事者にはほとんど入っていない。自分がなぜこの病気になっているのか、病名は何なのか。病名告知の問題はいろいろあるかと思いますが、自分が何かわからない不安、自分がこれからどういう症状が出て、どうなって、この薬を飲むとどういう副作用があって、どういう効果があってという、ここのところがないから、薬を飲むのを中断してしまったり、結果的にうまい循環になっていかない。この疾病教育により自分はこの薬を飲むことによって、先にきちんと夢があるんだ、希望が持てるのだということがわかることがとても大事ではないか。受容しなさいと言うだけでは受け入れられないと思います。 | |
◆ | 今言われている救急システムではなくて、必要なときにかかれて、一晩だけ入院等の、普通の病気の救急と同じような救急システムがあるといい。 |
(2) | 重度精神障害者 |
◆ | 重度の精神障害者の場合、ちょっと違うサービスが必要ではないかと感じる。今、国立国府台の方でACTがやられているが、ACTは医療の視点が強すぎるのではないか。もちろん、精神病という疾病があるので、医療の重要性は当たり前のことだが、生活の中の重要な一つではあるけれども、すべてではない。 | |
◆ | ACTの重要なところは、いい医療といいサービスをチームでどう提供できるかということではないか。チームによる直接的な支援、これが24時間サービスで提供できれば、ほとんどの方が病院から退院できてしまうのではないか。もちろん、症状が激しくて、きちんとした医療をしなければいけない人もいらっしゃるのはわかるが、地域に(サポートする機能が)なければ、結局また病院に帰ってしまうので、地域の中の基盤整備が、特に重度の精神障害の中では重要なことではないか。 | |
◆ | 重度精神障害者と家族を中心に据えながら、様々な地域のサービスをチームによって提供していくことが、精神障害者が地域で暮らしていけることではないか。でも、それの基盤整備をしてからではないと、リスクが大きくなるのではないか。ハードはそんなに要らず、ほとんどソフトだと思う。ソフトさえ資源として整っていけば、多くの人が地域で暮らせるのではないか。 |
3 | マネジメントの在り方 |
◇ | ケアマネジメントの財政的な担保が1つもない、あれだけ苦労して議論して、尻すぼみで各都道府県は困っている。今後の脱入院化・脱施設化のためにもケアマネの手法を使うべきだと思う。 | |
◇ | 高齢者の介護保険では制度的にケアマネジメントをすることが要否の判定から給付の条件になった。そういう制度的な仕組みをしっかりつくらない限り、ケアマネジメントといっても障害者サービスの分野においてはまことに不十分なものになるだろう。実施するところきしないところ、そんなことではよくない。行政的には全国斉一性を持ってこれを実施しなければいけない。 |
(1) | マネジメントの範囲 |
◇ | 地域生活支援をしていく上で非常に重要なシステムとして考えていかなければいけないケアマネジメントについて、果たしてこのままの「手法」ということだけでいいのかどうか、そのあたりをこの検討会ではきちんと議論しなければならない。 | |
◇ | サービス実現のための手法として、ケアマネジメントを制度化していくならば大変有効である。今はバラバラにある各種のサービス支援をいかに生かして、社会復帰、地域生活のために生かしていくか、これは大変有効である。 | |
◇ | 障害者が主体的・自主的に人間として生きていく、その人間の生活をだれかが専門家という名においてマネージメントする。上からのケアマネジメント反対というのが鋭く出された意見。これはすべての障害者に共通する問題だと思う。 | |
◇ | それぞれ持っている生活問題をとらえるとらえ方と、障害者、知的・身体障害者、高齢者というふうにとらえ方を少し整理をする必要がある。その上でサービスの標準モデルを考えていくことが非常に重要。これまでケアマネジメントがなぜ制度に入らなかったかというと、サービスのケア論がなかったからだと思う。 | |
◆ | グループホーム、デイサービス、福祉ヘルパーさんのサービスも受けられるとか、そういうことがきちんと患者さんに情報が伝わっていなければ、そもそも本人の希望が、どういうサービスを受けて、どういう生活をしたいということがわからないと思う。 | |
◆ | 就労のところをどのように支えていくかということが、30代から50代までの方たちの一番大きなテーマになっている。そのときに、どう生活を支えていくかが重要であり、やっと昨年度からホームヘルプサービスが始まって、制度として使えるようになった。それまでは、作業所のスタッフがこの役割を担っていた。これが、単に普通のホームヘルプサービスではなくて、大阪でやられているようなピアによるホームヘルプサービスとか、ピアサポーターとか、そういったことがあると、みんなが地域で暮らしていけるのではないか。 | |
◆ | 退院するときに一番大きな問題が、社会復帰施設のイメージができないことであり、それを、社会復帰施設の利用者たちが、通院の折、お見舞いに行ったときに入院患者に説明して、というパターンが施設利用のきっかけとなることが多い。 | |
◆ | 入院している中高年層は、大変厳しい状況に今置かれているので、この方々にどのようにサービスを提供していくかという議論が、ケアマネジメントの考え方に基づいて話をされなければいけない。 |
(2) | マネジメントを担う者の在り方 |
◇ | 最初から主体化とか主体性を持ち合わせて、自分はこういうサービスが必要だとか言える方々はいないと思う。既に退院されている方々もそうではないように思われるので、いわゆる主体性までのプロセスを、専門家もそれ以外の地域の住民も含めて、どういうふうにプロセスを支援していくかということが、この地域生活支援のあり方というものを考えていく1つの大切な材料ではないか。 | |
◇ | 地域ケアに転換していったシステムは、ケアマネジメントがきちんとシステムとして根ざしていて中軸的な役割を果たしていると思う。これはきちんとエビデンスに基づいて実証的に研究されてその成果も公表されているし、そこに必要な人材はどれくらいかということなどについても触れられているので、ただ支援の技術というだけで終わるべきものではない。 | |
◇ | 最初から本人抜きで話されるように進めるのではなく、本人が、医学的な完治ではなく、リカバリーという概念(いくら重篤であろうとも、その人がその人らしく生きていけるということ)を持った上でのケアマネジメントが話される分にはいい。 | |
◆ | ケアマネジメントの従事者を決めて、その複数のニーズを調整しながら進めていくことで、うまくマネジメント機能を発揮できる。 |
4 | 受入条件が整えば退院可能な7万2千人への地域生活支援としての対応の方向 |
◇ | 7万2,000人を退院させると言うが、退院はしてどうするかということが大きな課題だと思う。 | |
◇ | 退院促進事業は16都道府県についているわけだが、今年は10カ年計画7万2,000人退院促進の初年度ということで目玉だと思うので、現在の進捗状況をぜひお知らせ願いたい。政府が提案されたシステムでは不十分だとかやりづらいということがあったら、すぐそれこそ要綱なり制度をチェンジして現場を支援してあげていただきたい。 |
(1) | 入院期間の違いに応じた施策の方向 |
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(2) | 年齢、状態等の違いに応じた施策の方向 |
◇ | 高齢の方の退院が、いわゆる社会資源なりサービスがそろったら退院できる方の時間が少なくなっているという点が非常に気になる。ただ箱物をつくっていくという論議にはならないとは思うが、民間のアパートを借り上げるいろいろな制度にお金を投下する方が非常に効率的だったりする面があると思うので、そういう意味での住居施策について多く論議したい。 | |
◇ | 介護保険が施行されて3年になり、金持ちの人も低所得の人も同じようにサービスの給付が伸びている。しかし、最初の理念であった在宅介護へのシフトが結果的にはなかなかうまくいっていない。それをここで当てはめて考えると、本当に7万人を社会生活という形で戻すとすれば、よほどのことがなければということを、介護保険から顧みて思う。特に社会の中に復帰していくという形の中では、恐らく介護保険以上に在宅支援といったようなものは難しい。 |
(3) | 本人の意向に応じた施策の方向 |
◇ | 社会的な入院の解消を促進していくためにも、その人たちが社会に出てきてよかったなとか安心して暮らせる社会でなければ、長く住んでいた病院の方がいいと言って帰っていくのではないか。 |
5 | 各種サービス・各実施主体の機能と将来の在り方 |
◇ | 今のサービス体系は、いろいろデータをみると、従来型の補助金の枠の中でうまくいっていないのではないかという感じがする。きちんとした車体をどう設計するかという、大モデルチェンジをやるという覚悟でやらなければならない。 | |
◆ | 今までのシステムは、ある意味では後始末型のシステムであり、これからは、先見的にアプローチして、モデルをつくって、事前介入型のモデルにしていくべき。 | |
◇ | 本当にモデルチェンジをするという大きな枠に変えてやっていくという覚悟がなければ、きっとうまくいかないのではないかという感じがする。介護保険の仕組みだとか当初の理念、それがどこがうまくいき、どこがうまくいっていないのか、そういうものを比較検討しながら、この会議を進めていただきたい。 | |
◇ | 大幅なモデルチェンジも重要かもしれないが、身近な問題から解決していくことも重要。 | |
◇ | 平成5年の公衆衛生審議会の報告書でも、ここでもうギアチェンジしている。ところが、これが何一つ進んでこなかったのは、精神保健福祉法の中に社会復帰対策の義務化がないことが大きな原因だろうと思う。ほかの3障害のうちの2障害はほとんどが義務化されている。 |
(1) | 就労・職業訓練との関係(福祉工場、授産施設、小規模作業所等) |
◇ | 授産や福祉的就労の場から、一般就職に結びつけるための方策を展開していくことが必要。 | |
◇ | はっきり言って小規模作業所は制度疲労がきていると思う。 | |
◆ | 就職の場では働く環境を大事にすべき。就労においても、退院を繰り返す期間、不安を軽減する期間がとても重要であり、短い期間、職場で体験を重ねることが非常に効果を上げる、それも、精神障害者当事者と一緒にやることが大きな効果を上げることを経験している。 |
(2) | 訓練・生活支援、生活の場(住まい)との関係 |
(1) | 生活訓練、生活支援機能を有する入所施設(援護寮、福祉ホーム) |
◆ | 援護寮とか福祉ホームが本当に必要か疑問。これらは、体験を繰り返して2年たったら次へ行ってくださいと、また体験を繰り返さなければいけない。それなら、少しサービスが手厚い関係があれば、一気に地域のグループホーム等で、この体験を繰り返す期間を地域でやっていくことができる。 | |
◆ | 退院したときは地域の中が原則だと思う。(社会復帰施設への入所であっても、入所者の中には)「いつ退院できるんですか」と言われてしまう。これが病院の敷地内だったら、もっともっとそういう思いが強いのではないか。それが、(当事者は)グループホームに行くとそういうことは言わない。グループホームに行くと、援護寮から退院できたと言う。できるだけ小さな退院で、住宅地の中でということを生活の場では大事にしたい。 |
(2) | 居宅支援事業(グループホーム、ヘルパー、ショートステイ) |
◇ | 5類型の社会復帰施設、グループホーム等の居宅生活支援事業、小規模作業所等の社会復帰施設の体系そのものを議論していく必要がある。 | |
◇ | グループホームは現在うまくいっているのか。もうそろそろ制度疲労がきている。 | |
◆ | 住まい、市町村による居宅生活支援事業、就労支援、所得保障、日中の活動あたりについて、前から指摘があったように、それぞれの制度が現在あるが、それらの制度について、実は現場で使ってみると使い勝手が悪いということが現実問題としてある。あるいは、ニーズに合っていない場合がある。例えばショートステイなどでは、あくまでも介護者の都合によってしかショートステイは使えないわけで、本人がちょっと息抜きをしたいとか、休息したい場合には使えない制度になっている。そのように細かく見て、使い勝手悪さをきちんとここで検討する必要がある。 | |
◆ | 痴呆性の高齢者のグループホームのような小規模多機能ホームがあると、自宅にいながらそこも利用できて、使いたいときに使えるものが中学校単位ぐらいにしていくと、できるのではないか。 | |
◆ | ホームヘルプサービスがあると、当事者みんなが自宅あるいはアパートで生活できる。ヘルパーが入ることによって生活リズムを取り戻すことができる。他人が入ることはとても緊張が高まることだが、その緊張が、専門家と呼ばれる人たちが入ることによって、その関係性をうまくつないだ後は、むしろヘルパーさんが来ることが楽しみに変わってくる。そして、生活リズムを取り戻した方が多く、そのような改善が期待できるのではないか。 | |
◆ | 精神障害者は、力を持っているが、頭の中でうまく整理ができない。それを一緒にやる。高齢者のホームヘルプサービスは、家事援助といって、全部ヘルパーさんがやってしまうが、精神の場合はそうではなくて、ともにやることが、その人ができることは何かを一緒に考えながら、一緒にできるようになってきて、そしてその人が、本来持っている能力がまた引き出されて、そして結局その人が生活しやすくなることで、このホームヘルパーが入ることに重要性があると思う。 |
(3) | マネジメント・相談支援との関係(地域生活支援センター) |
◇ | 平成14年度から始まった市町村を相談窓口とする地域生活支援の体制、そしてまた市町村は居宅生活支援3事業を昨年度から始めている。市町村は地域生活支援センターに相談業務等を委託できるということにもなっているように、市町村と地域生活支援センターは今後の地域生活支援を考えていく上で非常に大きな用途になっていく。((5)とも関連) | |
◆ | ケアマネジメントに関し、支援する側とされる側で分けてしまいがちだが、基本的には本人が中心に座るべきであり、生活支援センターの発想は、当事者だと言われる者の専門性を大事にしながらやっていかなければいけない。 | |
◆ | サービスと利用者を結びつける形で、市町村あるいは地域生活支援センターに、相談機能が今は位置付けられている現状にあり、その相談機能をバックアップする手法としてケアマネジメントが位置付けられているわけで、ぜひこのケアマネジメントと、これらのいろいろなサービスとをきちんと関連づけて考える必要がある。そして、圏域、もう少し全県的な部分も含め、調整機能も何らかの形で付け加えていく必要がある。 |
(4) | 当事者活動の位置づけ |
◇ | 身体の人たちや知的の人たちと同じように、自分たちの自立生活は自分たちでつくる、どんなものをつくるのかという本人のニーズを基本にしてやっていくべき。 | |
◇ | 仕事としてやるのはいつも保健師や精神保健福祉士だったというのは、明らかに当事者主導ではないし、当事者のエンパワーメントには本当にはつながっていないと思う。そういうものにきちんと予算をつけて欲しい。 | |
◆ | 今まで、当事者は訴え方がわからない、訴えてもまともに扱ってもらえなかったようなケースがあった。このことを行政の人や専門家、ピアサポーターも含めて、みんながまじめに考えることが、権利擁護の基本ではないかと思う。 |
(5) | 国・都道府県・市町村の役割 |
◇ | 地域生活支援事業において、他の障害者は皆利用できるのに精神障害者はシャットアウトされ、利用できない。なぜかといったら、それは市の仕事ではないという意識をまだ持っている職員がいる。そこからまず改めないといけない。 | |
◆ | 市町村に相談を持ちかけても、精神のことは全然わかっていない、今勉強中である、お金もない、国が出してくれない、だから生活支援センターなどは無理であるという答えが返ってくる場合がある。 |
(6) | これらを担う人材の在り方 |
◇ | 脱施設化政策や地域ケアへの転換というのは欧米の先進国では30年くらいの歴史があって、その中で当初のモデルと現在のモデルでは、理念とか当事者間とか当事者の役割、それから専門職の役割が変化してきている。それによってシステムそのものも進化を遂げている。理念をきちんと議論しながら、それに合ったシステムづくりをやっていく、その中に人材にお金をきちんとかけていくということが重要だと思う。 | |
◇ | 共同住居にしても支援にしても、病院側がつくってしまって、なかなか市井の人たちが加わっていかないとか、そういうのを見ていてちょっと残念に思っていた。 | |
◆ | 地域生活の幾つかの専門制度領域には専門家はいるけれども、地域生活には専門家はいない。これは生活者がいるだけであり、その特性をきちんと踏まえた援助論が必要。当事者モデルがようやくここに来て、きちんと自覚化されて入ってきた。専門家は実は当事者を必要とするし、双方的な援助システムをどうつくっていくかがパターナリズム型の援助モデルを克服する最大のポイントである。 | |
◆ | 地域の中でお互いが支え合える関係を「専門性」といい、それを持った専門家が、それぞれの役割を担って、お互いが協力し合うことが理想的。 | |
◆ | 症状が激しい入院期は医療のかかわりがとても重要だが、地域に出るにしたがってだんだん、むしろ、私たち専門家と呼ばれる者がかかわることが弊害になっていく。どう地域住民にサポートをお願いしていくかという形を進めていくことが、彼らが地域の一員になれることではないか。 |
6 | 財源(配分)の在り方 |
◇ | 財政は経済効率を強く求めている。サービスのあり方として、従来の専門職にだけ依存したサービスでは、当事者は管理されることを好んでいないというふうにほかの障害領域の人たちは言っており、そのことは精神障害を持つ人も同じ。けれども、障害の特性のゆえに支援が必要になる。理念だけではなくて実際のシステムをどうやって動かしていくかというところにまで議論が及ばなければ、理念だけが孤立するということで終わってしまうと思う。 | |
◇ | 精神障害者関係の検討会や考え方は、どうしても医療に引きずられるという感じがすごく強い。普通に考えれば、医療ばかりで暮らしているわけではないから、それにこれ以上濃厚に、何でも医療が飛び出してくる、こういうシステムそのものを変えて欲しい。何でもかんでも医療がお金をとっていくという今のやり方には反対。 | |
◆ | 精神障害を持って在宅生活をしている人たちは生活保護頼っているということが現実にあるが、生活保護は当事者にとっては一番大切な社会制度である。 | |
◇ | 3障害の医療と福祉とどういう使われ方になっていて、それが1人当たりに換算するとどうなっているのかがわかりやすい資料が必要。退院の方向性、地域で支えるということを考えると、医療と福祉の配分の転換がされていかないと無理。 | |
◇ | 当事者主導のサービスにその人たちが活動できるような財政的なバックアップがまだ十分でない。 | |
◇ | 欧米の当事者活動ではものすごく立派なドロップイン・センターをやっていた。当事者を職員に雇い、何千万というふうにもらっている。それは女性もそうだし、児童もそうだし、いろいろな市民活動をやっている人たちがきちんと平等にもらっていた。その医療とか福祉をなりわいにしている人たちがお金はとってはいけない、それはその人たちに渡すお金だというふうに、そこもシステムとして成立をしていると聞いた。やはりそういう転換が必要だと思う。 | |
◇ | 精神障害だけが医療が必要だからといってなぜ別に考えるのか、仕組みとして福祉サービスそのものが違う。精神障害者関係の人も精神障害者自身も違いを言うよりも同じ部分を言って、支援費なら支援費にしてほしい。 | |
◇ | 「7万2,000人を出します」と言っても、それを裏づける予算が見えなければ、その計画が名目だけだろうというふうに疑う。これを考え直してほしい。 |