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資料D−2−1

生物学的製剤基準の改正について


I. 生物学的製剤基準について
 薬事法第42条第1項に基づく生物学的製剤基準は、昭和46年7月に制定され、昭和60年10月厚生省告示第159号及び平成5年10月厚生省告示第217号により全面改正され、その後逐次品目の追加等の一部改正を行ってきた。
 平成15年9月現在同基準の収載品目は90品目である。

II. 今回の改正の概要について
 生物学的製剤基準は平成5年に全面改正が行われて以来、約10年が経過しており、その後の科学技術の進展、新試験法の開発等により時代に即した改善が必要となっている。さらに、改正薬事法の施行に伴い、本年7月に生物由来原料基準が新しく定められたこと、及び日本薬局方やWHO基準等の諸外国の基準との整合性を図ること等を鑑みた変更が求められるようになった。
 主な改正概要は以下のとおり。

1.通則
(1)日局との整合性(単位、容器)
(2)ロットの定義の明確化
(3)ロットを構成する血液製剤について、製造工程における無菌試験及び発熱試験の実施を要しない場合を規定
(4)各条医薬品及び添付する溶剤に関する不溶性異物検査法の規定を追加

2.医薬品各条
(1)輸血用製剤
(1)赤血球製剤の貯蔵温度を4〜6℃から2〜6℃に変更
(2)試験用血液の試験(血液型試験、梅毒血清学的試験)の削除、「試験用血液」の用語の整備
(3)血液保存液としてCPD液を使用した場合について、ヒト血液(原料血液)から血漿成分を分離するまでの時間を6時間以内から8時間以内に変更
(4)新鮮凍結人血漿の凝固試験の頻度の変更
(5)表示事項の変更(解凍人赤血球濃厚液、洗浄人赤血球浮遊液)
(6)赤血球保存用添加液と混和しない赤血球製剤に関する記載の削除
(7)血液保存液B液(ACD−B液)の削除
(8)血液保存液の発熱性試験におけるエンドトキシン試験法の適用
(2)血液製剤
(1)異種たん白質否定試験の削除(加熱人血漿たん白質他)
(2)熱安定性試験の削除(人免疫グロブリン他)
(3)力価試験の名称を麻しん抗体価試験に変更(人免疫グロブリン他)
(3)チメロサールに関する記載の整備 チメロサール以外の保存剤を使用できるように改正する。
例.(現行)チメロサールを0.01w/v%になるように添加することができる。
(改正案)適当な保存剤を用いることができる。
(4)含湿度試験の規格値 有効数字1桁を2桁に改正する。
例.3%を3.0%に変更。
(5)試験に使用する動物の条件の記載整備
 原則として、「約」は用いず幅記載とする。
  マウス:体重を週齢または日齢での記載に統一
  モルモット:体重の記載に統一
  ウサギ:体重の記載に統一
(6)削除品目
 解凍赤血球浮遊液
 乾燥破傷風ウマ抗毒素

3.一般試験法
(1)日局との整合性、記載整備
(2)標準液、標準希釈液、検量線に関する記載の整備
(3)異常毒性否定試験
 マウス試験法の削除
(4) エンドトキシン試験
(1)日局一般試験法 エンドトキシン試験の準用
(2)再試験の適用に関しての記載を削除。適用が必要なものは医薬品各条に記載する。
(5)チメロサール定量法
 還元気化原子吸光法、加熱気化アマルガム原子吸光法の導入(四塩化炭素を使用しない測定系の導入、チメロサールの低減化に対応)
(6)熱安定試験
 第1法の削除
(7)発熱試験法
 プラスチック製注射筒等の使用の追加
(8)無菌試験法
 日局一般試験法 無菌試験法の準用
(9)重量偏差試験法の追加
(10)試薬・試液等
 JIS2003に対応した記載整備等
(11)培地
(1)通則の改正
(2)pHの記載を約を用いず、幅記載に変更

III. 改正作業の経過等
1.審議経過
 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の下に生物学的製剤基準改正検討小委員会(生物学的製剤検討WG及び血液製剤検討WG)を設置し、各界から寄せられた改正要望の内容を踏まえ、最新の科学的知見に基づき、生物学的製剤基準改正(案)を作成した。さらに、本改正(案)については、医薬品第2部会において審議したところである。
  生物学的製剤検討WG
   第1回 平成15年5月20日
   第2回 平成15年6月17日
   第3回 平成15年7月15日
   第4回 平成15年8月 1日
  血液製剤検討WG
   第1回 平成15年5月21日
   第2回 平成15年6月27日
   第3回 平成15年7月24日
  生物学的製剤基準改正検討小委員会(合同WG)
   第1回 平成15年6月11日
   第2回 平成15年8月 5日
   第3回 平成15年9月 5日
  医薬品第2部会  平成15年10月3日

2.今後の予定
 パブリックコメント及びWTO通報の後、薬事・食品衛生審議会薬事分科会で審議、本年度中に告示する予定。


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