定義 | 本品は主としてステアリン酸及びパルミチン酸のマグネシウム塩である。 |
含量 | 本品を乾燥物換算したものは,マグネシウム(Mg:24.31)4.0〜5.0%を含む。 |
性状 | 白色の軽くてかさ高い粉末で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがある。本品は水又はエタノールにほどんど溶けない。 |
(1) | 本品5.0 gを丸底フラスコにとり,過酸化物を含まないエーテル50 ml,希硝酸20 ml及び水20 mlを加え,還流冷却器を付けて完全に溶けるまで加熱する。冷後,フラスコの内容物を分液ロートに移し,振り混ぜた後,放置して水層を分取する。エーテル層は水4 mlで2回抽出し,抽出液を先の水層に合わせる。この抽出液を過酸化物を含まないエーテル15 mlで洗った後,水を加えて正確に50 mlとした後,振り混ぜて検液(塩化物及び硫酸塩に用いる)とする。この液はマグネシウム塩の定性反応を呈する。 |
(2) | ステアリン酸及びパルミチン酸につき,それぞれステアリン酸・パルミチン酸含量比試験の検液と同様の操作を行い,標準液とする.ステアリン酸・パルミチン酸含量比試験における検液及び標準液につきステアリン酸・パルミチン酸含量比試験のガスクロマトグラフィー操作条件で試験を行うとき,検液と標準液のステアリン酸メチル及びパルミチン酸メチルのピークの保持時間は等しい。 |
(1) | 酸又はアルカリ 本品1.0 gに新たに煮沸して冷却した水20 mlを加え,振り混ぜながら水浴上で1分間加熱し,冷後,ろ過する。このろ液10 mlにブロモチモールブルー試液0.05 mlを加える。この液に0.1 mol/l塩酸又は0.1 mol/l水酸化ナトリウム液0.05 mlを正確に加えるとき,液の色は変わる。 |
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(2) | 塩化物 Clとして0.10%以下 確認試験(1)で得た検液10.0 mlにつき試験を行う。比較液には0.02 mol/l塩酸1.40 mlを用いる。 |
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(3) | 硫酸塩 SO4として1.0%以下 確認試験(1)で得た検液10.0 mlにつき試験を行う。比較液には0.01 mol/l 硫酸10.2 mlを用いる。 |
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(4) | 重金属 Pbとして20μg/g以下 本品1.0 gをとり,初めは弱く加熱し,次に約500±25℃で強熱して灰化する。冷後,塩酸2 mlを加え,水浴上で蒸発乾固し,残留物に水20 ml及び希酢酸2 mlを加え,2分間加温し,冷後,ろ過し,ろ紙を水15 mlで洗う。ろ液及び洗液を合わせ,更に水を加えて50 mlとする。これを検液とし,試験を行う。比較液は塩酸2 mlを水浴上で蒸発し,これに希酢酸2 ml,鉛標準液2.0 ml及び水を加えて50 mlとする。 |
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(5) | ステアリン酸・パルミチン酸含量比 本品約0.1 gを精密に量り,還流冷却器を付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試液5.0 mlを加えて振り混ぜ,溶けるまで約10分間加熱する。冷却器からヘプタン4.0 mlを加え,約10分間加熱する。冷後,飽和塩化ナトリウム溶液20 mlを加えて振り混ぜ,放置して液を二層に分離させる。分離したヘプタン層を,あらかじめヘプタンで洗った約0.1 gの無水硫酸ナトリウムを通して別のフラスコにとる。この液1.0 mlを10 mlのメスフラスコにとり,ヘプタンを加えて正確に10 mlとし,振り混ぜ,検液とする。検液1μlにつき,次の条件でガスクロマトグラフィー法により試験を行う。検液のステアリン酸メチルのピーク面積A及び得られた全ての脂肪酸エステルのピーク面積B(検出した全てのピーク面積)を測定し,本品の脂肪酸分画中のステアリン酸の比率(%)を次式により計算する。
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本品約0.5 gを精密に量り,無水エタノール/n-ブタノール混液(1:1)50 ml,アンモニア水5 ml及び塩化アンモニウム緩衝液(pH10)3 mlを加える。この液に0.1 mol/l EDTA溶液30.0 mlを正確に量って加え,振り混ぜる。この液が澄明となるまで45〜50℃で加熱し,冷後,0.1 mol/l硫酸亜鉛液で滴定する(指示薬 エリオクロムブラックT試液1〜2滴)。終点は液の青色が赤紫色となるときとする。別に空試験を行い補正する。 0.1 mol/l EDTA溶液1 ml=2.4305mg Mg |
リン酸三マグネシウム trimagnesium phosphate 第三リン酸マグネシウム |
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定義 | 本品には結晶物(4水塩,5水塩及び8水塩)がある。 |
含量 | 本品を強熱したものは,リン酸三マグネシウム・無水物(Mg3(PO4)2 = 262.86) 98.0〜101.5%を含む。 |
性状 | 本品は,白色の結晶性の粉末である。 |
確認試験 | 本品の水溶液(1→20)は,マグネシウム塩の反応及びリン酸塩の反応を呈する。 |
純度試験 | 結晶物は,乾燥した後,試験を行う。 |
(1) | 溶状 わずかに混濁 本品2 gを量り,水16 ml及び塩酸4 mlを加え,水浴上で5分間加熱して溶かし,検液とする. |
(2) | 重金属 Pbとして30 μg/g以下(1.33 g,比較液 鉛標準液3.0 ml) 本品1.33 gを量り,水20 mlに分散させ,塩酸(1→4)5 mlを加えてpH3〜4に調整して試料を溶かし,ろ過後,水を加えて40 mlとし,検液とする。 |
(3) | ヒ素 As2O3として3.0 μg/g以下(0.50g,装置B) 本品0.50gを量り,塩酸(1→4)5mlを加えて溶かし,検液とする。 |
(4) | フッ化物 Fとして5.0 μg/g以下 本品1.0 gを量り,ビーカーに入れ、塩酸(1→10)10 mlを加えて溶かす。この液を加熱し,1分間沸騰させた後、ポリエチレン製ビーカーに移して直ちに氷冷する。これにクエン酸ナトリウム溶液(25→100)15 ml,エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液(2.5→100)10 mlを加えて混合する。塩酸(1→10)又は水酸化ナトリウム溶液(4→10)でpHを5.4〜5.6に調整する。その液を100 mlのメスフラスコに移し,水を加えて100 mlとする。この液約50 mlをポリエチレン製ビーカーにとり検液とする。電位を比較電極及びフッ素イオン電極を接続した電位差計で測定するとき,検液の電位は、比較液の電位以上である。 比較液は、次により調製する。 あらかじめ110℃、2時間乾燥したフッ化ナトリウム2.210 gを正確に量り、ポリエチレン製ビーカーに入れ、水200 mlを加えてかき混ぜながら溶かす。この溶液をメスフラスコに入れ、水を加えて1,000 mlとし、ポリエチレン容器に入れて比較原液とする。使用時に、比較原液5 mlを正確に量り,メスフラスコに入れ、水を加えて1,000 mlとする。この液1 mlを正確に量り,ポリエチレン製ビーカーに入れ、これにクエン酸ナトリウム溶液(25→100)15 ml、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液(2.5→100)10 mlを加えて混合する。塩酸(1→10)又は水酸化ナトリウム溶液(4→10)でpHを5.4〜5.6に調整する。その液を100 mlのメスフラスコに移し、水を加えて100 mlとする。この液約50 mlをポリエチレン製ビーカーにとり比較液とする。 |
強熱減量 | 4水塩 15%〜23% (1.0 g,425℃,3時間) 5水塩 20%〜27% (1.0 g,425℃,3時間) 8水塩 30%〜37% (1.0 g,425℃,3時間) |
定量法 | 本品を強熱し,その約0.3 gを精密に量り,水50 ml及び塩酸 (2→3) 5 mlを加えて溶かし,更に0.1 M EDTA溶液40 mlを加えて,50℃水浴中で30分間加熱する。冷後,アンモニア・塩化アンモニウム緩衝液(pH10.7)約10 mlを加え,0.1 M酢酸亜鉛溶液で滴定する(指示薬 : エリオクロムブラックT試液5滴)。終点は,液の青色が青紫色となるときとする。別に空試験を行い補正する。 0.1 M EDTA溶液1 ml = 8.762 mg Mg3(PO4)2 |