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足元(2003〜2007年度)の推計
内閣府の「改革と展望−2002年度改定 参考資料」の推計期間である2003年度から2007年度までの期間については、同推計における実質経済成長率や長期金利の見通し及び厚生労働省職業安定局による労働力率の見通し等を基礎として、5年間の平均として、これらと整合的な実質賃金上昇率及び実質長期金利(10年国債応募者利回り−消費者物価上昇率)の推計を行った。
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長期(2008年度以降)の推計
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経済成長の原動力となる全要素生産性(TFP)上昇率に関して、ケース1(1.0%)、ケース2(0.7%)、ケース3(0.4%)の3とおりの前提を置き、マクロ経済に関する基本的な関係式を用いて、各ケースごとに2008〜2032年度の25年間平均の労働力人口一人当たり実質GDP成長率及び日本経済全体の利潤率を推計した。
なお、TFP上昇率については、平成13年度年次経済財政報告における中長期的な潜在成長率の推計において、構造改革の実行を前提として中長期的には年0.5〜1%程度に高まることは十分可能とされていることに準拠して設定したものである。 |
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過去において長期的にみると、日本経済全体の利潤率と実質長期金利とは概ね比例関係にあることから、過去15〜25年間程度の平均の実質長期金利(10年国債応募者利回り−消費者物価上昇率)の水準(2.8〜3.4%程度)に、この推計から得られる将来(2008〜2032年度)の利潤率の過去の利潤率に対する比率(0.55〜0.7程度)を乗じることにより、将来の実質長期金利の水準の推計を行った。
また、実質賃金上昇率は、労働力人口一人当たり実質GDP成長率と同程度とみた。 |
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運用利回りの上限の考え方
一定のリスクをとり、国内外の株式等を組み入れた分散投資を行う場合には、運用利回りの見込み値は長期金利よりも高くなると考えられる。現行の基本ポートフォリオは、国内株式、外国債券、外国株式というリスク・リターンの異なる資産を組み入れることにより、運用収入が年金財政上の予定を下回るリスクを最小にするという考え方に基づいて設定されており、結果として全額国内債券で運用する場合と同程度の利回り変動リスクをとりつつ、国内債券の期待収益率を0.5%上回る期待収益率が見込まれている。このことから、分散投資により追加的に確保することのできる運用利回りの上限を0.5%と見込んで、実質運用利回り(積立金運用利回り−消費者物価上昇率)の上限は、上記により推計された実質長期金利の上限に0.5%を加えたものと見込んだ。 |