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《論点案》

【総合】

1.競争的研究資金の効果的活用について
競争的研究資金を活用すべき研究開発にはどのようなものがあるか。科学研究費補助金のような「ボトムアップ型(科学技術主導型)」と、それ以外の「トップダウン型(政策主導型)」の制度が存在するが、各々で競争的研究資金の活用はどうあるべきか。

行政が継続的に取り組むべき調査研究等に競争的研究資金は活用すべきか。長期的かつ継続的な取組みが阻害される恐れはないか。

競争的研究資金とプロジェクト型研究資金の使い分けはどうあるべきか。両者の配分決定には、どのような要素を考慮すべきか。

各制度の戦略整合性や全体調整はどのように確保すべきか。

競争的研究資金はどのような方法で増額すべきか。増額の際に、留意すべき点は何か。


2.課題の採択と資金配分のあり方
小額研究費のばら撒きになっていないか。1課題当たりの適正な支援資金規模はどのように決定されるべきか。

研究資金制度の仕組みが、研究室単位で多くの申請を出させたり、研究資金の安定確保を目的に共済的な班研究を組む行動をおこしていないか。そうであれば、改善策はあるか。

研究者のエフォート管理や政府研究開発データベースにより、研究費の過度の集中等をチェックすべきではないか。政府研究開発データベースへの迅速な入力はどのように実現すべきか。

課題採択における評価者の役割は大きい。最適な評価者を選択するために、評価者データベースの整備や外国人評価者の活用等を検討すべきでないか。また、評価者の評価はどうあるべきか。

3.成果等の評価について
今回各配分機関が行った様々な評価方法を踏まえ、競争的研究資金制度の成果等の評価を今後どの様に実施すべきか。

 > 投入費用に照らした成果の妥当性どう評価すべきか。
 > 成果の学問的な評価には専門的判断が必要となるが、どのように行うべきか。
 > 成果は長年の研究開発の蓄積の結果である場合も多く、特定の研究資金に帰属させることが難しいが、どう考えるべきか。
 > アンケートは主観的な判断を定量化する有効な手法であるが、そのサンプル抽出で何に注意すべきか。
 > 論文数や特許申請数などの数値指標は、数字が一人歩して研究者の行動をゆがめる危惧があるが、どう考えれば良いか。

あわせて、成果の社会還元を追跡してゆく取組みが重要ではないか。

総合科学技術会議として、今回評価する7制度の成果等をどのように評価するか。国民への成果等の説明責任はどのような方法で果たすべきか。


A. 科学研究費補助金
 −文部科学省、日本学術振興会−

1.新しい知、科学技術の創生について
科研費は、新しい知の創造や科学技術の創生、人材養成等について、世界のフロントランナーにふさわしい成果を生み出すため、
世界の科学技術の動向や経済・社会のニーズに応じ、分野の設定、審査体制等が十分機動的に機能してきているのか。
応募数に応じた採択を行う「試算型」は現状の分野別研究構造を温存し、新分野等に対する機動的な対応を困難にする面も考えられることから、「分野調整型」の割合を増やしていくべきではないか。
最先端の内容を評価するために審査員に外国人を活用したり、分野毎に審査方式を変えて評価したりすべきではないか。

2.審査について
現状では、1人の審査員が短時間のうちに多数の審査を行わなければならないが、多数の申請がある背景には、試算型での採択(応募数に応じた採択)や比較的簡単な申請様式があるのではないか。

試算型の採択割合を減らし、申請様式を内容重視の詳細なものとし、更に審査料を徴収して審査体制の充実を図る等により、精選された申請内容を十分に評価できる審査方式に改善できないか。また、手続きの電子化や不採択者が質問できる制度の導入を進めるべきではないか。

採択率、1件当たりの配分額は適切なのか。成果を上げるためには、採択率を下げてでも、1件当たりの配分額を増やすべきではないか(選択と集中)。

3.成果等の評価と説明責任について
配分機関による評価で、資金配分や成果の状況等が十分に把握され、その有効性や問題点が明らかにされるとともに、改善点の明確化や成果等に関する国民への説明が十分になされているか。

特に、科研費のような基礎研究について、成果の説明責任はどのように果たすべきなのか。成果を定量的に評価することは困難な面があるとしても、国際的な視点で、可能な限り数値化・客観化を試み、あるいは優れた事例を用いる等によって、具体的に分かりやすく成果を説明すべきではないのか。

本制度は、目的や投入予算に照らして、成果やその他の効果が十分に得られていると判断するか。特筆すべき成果・効果や科学技術上・社会経済上の貢献はどのようなものか。

本制度への投入予算は、その目的や応募課題数に照らして妥当か。


B. 戦略的創造研究推進事業
 ―科学技術振興事業団(文部科学省)―

1.研究領域などの選択について
ERATO型、CREST型ともに研究領域等の決定が極めて重要であると考えられるが、従来の事業では、透明性と戦略性のある選択がどのように行われ、機能してきたか。

今後戦略的創造研究推進事業を進めていくに当たり、国際的研究水準に照らしつつ戦略目標の設定及びその達成の評価をどのように行っていくのか。またその中で対象領域の拡充を行っていくべきか。

総括実施型のERATOタイプと、公募型のCRESTタイプのバランスをどうするべきか。

2.トップダウンの手法の有効性と成果の社会還元について
特定領域の研究開発をトップダウンで強力に推進していくという従来の手法は有効に機能し、成果を上げてきたか。研究により得られた成果や人材はどのような形で社会に還元されていったか。

今後の事業においては、従来の手法を基本的に維持していくべきか。成果の社会還元(特許のライセンスや実用化への対策を含む)については従来の取組を、更に改善していくべきではないか。

3.成果等の評価について
配分機関による評価で、資金配分や成果の状況等が十分に把握され、その有効性や問題点が明らかにされるとともに、改善点の明確化や成果等に関する国民への説明が十分になされているか。

本制度は、目的や投入予算に照らして、成果やその他の効果が十分に得られていると判断するか。特筆すべき成果・効果や科学技術上・社会経済上の貢献はどのようなものか。

本制度への投入予算は、その目的や応募課題に照らして妥当か。


C. 厚生労働科学研究費補助金
 −厚生労働省−

1.競争的研究資金を活用すべき対象について
対象が研究開発要素の強い課題、政策的要素の強い課題、行政事業要素が強い課題等に亘っているが、競争的資金で行うことが効果的である課題に絞り込むことが適当ではないか。

経常経費として確保すべきものが競争的資金に落としこまれ、資金が硬直するとともに審査の不透明性が高まっていないか。

例えば感染症モニタリングのように行政的に継続性が必要な調査研究等は、国立研究所等を中心に経常的経費を確保して実施する方が、長期的に見て効率的ではないか。

2.制度の事業運営構造について
各担当課が直接的に事業を運営することで、行政目的を迅速かつ的確に反映できる利点はあるものの、制度全体の戦略整合性や優先性に基づく資源配分が弱まっていないか。

また、管理業務が分散することで事務効率の低下や調整業務の増大を招くとともに、外部から見ても複雑で分かり難くなっていないか。

制度の効果・効率を高めるために、より集約的な運営構造に改革すべきではないか。

3.成果等の評価について
配分機関による評価で、資金配分や成果の状況等が十分に把握され、その有効性や問題点が明らかにされるとともに、改善点の明確化や成果等に関する国民への説明が十分になされているか。

本制度は、目的や投入予算に照らして、成果やその他の効果が十分に得られていると判断するか。特筆すべき成果・効果や科学技術上・社会経済上の貢献はどのようなものか。

本制度への投入予算は、その目的や応募課題数に照らして妥当か。


D. 産業技術研究助成事業
 −新エネルギー・産業技術総合開発機構(経済産業省)−

1.資金額及び他の制度との関係について
本助成事業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の予算の3%を占めているが、NEDO又は経産省内で本事業の割合を増やしたり、産業界向けに自由な発想で研究を募る競争的研究資金制度を創設・拡充する必要はないのか。

競争的資金、プロジェクト型の研究開発、公募型の制度の間の関係(役割分担、連携等)及び資金手当てバランスはどうあるべきなのか。

2.制度・運営について
産業技術のシーズ発掘や産業技術研究人材の育成という目的から、成果を上げ、これを実用化/人材育成につなげるような制度・運営が行われているのか。

特に、特許の取得・維持経費を研究費から出すことになっているが、産業技術のシーズ発掘という目的に照らして適切なのか、別の支援を行うべきではないか。また、どのようなものを特許として出願すべきか、見通しを立てて助言するような支援や、特許が十分に活用されるような支援も必要ではないか。

3.成果等の評価について
配分機関による今回の評価で、資金配分や成果の状況等が十分に把握され、その有効性や問題点が明らかにされるとともに、改善点の明確化や成果等に関する国民への説明が十分になされているか。

本制度は、目的や投入予算に照らして、成果やその他の効果が十分に得られていると判断するか。特筆すべき成果・効果や科学技術上・社会経済上の貢献はどのようなものか。


E. 新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業
 −生物系特定産業技術研究推進機構(農林水産省)−

1.課題の階層構造について
採択課題が著名な研究者を頂点とする階層構造となっており、グループ研究を行う利点は検討すべきものの、一部有力大学や首都圏への偏りを招いていないか。

1件当たり資金規模を小型化することにより、採択数の拡大と採択課題の一部機関への集中の解消を図り、全国各地の研究室レベルでの競争を促すとともに、末端での資金の再配分を防止し責任を明確化すべきではないか。

2.産業指向の視点の強化について
科研費による基礎研究支援との役割の違いを明確にするため、食料・農業・農村基本計画等を踏まえて研究目標をより明確に絞り込むべきではないか。

更に、大学関係者で占められている評価委員の構成を見直したり、制度目的に照らして審査基準を見直す等、制度の目的がより明確に反映される仕組みとするべきではないか。

3.成果等の評価について
配分機関による評価で、資金配分や成果の状況等が十分に把握され、その有効性や問題点が明らかにされるとともに、改善点の明確化や成果等に関する国民への説明が十分になされているか。

本制度は、目的や投入予算に照らして、成果やその他の効果が十分に得られていると判断するか。特筆すべき成果・効果や科学技術上・社会経済上の貢献はどのようなものか。

本制度への投入予算は、その目的や応募課題数に照らして妥当か。


F. 地球環境研究総合推進費
 ―環境省―

1.地球環境研究全体における本制度の役割について
地球環境関係研究は多くの府省、研究機関にまたがり実施されている。また、その種類もモニタリング、基礎的研究、対策技術、戦略策定などさまざまである。このような状況の中で、研究を効果的・効率的に進めるためには、全体像を把握し、監督・調整するような機能が求められるが、調整官庁である環境省が運営している本制度はどのような役割を果たすべきなのか。

現在取り組まれている政策支援研究に加え、我が国全体の地球環境研究をより強力に調整・推進する役割を果たすべきではないか。

2.研究成果の充実と活用について
政策支援型の研究を旨とする本制度において充実した研究成果を出していくためには、政策的に活用された研究成果を研究者の業績として認知するための仕組みの充実が必要ではないか。

1課題当たりの適切な配分額の実現、民間や環境研究先進国等との協力体制の構築が必要ではないか。

3.成果等の評価について
配分機関による評価で、資金配分や成果の状況等が十分に把握され、その有効性や問題点が明らかにされるとともに、改善点の明確化や成果等に関する国民への説明が十分になされているか。

本制度は、目的や投入予算に照らして、成果やその他の効果が十分に得られていると判断するか。特筆すべき成果・効果や科学技術上・社会経済上の貢献はどのようなものか。

本制度への投入予算は、その目的や応募課題に照らして妥当か。


G. 戦略的情報通信研究開発推進制度
 ―総務省―

1.本制度の位置づけと戦略的な資金配分について
情報通信分野の研究開発については、国では総務省及び経済産業省等の他省庁が関係し、また総務省及び通信・放送機構(TAO)の中でも各種の資金制度やプロジェクトが実施されている。さらに民間が果たすべき役割も大きいと考えられるが、全体の中で本制度が果たすべき役割は明確に整理されているか。

重点6領域ごとに我が国における研究開発の発展段階に応じて、基礎・応用・開発研究あるいは世界標準化等にかかる課題をどのような戦略で採択していくべきか。

2.優れた成果につながる仕組みについて
技術の進展が著しく早い情報通信分野において、優れた研究成果を出していくためには、評価の仕組み(評価者の選定、毎年の継続評価実施の是非等)や、研究成果の実用化の仕組みをどのようにしていくべきか。

国際競争力の強化のため、先端的研究水準をどのように確保し、国際的人材の育成、海外先進国との協力等をどのように進めていくべきか。

3.成果等の評価について
配分機関による評価で、資金配分や成果の状況等が十分に把握され、その有効性や問題点が明らかにされるとともに、改善点の明確化や成果等に関する国民への説明が十分になされているか。

本制度は、目的や投入予算に照らして、成果やその他の効果が十分に得られていると判断するか。特筆すべき成果・効果や科学技術上・社会経済上の貢献はどのようなものか。

本制度への投入予算は、その目的や応募課題に照らして妥当か。


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