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次世代育成支援策について
(給付と負担関係)


目次

1.少子化の現状及び次世代育成支援策の取組状況
(1)少子化の現状・育児と就労
(2)社会保険制度における現行の次世代育成支援策
(3)次世代育成支援策推進の状況
(4)世論調査、有識者調査その他調査における状況
2.諸外国における例

3.年金制度における次世代育成支援策拡充についての考え方の整理

4.年金制度における次世代育成支援策を拡充する場合に考えられる支援策及び論点例
(1)考えられる支援策の全体像
(2)現行制度の延長線上で考えた場合(保険料免除措置期間の延長)
(3)育児支援の対象者を拡げた場合(就業継続している者に拡大)
(4)育児支援の対象者を拡げた場合(離職した者にも対象を拡大)
(5)第1号被保険者にも支援措置を拡充する場合
(6)第3号被保険者の取扱い


1.少子化の現状及び次世代育成支援策の取組状況

(1)少子化の現状・育児と就労

 前回の財政再計算(平成11年)時に比し、少子化、高齢化がより一層進展する見込み
 (資料1・・・平成14年1月「日本の将来人口推計」)
 育児と就労に関する状況

<女性が職業をもつことについての考え>
 「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」とする割合が37.6%(増加傾向)
 「子供が大きくなったら再び職業をもつ方がよい」とする割合も36.6%(減少傾向)
 (資料2・・・平成14年7月の内閣府調査「男女共同参画社会に関する世論調査」)

<出産と離職>
 未就学児を持つ母で仕事を辞めた経験を持つ者のうち、仕事を辞めた理由の42.5%が出産のためとなっている。
 未就学児を持つ母の第一子が生まれたときの働き方の変化では、40.3%が仕事を辞めている。
 (資料3・・・平成15年の厚生労働省委託調査「子育て支援策等に関する調査研究報告書」)

<子供のいる世帯における妻の就業状態>
 末子の年齢が0から3歳である世帯における妻の就業状態を見ると、非農林業雇用者は23.3%と低い。そのうちの約4割がパート・アルバイト。
 末子の年齢が上がるに従い(14歳まで)、妻の就業割合は高くなっていく。
 経年的には、おおむね妻の就業割合は高まってきているが、末子が0から3歳の場合には大きな変化は見られない。
 (資料4・・・総務省統計局の「労働力調査特別調査報告」)

(2)社会保険制度における現行の次世代育成支援策

 年金制度では、現在、第2号被保険者について、育児休業期間(1歳まで)中の保険料免除措置が講じられ、給付の算定の際は育児休業取得直前の標準報酬に基づく保険料納付がされたものとして取り扱われている。
 (資料5・・・社会保険制度における出産・育児への支援)
 育児休業制度は、出産に際し就業を継続できた女性に関しては利用が進んできているが、出生数と利用者数を比較(平成12年で1,191千人)すると、結婚育児等に伴う離職の多さ等も反映して、その割合は低い。
<参考>育児休業制度等の利用状況
(資料6・・・育児休業取得の状況)
(資料7・・・育児休業に係る厚生年金保険料免除者数の状況)
 また、育児休業等の制度については、制度改正によりその充実が図られてきており、現在は、1歳までの子についての育児休業に加えて、3歳までの子について、育児休業制度に準ずる措置又は勤務時間の短縮等の措置(注)を講じることが事業主の義務となっている。
 (なお、国家公務員等の公務員については、育児休業期間は3歳までとされている。ただし、共済制度における育児休業期間中の保険料免除措置は1歳までとなっている。)
 (資料8・・・育児・介護休業法の概要)
 (資料9・・・育児・介護休業法の経緯)
 (注)
 「育児休業制度に準ずる措置」とは、1歳までの措置である育児休業制度に準じるものとして、1歳から3歳までの間の休業措置のことを指す。
 「勤務時間の短縮等の措置」は、短時間勤務制度、フレックスタイム制、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、所定外労働の免除、託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与を指す。

(3)次世代育成支援策推進の状況

 我が国における急速な少子化の進展に対応し、少子化社会において講ぜられる施策の基本理念を明らかにするとともに、少子化に対処するために講ずべき施策の基本事項等を定めることにより、少子化に対処するための施策を総合的に推進することなどを目的とした「少子化社会対策基本法案」が、議員立法として国会に提出されている。(資料10・・・「少子化社会対策基本法案」の概要)
 政府としては、一層の進行が予想される少子化に対応し、次世代育成支援策に関する従来の取組に加え、もう一段の対策を進めていくため、本年3月に、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」(平成15年3月14日少子化対策推進関係閣僚会議決定)を定めた。
 (資料11・・「次世代育成支援に関する当面の取組方針」の概要)
 この「次世代育成支援に関する当面の取組方針」においては、「社会保障における次世代支援」が4つの柱の一つである。
 年金については、「多様な働き方の実現と併せて、育児期間において、収入が下がり又はなくなる場合に、将来の年金額計算において配慮を行うことなどについて、平成16年の次期年金制度改正の際に検討する。」とされている。
 また、教育に伴う経済的負担の問題が少子化の背景にあると指摘されていることを踏まえ、「学生が安心して学べるよう育英奨学金を充実する」とされ、さらに、「世代間扶養を基本的な考え方に運営している年金制度において、若者が次代の「支え手」となることを社会全体で支援する観点から、新たな貸付制度も含めてどのように取り組んでいくか、平成16年の次期年金制度改正の際に検討する」とされている。(資料12・・・「次世代育成支援に関する当面の取組方針」の年金制度に関する部分抜粋)
 また、本年3月には、自治体・企業における次世代育成支援対策の取組を促進するため、「次世代育成支援対策推進法案」が国会に提出された。これは、次世代育成支援策を総合的に推進する体制整備を図るものであり、例えば年金制度における次世代育成支援などの各個別施策の推進とあいまって、次世代育成支援策を推進していくものである。(資料13・・・次世代育成支援対策推進法案の概要)

(4)世論調査、有識者調査その他調査における状況

 内閣府「平成13年度国民生活選考度調査」では、女性が「出生率低下の原因」として考えるものとして、「子育て費用の負担が大きいから」が最も割合が高く、65.6%となっている。
 また、厚生労働省「子育て家庭に対する支援策に関する調査研究報告書」(平成14年3月)では、今後充実が必要な施策・サービス及び支援等として、「子育てへの経済的支援」が「子育てしながら働きやすい職場環境の整備」に次いで高く、子どものいる世帯では50.0%となっている。
 (資料14・・・「平成13年度国民生活選考度調査」(内閣府))
 (資料15・・・「子育て家庭に対する支援策に関する調査研究報告書」(厚生労働省。平成14年3月))
 本年2月に内閣府により行われた「公的年金制度に関する世論調査」(平成15年4月公表)においては、「年金制度の中での少子化対策」について、
 年金制度においても、子供を育てている者の保険料の軽減を拡充するなど、支援策を講じるべきであるとする者が、54.1%となっている。
 これを年齢別で見ると、子育て世代である20歳代、30歳代において高く、20歳代では女65.2%、男57.4%、30歳代では女69.3%、男61.6%である。
 年金制度において少子化対策を行うことは適当でないとする者は29.7%となっている。
 (資料16・・・「公的年金制度に関する世論調査」の概要)
 本年3月に厚生労働省年金局により行われた「年金改革に関する有識者調査」(平成15年5月公表)に おいては、
 「育児期間への配慮措置の拡充の是非」について、「次世代育成を支援するために配慮措置を拡充するべきである」が52.9%であるのに対し、「保育サービスの充実など公的年金制度以外で対応すべき」が41.8%となっている。
 また、「年金資金を活用した教育資金の貸付制度を創設すること」について、「積極的に取り組むべき」が50.0%であるのに対し、「取組は必要ない」が42.9%となっている。
 (資料17・・・「年金改革に関する有識者調査」の概要)

2.諸外国における例

 主要国における出生率の動向については、資料18のとおりとなっている。
 (資料18・・・先進諸国の合計特殊出生率の状況)
 少子化に関連する主要国の取組状況は、資料19のとおりとなっている。
 (資料19・・・少子化に関連する主要国の取組)
 諸外国での年金制度における育児期間等に係る配慮措置については、資料20のとおりとなっている。少子高齢化が進む先進欧州諸国の公的年金制度も、我が国同様世代間扶養の仕組みを基本に成り立っているが、各国とも、様々な形で次世代育成者への配慮措置が講じられている。
 (資料20・・・日本及び諸外国における育児期間等に係る配慮措置と育児休業制度)
 ドイツとフランスについて、家族政策と年金制度における次世代育成策について整理すると、資料21のとおりとなっている。なお、ドイツにおける年金制度での次世代育成支援策については、連邦憲法裁判所の決定がある。
 (資料21・・・ドイツ・フランスにおける家族政策と年金制度)
 (資料22・・・ドイツ年金保険についての1992年独連邦憲法裁判所決定における判断)

3.年金制度における次世代育成支援策拡充についての考え方の整理

 我が国で進行している少子・高齢化は、欧米主要国と比較しても、程度とその進行スピードが著しく、将来の我が国の社会経済全体に大きな影響を及ぼすことが予想される。このような国際的にも著しい程度の少子化の進行が継続するという見通しを前に、職場や地域などを含めた社会全体や政府をあげて、従来にも増して本格的に次世代育成支援策に取り組むことが必要である。
 → 1.(3)次世代育成支援策推進の状況
 少子化の進行に対して総合的な次世代育成支援対策が講じられようとしている中で、公的年金制度においてもその一環として次世代育成支援に向けた対応をどのように考えていくかが課題となる。
 なお、昨年12月の「年金改革の骨格に関する方向性と論点」において、平成14年の新人口推計を基にした給付と負担の将来推計を行っているが、以下のとおり、年金制度にとって少子化の進行は大きな影響を及ぼすものである。

<給付水準維持方式における少子化の影響(基準ケース)>

 厚生年金の最終保険料率国民年金の最終保険料
低位推計 26.6%22,500円
中位推計23.1%20,500円
高位推計21.0%19,000円

<保険料固定方式(実績準拠法(名目年金額下限型)。基準ケース)における少子化の影響>

 厚生年金のスライド調整終了後の所得代替率
低位推計 45%
中位推計 52%
高位推計57%

 公的年金制度において次世代育成支援を行うことについては、肯定的な見解の理由として、
(1) 世代を超えた支え合いである公的年金制度にとって、将来の高齢者世代を支える現役世代となる次世代を育成することは本質的に重要な課題であるという考え方
(2) 単に次世代育成を果たす者への配慮という視点だけでなく、次世代の育成に対して社会(加入者)全体で支援する観点に立ち、育児期間中に離職する場合が多いことや所得が低下することなど、育児期間に対応する老後の年金保障が十分でなくなるという実態に着目して、育児をすることによって年金保障が不利になることを解消するという考え方=育児について公的年金制度を中立的な仕組みとする考え方
(3) 世代間扶養を基本とする公的年金制度は、保険料を負担する次の世代なしには存続し得ず、子を養育する者は、それによって年金保険制度の維持に貢献していると評価でき、子を養育しない者との間の実質的な公平を年金制度上考慮すべきとする考え方
(4) 今後、一層高くなる保険料を負担しながら次世代を育成する現役世代の理解を得るため、次世代育成支援という形で負担の還元を行うことも有効という考え方
 などが挙げられる。
 一方、否定的な見解の理由としては、
(1) 老後の生活に必要な費用は子供を何人養育したかとは無関係であり、子供を養育したことで給付が増加する仕組みは適切でないという考え方
(2) 子供の有無により給付や負担に差を生じさせることは個人の行動に中立的ではないという考え方
(3) 次世代育成支援対策としては、年金制度のような所得の移転ではなく、保育サービス等子育て環境の整備等が実効性が高いという考え方
(4) 年金財政が厳しい見通しの中で年金給付以外の給付を行う余裕はないという考え方
 などが挙げられる。
  本年3月に、政府としてとりまとめた「次世代育成支援に関する当面の取組方針」においては、1.(3)次世代育成支援策推進の状況で記述したとおり、総合的な取組を効率的かつ効果的に進める中で、他の施策と一体となって、年金制度における次世代育成支援策の拡充を図ることを検討するとしている。

4.年金制度における次世代育成支援策を拡充する場合に考えられる支援策及び論点例

(1)考えられる支援策の全体像
 年金制度における次世代育成支援策を拡充する場合、大きく分けて、
(1) 育児期間について、年金制度上の保険料負担や給付(給付額算定上の標準報酬算定等)において配慮を行う支援策
(2) 年金資金を活用した次世代育成支援策
 といった方策が考えられる。
 以下、(1)について検討する。

<次世代育成支援措置の拡充策として考えられる案>

(1) 現行制度の延長線上で考えた場合・・・育児休業期間中の保険料免除措置期間の延長
 子が1歳を超えて育児休業がとられる場合、例えば子が3歳までを限度に保険料免除期間を延長する。
(2) 育児支援の対象者を拡げた場合・・・育児期間中に就業継続している者に拡大
 育児により就業時間の短縮等が必要となり、年金保障が不利になることを解消する考え方
 支援措置の対象者として就業継続する者も含め、育児期間(例えば子が1歳まであるいは3歳まで)中は、給付算定上、育児期間前の標準報酬あるいは平均賃金で保険料納付が行われたものとして取り扱う。
 保険料は免除あるいは実際の賃金に基づいて徴収
(3) さらに育児支援の対象者を拡げた場合・・・離職した者にも対象を拡大
 (1)、(2)では対象者が限られることから、(2)をさらに進め、離職した者も含め育児により年金保障が不利になることを解消する考え方
 離職後も、一定の育児期間中は、給付算定上、育児期間前の標準報酬あるいは平均賃金で保険料納付が行われたものとして取り扱う。
 支援措置の対象を再就職した場合に限ることが考えられる。
(4) 第1号被保険者にも支援措置を拡充する場合
  育児をする者としない者の公平を図る考え方に立ち、育児期間中の第1号被保険者の保険料を免除する。
(5) 第3号被保険者の取扱い
 第3号被保険者制度の見直しが給付調整案又は負担調整案となった場合、育児期間中の第3号被保険者については給付調整又は負担調整は行わないことが考えられる。

(2)現行制度の延長線上で考えた場合・・・育児休業期間中の保険料免除措置期間の延長

 世代間扶養の制度における次世代育成の重要さにかんがみ、育児への配慮という現行の仕組みの延長線上で支援措置の拡充を図る考え方。
 育児休業等の制度で、子が3歳までの雇用者に事業主が講ずべき義務の一つとして、育児休業制度に準じた措置が規定されたことを踏まえ、子が1歳を超えて育児休業がとられる場合に、保険料免除措置期間を延ばし、例えば3歳までとすることが考えられる。

(3)育児支援の対象者を拡げた場合・・・育児期間中に就業継続している者に拡大

 これまでの育児への配慮といった考え方に基づく措置から育児の積極的な評価に基づく措置への拡充を図るという考え方。
 特に育児により年金保障が不利になることを解消=育児に中立的な制度への見直しといった考え方。
 育児休業等の制度で、1歳以上3歳未満の子を養育する労働者を対象として、育児休業に準ずる措置又は勤務時間の短縮等の措置を講じることが新たに事業主に義務づけられたことを踏まえ、年金制度においても、これまでの育児休業期間に着目した支援措置を改め、例えば子が3歳に達するまでといった育児期間に着目した支援措置に改めることが考えられる。
 この場合、育児休業取得者以外にも、出産後も就業継続する者についても、育児期間中は配慮措置を講じることとなる。
 就業継続する場合は、何らかの賃金収入があると考えられるが、どのような支援措置が考えられるか。
 (例)
(1) 賃金に関わりなく保険料免除をし、給付の算定の際は、育児期間前の標準報酬に基づく保険料納付が行われたものとして取り扱う。
(2) 賃金に応じた保険料負担を求め、給付の算定の際は、例えば、育児期間前の標準報酬あるいは平均賃金で保険料を納付しているものとして取り扱う。

(4)さらに育児支援の対象者を拡げた場合・・・離職した者にも対象を拡大

 現状では、出産後も就業を継続し、又は、育児休業をとる者は必ずしも多くなく、出産を理由として離職する者が多いことや、低年齢の子供を有する女性の就労率が低いことなどを考えた場合、(3)までの措置では、育児により年金保障が不利になることを解消する観点から次世代育成支援策を年金制度として本格的に講じる場合に、対象者が一部の者に限定され、不十分であると考えることもできる。
 この場合、出産前に雇用者(第2号被保険者)であった者について、離職者も含めて、一定の育児期間について、厚生年金保険制度において何らかの支援措置を講じることが考えられる。
 例えば、離職者についても、給付の算定の際に、一定の育児期間について育児期間前の標準報酬あるいは平均賃金で保険料納付が行われたものとして取り扱うといったことも考えられる。
 一方で、第2号被保険者が離職すると、第1号被保険者又は第3号被保険者となるが、
 第1号被保険者となった場合には、1号被保険者に対する育児支援策で対応することも考えられる。
 第3号被保険者となった場合には、基礎年金に加えて報酬比例部分も保障することとなるが、このことをどう考えるか。
 離職者についても厚生年金保険制度上の措置を講じる場合、2号被保険者でない者について2号被保険者であるのと同様な給付上の評価をすることについて、どう考えるか。
 また、厚生年金保険制度が被用者の間での支え合いの制度であることなどから、支援措置の対象を再就職した場合に限るといった配慮を講じることについてどう考えるか。

(5)第1号被保険者にも支援措置を拡充する場合

 育児を公的年金制度への貢献と積極的に評価し、育児をする者としない者の公平を図るという考え方に立った場合、育児という貢献を理由として第1号被保険者の保険料負担を免除するということが考えられる。
 特に、第1号被保険者について支援措置を講じようとする場合、基礎年金の給付は2号被保険者にも共通の仕組みであることから、給付面で配慮することは難しいことから、保険料負担の面で支援措置を講じることを考えることとなる。
 保険料負担の面で支援措置を講じる場合、一定の育児期間中について、1号保険料の免除を行うことが考えられる。
 この場合、免除を行った期間について、
(1) 現行の保険料免除制度のように保険料免除期間に算入する、すなわち、当該期間については国庫負担分のみの給付とし、保険料の追納があった場合に満額の給付とする案
(2) 現行の学生納付特例制度のように、保険料の追納があった場合に初めて満額の給付を行い、追納がない場合には、いわゆる「カラ期間」(受給資格期間には算入するが給付は行わない)とする案
(3) 保険料納付済み期間に算入する、すなわち、当該期間については満額の基礎年金の給付とする案
 が考えられる。
 保険料免除については、負担能力を問わずに、育児期間中であることのみをもって全国民共通の基礎年金に係る保険料負担を要しないこととすることが適当か。
 現行の保険料免除制度のように、世帯での所得が一定の要件を満たす場合のみ支援措置を講じることが考えられるがどうか。
 また、現行の学生納付特例制度のように、育児期間中の者本人の所得状況のみを要件としてみることも考えられるがどうか。

(6)第3号被保険者の取扱い

 第3号被保険者については、本人自身は保険料を負担しておらず、また、基礎年金は保障されることから、さらなる育児期間中の支援措置は必要性が低いものと考えられる。
 ただし、出産前に第2号被保険者であった者が離職し第3号被保険者となった場合について、(4)のように、厚生年金保険制度における給付面で育児期間中の支援措置を講じることについてどう考えるか。
 また、第3号被保険者制度の見直しにおいて、
(1) 負担調整案が導入される場合には、第3号被保険者にかかる負担額分について保険料免除することが考えられる。
(2) 給付調整案が導入される場合には、育児期間に係る給付調整は行わない取扱いとすることが考えられる。
(3) 年金権分割案が導入される場合には、第3号被保険者自身の年金保障は充実することから、改めて別の配慮措置を講じる必要性は低いと考えられるが、例えば、子育て世帯を支援する考え方に立ち、第2号被保険者の保険料について、第3号被保険者の保険料相当分として半分を免除するといった考え方もある。
 なお、昨年12月の「方向性と論点」において、「第3号被保険者を育児・介護期間中の被扶養配偶者に限るという考え方については、次世代育成支援策の在り方とあわせて検討する」としている。上記(1)又は(2)をとった場合、育児期間中の者を第3号被保険者と整理し、それ以外の者は負担調整あるいは給付調整をすることにより、第3号被保険者以外の類型として整理するという取扱いが考えられる。


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