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I 非器質性精神障害に関する検討
第1  検討の視点
 平成11年9月に「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(以下「判断指針」という。)が示されて以降、業務による心理的負荷が原因となって発症したとする精神障害について業務災害として認められる事案が増加する傾向にある。これに伴い、今後、業務による心理的負荷を原因とする精神障害の後遺障害に係る請求が増加することが予想される。

 現行の障害等級認定基準(以下「認定基準」という。)は、頭部外傷等による脳の器質的な変化に伴う精神障害(器質性精神障害)の後遺障害についてはその障害の程度に応じて認定基準が掲げられているが、脳の器質的な変化を伴わない精神障害(非器質性精神障害)の後遺障害に係るものとしては「外傷性神経症(災害神経症)」の場合のみが掲げられ(その障害の評価については、「精神医学的治療をもってしても治ゆしないものについては、第14級の9に認定する」と定められている。)、その他の判断指針の対象となる非器質性精神障害の後遺障害に係る認定基準は明示されていない。

 判断指針は、対象疾病を「原則としてICD−10第V章「精神および行動の障害」に分類される精神障害とする」としており、実際にICD−10分類F3気分〔感情〕障害、F4神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に分類される精神障害が多く認定されるに至っている。しかし、前述のとおり現行認定基準は外傷性神経症(災害神経症)に限定した記述となっているので、これを見直す必要がある。そして、これら非器質性精神障害の後遺障害の評価について検討することが必要である。
 判断指針の対象としている非器質性精神障害は多岐にわたり、その後遺障害も様々な症状を残すことがあり、労働能力の低下も一様ではない。また、精神的側面は労働能力の重要な要素であることから、労働能力のそう失の評価に当たり、非器質性精神障害による後遺障害についてもこれまで以上に評価を行うべきであると考える。
 以上のことから、現行認定基準により非器質性精神障害の後遺障害の全てを画一的に障害等級第14級と認定することは適正さを欠くので、後遺障害の程度をより適正に判断できる認定基準を新たに設けるべきである。

 その際、器質性精神障害と異なった非器質性精神障害の本質について理解しておく必要がある。
 例えば、発声器官や構音に関係する神経系に損傷がないにもかかわらず「声が出(せ)ない」という状態には、脳の言語領域の損傷等器質的な原因による場合と、解離性(転換性)障害等非器質的な原因による場合がある。両者は、「声が出(せ)ない」ということでは同じであるが、その本態においては大きな相違がある。すなわち、前者は大脳の優位半球に脳実質の破壊があり、それを原因として「失語」が発生しているのに対し、後者は、前者に見られる大脳の優位半球に破壊がないにもかかわらず、換言すれば、言語を発することに関与する脳の器質的損傷が一切ないにもかかわらず、心理的機制で一時的に発語ができなくなったもの(失声)である。手腕等の器質的障害により「文字が書けない」場合と、手腕等そのものには何らの障害がないにもかかわらず心理的原因により文字が書けない(書痙)場合も同様である。
 このように、器質的障害と非器質的障害は結果においては類似の状態を示していても、障害の発症機序において全く異なるものである。非器質的障害は本質的には身体的機能において何ら傷害されていないので、適切な精神医学的治療を行うことによって原則として完治しうるものであり、それまでに相当な期間を要する場合であっても治る可能性のある障害ということができる。このように非器質性精神障害の後遺障害の認定に当たっては、疾病の特質に鑑み療養効果を慎重に見極める必要があるのであって、器質性精神障害認定の場合と全く同一の考え方、同一の基準で考えるのは適切ではないと考える。

第2  非器質性精神障害の後遺障害の評価を行う上での基本的考え方
 障害認定の時期
 業務による心理的負荷を原因とする非器質性精神障害は、業務による心理的負荷を取り除き、適切な治療を行えば、多くの場合概ね半年〜1年、長くても2〜3年の治療により完治するのが一般的であって、業務に支障の出るような後遺症状を残すケースは少ない。
 しかし、症例によっては個体側要因も関係して2〜3年の治療によっては完治に至らず症状が改善しないまま推移することもまれにはある。
 こうした非器質性精神障害の後遺障害の障害認定の時期、すなわち治ゆ(医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果がそれ以上期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態)とする時期をいつの時点におくべきかであるが、原則として各種の日常生活動作がかなりの程度でき、一定の就労が可能となる程度以上に症状がよくなった時期、換言すれば、もとの仕事に復帰できる場合はもとより、職種制限が相当な程度あるためにもとの仕事には復帰できないが他の仕事には就き得る程度に症状が良くなった時期とすべきである。
 ただし、上記の一般的・平均的な療養期間を大幅に超えて療養してもなお、それ以上症状に改善の見込みがないと判断される場合であって、意欲の低下等により就労がかなわないものの日常生活はかなりの程度できる状態にまで回復している場合には、就労がかなわなくてもその時期を治ゆ(症状固定)と判断し、後遺症状について障害認定すべきである。
 なお、後述する各種の日常生活動作に係る複数の判断項目にわたって「できない」と評価される等非器質性精神障害による症状が重篤で、日常生活にも大きな支障が生じ、療養が必要と認められる場合には、非器質性精神障害の特質上、なお将来において大幅に症状が改善する可能性が十分にあること等から、慎重に治ゆか否かを見極めるとともに、必要に応じて療養を継続すべきである。

 非器質性精神障害による後遺障害の程度
精神の障害による後遺障害の評価について現行認定基準は
  第1級  精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級  精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
第3級  精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
第5級  精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第7級  精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第9級  精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
第12級  労働には通常差し支えないが、医学的に証明しうる精神の障害を残すもの
第14級  労働には通常差し支えないが、医学的に可能な精神の障害に係る所見があると認められるもの
としている。
 このように現行認定基準は、前述のとおり脳挫傷、一酸化炭素中毒等による器質性精神障害についてはその障害の程度に応じて1級から14級の評価を行うこととしているが、一方、非器質性精神障害についてはわずかに外傷性神経症(災害神経症)を例示し、その評価は、「外傷または精神的外傷ともいうべき災害に起因するいわゆる心因反応であって、精神医学的治療をもってしても治ゆしなかったものについては、第14級の9に認定する」としている。冒頭述べたように非器質性精神障害の後遺障害による労働能力の低下は一様ではないことから、これは必ずしも妥当ではない。
 しかし、器質性精神障害とは異なり、非器質性精神障害による労働能力の低下は、それが認められる場合においても移動、運搬等の身体能力はもちろんのこと、計算、会話、伝達等の精神活動能力は概ね正常に保たれていると通常考えられるから、なお精神活動の統合、調整が必ずしも十分でない状態であっても、就労の有無にかかわらず、9級を超える障害の評価には該当しないと考えるのが妥当であろう。
 なお、一般的・平均的な療養期間を大幅に超えて療養してもそれ以上の症状に改善の見込みがないと判断される場合であって、就労がかなわないものの、日常生活はかなりの程度できる状態にまで回復している場合、非器質性精神障害の後遺症状としての意欲や感情障害等により「仕事に行けない」という状況をとらえて、労働能力の過半をそう失したと評価するのは適切とは考えない。現実に意欲や感情の障害等によって就労がかなわないとしても、次に述べる特別な場合を除いて、既に述べているように身体的能力は基本的に正常であり、精神活動能力についても意欲の障害等を除き概ね正常であるからである。現実に就労していない場合においては、職場においてどのような助言、援助が必要となったか具体的にできないことから、後述する評価方法によってのみでは評価しにくい面があるが日常生活能力の支障の程度から類推して上述の就労がかなった場合に準じて評価することは可能であると考える。
 意欲や感情の障害によって就労がかなわない場合でも日常生活能力の支障の程度がそれほどでもないのときの評価は、第9級「服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」を超えるものではないと評価するのが妥当であると考える。

 重篤な症状のまま症状固定となった場合の取扱い
 非常にまれに9級を超えることが明らかな後遺障害が残ることがあり得る。例えば、非器質性精神障害の後遺症状の最も重篤な状態は、「持続的な人格変化」を認める場合である。「人格変化」を認める場合とは、
  (1)  著しく調和を欠く態度と行動
(2)  異常行動は持続的かつ長期間にわたって認められ、エピソード的ではない
(3)  異常行動は広範にわたり、広い範囲の個人的社会的状況に対して非適応的である
(4)  通常、職業、社会生活の遂行上重大な障害を伴う
という要件を満たすことが必要とされており、こうした状態はほとんど永続的に継続するものと考えられている。
 通常、「持続的な人格変化」は、脳挫傷や脳疾患のための脳そのものの器質的病変に伴って発現する場合がほとんどであって、非器質性精神障害ではほとんど出現するケースはないものであるが、そのような状態が生じた場合には、器質性精神障害の場合に準じて9級を越える障害が残存したものとして個別に判断されるべきである。

 症状が変動すること等による障害認定上の留意点
 非器質性精神障害の後遺障害は、一口に症状が固定したといっても、症状や能力低下に変動がみられることがほとんどである。
 このように出現する症状、能力低下に軽重の幅がある場合の障害認定にあっては、一時期の重篤な状態又は軽微な状態にとらわれて評価を行うことは、障害補償という基本的には変化する余地のない永続的な労働能力のそう失のてん補を目的としている制度においては適切ではなく、それまでの療養経過期間中の状態から判断して障害の幅を踏まえて総合評価するのが妥当である。

第3  非器質性精神障害の後遺障害としての精神症状
 非器質性精神障害の後遺障害として長年月続き、普通みられるものに次のものがある。非器質性精神障害の後遺障害は、これらが単独であるいは重複して残存する。
 なお、次に示す精神機能の障害が重篤で、日常生活にも支障が生じ就労がかなわない場合には療養継続とすることは前述のとおりであるので、障害認定実務上は、結果としてそれほど重篤な精神機能の障害が残存する患者について障害認定するケースはないものと考えられる。
   抑うつ状態
 持続するうつ気分(悲しい、寂しい、憂うつである、希望がない、絶望的である等)、何をするのもおっくうになる(おっくう感)、それまで楽しかったことに対して楽しいという感情がなくなる、気が進まないなどの抑うつ状態が持続している状態である。
 不安の状態
 全般的不安や恐怖、心気症、強迫など強い不安が続き、強い苦悩を示す状態である。
 意欲低下の状態
 すべてのことに対して関心が湧かず、自発性が乏しくなる、自ら積極的に行動せず、行動を起こしても長続きしない。口数も少なくなり、日常生活上の身の回りのことにも無精となる状態である。
 慢性化した幻覚・妄想の状態
 自分に対する噂や悪口あるいは命令が聞こえる等実際には存在しないものを知覚体験すること(幻覚)、自分が他者から害を加えられている、食べ物や薬に毒が入っている、自分は特別な能力を持っている等内容が間違っており、確信が異常に強く、訂正不可能でありその人個人だけ限定された意味付け(妄想)などの幻覚、妄想を持続的に示す状態である。
 記憶又は知的能力の障害
 非器質性の記憶障害としては、解離性(心因性)健忘がある。自分が誰であり、どんな生活史を持っているかをすっかり忘れてしまう全生活史健忘や生活史の中の一定の時期や出来事のことを思い出せない状態である。
 非器質性の知的能力の障害としては、解離性(心因性)障害の場合がある。日常身辺生活は普通にしているのに改めて質問すると、自分の名前を答えられない、年齢は3つ、1+1は3のように的外れの回答をするような状態(ガンザー症候群、仮性痴呆)である。
 その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)
 その他の障害には、上記イからホに分類できない症状、多動(落ち着きの無さ)、衝動行動、徘徊、身体的な自覚症状や不定愁訴などがある。

第4  後遺障害の評価の方法
 非器質性精神障害の後遺障害の障害認定の考え方
 労災保険における障害補償は、障害による労働能力のそう失に対するてん補を目的とするものである。障害等級の評価に当たっては、心身の障害の程度を具体的に評価し、その障害の程度に応じて労働能力のそう失の程度に置き換えて評価しているところである。
 身体機能の障害については、例えば視力、聴力、上肢、下肢等の機能障害の程度について具体的に測定可能であるが、精神機能の障害については、極めて複雑多岐にわたり、また、その障害を定量的にとらえることは困難であることから、身体機能の障害のように客観的評価が容易ではない。
 臨床心理学的な各種テストがあるが、これらテスト等の検査結果は特定の領域における障害の程度の把握には有効であるものの、その結果を直ちに労働能力のそう失の程度を表す障害等級の認定に採用することは、単独の検査結果によることはもとより、複数の検査結果を組み合わせた場合であっても、労働能力のそう失の程度及び全体像を正しく評価・判定するための手段としては不十分である。
 こうしたことから、非器質性精神障害に係る障害等級認定を行うに当たっては、臨床経過等を十分踏まえ、障害のもととなる精神症状の有無、内容を臨床精神医学的に確認し、それらの精神症状が就労するに当たって具体的にどのような能力低下となって現れているかを、具体的に検討し評価した上で、労働能力のそう失の程度を総合的に判断するということが現時点では最も適切な方法である。

 障害等級の具体的評価
 非器質性精神障害の後遺障害における評価項目および程度ごとの具体的内容の記述に当たっては、国内における就業難易度の調査・研究、国際障害分類、国民年金法、身体障害者福祉法等国内の他制度、オーストラリア、ドイツ、イギリス等諸外国における職業上の障害に関する情報等を参考に検討を行った。そして具体的認定に当たっては、次の方法によって障害の程度を評価し障害等級を認定することが適切であるとの結論に至った。
 また、下記の状態の詳細を的確に把握するため、障害補償給付の請求書の裏面の診断書に加えて別途定める様式の意見書により主治医に対して症状等を照会する必要があると考える。
(1)  精神症状の有無、内容の確認
 非器質性精神障害の後遺障害の各症状を臨床的に把握し、次のどの状態が残存しているかその程度も含めてまず診断する。
  a  抑うつ状態
b  不安の状態
c  意欲低下の状態
d  慢性化した幻覚・妄想性の状態
e  記憶又は知的能力の障害
f  その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)
(2)  能力低下の状態の評価
 次に非器質性精神障害の後遺障害では、上記(1)の精神症状をもととして生活、労働上何らかの能力低下の状態が発現していることから、その能力低下の状態を評価する必要がある。要するに、社会生活を遂行していく上での困難を評価し、そのことにより労働能力のそう失の程度を評価するのである。
 当検討会では能力低下の状態を判断するに当たっては、次の8項目について4段階の評価を行い、さらに総合評価を行うことで障害の程度を判断することが現時点においては適当であると考えた。
 判断項目
(1)  身辺日常生活
 この項目は、日常生活における基本的行動のうち各種ADL(日常生活動作)判定において多く採用されている「食事・入浴・更衣」について判定し、それ以外の動作については、特筆すべき事項がある場合には加味して判定を行うものである。
(2)  生活・仕事に積極性・関心を持つこと
 この項目は、世の中の出来事、テレビ、娯楽等の日常生活及び働くことそのもの、仕事の内容、職場での生活等に対する意欲や関心があるか否かについて判定するものである。
(3)  通勤・勤務時間の遵守
 この項目は、規則的な通勤や出勤時間等約束時間の遵守が可能かどうかについて判定するものである。
(4)  普通に作業を持続すること
 この項目は、就業規則に則った就労が可能かどうか、普通の集中力・持続力をもって業務を遂行できるかどうかについて判定するものである。
(5)  他人との意思伝達(上司・同僚を含む)
 この項目は、他人とのコミュニケーションが適切に行えるかどうかについて判定するものである。
(6)  対人関係・協調性(職場を含む)
 この項目は、他人との関係において円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうかについて判定するものである。
(7)  身辺の安全保持、危機の回避
 この項目は、身の回りにある危険から身を守れるかどうかを判定するものである。
(8)  困難・失敗への対応
 この項目は、新たなストレスを受けたときの対処がどの程度適切にできるかということを判断するものである。
 項目別の評価方法
 上記イに挙げた8項目の評価に当たっては、必要となる助言・援助の程度に応じて次の4区分により評価を行う。
  A:適切又は概ねできる
B:時に助言・援助が必要
C:しばしば助言・援助が必要
D:できない
(3)  総合評価
 非器質性精神後遺障害の評価に当たっては、上記(1)及び(2)の結果を踏まえ、次の区分により総合評価を行う必要がある。
 なお、(2)において8項目に対する4段階評価を行った上で、さらに総合評価を行うこととした理由は次のとおりである。
 人間の精神機能は全体的な働きとして現れるものである。したがって、個々の精神症状、個々の能力低下の評価のいずれか一つを精神機能全体の評価に単純に結びつけるのは正しくないと考えた。すなわち障害等級の認定に当たっては、
 精神症状の有無及び内容を確認し、さらに能力低下を各評価項目について4段階の評価を行い、それらすべてを勘案しながら全体として障害の程度を判定することが精神機能に対する適正な評価方法であると考える。
 総合評価は次の5区分で評価することとし、具体的には就労の有無、就労に当たり必要な配慮の程度及び日常生活の支障の程度を踏まえて総合的に判断するものとし、次により行う。

【総合評価の5区分】
「0」  「日常生活又は就労は普通にできる」
 この区分には、「元の職種又は同様の職種に就くことができ、特に配慮が必要でない」ような場合が該当する。
「1」  日常生活又は就労は概ねできるが、軽度の精神障害が認められるもの
 (又は「労働には通常差し支えないが、医学的に可能な精神の障害に係る所見があると認められるもの」)
 この区分には、「元の職種又は同様の職種に就くことができるが、多少の配慮が必要である」ような場合が該当する。
「2」  「日常生活又は就労にある程度支障があるもの」
 (又は「労働には通常差し支えないが、医学的に証明し得る精神の障害を残すもの」)
 この区分には、「元の職種又は同様の職種に就けるが、かなりの配慮が必要である」ような場合が該当する。
 なお、「意欲の低下等により仕事には行けないが、日常生活を概ねできるもの」もこの区分に含まれる。
「3」  「日常生活がある程度制限を受けるもの又は就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの」
 (又は「一般的労働能力は残存しているが、精神の障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」)
 この区分には、「仕事に就けるものの、大幅に職種を変えざるを得ない(例えば、「対人業務ができない」、「運転業務ができない」)ような場合が該当する。
 なお、「意欲の低下等により仕事には行けないが、日常生活に支障が時にあるにとどまる」ような場合もこの区分に含まれる。
「4」  「3」を超える就労制限が認められるもの
 この区分に該当した場合には、療養を必要とする場合が多いことに留意する。
 療養効果が認められない場合には、障害の程度に応じて個別に判断を行う。

 本検討会としては、非器質的精神後遺障害として労働能力のそう失を伴うと認められるものを、上記のように原則として、重度「3」、中等度「2」及び軽度「1」の3区分に評価し、各々障害等級として重度は第9級、中等度は第12級及び軽度は第14級に評価するのが適当であると考える。
 「4」の区分は、「3を超える状態」と考えられるもので、個別判断を要するものであるが、非器質性精神障害は多くの場合後遺症状を残さずに治るものであるから、このような場合には慎重に治ゆか否かを見極め、必要に応じて療養を継続すべきである。
 なお、「0」の区分は「障害が認められない」状態であるから、障害補償の対象とはならない。


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