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社会保障の給付の在り方について


給付見直しの視点と論点

<視点>

<論点>

社会経済情勢の変化への対応
社会保障の役割、負担の維持可能性、公平性等を踏まえた給付の範囲、水準の在り方

世代間・世代内の公平性の確保
世代間、ライフサイクルからみた現在の給付構造の在り方

社会保障の総合化という視点に立った給付の効率化、相互関係

制度間の機能の重複の調整

多様な働き方への対応など社会保障給付と雇用の関係


社会経済情勢の変化への対応

これまでの主な取組例
平均寿命や健康寿命の伸長、人口構造の急速な少子高齢化にどのように対応していくのか

経済基調が変化する中で、勤労世代の所得水準とのバランス等をどのように考えるか

高齢者の就労の増加や労働力人口の減少の見通しなど、雇用環境の変化にどのように対応するか

生活水準の向上、ライフスタイルの変化に伴うニーズの多様化にどのように対応するか

老人医療の対象年齢の引上げ
・70歳以上→75歳以上(平成14年改正)
育児休業給付の見直し
(平成7年創設、平成13年改正)
介護休業給付の創設(平成11年)

被保険者期間の伸びに対応した老齢厚生年金の給付水準の見直し(昭和60年改正)
年金額の可処分所得スライドの導入
(平成6年改正)

老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げ
(平成6年、平成12年改正)
高年齢雇用継続給付の創設(平成7年)
在職老齢年金の見直し
(平成6年、平成12年改正)

特定療養費制度の創設(昭和59年改正)
入院時食事療養費制度の創設(平成6年改正)


世代間、世代内の公平性の確保

これまでの主な取組例
急激な人口構造の変化の中で、制度の持続可能性や将来の負担増に対する現役世代の不安を解消するためには、どのようにすべきか

世代間の公平論議について−特に年金−
 ・ 仮に年金制度がない場合は、年金保険料負担の代わりに私的に老親を扶養する負担が発生
 ・ 少子化の進行に伴い、私的に老親を扶養する負担も増加


保険制度間の給付率の差や、高額所得者に対する給付など、世代内の公平性を担保する観点から、どのようにすべきか
保険料負担を一定範囲に抑えるための給付内容の見直し(平成12年改正)
既裁定者の年金(65歳以降)は物価スライドのみで改定
老齢厚生年金の給付水準の適正化 等

育児休業期間中における被用者保険の保険料の免除


年金: 平成6年、平成12年改正
医療: 平成6年、平成12年改正



乳幼児(3歳未満)の医療保険の給付率の改善(平成14年改正)

医療保険各制度を通じた給付率の統一(平成14年改正)
所得のある高齢者について、医療保険の給付率を見直し(平成14年改正)


制度間の機能の重複の調整

これまでの主な取組例
社会保障の各分野に横断的に関わる課題について、利用者の視点に立って良質かつ効率的なサービスが提供されるよう、どのようにすべきか


就労意欲を阻害しない社会保障給付の在り方という観点からどのような対応が考えられるか


社会保障給付と税制との関係をどのように整理するのか
介護保険制度の創設
医療と介護の役割分担
利用者の選択
総合的なサービス提供
(平成12年)

年金と雇用保険給付との調整
(平成10年)

母子家庭等自立促進対策の充実と児童扶養手当の見直し
(平成15年)


社会保障の役割、負担の維持可能性、公平性等を
踏まえた給付の範囲、水準の在り方

(これまでの主な指摘)

社会保障の役割
セーフティネットの役割を果たすために、必要な給付は確実に保障されることが必要(有識者会議)
社会保障の給付について、その範囲や水準がセーフティネットとしての役割にふさわしいものであることが必要(大綱)

負担の維持可能性、公平性
将来世代の現実的な負担能力を前提として給付の在り方を考えていく必要(有識者会議)
将来にわたり負担、特に現役世代の負担が過重なものとならず、経済・財政と均衡のとれたものとすることにより、持続可能な制度とする必要(大綱)

(注) 有識者会議:「21世紀に向けての社会保障」社会保障構造の在り方について考える有識者会議
大綱:「社会保障改革大綱」政府・与党社会保障改革協議会


世代間、ライフサイクルからみた現在の給付構造の在り方

(これまでの主な指摘)

持続可能なシステムを構築するためには、より世代間に公平なものとしていく努力が必要(有識者会議)

所得や資産を有するなどの負担能力のある者は、年齢にかかわらず、その能力に応じ公平に負担を分かち合うことが必要(大綱)

社会保障が国民のライフコースを通じて、全体としてバランスのとれた安全装置として若い世代の理解を得るためにも、真に少子化対策に有効な施策については、積極的に実施していく必要(有識者会議)



(参考1)
次世代育成支援に関する主な課題

 出産や育児と両立できる働き方の確立
 男性を含めた働き方の見直し、育児休業制度等の見直し
 「待機児童ゼロ作戦」の推進

 育児等に対する社会的支援の充実 等


 地域における子育て支援の推進
 子育てを支援する生活環境の整備

 社会保障における次世代育成支援


 年金額計算における育児期間の配慮等

 子どもの社会性の向上や自立の促進


 中高生の赤ちゃんとのふれあいの場の拡充 等
 若者の安定就労や自立した生活の促進


社会保障の総合化という視点に立った給付の効率化、相互関係

(これまでの主な指摘)

年金、医療など個別制度はそれぞれ異なるリスクに応じて別建てされているものであるが、社会保障制度を総合的・効果的に機能させる観点からの見直しが必要(有識者会議)


年金を受給しながら長期に入院・入所している者の生活保障など、制度間に重複がある部分については、制度横断的な視点から整理していく必要(有識者会議、大綱)


高額の所得や資産を有する者に対する給付の在り方などについて検討(大綱)


(参考2)
高齢者における年金・医療・介護の相互関係

高齢者における年金・医療・介護の相互関係の図


(参考3)
高齢者世帯における年金・医療・介護の相互関係

高齢者世帯における年金・医療・介護の相互関係の図

保険料、自己負担及び給付費総額の数値はすべて夫婦2人分
給付費総額は、平均的な世帯のケースについては医療費総額、その他のケースについては医療費総額及び介護サービス費総額である。


(出典)

(1)純貯蓄残高: 「平成12年貯蓄動向調査」の65歳以上・全世帯の貯蓄・負債の現在高の中位数

(2) 保険料:
 ・ 医療保険については、年齢階級別1人当たり保険料(70〜74歳)の平成12年度実績に基づく推計値(政管健保、健保組合、市町村国保の3制度平均)(厚生労働省保険局)
 ・ 介護保険については、第1号被保険者の保険料の平成12〜14年度の平均額(月額2,900円)

(3) 自己負担、給付費総額:
 ○ 平均的な世帯とその他のケースの在宅者の医療費
 ・ 医療保険については、年齢階級別1人当たり医療費・自己負担額(70〜74歳)の平成12年度実績に基づく推計値(政管健保、健保組合、市町村国保の3制度平均) (厚生労働省保険局)
 ○ 在宅で寝たきりの状態
 ・ 医療について、寝たきり状態の者の給付費総額は寝たきり老人在宅総合診療料のモデル事例(12,275点)、自己負担については上限額(12,000円)
 ・ 介護については、「介護給付費実態調査」(厚生労働省統計情報部)の「平均給付単位数(要介護度4)」を基に政策統括官付社会保障担当参事官室において平成14年平均を推計
 ○ 特別養護老人ホーム
療養病床
 ・ 介護サービス費・自己負担については、一般的な人員配置がなされた施設に要介護度4の者が入所した場合を想定して計算
 ・ 食費については、平均的な食事提供費用(2120円)・標準負担額(780円)に日数(365/12)を乗じて算出
 ・ 特別な室料の自己負担について、「平成13年介護サービス施設・事業所調査の概況」(厚生労働省統計情報部)の1人当たり平均利用料(要介護度4)を基に政策統括官付社会保障担当参事官室において推計

(4) 食料、住居費等:「平成13年家計調査年報」の夫婦高齢者・無職世帯の食料、住居、光熱・水道の数値


(参考4)
諸外国における介護施設入所者等に対する給付の調整例

ドイツ フランス アメリカ イギリス スウェーデン
 介護保険においては、施設の居住費用は給付対象となっておらず、全額自己負担が原則

 本人が負担できない場合には社会扶助(介護扶助)から費用を支給
 長期入院施設及び高齢者入所施設における居住費用は給付の対象となっておらず、全額自己負担が原則

 本人が負担できない場合には、社会扶助から費用を支給
 メディケアでは、一定期間しかカバ−されず、期間経過後は全額自己負担

 資産等を費消してしまった場合はその後はメディケイドによりカバーされていることが多い

 なお、93年の改正により資産要件が強化され、州政府は、受給者の死後、資産の売却等によりメディケイドに要した費用を回収できることとなった
 施設入所者については原則自己負担

 低所得者については、地方公共団体が自らサービスを提供し、又はサービス提供機関からサービスを購入して費用を負担(一部自己負担あり
 施設入所者については、通常のアパート等と同様に家賃を利用者が負担

 低所得の高齢者に対しては、国が年金受給者住宅手当(家賃補助)を支給


多様な働き方への対応など社会保障給付と雇用の関係

(これまでの主な指摘)

意欲に応じて働き、年金と組み合わせて豊かな生活ができるようにする(大綱)

社会保障制度について、パートタイマー等雇用形態の多様化に対応した制度の見直し、女性の就労など個人の選択に中立的な制度への見直しを進める(大綱)



(参考5)
社会保障(年金)と雇用の関係

  現状 課題
年金支給開始年齢と
高齢者雇用
厚生年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられるが、処遇の変更や職域の開発の難しさもあって、定年引上げや継続雇用がなかなか進んでいない
65歳まで働ける場を確保する企業の割合 :68.3%
65歳まで希望者全員を雇用する企業の割合 :27.1%
 「雇用管理調査」(平成14年)より算出

※事業規模30人以上の企業が対象
継続雇用の推進や多様な雇用・就業機会の確保による60歳台前半の雇用の確保
在職老齢年金の見直し 賃金が増加すれば賃金と年金の合計額も増加するように制度を改善したが、在職老齢年金受給者の賃金や労働時間について一定の調整行動をとっている企業が存在するとの指摘
より就労に中立的な制度とする観点から、在職老齢年金の「繰下げ受給」の仕組みの導入、在職老齢年金制度の見直しの検討
短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大 適用事業所に使用される70歳未満の者のうち、「所定労働時間が通常の勤労者の概ね4分の3以上の者」が厚生年金の被保険者
就労形態の多様化に対応する等の観点から、例えば「週の所定労働時間が20時間以上、または、年収65万円以上の者」等といった適用基準の検討
派遣労働者の取り扱い及び失業への対応 登録型派遣労働者について、「待機期間」は厚生年金から国民年金の被保険者になり、届出事務が煩雑
 ※待機期間…派遣終了から次の派遣就労までの期間
→ 平成14年4月、「待機期間」が1ヶ月を超えず、同一の派遣元から次の派遣就労が確実に見込まれる場合には、厚生年金の適用が継続できるよう措置
待機期間中も任意に厚生年金に継続加入できる仕組みの是非を含めた検討

出典:「雇用と年金に関する研究会報告」(平成15年3月)より作成


高齢社会への対応、働き方の見直し、次世代育成支援の相互関係(イメージ図)

高齢社会への対応、働き方の見直し、次世代育成支援の相互関係(イメージ図)


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